アフガンだよりA [2009年01月22日(Thu)]
協会東京本部の前スタッフ梅本さんの、アフガニスタンからのお便りを紹介する「アフガンだより」。今日は第二回をお送りします! 前回の記事は→アフガンだより@ ***** アメリカの大統領交代を機に「3万人兵力増強」が言われるアフガニスタンの今後の厳しい情勢を予想して、事務所の運営が現地人スタッフによってすべて切り盛りできるようにと、こちらでは昨年春以降業務引き継ぎの動きはあったようですが、昨年8月末の伊藤和也君殺害事件以降、日本人スタッフは中村医師を除いて、昨年10月パキスタンのペシャワール病院の日本人スタッフ撤退を最後に全員慌ただしく引き揚げたため、灌漑用水路事業を展開中のジャララバード事務所では会計業務の引き継ぎが特に不十分だったようです。 いわば「泥縄の対応」を迫られたというところです。 当地の治安状況は日に日に悪化の一途のようで、帰国予定の今月20日までに所期の任務が全うできるかどうか?とりあえず頑張っています。 なぜ、そんな危険なところに行くのか、たぶんそう思われる方が多いでしょうね。 その辺はまたおいおいお話しすることにして、とりあえず電気が通じたら(電力のひどい供給不足で停電していることの方が多く、自動車のジーゼルエンジンを改造した発電機で自家発電してはいるものの、軽油燃料が高く、経費節約のため日中はほとんど動かさない)、この原稿を協会宛送信します。 話せば長くなる(本が1冊書けてしまう)し、当地に来てたかだか2週間、一知半解の私が知ったかぶりしてあれこれアフガン情勢を論じるのも気が退けるので、アフガニスタンの現況等お知りになりたい方は、第170回国会参議院外交防衛委員会会議録第4号(2008年11月5日)に掲載されている参考人(中村哲医師)の国会証言を閲覧してください。当地の様子がよく分かると思います。 また、AFPBBニュースがアフガン情勢をより詳しくウェブ上に流していますので、そちらをのぞいて見ることをお勧めします。(→AFPBBニュース)アフガニスタンとアメリカ、パレスチナとイスラエル、パキスタンとインド、新年早々いずれも予断を許さない状況のようですね。 協会のこのブログを途中で放り出す形となり、読むのを楽しみにしてくださっていた方々には済まないなと感じています。帰国後は、また日本・雲南聯誼協会の仕事を少しずつ手伝わせていただきたいな。私の「四門出遊」の成果を今後も協会のブログに載せたいなと思っています。 「インシャラー!」 (「神の思し召しがあれば…」という意味だそうです。明日以降のことに言及すると、こちらのイスラム教徒はかならずこの一句を会話のなかに挿入してから次の言葉を接ぎます。) (梅本霊邦) ■トップ写真の説明■ 地球温暖化の影響で東部アフガニスタンでも毎年旱魃つづき、水利に恵まれない地域には木一本生えない。ペシャワール会が6年の歳月をかけた用水路建設でクナール川から取り入れられた水は延々20キロ余りを流れて漸くこの乾燥地帯まで到達した。今、この乾燥地帯に灌漑用水路を巡らし緑化を図る構想(定着自立村建設プロジェクト)がペシャワール会の中心的な事業として進行しつつある。この地では水さえあれば、冬蒔き小麦の収穫の後、6月には稲を植えて米が収穫できる二毛作さえ可能になる。であれば、20万〜30万人のアフガニスタンの農民がとりあえず生計を維持できるとの試算だ。地域の治安を守るのに他国の軍隊が地元の民衆を脅し殺すやり方は愚の骨頂だ。 「貧すれば貪する」、「衣食足って礼節を知る」は世界普遍の心理のはず。まずは日々の糧を保障すること、それこそが治安維持のための急務ではないか。国際社会の責任ではないか。何百兆単位の軍事予算、世界がもっと建設的なことに回せば、世界はきっとよくなる。(2007年7月撮影) |