「25の小さな夢基金」2013年卒業式ふれあいの旅レポートC [2013年07月14日(Sun)]
25の小さな夢基金「卒業式ふれあいの旅」レポート第4回目です ![]() 春蕾クラス卒業式の様子をレポートした記事はこちら 今日からは舞台を雲南省最南端のシーサンパンナ・タイ族自治州に移します。 (※本レポート、当初は全5回にわたってお届けする予定でしたが どうしてもお伝えしたいことをまとめきれず、全6回となりました ![]() ![]() ![]() 「ふれあいの旅」もいよいよ後半に突入です。 前日に高校を卒業したばかりの春蕾クラス卒業生2名と共に、一行は空路雲南省最南端、ミャンマー・ラオスと国境を接するシーサンパンナへ向かいました。 「ふれあいの旅」恒例行事、卒業を迎えた生徒の故郷を訪ねる旅です。 今回訪問するのはプーラン族玉応坎さん、そしてタイ族依金罕さんの故郷です。 午前5時半に昆明ホテルを出発するも、シーサンパンナへ向かう国内線が欠航。 昆明支部林娜の冷静な対応により、なんとか無事振替便を確保しました。 30分遅れで一路シーサンパンナへ。 玉応坎さんと依金罕さんにとって、普段の里帰りは1年にたった1度のことでした。 それも毎回片道11時間以上かかるバスの長旅だったそう。 初めての飛行機に2人は興奮気味です。何より、1年ぶりに会う家族のことを思うと、思わず笑みがこぼれてしまいます。 玉応坎さん(左)と依金罕さん 初めての飛行機にわくわく シーサンパンナの空港から車でひたすら4時間ほど走ると、高床式の家と道をふさぐように広げて干されたお茶の葉があちこちに並ぶ、孟海県プーラン山郷に到着しました。 玉応坎さんの故郷です。 文字を持たないプーラン語には、「ニーハオ」にあたる言葉もまたないのだそう。その代わりに使われる「仕事に行かないの?」を意味する「モッ(ク)ミッカー?」を覚え、村中の人たちに挨拶して炎天下の中、村を散歩する一行なのでした。 道端でお茶の葉を干していたのは玉応坎さんの、大好きなお婆ちゃんです 全ての家はこのように木造で隙間だらけ。高床式の2階部分が生活スペースです 玉応坎さんの家の近所に住む小学校時代の同級生が、3歳になる子どもを家の外であやしているところに出会いました。聞けば中学を中退し、15歳で結婚・出産をしたとのこと。玉応坎さんの同級生の女の子たちは、彼女を除き全員がすでに結婚しています。 とても玉応坎さんと同い年とは思えないほど、大人びた女の子でした 玉応坎さんのご実家では、お父さん、お母さんをはじめ20人を超えるの親戚が集まり、たくさんのご馳走と地元のお茶、そして白酒でもてなしてくれました。停電は日常茶飯事で、この日も電気はありませんでした。 お母さん、お父さんが、自分たちで育てたお米や野菜、なかなか食べることのできない鹿の肉の料理等をふるまってくれました。 また家の壁には、玉応坎さんと弟たちが学校で優秀な成績をおさめて手にした賞状が大切に飾ってありました。 玉応坎さんは、この村から初めて大学に進む、まさにプーラン族の希望の星なのです。 玉応坎さんの家族、親戚が大集合で出迎えてくれました お父さん、お母さん、そしてお兄さんや親戚の方が獲った野菜や米で、最大のおもてなしをしてくれました 続いて一行は、車に乗り玉応坎さんの卒業した小学校へと向かいました。 政府や日本の支援で整備された校舎は、意外なほどにしっかりとした建物でした。 校庭では、地元出身の若い先生を囲む子どもたち。勉強する子もいれば、あちこちはしゃぎまわるこの姿も。 みんな、日本からの珍しいお客さんが気になって仕方がありません。 先生を囲み、のびのびと授業に参加する子どもたち 教室では、小学校の校長先生、郷政府の方々に、学校の抱える問題やプーラン族の教育の実態を伺う機会を設けて頂くことができました。 清潔感のある校舎だと思っていましたが、トイレの数が不足していたり、水へのアクセスがかなり不便だという問題があると話して下さいました。 一方で、この小学校の卒業生でもある玉応坎さんが大学進学を果たしたことはプーラン族にとって誇れることであり、今後の彼女の学業面等に、郷政府としても協力していく意向だと話してくれました。 参加者から投げかけられた「先ほど、村で小さな赤ちゃんを抱いた若い女の子に会った。学業を続けられない実態に直面して胸が痛かった」という意見に、 「私たちプーラン族にとってはそれが普通で、何も珍しいことではないのです。」との答えがありました。幸せの尺度は人や民族それぞれであることは確かだ、と気付かされました。 プーラン族の文化や特色を守りつつ、よりプーラン族という非常に少ない人口しか持たない貴重な民族の発展に取り組みたいと話してくださった校長先生や郷政府の方、そしてプーラン族の未来を担う子どもたちにとって、本当に必要とされることを模索し、協会としても協力を続けてゆきたいと感じました。 玉応坎さんの大学合格を祝って、おもてなしの御礼も込めてお祝いを渡すと、皆手を胸の前にいつまでもいつまでも御礼を言ってくれました その晩、職員Tは玉応坎さん、依金罕さんと3人で夜の街を1時間ほど散歩しました。 10も歳が離れていない二人は、まるでかわいい妹のようです。 二人とも、春蕾クラスでの毎日は、ほとんど学校の敷地から出ることなくひたすら勉強に打ち込みました。学校の規則により、生徒たちは日曜の12時から16時の4時間を除き、学校の敷地から出ることを認められていないのです。 これから始まる大学生活。今よりぐんと世界が広がり、自由になるでしょう。 いつまでも、故郷を思う純粋な気持ちを持ち続けて欲しいと密かに願わずにはいられませんでした。 ![]() 「25の小さな夢基金」2013年卒業式ふれあいの旅レポートDに続く ![]() |