長く高齢化が叫ばれる日本。ある統計によれば、2050年には高齢化率が40%に達するとされ、高齢者への介護問題が毎日のようにメディアを賑わしています。
この超高齢化社会の中で老人介護の一翼を担っているのが特別養護老人ホームです。今回は、その中でも日本財団の社会貢献パートナーとして群馬県高崎市にある天界園様をご紹介します。
天界園様は定員80名の個室と多床室が複合された特別養護老人ホームです。茶系の温かい色で統一されている天界園様に一歩、足を踏み入れると職員の方の元気な挨拶に迎えられます。
その中を少しのぞいてみましょう。
まず目に飛び込んでくるのはこの地図です。
階ごとにそれぞれ町の名前と花が描かれているこの看板は入居者の方に普通の生活と変わらない感覚を持ってほしいという工夫だそうです。
他にもさまざまな試みがされています。ベランダには自家製の野菜が栽培されており入居者の方の目と舌を楽しませ、各階の共有スペースには簡易キッチンが設けられていて入居者の方と職員の方が楽しみながらお菓子やご飯をつくっています。また普段のレクリエーションに加え月一回のチェロコンサートや季節ごとのイベントがあり、入居者の方の「生活」を楽しんでもらうような設計がなされていました。
その中でも印象に残ったのはこちら。
関係者の方から寄付されたものらしいのですが、そこにたたずんでいるだけで目を惹き、共有室を温かくしているように思えました。
私たちの「夢の自動販売機」の他にも別の寄付型自販機を導入されている井田淳夫センター長と真庭伸明事務員に社会貢献への意気込みと老人介護についてお話をしていただきました。
導入された理由として、入居者やその家族、地域の皆さんのために自販機を導入することを決めたそうです。しかし天界園様自らが助成金や社会貢献によって支えられていることで、「小さなことでも社会に還元できたら!」という思いから通常の自販機でなく寄付型の自販機の導入を決意したそうです。
儲けを出すという「自分達のため」でなく、社会貢献のために社会全体が「他者のために」ある、その力になれればうれしい、という思いを語って下さいました。私もその力添えができるよう精いっぱい頑張りたいと身の引き締まる思いでした。
最初にも書かれているとおり、日本は高齢化社会に突入しています。天界園様でも100名ほどの介護待機者がいるらしく、各地で待機者の問題が叫ばれています。逆に介護スタイルは大規模から在宅介護やグループホームと呼ばれる小規模のものへと移っています。
しかし、天界園様は大規模施設の「画一的」「機械的」というイメージは覆せる、そして小規模施設の「その人らしさ」「住み慣れた」「暮らしやすい」といわれる特徴を大規模施設でも実現できると言います。
待機者が増えていくであろうこれからにおいて、大規模施設が受け持つ役割は確実に増えていくと思います。その中でこれからについて考え、行動し、努力している方々にお会いできたことはとても幸せなことですし、このような事が世の中にもっと知れ渡って欲しいと思いました。(ファンドレイジングチームインターン生 櫟木 峻介)
特別養護老人ホーム天界園
■所在地:群馬県高崎市下佐野町553番地
■連絡先:TEL:027-320-2228 FAX:027-346-5199
■URL:
http://www.tenkaien.or.jp/ ■職員:総施設長・生活相談員・ユニットリーダー・介護職員・看護職員・管理栄養士・介護支援専門員・介助員・事務員