神様の背中 貧困の中の子どもたち
[2015年07月20日(Mon)]
ひっさしぶりのブログ投稿です。
(困った代表ですみません・・・)
今日は子どもの貧困をテーマにしたコミックを紹介します。
さいきまこさんの前作、生活保護をテーマにした
『陽のあたる家 −生活保護に支えられて−』も
良かったのですが、正直ちょっと最後の方がいい感じに
まとめられていて(スピーチコンテストと保護者会)
物語としての入り込みが弱かったのですが
今回は最初から最後まで子どもの貧困のリアル
そして家族や子どもの葛藤が描かれ
最後には問題提起ともとれるシーンでまとめられており
現場の最前線にいる自分にとっても考えさせられる本に
仕上がっていて、読後に興奮のあまり
思わず久しぶりにブログへレビューを
書き込んでいるというわけです。
ということでここから少しネタバレもあるので
コミックを読んでいない方は注意を。
まず何がいいと言っても主人公を学校の先生に
したことがいろんな意味で物語に深みを与えています。
前半は支援者である先生の視点で子どもの貧困が語られます。
読んでいて、スクールソーシャルワーカーして
学校現場に入っていて「そうそう」と思うシーンが
次から次へと出てきます。
何よりも先生たちの忙しさがうまいこと描かれています。
気になる子どもがいてもなかなか個別対応出来ない現実。
「子どものためには」献身的に動いてくれる先生たちも
保護者についてはどうしても厳しい目を向けてしまう現実。
リストカットに対する対応のまずさはホント学校あるある。
特に学校での「こころの授業」リスクに触れたところはお見事!
ただ一つ前半の学校のシーンで残念だったのが、
スクールソーシャルワーカーが出てこなかったところ
まあ「本当はスクールソーシャルワーカーがいるといいんだけど
まだうちの市は配置がまだだから」という台詞がある意味
リアリティがあって笑えましたが。
物語の後半は、前半は支援者側にいた主人公が
支援を受ける側に陥ります。
この対比が子どもの貧困の課題をより強烈に
浮かび上がらせています。
行政や制度による「支援」は実はたくさんあって
今まではそれを提供すれば良かったと思っていたのが
当事者になるとそんな単純な話ではなかったこと。
子どもの貧困についてはボクもよく「低温やけど」のように
ダメージを与えるという表現をするのですが
そこのところもうまく描いているなと思います。
一番印象に残るシーンが
支援者が悪気なく主人公にかける言葉をうけて
(それは前半自分が保護者にかけていた言葉でもありますが)
主人公が心の中で叫ぶシーン
「日の光にきらめく正しい言葉たちが
病んで弱った心にはまるで猛毒の鏃だ
かつて私も明るい場所から毒矢を放っていた」
これは、自分も含めて常に子どもの貧困に関わる支援者は
常に自問自答し続けないといけないことだと
改めて考えさせられました。
文句なしの良書ですが、レビューなので気になった点も少しだけ。
書ききれてなさを感じるのは「子ども目線」
同じ秋田書店の福祉コミックのバイブルでもある
『光とともに・・・』でも同じことが言えるのですが
主人公が母親なので、母親視点で話が進むので
どうしても子どもの視点が弱いと感じます。
(まあ連載していた「月刊フォアミセス」の読者層が
成人女性なので仕方ないことですが)
そして子どもの弱さとだからこそ
親や支援者が守ってあげないといけない存在
という描写が多いのですが、
子どもに日々関わっている自分が思うのは
子どもは子どもなりに光を見つけたり、
闇の中でも光を放っているもので
その明るさや可能性をもっと表現されても
良かったのではとちょっと思っています。
と最後に気になったことも書きましたが
子どもの貧困を理解する上で素晴らしいコミックなのは
間違いないことなのでこのブログでのレビューはもとより
これから夏にかけてはじまる「子どもの貧困」の教職員研修や
地域の講演でもこのコミックを紹介してまわろうと思います。
このコミックと同じく子どもの貧困をテーマにした
ヴィジュアルノベル「貧困を背負って生きる子どもたち」も
負けないように完結めざしてこの夏がんばらなければ!!
コミックの作者であるさいきまこさんとも
先日、子どもの貧困対策センターあすのば設立記念イベントで
お会いしていろいろと話が盛り上がったので、
次回作ではぜひスクールソーシャルワーカーを主人公にした
お話を描いてもらえたらと思っています。
ネタは山ほど提供します!
もしくは「貧困を背負った子どもたち」のコミック化かな?
(ゆっきー)
(困った代表ですみません・・・)
今日は子どもの貧困をテーマにしたコミックを紹介します。
さいきまこさんの前作、生活保護をテーマにした
『陽のあたる家 −生活保護に支えられて−』も
良かったのですが、正直ちょっと最後の方がいい感じに
まとめられていて(スピーチコンテストと保護者会)
物語としての入り込みが弱かったのですが
今回は最初から最後まで子どもの貧困のリアル
そして家族や子どもの葛藤が描かれ
最後には問題提起ともとれるシーンでまとめられており
現場の最前線にいる自分にとっても考えさせられる本に
仕上がっていて、読後に興奮のあまり
思わず久しぶりにブログへレビューを
書き込んでいるというわけです。
ということでここから少しネタバレもあるので
コミックを読んでいない方は注意を。
まず何がいいと言っても主人公を学校の先生に
したことがいろんな意味で物語に深みを与えています。
前半は支援者である先生の視点で子どもの貧困が語られます。
読んでいて、スクールソーシャルワーカーして
学校現場に入っていて「そうそう」と思うシーンが
次から次へと出てきます。
何よりも先生たちの忙しさがうまいこと描かれています。
気になる子どもがいてもなかなか個別対応出来ない現実。
「子どものためには」献身的に動いてくれる先生たちも
保護者についてはどうしても厳しい目を向けてしまう現実。
リストカットに対する対応のまずさはホント学校あるある。
特に学校での「こころの授業」リスクに触れたところはお見事!
ただ一つ前半の学校のシーンで残念だったのが、
スクールソーシャルワーカーが出てこなかったところ
まあ「本当はスクールソーシャルワーカーがいるといいんだけど
まだうちの市は配置がまだだから」という台詞がある意味
リアリティがあって笑えましたが。
物語の後半は、前半は支援者側にいた主人公が
支援を受ける側に陥ります。
この対比が子どもの貧困の課題をより強烈に
浮かび上がらせています。
行政や制度による「支援」は実はたくさんあって
今まではそれを提供すれば良かったと思っていたのが
当事者になるとそんな単純な話ではなかったこと。
子どもの貧困についてはボクもよく「低温やけど」のように
ダメージを与えるという表現をするのですが
そこのところもうまく描いているなと思います。
一番印象に残るシーンが
支援者が悪気なく主人公にかける言葉をうけて
(それは前半自分が保護者にかけていた言葉でもありますが)
主人公が心の中で叫ぶシーン
「日の光にきらめく正しい言葉たちが
病んで弱った心にはまるで猛毒の鏃だ
かつて私も明るい場所から毒矢を放っていた」
これは、自分も含めて常に子どもの貧困に関わる支援者は
常に自問自答し続けないといけないことだと
改めて考えさせられました。
文句なしの良書ですが、レビューなので気になった点も少しだけ。
書ききれてなさを感じるのは「子ども目線」
同じ秋田書店の福祉コミックのバイブルでもある
『光とともに・・・』でも同じことが言えるのですが
主人公が母親なので、母親視点で話が進むので
どうしても子どもの視点が弱いと感じます。
(まあ連載していた「月刊フォアミセス」の読者層が
成人女性なので仕方ないことですが)
そして子どもの弱さとだからこそ
親や支援者が守ってあげないといけない存在
という描写が多いのですが、
子どもに日々関わっている自分が思うのは
子どもは子どもなりに光を見つけたり、
闇の中でも光を放っているもので
その明るさや可能性をもっと表現されても
良かったのではとちょっと思っています。
と最後に気になったことも書きましたが
子どもの貧困を理解する上で素晴らしいコミックなのは
間違いないことなのでこのブログでのレビューはもとより
これから夏にかけてはじまる「子どもの貧困」の教職員研修や
地域の講演でもこのコミックを紹介してまわろうと思います。
このコミックと同じく子どもの貧困をテーマにした
ヴィジュアルノベル「貧困を背負って生きる子どもたち」も
負けないように完結めざしてこの夏がんばらなければ!!
コミックの作者であるさいきまこさんとも
先日、子どもの貧困対策センターあすのば設立記念イベントで
お会いしていろいろと話が盛り上がったので、
次回作ではぜひスクールソーシャルワーカーを主人公にした
お話を描いてもらえたらと思っています。
ネタは山ほど提供します!
もしくは「貧困を背負った子どもたち」のコミック化かな?
(ゆっきー)