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幸重社会福祉士事務所ぼちぼち日記

独立型社会福祉士事務所の日常をぼちぼち報告しています。


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「子どもの未来応援国民運動」へのミスリード [2015年04月01日(Wed)]
今日から新年度がはじまりました。
いよいよ子どもの貧困対策推進法・子どもの貧困対策大綱で
具体化された施策が予算がついて本格的にスタートします。

その第一歩として、明日政府が首相官邸で
「子どもの未来応援国民運動」発起人集会を行います。

これは子どもの貧困対策大綱で明文化されている

3 官公民の連携・協働プロジェクトの推進、国民運動の展開
子供の貧困対策が国を挙げて推進されるよう、国、地方公共団体、民間の企業・団体等によるネットワークを構築し、各種支援情報等の収集・提供や子供の貧困対策に関する優れた取組等に対する表彰事業の実施、民間資金を活用した支援など、官公民の連携・協働プロジェクトを推進する。
また、このような取組や既存の制度・施策等について積極的に情報発信し、国民の幅広い理解と協力の下に子供の貧困対策を国民運動として展開する。

を実行するためのキックオフの集会です。

先日、この集会についての報道発表されてから
えらい学者の先生や子どもや困窮支援の関わる団体や個人から
この集会について批判的な意見(中にはバッシング的なものも)が
ネットやマスコミから発信されているのを見かけます。

ちょうど約一年前にこのブログで
NHKスペシャルとあさイチでの女性と子どもの貧困特集
という記事を書いた時に感じた違和感と同じことを
あれから一年過ぎてまた感じているので今日のうちに意見表明しておきます。
(ちゅうか明日の集会の報道でまたヒートアップしそうなので、その前に)

国や大企業が子どもたち(つまりはその家庭)を貧困状態に追い込み
その一方で、「子どもの未来応援国民運動」で子どもを救おうとは何事か!
というのがまあ批判的な意見の主軸かなと思っています。
(他にも「国民運動」という名称への批判。これはボクも
 ネーミングセンスがなさすぎやし誤解を招きやすい名称と思っています)
批判している方の言いたいこともわからないわけではないですが
そもそもこの「官公民の連携・協働プロジェクト」の必要性を
きちんと理解しているのですか? と逆に聞きたいです。

そもそも国が社会保障ですべてまかなって
すべての企業が雇用の拡大(正規雇用化)と賃金アップで
確かに子どもの貧困課題は減少するでしょう。
でももしそれが実現するとして何年かかるのですか?
最近の講演で声を大にして言っているフレーズになりますが
「子どもの一年は大人の一年と意味が違うんです!」
目の前で子どもたちやその家族に関わっていたら
わかることですが、一年何もしないままと(「見守るだけ支援」含む)、
少しでも子どもに何かアクション出来るかでは
子どもたちに全然違う一年後が待っているんですよ。

国の制度や行政は、仕組みができるまで数年かかり
その間はほとんど子どもに手をつけられませんが
企業や民間の地域活動はやろうと思えば明日から動けるんです。
しかし長期的に活動を続けることは企業や地域だけでは難しい。
やがて国の制度や行政の仕組みが必要になってくる。
だから子どもの貧困のプロジェクトは「官公民」の連携・協働で
すすめないといけないわけで
「国が何もしていないのに企業や市民に丸投げするな」など
批判している暇があったら、どうすれば官公民で一緒に出来るか
どこの部分を誰が担うか動きながら考えていかないとダメなんです。
そうして少しでも早く、ひとりでも多くの子どもに直接支援を
届けることが優先的にすべきことのはずです。
「誰が悪い」とか「お前がすべき」などの議論している暇など
子どもたちにはないのです。

ではこのプロジェクトはどこへ向かっていくのか
個人的には「子どもの未来応援国民運動」は、
子ども虐待防止(オレンジリボン)運動のような展開が
理想的だと思っています。今でこそ「子どもの虐待」という
社会課題がある程度の市民権を得ましたが
ほんの数十年前までは、親が子どもにどのようなしつけをするか
まわりがどうこう言うことが出来ない社会だったわけです。
今では「あれ? 虐待かも?」というアンテナも高まり
11月の子どもの虐待防止月間には様々な啓発イベントがあり
オレンジリボンというシンボルマークも出来たわけですよね。
「子どもの貧困」も同じで、まずは啓発からが大事なわけです。
(本質論だけを専門家が語れば語るほど市民が引くということは
 この記事の最初に紹介した去年のブログ記事でふれています)
実際のところ、これだけ年間講演していますがどこにいっても
「子どもの貧困って途上国の話ですよね」
「ワシが子どものころは戦後の貧しい時で・・・今の子の何が貧困や」
という声がまだまだ絶えない現実があります。
まずはその層に響く啓発活動こそが必要なことに
明日の集会に批判的なみなさんは目を向けて欲しいと思います。

人が集まればいろんな思惑もあると思いますし
人や思想の好き嫌いはありますので
それには気をつけないといけませんが
(特にボクは巻き込まれやすい体質なので)
目の前には活動を待っている子どもたちがいます。
その子どもたち個人からすれば
誰がどのような思惑があろうがなかろうが
活動が届く(人とつながる機会を得る)ことが大事で
そんな大人の都合は子どもには関係ないことに
多くの人が早く気がついて欲しいと思います。
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第1部
「こどもの貧困課題への挑戦」
幸重忠孝 執筆ペン
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