ちいさな刺の「ずきり」とて[2012年09月12日(Wed)]
幼稚園のころ、手すりに触って廊下や通りを歩くのが好きで、ある時、指先に小さな刺を食い込ませてしまったことがありました。
ほんとうに小さな刺なのにやけに痛くて、がまんのならない気持ちの悪さがあって、なんとかして取り出したい。けれども幼稚園に向かわなくてはならない時間だったので、指先にずきずきを抱えたまま幼稚園バスに乗ったのです。
小さいころ、本当に人と言葉を交わすのが苦手だったのですが、さすがにがまんができないくらいに痛くて、K先生にその刺のことを相談しました。
すると先生は「ちょっと待っていてね」といって熱湯で消毒した針を持ってきて、まるでくすぐるぐらいの「ちょこん」としたさりげなさであっという間にその刺を指先からとりのぞいてくれたのです。ほんの少しも痛くなくて、むしろくすぐったりくらいの柔らかな触感で、あっという間に指先からいなくなった痛み。私にはその時、K先生が本物の魔法使いのように思えました。
あまりに感動したので、「K先生ってすごいんだよ」と思わずいろいろな人にいいたくなったけれど、その記憶の不思議なところは、あまりにたくさんの光があって、記憶だというのに今でも思い出すと眩しくて目を細めたくなることです(もしかしたら、本当に魔法だったのかもしれないと思うくらいに)。そんなことで、その思い出のことは、とても控えめに少しの人にお話をしました。
普段はあんまり気づいていないけれど、人の指先にはすごい力があるのだろうな。K先生の素敵な力と、私の指の精一杯の主張とが、一本の細い針を通じてかよいあったようで、記憶の中の私たちはまるで「昆虫」か何かのように自然の秩序におさまっているようにみえます。
写真は済州島で写したカササギの写真です。魔女の宅急便にでてくるのだと、教えてもらって気づきました。
韓国にいる間、ホテルの広いベッドの上で、眠る前と目が覚めた後に「魂が自分の身体を離れたような感覚」を想像して過ごしてみました。うまく言えないけれど、なんとなくいいです。
明日(9月12日)夜、日本に帰ります。

