黒。[2015年07月16日(Thu)]

数日前から、
石井ゆかりさんの『黒い鳥の本』を読んでいる。
星を読み
言葉をつむぐことで
こころに、癒しをもたらす人
・・・とでも言ったらいいのだろうか。
ゆかりさんの言葉は
「信頼」とおもわず呼びたくなる感覚を
こころに、思い起こさせる
対象を持たない、絶対的に確かな
こころの拠りどころ。
***
私は強く思う
政(まつりごと)が
自然に目を背け
淀んだ言葉を吐き出し
窓もろくにない部屋で行われている
という、この風景は
幻想に違いがないと。
問題なのは
幻想に見慣れて
それが常態化することに
疑問を持たなくなる
こころの習性の方だ。
今こそ必要なのは
こころの目を研ぎ澄ますこと。
まわりにあるノイズたちに
静寂が埋め尽くされてしまう、という
その幻想を先ず、
解き放っていくことだ。
***
昨日の安保法案の強行採択のことで
ずいぶんと怒りのエネルギーに
こころを持って行かれた
怒ることは大事だ。
私は怒り、デモへと向かう。
そして同時に
だからこそ
果てぬ静寂の彼方へと
誘う言葉を、
紡いでゆくのだと、考えている。
いのちを生きさせること。
つまりはそれが、必要なのだ。
***
ゆかりさんの『黒い鳥の本』の帯には
「明るさ」「正しさ」に疲れた心に。
と、ある。
スウィッチをパチリと押したように
「明るさ」や「正しさ」を
容易に味わうことを
私は、しばらく、しないでいたい。
強まる風が
海の向こうの空気を
ぐるぐる渦をつくりながら
陸の上へと運んでくる
その、生ぬるい熱気に包まれながら
火を灯すことの
たいへんさと、喜びを
味わいあおう
幻想のようで確かな
わたしや、あなたと。