いざ、生きめやも[2013年10月03日(Thu)]
「風立ちぬ」を観てきた。
この映画については、いろいろな人がいろいろな感想を語っていて、
さぞかし心の中がたくさんの感情や思考によって埋め尽くされることだろう・・・と少し身構えていたのだけれど、こころと身体の反応は、予想とはまったく異なるものだった。
静か だったのだ。ひたすら。
映画を観て、何を語りたいだろう・・・と思ってみたけれど、「なにもない」というのが、一番近い感覚だった。
言われているほどに残酷でもなく、つめたくもなく、ああ、こういうの、あるよなあ・・・と、たんたんと日常を眺めている感覚。
映画がよくなかった、とかそういうことではなったくない。
とても、深みのある作品なのだろうと思う。
だから、それ故に、削ぎ落とされていると感じた。
普通に生きる姿が、いちばん、鋭い。
そういうことなのではないかと思った。
いいとか、悪いとか、悲しいとか、すっきりするとか、そういうこととは、無縁な映画。
そういう感想を持つ私は、話し相手として退屈だろうか。
つまらなくてうすぺらかなあ。
でも、そうなんだ。
あえて言うとするならば
「夢」というモチーフ(ここは夢のなかだ)
それから
「途中」(仕事、治療、夢、死、戦争、、、)という状態
そういう
「いうなれば『意味を持たされてしまった』時間のつみかさね」を
この作品は描いているのだろう。
不思議さが残る。
いい作品だった。
作品って、大事。
だってさ、
そういうものがないと
「私にはこう見える。あなたには?」って会話、なかなかできないから。