蛙始鳴(かえる はじめて なく)[2013年05月07日(Tue)]
連休明けの鎌倉。まだ早い時間に、海辺を歩いてきた。たくさんの人たちで賑わって、くたびれているであろう大地のうえを、ポケットひとつの身軽さで。
海に面した神社(山の神様を祀っている)にお参りすると、その向こうの幼稚園の庭に、鯉のぼりが風に舞うのが見えた。こどもたちは、どんな思い出を連れて、今日この場所に通うのだろう。
砂浜には鳩がいて、ひとりぼっちで気の抜けたような顔をして歩いていた。漁師さんが帰ってくる前の、船を引き上げるロープが、海に向かって砂を横切る。
今日は、七十二候の「蛙始鳴(かえる はじめて なく)」。
そういえば連休中、宇都宮の実家にとまりにきていた義妹と姪っ子が、蛙の声がうるさくて夜なかなか寝付けなかったといっていたっけ。蛙の声が「怖い」だなんて。都会っ子だな。プラレールで遊びながら、山手線の車掌さんの真似をするあたり、このあたりの子どもには、想像がつかない。
実家の庭には大きな牡丹の花が朱色に咲いていて、おばあちゃんが「牡丹を見たかい、立派だよ」と、陽射しをとりに窓を開けながら言った。「牡丹華(ぼたん はな さく)」。ああ、そうか。暦に書いてあった通りだねと、私は笑う。
時をこうして、風景の中に発見するのは面白い。
とっても大らかな時間の中で、ご先祖さまとおしゃべりしているような気持ちになった。

