変わること 変わらぬこと[2012年11月10日(Sat)]

ベランダにみつけた小さな白い花です。名前は、なんというのかしら。調べてみたけれどみつからない。存在感のある甘い香りが特徴で、星を抱いているようです。
伊勢神宮にいってきたというおともだちから、「赤福」をいただきました。赤福には「伊勢だより」といって、毎日かわるその日ごとのメッセージが入ってます。昨日の伊勢だよりの話題は神宮萱場。まもなく訪れる二十年ごとのご遷宮に向けて、たくさんのカヤがご用意されているようです。
そんな光景を思う時、心に浮かぶのは風景ばかりではなくて、あの、独特の香り。土と水と、その瞬間を運んだ独特の匂いが、じんわり、うちから、軀を満たしていくようです。
記憶よ。あなたは軀のうちのどこにでも生きている。
そういうことを、思わずにはいわれない、遠くを思う秋の日です。
(もう冬だなんていわないで。まだ紅葉を愛でていなくて、現代にいきる私の中ではこれは秋なのです。大きな時間を思い出させてくれるのは、土)
今朝、シャワーを浴びる時に、ただ軀を清めるだけなのに何をそんなに慌てているのかしらと、気持ちを改め、包み込むようにやわらかく肌を辿りました。
ほんの数分にも満たない時間だったけれど、とてもとても違う、新しい体験でした。
世界にはたくさん、優れた感性をもった人がいて、それは、とても羨ましい限りです。けれども、どんなに背伸びをしようと思っても、その背伸びは私を私から遠ざけてしまうだけ。私に世界をみせてくれるのはこの私なのですから、この私をつくる小さな細胞、それを満たす水たちであるのですから、そういったものたちを無視しつづけてはいけないなと、実感を得た朝でした。
想像するほど、複雑なことはない。それが人生の本当のすごいところのような気がします。
まだすぐ「いつもの私」にのまれそうにもなるけれど、その「いつもの私」さえ、留まり続けることから少し前にでようかと、感じ始めているようです。
空遠い朝 黒いねこのいる部屋より