子ども子育て支援新制度を考える。
「母という病」を読んで思うこと・・・
[2014年04月24日(Thu)]
子ども子育て支援新制度が平成27年4月から開始されるにあたり、今、国と地方が急ピッチで細かい内容を決めるべく動いている。
この制度の一番の論点はやはり「待機児童問題」だと思う。
待機児童をなんとか減らすために国も地方も動いている。
・・・・でも悩むんです・・・・
この問題を私が反論することはできないけれど、ただこの問題を安易に解決することだけはやめてほしいと以前からずっと思い続けている。
待機児童の問題の多くは0歳児から3歳児未満までの保育を必要とする子どもを預ける施設が少ないために、働きたくても働けない母親が増えていることに問題を発している。
しかし、昔は0歳児から3歳児までは親が育てる方が子どもの成長には良いという定説が受け継がれており、どんなに働きたくても仕事をあきらめて子育てに専念する女性が多かった為に保育施設はあまり作られていなかったのだと思う。
それが今は共働きが一般化し、女性の社会進出が進み、社会に必要な人材として女性もバリバリ働くことが求められてきていることにより、「待機児童問題」が急速に深刻な問題となってきたのではないかと思う。
私も女性が働くことは賛成だし、市議会に女性が増えることも重要だと思っているし、大きな企業の重役的なイスにもっと多くの女性が座ってほしいと願っている。
だけど、その問題と子どもの成長という問題は、次元の違う別の問題なのではないかと思い悩むのである。
「"親は無くとも子は育つ”ということわざもあるわけだし、なんとかなるよ!」と楽天的に考える人も多いのだけれど、だけど子どもによってはそれが後になって人生に大きく影響してしまうケースを知ってしまうと、やはり悩まずにはいられない。
「うつ」「ひきこもり」「依存症」「摂食障害」「虐待」「離婚」「完璧主義」「無気力」「不安」「過度な献身」など、真面目に社会で働き出したとしても、結婚して自分が母親になったとしても、自分が苦境に立った時に突然噴き出してくるこうした問題を抱えながら生きている若者がどんどん増えることに危機感を感じずにはいられない。

最近読んだ岡田尊司氏の「母という病」という本の中で母子の愛着形成について下記のような内容が書かれている。
愛着の特性は、育てられる中で身に着く後天的要因が非常に大きいということだ。実際、愛着の安定性は、養育などの環境要因が75%以上を占めると考えられている。幼い頃のかかわり方次第で、どちらにでも変わるということだ。
ただ、生まれもった要因(遺伝要因)も25%程度は影響すると思われる。赤ん坊でも、生まれた時から気難しく、よく泣き、育てにくい子と、育てやすい子がいる。不安の強い遺伝子タイプや新奇性探求(新しいものに対する好奇心が強い傾向)の高い遺伝子タイプの子どもでは、概して育てにくく、愛着が不安定になるリスクがそうでない子よりも高まる。
とはいえ、母親が安定していて、思いやりのあるかかわりを行うことができた場合には、こうした遺伝子タイプをもっていても、リスクの上昇がみられないどころか、逆に親との関係が良い傾向がみられる。敏感なタイプの子どもほど、親の養育の影響を、良い方向にも悪い方向にも強めてしまうのだ。
オランダで行われた研究によると、生まれて間もない段階で、気難しいと判定された百人の赤ちゃんを2つのグループに分け、1つのグループには通常の対応だけを行い、もう1つのグループでは、母親に、子どもに対する反応を意識的に増やすように指導した。すると1歳の段階で調べてみると、通常の対応だけのグループでは、不安定な愛着を示すケースが過半数に達し、中でも多かったのは、回避型だったのに対して、反応を増やすように指導を行ったグループでは、ほとんど全例が、安定した愛着を示したのだ。しかも、この効果は、2歳の時点でも持続していた。
この研究の場合、生後6カ月から9カ月の間の3カ月において、そうした働きかけを行っただけだ。わずか3カ月、意識してかかわり方を変えるだけで、まるで子どもの気質や性格が別人のものになるくらいの差が生まれたのだ。
これくらい、幼い時期の母親のかかわりというものは大切なのだ。その時間を軽く考え、おろそかにすると、後で大変な苦労や悲劇を生んでしまうことになる。
しかし、最近の研究によると、日本人などアジア系の子どもでは、白人の子どもなどに比べて、不安の強い遺伝子タイプの持ち主が多く、母親のかかわりの影響を、欧米人以上に受けやすいことがわかってきた。
不安の強い遺伝子タイプをもつかもたないかによって、愛情不足に敏感なタイプと平気なタイプの違いが生れる。前者は、親の影響を引きずりやすく、後者は、どんな育てられ方をしようとあまり関係ない幸運な人だ。
白人は、鈍感なタイプが6割を占める。日本人などのアジア人種は、割合が逆で、3分の2が敏感なタイプだ。
欧米で当たり前に行われている子育てのスタイルをそのまま真似することには、落とし穴があるということだ。
※「母という病」ポプラ社 P94~を参照
第2次世界大戦以降、欧米文化がどんどん日本に入ってきて、古い日本の文化がどんどん廃れて行っている。それが今後グローバル化になる社会に対応する為にやむおえないことなのかもしれないが、文化や子育て観などは、やはり島国日本だったからこそ、それなりの理由があって、伝承されてきたのではないかと思うようになってきた。
残さないといけない物とか、新時代に向けて考えていかないけないことがたくさんあるような気がする。ただ成功した他国のまねをするのではなく、その成功例を学び、この地域に合う方法を模索しながら考えていくことが大切なのではないだろうか。
この制度の一番の論点はやはり「待機児童問題」だと思う。
待機児童をなんとか減らすために国も地方も動いている。
・・・・でも悩むんです・・・・
この問題を私が反論することはできないけれど、ただこの問題を安易に解決することだけはやめてほしいと以前からずっと思い続けている。
待機児童の問題の多くは0歳児から3歳児未満までの保育を必要とする子どもを預ける施設が少ないために、働きたくても働けない母親が増えていることに問題を発している。
しかし、昔は0歳児から3歳児までは親が育てる方が子どもの成長には良いという定説が受け継がれており、どんなに働きたくても仕事をあきらめて子育てに専念する女性が多かった為に保育施設はあまり作られていなかったのだと思う。
それが今は共働きが一般化し、女性の社会進出が進み、社会に必要な人材として女性もバリバリ働くことが求められてきていることにより、「待機児童問題」が急速に深刻な問題となってきたのではないかと思う。
私も女性が働くことは賛成だし、市議会に女性が増えることも重要だと思っているし、大きな企業の重役的なイスにもっと多くの女性が座ってほしいと願っている。
だけど、その問題と子どもの成長という問題は、次元の違う別の問題なのではないかと思い悩むのである。
「"親は無くとも子は育つ”ということわざもあるわけだし、なんとかなるよ!」と楽天的に考える人も多いのだけれど、だけど子どもによってはそれが後になって人生に大きく影響してしまうケースを知ってしまうと、やはり悩まずにはいられない。
「うつ」「ひきこもり」「依存症」「摂食障害」「虐待」「離婚」「完璧主義」「無気力」「不安」「過度な献身」など、真面目に社会で働き出したとしても、結婚して自分が母親になったとしても、自分が苦境に立った時に突然噴き出してくるこうした問題を抱えながら生きている若者がどんどん増えることに危機感を感じずにはいられない。

最近読んだ岡田尊司氏の「母という病」という本の中で母子の愛着形成について下記のような内容が書かれている。
愛着の特性は、育てられる中で身に着く後天的要因が非常に大きいということだ。実際、愛着の安定性は、養育などの環境要因が75%以上を占めると考えられている。幼い頃のかかわり方次第で、どちらにでも変わるということだ。
ただ、生まれもった要因(遺伝要因)も25%程度は影響すると思われる。赤ん坊でも、生まれた時から気難しく、よく泣き、育てにくい子と、育てやすい子がいる。不安の強い遺伝子タイプや新奇性探求(新しいものに対する好奇心が強い傾向)の高い遺伝子タイプの子どもでは、概して育てにくく、愛着が不安定になるリスクがそうでない子よりも高まる。
とはいえ、母親が安定していて、思いやりのあるかかわりを行うことができた場合には、こうした遺伝子タイプをもっていても、リスクの上昇がみられないどころか、逆に親との関係が良い傾向がみられる。敏感なタイプの子どもほど、親の養育の影響を、良い方向にも悪い方向にも強めてしまうのだ。
オランダで行われた研究によると、生まれて間もない段階で、気難しいと判定された百人の赤ちゃんを2つのグループに分け、1つのグループには通常の対応だけを行い、もう1つのグループでは、母親に、子どもに対する反応を意識的に増やすように指導した。すると1歳の段階で調べてみると、通常の対応だけのグループでは、不安定な愛着を示すケースが過半数に達し、中でも多かったのは、回避型だったのに対して、反応を増やすように指導を行ったグループでは、ほとんど全例が、安定した愛着を示したのだ。しかも、この効果は、2歳の時点でも持続していた。
この研究の場合、生後6カ月から9カ月の間の3カ月において、そうした働きかけを行っただけだ。わずか3カ月、意識してかかわり方を変えるだけで、まるで子どもの気質や性格が別人のものになるくらいの差が生まれたのだ。
これくらい、幼い時期の母親のかかわりというものは大切なのだ。その時間を軽く考え、おろそかにすると、後で大変な苦労や悲劇を生んでしまうことになる。
しかし、最近の研究によると、日本人などアジア系の子どもでは、白人の子どもなどに比べて、不安の強い遺伝子タイプの持ち主が多く、母親のかかわりの影響を、欧米人以上に受けやすいことがわかってきた。
不安の強い遺伝子タイプをもつかもたないかによって、愛情不足に敏感なタイプと平気なタイプの違いが生れる。前者は、親の影響を引きずりやすく、後者は、どんな育てられ方をしようとあまり関係ない幸運な人だ。
白人は、鈍感なタイプが6割を占める。日本人などのアジア人種は、割合が逆で、3分の2が敏感なタイプだ。
欧米で当たり前に行われている子育てのスタイルをそのまま真似することには、落とし穴があるということだ。
※「母という病」ポプラ社 P94~を参照
第2次世界大戦以降、欧米文化がどんどん日本に入ってきて、古い日本の文化がどんどん廃れて行っている。それが今後グローバル化になる社会に対応する為にやむおえないことなのかもしれないが、文化や子育て観などは、やはり島国日本だったからこそ、それなりの理由があって、伝承されてきたのではないかと思うようになってきた。
残さないといけない物とか、新時代に向けて考えていかないけないことがたくさんあるような気がする。ただ成功した他国のまねをするのではなく、その成功例を学び、この地域に合う方法を模索しながら考えていくことが大切なのではないだろうか。