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松井芳郎教授の自決権の議論 [2017年08月31日(Thu)]
2つ目の博士論文のテーマは「国際的海洋ガバナンスにおける太平洋島嶼国の役割−BBNJの協議を巡る太平洋島嶼国の海洋政策」である。
笹川平和財団の寺島さんとBBNJに日本一詳しいであろうH君からBBNJなんか論文にならない、と言われてしまったが、この二人は博論書いた経験ないし、なにより指導教官の坂元教授のご提案なのである。二対一でも指導教官が正しいのである。
実は私も一瞬戸惑ったが、現在進行形で議論されている事項を追って行くのは面白い。臨場感がある。

博論の理論枠組みで、坂元教授から「3年間で扱える内容ではない。止めておけ」とアドバイスいただいている件がある。
「自決権」の理論的枠組みだ。
太平洋島嶼国を30年近く見て来ると、そして一つ目の博論で気になりながら全く議論できなかった点でもあるのだが、人口数万から数十万という小島嶼が主権国家として存在すること、その限界だ。


30年近く前の20代の私は、独立は、自立は良い事だ、素晴らしいことだ、と考えていた。
下記の笹川太平洋島嶼国基金の設立経緯の文章を書いたのは自分である。その後、「自立」は「自律」ではないか、と自問自答した事も覚えている。
「長年の植民地支配から独立を果たしながらも援助に依存している島嶼国は、今自立への道を模索しています。」
https://www.spf.org/spinf/spinf_j/profile/

この独立、自立を理論的に支えているのが「自決権」。
今までE・H・Carrの「平和の条件」(1942)にあるcrisis of self-deteminationの議論と、Antonio Cassese博士の"Self-Determination of People - A Legal Reappraisal" (1995)や数本のペーパーや報告書を見て来た。
日本語の論文を探したところまずは下記の「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」を見つけた。

「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」
立命館法学 2010 年 5・6 号(333・334号)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-56/matsui.pdf

松井先生は自決権研究の第一人者なのである。(p. 1871)
松井先生の大学院でのご研究は1962年に採択された「天然資源に関する永久的主権」。この決議も海洋法条約に繋がってくるのだ。そしてこの宣言が生まれた背景にあるのが1960年に採択された「独立付与宣言」。松井教授はこの「独立付与宣言」こそが自決権が国際法として確立した時であると、『現在の国際関係と自決権』(松井芳郎著、1981年、新日本出版社)で議論している。(同書32頁)
よって、自決権の議論と太平洋島嶼国の独立、そして海洋法条約はつながっているのではないだろうか?

すなわち,1960年の「独立付与宣言」で政治的独立が可能になったが、経済的独立を果たすために1962年の「天然資源に関する永久的主権」、1974年「新国際経済秩序樹立に関する宣言」「諸国家の経済的権利義務憲章」と、独立国家の主権的権利として経済的自決権が主張されて来たのである。この流れの中で、即ち政治的自決権と経済的自決権、それに伴う脱植民地化と主権国家の枠組みの中で、1967年のパルド大使の演説、そして海洋法条約の議論を捉える必要があるのではないか?


ソビエト崩壊を見て来た松井教授は、アジア・アフリカの新興国の問題も認識されていた。即ち国家主権と自決権の問題点を指摘されている。「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」には興味深い松井教授のコメントがある。長いが引用する。

「自決権を考える時には国家の枠を考えざるをえなかったのですが,古典的なスターリン主義的な発想というか,国家の考え方が理念的にすぎました。社会主義が真の民主主義を実現するとか,アジア,アフリカの民族解放を通じて,民族民主国家が実現するとか,自決権を通じて民主主義国家ができるんだと,現実にこれらの国がどうなっているかをあまり検討せずに考えていた。本当のマルクス主義というよりは,現実社会主義のプリズムを通じて見たマルクス主義で,国家像の理解が教条主義的でした。それが現実の動きを見ると,実はそうでなかったのではないか。そういうところをもう少し批判的に見る必要があるのではないか。」(1876ー1877頁)

即ち自決権=主権国家、という理論に問題があった、という事ではないであろうか?この事を松井教授が議論されたという論文「『ソビエト国際法』の終焉」も読んで見た。カッセーゼ博士の議論が出てくる。即ちレーニンの自決権論を手放しで評価する立場ではない。
ここら辺の議論はソ連の事、レーニンの議論がわかってないと理解できなそうなのだ。

えっ! レーニンの自決権も勉強せねばならいないのだろうか?やっぱり指導教官のアドバイスに従った方が。。。


<今回読んだ資料>
松井芳郎、「『ソビエト国際法』の終焉」名古屋大学法政論集 / 名古屋大学大学院法学研究科、157号 p21〜65
松井芳郎、『現在の国際関係と自決権』1981年、新日本出版社
松井芳郎, 薬師寺公夫, 徳川信治 他「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」、立命館法学 2010 年 5・6 号(333・334号)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-56/matsui.pdf


<これから読みたい資料。レーニンもがく〜(落胆した顔)
松井芳郎「天然の富と資源に対する永久的主権(一)(二)」『法学論叢』79 巻 3 号(1966)35–71 頁及び同 4 号(1966)45–68 頁

長谷川正安、『民族の基本的権利』

1913 The Cadets and “The Right of Nations to Self-Determination”
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1913/dec/11.htm

1913 National-Liberalism and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1913/dec/20.htm

1913 Novoye Vremya and Rech on the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1913/dec/25.htm

1914 The Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1914/self-det/index.htm

1915 German Social-Democracy and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1915/jan/00.htm

1915 The Revolutionary Proletariat and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1915/oct/16.htm

1916 The Discussion On Self-Determination Summed Up
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1916/jul/x01.htm

1916 Note to the Theses “Socialist Revolution and the Right of Nations to Self-Determination”
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1916/feb/00.htm

1916 The Socialist Revolution and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1916/jan/x01.htm
The Commonwealth 英連邦 [2017年08月31日(Thu)]
英国のテリーザ・メイ首相が来日中である。
対英外交と太平洋島嶼は一見関係なく見えるが、太平洋島嶼国の多くが英連邦の一員で未だに英国女王を君主に頂いている国家が多いのだ。

COMMONWEALTH.png




英連邦ーThe Commonwealthのサイトをひさしぶりにアクセスしてみた。
メンバー国は52カ国。
太平洋は豪州、フィジー、キリバス、ナウル、ニュージーランド、パプアニューギニア,サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツと、豪NZを抜かすと9カ国とPIFメンバーの中でマジョリティである。(残りの5カ国は、ミクロネシア3カ国と、NZの自由連合国のクック諸島とニウエ。後者の2カ国も英国女王(NZとしての)が君主なので実質12カ国)

英国の対太平洋政策はEU加盟と共にEUとして行ってきた。今EU離脱が決まった英国の対太平洋政策がどうなるのか、特にBBNJ始め海洋問題から興味深い。
過去には、日英こそ海洋国家として同盟の関係にあったのである。
そして戦勝国の英国は多くの島嶼国家、即ち現在国連で開発問題や海洋問題の中心的アクターとなっているSIDS(Small Island Developing States) の大元締め、と言ってもよいであろう。


<関連ブログ>(大英帝国関係では結構ブログ書いている)

大英帝国の憂鬱
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1432

英国ウィリアム王子、キャサリン妃、ツバル訪問
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/664

『コモンウェルスとは何か』山本正・細川道久編著
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2030

太平洋の海底ケーブル
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1060

「ラウンドテーブル」運動とコモンウェルス 松本佐保
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2036

日英同盟終結に向けたバルフォア閣下の別れの言葉(追記あり)
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1602

シャングリラダイアログ- 英仏の南沙諸島へのコミットメント!(追記あり)
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1531

Why Should "Colonialism" Be A Dirty Word?
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1051
日豪協力によるシーシェパード退治 [2017年08月30日(Wed)]


2011年、パラオのシーシェパード退治を、笹川平和財団前会長の羽生次郎さんから指示された時は、なんで国交省や海保に人材がいないんだよ〜、何で私なのよ〜、と嘆いたが、君にしか出来ない、と煽てられて、粛々と対応した。

まずは、敵の情報収集を行いながら、情報操作をした。
知ることは愛すること、じゃなけいれど、シーシェパードやポール・ワトソンがなんとなく身近いに感じるようになってしまった。

そのワトソンが、日本の南極捕鯨妨害活動からこの冬は撤退を宣言、とのニュースが駆け巡っているではないか!
早速ワトソンの声明を確認。


The Whale Wars Continue
Monday, August 28, 2017
Commentary by Captain Paul Watson
http://www.seashepherd.org/news-and-commentary/commentary/the-whale-wars-continue.html

シーシェパード撤退の理由は下記のワトソンのコメントにあるように、豪州が日本を支援して、シーシェパードを追い出した、即ち寄港地がないし寄付金も集められないから活動できない、という事であろう。
これは知人でもある、豪州の海洋安全保障専門家アンソニー・ベルギン博士の功績である。彼が豪州政府や世論に強く働きかけたのだ。Anthony博士に感謝状を贈りたい。

ベルギン博士のアンチシーシェパード記事
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1902

We will not be sending ships to the Southern Ocean this year, but are not abandoning the Southern Ocean Whale Sanctuary. We need to cultivate the resources, the tactics and the ability to significantly shut down the illegal whaling operations of the Japanese whaling fleet. In the meantime, it’s time for the Australian government to live up to their promises. Sea Shepherd has been down in the Southern Ocean doing what the Australian government has the responsibility to do but have refused to do, and that is upholding international and Australian conservation law. Instead of supporting Sea Shepherd the Australian government has been supporting the Japanese whalers by harassing Sea Shepherd and obstructing Sea Shepherd’s ability to raise funds by denying our charitable status.


他にもワトソンの興味深いコメントがある。
「What we discovered is that Japan is now employing military surveillance to watch Sea Shepherd ship movements in real time by satellite and if they know where our ships are at any given moment, they can easily avoid us.」
日本の衛星監視は以前はやっていなかったのであろうか?もし今年からなのであればどのような状況の変化があったのか?

「 For the first time ever, they have stated they may send their military to defend their illegal whaling activities.」
えっ!日本が軍隊送るって誰かがいったのだろうか?


「And perhaps more significantly than anything else, there are now voices in the Japanese government opposing the continuation of whaling」
日本政府の中に捕鯨反対の声があるって、誰だろう?


「Our efforts have been so significant that one Japanese official said that Japan has two enemies – China and Sea Shepherd!」
日本の役人(official)が日本の敵は中国とシーシェパードって言ったのであろうか?中国の海洋破壊は何も対応していないし、中国とシーシェパードはお友達なのだろうか?


ワトソンが述べている鯨サンクチュアリに関する興味深いペーパーを見つけた。

南氷洋における鯨の保護区
(日本鯨類研究所 1999年 9月発行「鯨研通信」第 403号より)
田中 昌一
日本鯨類研究所
http://luna.pos.to/whale/jpn_tana_sanc.html

「人間が殺しさえしなければ動物達は幸せに長生きできると考えるのは、人間の思い上りである。」 ー そう思う。専門分野じゃないけれど。。
NOAAも宣言。クロマグロは絶滅しない [2017年08月30日(Wed)]
クロマグロが絶滅、絶滅、とどうしてもハルマゲドンを望む、絶滅を希望するイエロージャーナリストや環境NGOがいるようだが、この8月に米国商務省のNOAAが絶滅しません、と発表した。

水産資源の素人の私だってちょっと、バランス良く資料を見て行けばわかるクロマグロの資源管理。
先入観を持たずに勉強する事が重要だと思う。
セレブや、白人、環境NGOの言う事はわかりやすいし耳障りがいいので気をつけましょう。

下記のNOAAのサイトには、昨年嘆願書を受け取ったNOAAが調査チームを結成し科学的調査の結果をした経緯が書かれている。このように全体の流れを公表する方法は、イエロージャーナリズムやイエローアカデミズム(私の造語)対策に重要だと思う。水産庁も見習ったらどうだろうか?


Pacific Bluefin Tuna ESA Status Review

On June 20, 2016, NOAA Fisheries received a petition to list Pacific bluefin tuna (Thunnus orientalis) as endangered under the Endangered Species Act (ESA).

http://www.westcoast.fisheries.noaa.gov/fisheries/migratory_species/pbt_esa_status_review.html


<関連ブログ>
マグロは絶滅?馬鹿の一つ覚え
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2012

「絶滅させるものならばやってみろ」
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2014


「絶滅させるものならばやってみろ」(2)
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2016
米国の遺跡保護法とメガ海洋保護区(5) [2017年08月29日(Tue)]
私が海洋問題に関わり始めた2008年。任期を終えるブッシュ大統領が世界最大の海洋保護区を太平洋に制定した。

米国が太平洋地域に海洋保護区を創設
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/54


続いてオバマ大統領も任期を終える直前にこのブッシュが制定した太平洋の海洋保護区を拡大したのである。
オバマ大統領はハワイ出身の、即ち初の太平洋出身の米国大統領として太平洋島嶼国の人々からも期待されていたし、米国の海洋政策をルブチェンコ長官を指名しどんどん進めて行く様子は頼もしく見えた。しかし、途中ルブチェンコは干され、メガ海洋保護区は地元水産産業を壊滅の危機に。

そこに現れたのが5月末に発表されたトランプ大統領令。1906年に制定されたAntiquities Act.という大統領権限でできたこの広大な保護区の見直しである。パラオや、キリバスのメガ海洋保護区にも関係して来るので、注目していたし、知り合いの共和党議員には速攻でUNCLOS62条の件を伝えた。


この見直し作業を担当した内務省のZinke長官からは数十ページの報告書が先週トランプ大統領に提出された。公表されているのは下記の2ページのメモだけ。しかし読み応えがあった。

REPORT SUMMARY BY U.S. SECRETARY OF THE INTERIOR RYAN ZINKE
https://www.doi.gov/sites/doi.gov/files/uploads/monument-report-summary.pdf

この大統領令で制定された保護区は、1996年以降になんと26倍、サイズが広がったという。しかも地元にも、議会にもなんのコンサルテーションなしで。加えてこの無謀な大統領令に縛りをかけるため下記の条件を課していたが、無視されているとのこと。

1. 歴史的建造物、歴史的先史の構造物、そして歴史的科学的関心があるもの
“historic landmarks, historic and prehistoric structures, and other objects of historic or scientific interest,”
2. 適切な管理と運営ができる最小の範囲に留めること。
"the smallest area compatible with proper care and management of the objects.”

今回の見直し作業では明らかに上記に反する内容が確認された。Zinke長官は現在の保護区を廃止市内が、規模を小さくし、科学的データを元に漁業や狩猟ができるようにすることを提案している。

そう。保護区自体は問題ないのだ。問題は人間の活動が、科学的データを無視して制限されることである。
今後、パラオ、キリバスに何がしかの影響はあるであろうか?少なくともオバマ政権が行なったようなディカプリオを呼んできてやった"Our Ocean"のような水産業を無視した支援はなくなる事を期待する。


Interior secretary recommends Trump alter at least three national monuments, including Bears Ears
By Juliet Eilperin and Darryl Fears August 24
https://www.washingtonpost.com/news/energy-environment/wp/2017/08/24/interior-secretary-recommends-trump-alter-a-handful-of-national-monuments-but-declines-to-reveal-which-ones/?utm_term=.17020e747e60


Zinke: US marine monuments will remain, but fishing rights may be restored
By Cliff White Published on August 25, 2017
https://www.seafoodsource.com/news/environment-sustainability/us-marine-monuments-will-remain-but-fishing-rights-may-be-restored#sthash.OlCH2PuO.gbpl

(この記事最高。ダニエル・イノウエが海洋保護区に大反対していたから進まなかった!)
Four Pacific Marine National Monuments Face Threat Under Trump Order
BY CHRISTOPHER PALA – AUGUST 14, 2017
http://www.earthisland.org/journal/index.php/elist/eListRead/four_marine_national_monuments_pacific_face_threat_trump/


Interior’s Zinke recommends local access to monument
By Kimberly A. Bautista | Posted on Aug 29 2017
http://www.saipantribune.com/index.php/interiors-zinke-recommends-local-access-monument/
トンガ国王、議会の解散命じる 11月までに選挙 ポヒバ首相解任 [2017年08月28日(Mon)]
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「トンガ国王、議会の解散命じる 11月までに選挙 ポヒバ首相解任」
2017年08月26日
http://www.afpbb.com/articles/-/3140555?pid=0

日本語でも記事になっているが、先週後半はこのニュースでトンガに釘付けになった。
トンガの友人は「トンガの歴史上、最悪の日」と。

実は今年4月に行わせていただいた島嶼議連での講演会のために、あまりフォローしていなかったトンガ王国の事を調べ始めたら、首相自ら中国に乗っ取られるとか、中国の殺屋が入っているとか、公の席で述べている事を知って驚愕した。普通、本当でも言わない。

今回のトンガ王国の政変は私にとって下記の3点から、あまりにも身近な話である。

1.私の30年近い友人が、トンガ国営放送協会の幹部なのだが、首相を批判したという理由で他の幹部と共に更迭されたのだ。これに対する首相への内外からの批判、特にジャーナリスト達からの批判は大きい。別件だが首相自身が違法な開発をトンガの神聖な土地で行っている事が話題になった。

2.現副首相も知り合いである。SOPACで長らくIT担当をしていて、ファーストネームで呼び合っていた仲である。今彼は解任された首相の側近として適切なアドバイスができなかった事を糾弾されている様子だ。こちらも気の毒だ。

3.上記のAFPの記事には先代の父親とあるが、先代のツポウ5世は兄である。
私は笹川良一氏がトンガ名誉総領事を務めていた関係と日本の皇太子殿下の記念事業としてトンガを訪問した事もあって、ツポウ5世と若干の交流があった。ツポウ5世は大の日本びいきで寛仁親王とはオックスフォードの同級生。日本の皇室ようになりたいと、トンガの民主化を進めようとしていたのである。これは直接ご本人から伺った。


フレンドリーアイランド、と言われたトンガの様子が変わったのは、2006年の暴動が大きいであろう。民主化の動きは以前よりあったが、まるでフランス革命のようにラディカルな動きに変わったのだ。背景にはニュージーランドの介入があったとチャタムハウスの方から伺った。

2006年前に何があったのか?
一つは米国の9.11。米国だけでなく豪州NZの取締も厳しくなり、多くのトンガ人が強制送還された。この影響が社会的に大きいと教育関係者から聞いた記憶がある。多分タックスヘイブンなども規制が強化された煽りを受けたかもしれない。
もう一つは世界的な自由化民営化の中でトンガの社会、経済構造が大きく変わろうとした時期で、ツポウ5世はそれに必死に対応していた、ように私には見えたのだ。

確かに、ニュージーランドのメディアがよく批判しようにツポウ5世の行動に問題があったようだし、彼を良く知るトンガの友人達も、皇太子は変わった、と述べていた。しかし国王になられてからは次々とトンガ国内の福祉改革につとめられ、国民の支持を得ていた。2006年から2012年の短い在位であった。

私の博論の内容になるが、太平洋島嶼国でいち早く情報通信制度改革を進めたのもツポウ5世である。主権ビジネスと言われるドメイン名、パスポート販売、衛星ビジネスを支えたのもツポウ5世であろう。漁業や通信産業を一手に仕切る皇太子は、王室の企業独占化、とこれも非難の対象になっていた。防衛大臣、外務大臣も兼務していた。

中国との関係強化に大きく動いたのもツポウ5世の判断であった。
首都にあるインターナショナルデーとラインホテル、日付変更線ホテルは、コロニアル調とトンガの文化が混じった魅力的なホテルだったが、ある時全くつまらない、しかも中国語だらけの建物に変わっていた。私は失礼に気づかずツポウ5世に「随分変わってしまいましたね」と言ってしまった。その時のお返事が今でも忘れられない。
「この予算でこの期日で改修できるのは中国しかいなかった。」
90年代、バブルがはじけた日本もトンガへの支援が徐々に削減された時期、かもしれない。


次々と出て来るニュースに耳を傾けているが、問題は民主化の話ではなく、小国運営の限界ではないか、と当方は考えている。
国家の規模とインフラや安全保障の規模は比例しない。日本トンガ協定を締結し積極的にインフラ支援をしてはどうであろうか?アジ銀や世銀ががんばっているものの、競争入札なので中国企業が受注する可能性が高い。


<関連ニュース>
Tonga parliament dissolved, fresh elections called
http://www.radionz.co.nz/international/programmes/datelinepacific/audio/201856183/tonga-parliament-dissolved-fresh-elections-called

King Tupou VI proclaims current govt as Caretaker Government
Saturday, August 26, 2017
http://matangitonga.to/2017/08/26/king-tupou-vi-proclaims-pohiva-govt-caretaker-government


Fears of violence in Tonga after King Tupou VI dismisses PM Akilisi Pohiva and dissolves Parliament
https://www.tvnz.co.nz/one-news/world/fears-violence-in-tonga-after-king-tupou-vi-dismisses-pm-akilisi-pohiva-and-dissolves-parliament

King of Tonga dismisses Prime Minister, as Kiwi SAS troops in country
25 Aug, 2017
http://www.nzherald.co.nz/world/news/article.cfm?c_id=2&objectid=11911355

King officially dissolves Parliament, new election in November, Crown law website says
By Kalino Latu - 25/08/20171
http://kanivatonga.nz/2017/08/king-officially-dissolves-parliament-new-election-in-november-crown-law-website-says/

King Tupou VI dissolves parliament, commands new election
Friday, August 25
http://matangitonga.to/2017/08/25/king-tupou-vi-dissolves-parliament-commands-new-election

トンガ憲法から
King’s relations with Parliament
38. The King may convoke the Legislative Assembly at any time and may dissolve it at his pleasure and command that new representatives of the nobles and people be elected to enter the Assembly. But it shall not be lawful for the Kingdom to remain without a meeting of the Assembly for a longer period than one year. The Assembly shall always meet at Nuku'alofa and at no other place except in time of war. (Law No. I of 1914.)

77 General elections
New elections shall be held for all the representatives of the nobles and the people at least once every three years but it shall be lawful for the King at his pleasure to dissolve the Legislative Assembly although three years from the last election may not have expired and to command that new elections be held according to law throughout the Kingdom. (Law 1 of 1914.)
駄場裕司著『後藤新平をめぐる権力構造の研究』 [2017年08月28日(Mon)]
(駄場様、お名前間違えて申し訳ありませんでした)

後藤新平の植民政策を論じた資料はないでしょうか?と京大のN教授に思いきって尋ねたところ、駄場裕司著『後藤新平をめぐる権力構造の研究』(南窓社、2007年)を教えていただいた。
著者の駄場裕司氏は、あとがきを読むと新聞記者をされていたようで、この本は広島大学で書かれた博論である。

目次を見ると未知の世界である。
しっかり読んでいない。ざーっと、関心が持てそうな、背景が少しでもわかりそうな箇所だけ読んだ。

後藤新平と玄洋社は繋がっていて、玄洋社がソ連との関係を強化しようとし、さらに日韓併合も推進していた。後藤新平の日韓併合、ソ連との関係強化の背景に玄洋社あり。
後藤新平全集(全四集、1937-38)の「鶴見本」はここを隠しているので、玄洋社と後藤の動きが見えない、という事である。

なぜ隠したのか?
著者の推測は後藤周辺の言論人による意図的なものであるとのこと。
E・H・ノーマンが「福岡こそは日本の国家主義と帝国主義のうちでも最も気違いじみた一派の精神的発祥地として重要である」と1945年1月にIPRで糾弾。そして「鶴見本」を編集した後藤と姻戚関係の平野義太郎は戦後ノーマンの権威を最も積極的に利用していた、というのだ。


読んでいて色々疑問に思うところ、例えば新渡戸と後藤の関係など濃いはずだ。新渡戸を国際連盟次長に押したのは牧野伸顕だが、パリ講和会議に「茶番劇を観に行こう」と新渡戸を誘ったのは後藤なのである。「鶴見本」を神話と一様に片付けていいのだろうか?
後藤新平、新渡戸稲造、そして矢内原忠雄を日本の植民政策の視点から、今のところ「趣味」の範囲でしか勉強していないので、あまり批判的な事は書かないでおく。

とにかく玄洋社を理解しないと近現代史は、日韓併合や日本の植民政策は語れない、ということか?
余計な事だが「007は二度死ぬ」に福岡の黒竜会が出て来るのもIPRのノーマンの仕業だったわけだ。
ミクロネシアでの海底地形調査と海洋における国際協力の今後 [2017年08月28日(Mon)]
同志社大学坂元教授が編集されている笹川平和財団の【Ocean Newsletter】に、BBNJの議論にも、また来年の島サミットにも重要な記事が掲載されていた。

【Ocean Newsletter】第409号(2017.08.20 発行)
「ミクロネシアでの海底地形調査と海洋における国際協力の今後」
(国研)海洋研究開発機構経営企画部国際協力推進担当役◆川村善久
https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/latest/index.html


BBNJの議論を見ると、太平洋島嶼国側も何をどう支援して欲しいのかわからず、取りあえず利益を要求することしかしていないのである。(伝統知識、平等原理、隣接性にこじつけて)
この川村善久氏の記事には(国研)海洋研究開発機構の研究船「かいれい」によるミクロネシア連邦海域での具体的な支援が書かれている。

中でも興味深く、また重要と思われるのは下記のように豪州からの提案でこの支援が行われた、という事である。豪州は赤道以南だけでなく以北も自分の裏庭と思っているところがあるが、他方で支援が十分にされていない事は、戦後この地域を実質的に担当してきた豪州が一番知っている事である。

「豪州地球科学研究所の西太平洋・島嶼国海域担当の職員から「ミクロネシア連邦が緊急に海底地形調査を必要としており、ロードハウライズ周辺での構造探査航海へ向かう研究船「かいれい」を利用し調査を実施できないか」との問い合わせがあった。」


さらに興味深いのは、水産庁の取締船同様、シップライダーズ方式である事だ。
「(ミクロネシア連邦が)研究船を独自でチャーターして調査を実施するほどの財源も持ち合わせていないこと等の情報を得た。豪州地球科学研究所からの強い支援要請もあり協議の結果、ロードハイライズ調査航海の回航時に必要最小限の4日の調査日数を追加し、その調査日数のみミクロネシア連邦予算で実施することで、3カ月弱という短い調整期間で本調査航海を確定、実施することができた。」

小島嶼国は自ら海洋研究調査の物理的資材を持つことは難しい。日本の調査船に乗船してもらうシップライダーズ方式はベストソルーションである。さらに川村氏が提案しているように、この国際協力が日本の海洋におけるプレゼンスをより高める、まさにウィンウィンの事業になる事だ。

水産行政とは?その2 [2017年08月28日(Mon)]
海洋問題の大きな部分を水産、漁業が占める。
水産行政を知らずして海洋問題は語れないのだ。逆に海洋問題がわからないと水産行政は語れない。
この3、4年、「水産行政」を戦後の水産庁の設立の様子から見て来た。そして現在国際海洋法大家の同志社大学坂元茂樹教授の下で勉強する機会をいただいている。

私が海洋問題を扱うようになったのは2008年に立ち上げたミクロネシア海上保安事業である。
2008年3月11日、太平洋軍キーティング司令官の公聴会の証言に反応した笹川会長の正論での提言(2008年5月6日)を受け、笹川平和財団前会長の羽生さんがミクロネシア海上保安事業を提案。私は羽生さんの指示でミクロネシア3カ国の大統領の合意を得る業務を行ったが、半年という短い期間で達成した。

笹川平和財団自体がそれまで海洋問題を扱った事は無かった。私自身も事業立ち上げで役目は終りかと思っていた。ところが、豪州政府が(当時は親中ラッド政権)大きくリザベーションを示し私のキャンベラ通いが開始した。よって、海洋問題は現場でゼロから、自己流で学んで来た。

財団には海洋を知る人はいなかったので、元国交省審議官の財団前会長羽生さんは国交省や海保、そしてそのリタイヤ組を財団に呼んできたのである。当然海洋専門家と思いきや、島嶼問題や水産問題は知らないのである。知っていればパラオの海洋保護法を支持しないであろうし、ミクロネシア連邦司法長官が日本のカツオ漁船に対して行ったカツアゲのような取締を支援しないであろう。
この件で羽生さんに思いって具申した事が何回かあり、会長室で吊るし上げにされるという貴重な経験もする事となった。それだけでなく、水産庁と関係のある(パラオへの取締船派遣の事)当方は事業から外れてくれとまで言われた。

このままでは笹川平和財団だけでなく、水産問題を知らないパラオや他の太平洋島嶼まで悪い影響が出ると思い、2016年1月に羽生さんに当方の業務内容を確認したところ、これからもずっと仕事を継続して欲しいとの事。それで海洋問題を体系的に勉強しようと思い、同志社大学の坂元茂樹教授の門を叩いたのだ。


産經新聞記者のコメント「水産行政がこれでいいはずはない、そう思いませんか?」
水産行政を批判するには海洋問題を知らないとできないはずだ。そしてこの海洋問題はどこまでも広く、深い。
水産行政とは? [2017年08月24日(Thu)]

ニュージーランドの第二位の水産業者シーロードの成功は日本のニッスイの支援があってこそ。



「水産行政がこれでいいはずはない、そう思いませんか?」

下記の記事を書いた産経の記者からこんなコメントをいただいた。

2017.8.22【主張】クロマグロ 長期的視野で対策主導を
http://www.sankei.com/economy/news/170822/ecn1708220005-n1.html


「水産行政」とは何か?水産資源と共に漁師さん、水産業を守る事である、と水産庁の方から私は教えてもらった。
まさに毎日水産行政に人生を、命をかけている方だ。

そんな、日本の水産行政の国内、国外とのさまざまな交渉も身近に拝見する機会もいただいた。漁業大国日本は日本の漁業を守り、世界の漁業を主導していく立場にあるのだ。
百年以上前に、遠洋漁業を始めたのはハワイや太平の島に渡った、瀬戸内海や和歌山の漁師さんたちなのだ。

戦前、農林省の一部局だった水産局は戦後水産庁になり、GHQから水産省にしなければだめだ、とまで言われていたのである。それほど日本の海洋外交にとって重要な組織である。
水産庁叩きも批判も重要だが、水産資源科学を知らない海外のNGOの主張をそのまま鵜呑みにしたり、歴史も文化も違う海外の漁業構造と簡単に比較してはいけないのだ。この記者が漁業先進国と言っているニュージーランドは日本のニッスイが入っているからこそ、世界にマーケットを持ち成功している。国内消費は少ないのだ。

とりわけ、遠洋漁業の経験のない島嶼国は権利を叫ぶだけで海洋開発、管理はできない。パラオやキリバスのメガ海洋保護区はペーパーでしかなく、海洋法条約上も疑義があるし、科学的調査を欠いた水産資源管理とは関係ない案である。それよりも便宜置籍船などで、台湾や中国の漁船の漁獲量を増やしている。

こういう事は数年かけて、色々な資料を読み込んで、色々な立場の人の意見を聞かないとわからない事である。


ニッスイだけでなマルハやイマナカという日本に水産業者がニュージーランドの水産業を支えている。
THE INVESTOR’S GUIDE TO THE NEW ZEALAND SEAFOOD INDUSTRY 2017
http://www.mbie.govt.nz/info-services/sectors-industries/food-beverage/documents-image-library/folder-2017-investors-guides/investors-guide-to-the-new-zealand-seafood-industry-2017.pdf
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