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パラオークリスマスの海難救助 [2015年12月31日(Thu)]
日本財団がパラオ共和国に供与した小型艇が活躍し、3人の漁師の命がこのクリスマスの日に救われたニュースです。

Christmas Day rescue for missing Aimeliik fishermen
WRITTEN BY JOSE RODRIGUEZ T. SENASE
TUESDAY, 29 DECEMBER 2015
Island Times
http://islandtimes.us/index.php?option=com_content&view=article&id=231%3Achristmas-day-rescue-for-missing-aimeliik-fishermen&catid=6%3Apalau-news-a-current-events


アイメリク州の3人の漁師が12月23日漁に出たまま戻らず、家族がBureau of Public Safety (BPS)に通報。
すぐに民間のヘリコプターと日本財団が供与した監視艇“Bul” とZodiac rubber boatで捜索が開始され、船に残された一人の漁師と、泳いで岸まで行こうとしていた2人の漁師を25日のクリスマスの日に無事救出する事ができた。


もし、パラオ法務省がこの2隻の小型艇をもっていなければ救助活動はされていなかったかもしれない。日本では当たり前のようにされる海難救助活動は、太平洋島嶼国ではさまざまな理由で行われない。
これが外海であればほぼ望みなしであろう。
ミクロネシア海上保安事業が2008年に開始してすぐ、海上保安庁の方が、島嶼国では人の命の重さが違う、と述べていた事が記憶に残っている。
そうなのだ。南の島の楽園が、楽園ではない、と思う時がある。
それは、日本では救われるはずの命が見捨てられる時である。
ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き(4) [2015年12月30日(Wed)]
ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き。
4回目はマリアナバラエティの記事の紹介です。

"Yap state: Plebiscite necessary before Compact can be abolished"
10 Dec 2015 By Robert Q. Tupaz
http://www.mvariety.com/regional-news/82199-yap-state-plebiscite-necessary-before-compact-can-be-abolished

今回、米国との自由連合破棄決議案を提出したのはヤップのIsaac Figir そしてチュック州の Bonsiano Nethon と Robson Romolow の3名。
記事では、例え議会が承認しても米国との自由連合協定を破棄するには国民投票が必要である事が指摘されている。

破棄理由は同じで繰り返すが、米国がFSMの事情を顧みず、援助金の打ち切り等独断してしまう事。また自由連合は相互に責任や義務があるにも拘らず、米国の議員には、米国からFSMへのチャリティだ、と述べている事などを理由としてあげている。
そしてこの理由は2011年に現大統領であるポナペ州出身のクリスチャン議員が述べた事の繰り返しであることも。。

この自由連合協定の動きに関して、今一番議論が熱くなっているのが、FSMの人口を受け入れているグアム、ハワイ等の「米国」である。
2013年には17,000人の自由連合協定国、即ちマーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオ共和国の人々がグアムに居住しているという。グアムがこの17,000人に移民を受け入れるために必要とする2014年の予算は144ミリオンンダラー。

ミクロネシア連邦の前モリ大統領は、2023年自由連合協定の資金援助が打ち切られれば翌年2024年には50ミリオンンダラー財政赤字になる事を国民に説明している。

グアム政府は、2023年の自由連合協定支援金打ち切りに向けて、さらにミクロネシアからの移民が増える事が懸念されている、と述べた。


以上が記事の内容。
本件、ミクロネシア高官と現在米国連邦政府から米国の資金援助事業の評価作業を委託されている方と非公式に話し合う機会があった。

非公式の情報では、既に3万人のチュック州出身者がグアムに滞在しているという。
米国の援助事業は多くの問題を抱えているが、一つには米国連邦政府の担当者が自分の、また自分が所属する組織の評価をあげるため、即ち次年度の予算を確保するため、成功していない事業も成功したように報告している例がある。そしてミクロネシア側は、ファミリーやコミュニティの縁故関係で事業が開発され、失敗に終わっている例が多い、という話であった。


いったい、何のために多くの犠牲者を出してまで米国は日本からミクロネシアを奪ったのか?
ミクロネシアの社会問題に触れる度に、湧いて来る疑問である。
再び、パラオ テキサス [2015年12月28日(Mon)]
imgres.jpg images.jpg

テキサス州リック•ペリー前知事、ジョン•ブラッドリーパラオ司法長官

<再び、パラオ テキサス>
以前、パラオと米国テキサスの関係を自分の勘の範囲でブログに書いたが、来年の大統領選を控えたパラオで、その関係はくっきりと浮かび上がって来た。

ここ数ヶ月繰り広げられている、パラオ法務省を巡る動き。
非常に複雑そうに見える動きを乱暴にまとめると。。
ベルス法務大臣が、日本で言う事務次官レベルの高官とAttorney General(司法長官)を保留処分とした。その前後に大統領が法務大臣を保留処分としている。
次に法務大臣が司法長官を保留処分。司法長官が法務大臣に、撤回しなければ裁判にすると回答した。

この司法長官John Bradley氏がテキサス州出身の、しかも相当な悪徳法律家である話が今月20日のJohn Floydというこれもテキサス州法律家のブログに掲載され、パラオ関係者に広く回覧されているのである。

"John Bradley Dishes Out Texas Justice in the Pristine Paradise of Palau…"
http://www.johntfloyd.com/John-bradley-palau

これも乱暴にまとめると、テキサス州の悪徳知事(ブッシュの後任だった知事で今年1月に退任)と悪徳法律家が手を組んで、罪なき人を25年も牢屋にぶち込み、無罪とわかった後でもその悪徳弁護士はたった5日牢屋に入っただけ。死刑になった無罪の人もいるようなのだ。。
この悪徳知事はパラオのレメンゲサウ大統領に頼み込んで(某かの裏取引があったのかも?)このお友達の悪徳弁護士を、2014年にパラオ共和国の司法長官としたのである。




<Stay away - 2016年大統領選を巡るパラオの動き>

images-1.jpg imgres-1.jpg

レメンゲサウ大統領とSurangel Whipps Jr.

問題は来年の11月に大統領選を控えるパラオの政情である。
20年来のミクロネシアの友人(政府高官)の一言が頭から離れない。 Stay away..

何からstay away すべきなのか? 
テキサス州の悪徳知事と悪徳弁護士とベッドを共にした(上記John Floyd氏の記事の表現)我らがレメンゲサウ大統領だ。
レメンゲサウ大統領を巡るネガティブな状況 ー テキサスの悪徳知事、悪徳弁護士との関係以外にも、パラオ国内にも蔓延する。。

まずは、賛否両論だった商業漁業禁止の海洋保護区を相当な裏技で通した事である。
国内水産業を所有する大物達から完璧に敵視されている。既にこの法案を廃止する動きも見える。

そして、これもまた複雑なパラオの政治。。
レメンゲサウ大統領が2012年に再選を果たした背景にはアイライ州の大物政治家Surangel Whippsの後押しがあったからである、という。
なぜSurangel Whippsはレメンゲサウを支援したのか?
レメンゲサウ大統領の妹がSurangel Whippsの息子と結婚している。レメンゲサウが一期大統領を務めた後はSurangel Whippsの息子で、レメンゲサウ大統領の義理の弟にあたるSurangel Whipps Jr.に大統領の席を譲る了解で支援したのである。

ところがレメンゲサウ大統領はこの約束を破り二期目の大統領選に立候補を表明。
この話は既にパブリックなっている、というので敢えてこのブログにも書いておく。

2016年の大統領選はレメンゲサウとSurangel Whipps Jr.の一騎打ちと、もう既になっているのである。
こちらにその意思がなくても、あらゆる動きをパラオは利用するであろう。
だから、stay away ... なのだ。



政治は全てを利用する。すべては政治利用される。政治は残酷で冷酷。
「そうだ・・・この世界は・・・残酷なんだ。 そしてとても美しい・・・」
『最新版 シミ・しわ・たるみを自分で治す本』高須 克弥 (著), 高須 シヅ (著) [2015年12月27日(Sun)]
ずーーーっと気になっていた高須院長の『最新版 シミ・しわ・たるみを自分で治す本』をやっと手にした。

世界中の化粧品会社が、禁書に指定したい内容なのではないか?
巷にある美容、美肌商品をことごとく否定する。百害あって一利無し。

とにかく、嬉しかったのが私が今まで行ってきた消費行動が美肌に繋がっていた、という事実を知った事だ。

5個で百円の固形石鹸しか買った事がない。
500円位のニベアのクリームしか使わない。
ファンデーションや口紅はSPF効果もある、安価なセブンイレブンの商品を愛用。
これすべて美肌に正しい消費行動だったのだ!

フルーツパックを試みようとしている愚娘に早速教え諭し、小麦粉パックをいっしょにやった。
とぎ汁洗顔や、ぬか石鹸も近々試してみたい。


ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き(3) [2015年12月26日(Sat)]
米国との自由連合協定破棄決議案を提出した一人、チュック州出身のSenator Robson Romolowと、同じチュック州出身で、米国居住のブロガーVidalino “Vid” Raatior氏のやり取りが興味深い。

"Congressman Romolow responds to Compact termination Resolution Questions"
http://www.vid.raatior.com/congressman-romolow-responds-to-compact-termination-resolution-questions/


両者のやりとりをまとめると。。

自由連合協定を破棄してその後どうするの?そんな事公約にあげていなかったじゃないか?とブログで非難するRaatior氏にSenator Robson RomolowがEmailとFacebookで応酬した。

議会のシステムを全然わかっていないじゃあないか。決議案を提出したって事は即自由連合協定破棄っていう意味じゃないんだよ。事前の協議が十分あった結果である、とSenator Robson。

今回提出された決議案は2011年に、議員だった現大統領のピーター•クリスチャンが提出した内容とほぼ同じである。よって、大統領とも事前の協議があったのかもしれない。

Senator Robson Romolowは、米国からの資金援助が7年後の2023年に切れるというのに、しかもFSMの事情おかまいなしで、全く米国から一方的な判断で切れる、というのに誰も声を上げないのはおかしいではないか、と結んでいる。


Raatior氏とSenator Robsonのやり取りに対する外野からのコメントは、今回の決議案を非難する、即ちRaatior氏を支持する内容が多いが、米国のからの資金援助が切れる2023年以降どうするのか?といSenator Robsonと同じ意見もある。
先日本案件と関わりのある、ミクロネシアのある高官と話をする機会があった。
クック諸島とニュージーランドの自由連合協定はたった3頁です。米国との自由連合協定は、ミクロネシア諸国のあらゆる自由を奪っている。クック諸島の地政学的ポジションと、ミクロネシア諸国は大きく違う。それに冷戦下での協定であったから違うのは当たり前。にしても、世界秩序が変わった今何の対応もしないのは疑問である。

今回の自由連合破棄決議案は、自由連合とは何かという基本的な問題を真剣に協議するきっかけ作りなのではないだろうか?問題はこの地域に責任を持つべき立場の米国が、特に連邦議員がこの問題を真剣に考えていない事である。

ミクロネシアの安全保障。米国にとっては地球の裏側の話である。
日本にとっては隣の話だ。
決して対岸の火事ではない。
日本が動く必要があるのではないか?
海洋国家日本を阻む外務省国際法局 [2015年12月25日(Fri)]
このブログで何度かお伝えした日本の水産庁取締船のパラオ派遣。
頓挫、しているという。

これも以前からこのブログでお伝えし、海洋政策学会でも発表させていただいた内容だが、太平洋島嶼国は自分たちでは管理できないほど大きなEEZを抱えている。
よってパラオ政府は(実は米国も)昨年試験的に派遣された日本の水産庁取締船「みはま」(約500トン)に大きな期待を寄せていた。

先の大戦でこの広大な太平洋を管理する役割を担った米国は、冷戦終結後、この地域への戦略的意義を失ったのである。(殆ど何もやっていない)
豪州はその気があるが(パシフィックパトロールボートプログラム)その能力は十分ではない。(やっているけどほとんど役にたっていない)

日本にはその能力があるし、何よりもこの地域の大部分のお魚を消費しているのは日本人なのである。
海洋国家、日本は太平洋島嶼国の海洋管理を支援する立場にあるし、太平洋島嶼国はそれを期待しているのである。


<海洋国家日本を阻む外務省国際法局>
この水産庁の取締船派遣を阻止しているのは外務省国際法局である、という。
先週、この現状を知らされた後、何人かの永田町界隈の知人に国際法局とは何者か?と問い合わせてみた。
各省庁が行う、ありとあらゆる活動に口を出してくるグループなのだそうである。
念のため外務省に確認してみたが、やはりこの案を阻止しているのは外務省であった。
詳細はここに書いてよいか確認していないので書かないが、どうもパラオがたった20名+の海洋警察で60万㎢のEEZを管理しようとしている意味が、現状がわかっていないようなのである。

日本は世界の海洋国家としてその役割を期待されているし(特に米国から)、日本はこの海洋を守る立場にある、即ちシーパワーを持つ世界でも有数の大国なのに、そうさせないのは外務省国際法局のようである。


<NGOができて日本政府にはできない日米豪海洋安全保障協力>
外務省国際法局の懸念は実はよくわかる。
国際安全保障上、非常にセンシティブな案件なのである。
日本財団、笹川平和財団が2008年にミクロネシア海上保安事業を立ち上げる際、米国ワシントンと豪州キャンベラ詣でを何度も行ったし、今でも続けている。
しかも2010年に国際会議を財団が主催し、日米豪+ミクロネシア3カ国の協力枠組みの合意をしてから具体的支援(小型ボートの提供など)を開始したのである。
少なくとも水産庁の取締船派遣の案が出た時点から、日本政府は米豪との協議をするべきであったのだ。特にミクロネシアは米国が自由連合協定で安全保障面を管轄しているのだから(少なくとも形式上)、米国との調整は必須である。
驚くなかれ、笹川平和財団が当たり前のようにやってきたこと、即ちミクロネシアの海洋管理のための日米豪の海洋安全保障協議を日本政府は、外務省はできない、しないのである。


この8年、米豪の政府関係者から何度もされてた質問がある。
「なぜ日本政府ではなく、NGOが海洋安全保障に出て来るのか?」
答えは簡単である。日本政府にはできないからです。
ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き (2) [2015年12月21日(Mon)]
ミクロネシア連邦自由連合破棄決議案の動き。
反対する声は主に米国在住のミクロネシアの人々から強く出ている。
自由連合協定の破棄は、米国に生活の拠点を築いた彼等がミクロネシア連邦に送還される事を意味する。
人口10万のミクロネシア連邦。3人に一人が海外、米国に暮らしている。
早速 change.org で反対署名が開始された。
決議案が照紹介されてから約1月。千人の署名が必要なところ、半分の500人しか集まっていない。



Vote "NO!' to the COFA Termination bill proposed by FSM Congressmen!
https://www.change.org/p/my-fellow-fsm-citizens-vote-no-to-the-cofa-termination-bill-proposed-by-fsm-congressmen

この反対署名活動を企画した人曰く。。

「米国の対応を非難するが、米国から拠出されるお金をきちんと使わないのはFSMだって有名な話なんだ。自由連合協定が停止しても、米国は痛くもかゆくもないどころか、毎年拠出する予算が減るので喜ぶだろう。それより自由連合協定がなくなったらミクロネシア連邦はどうやっていけると思うの?」


70年前、米国がミクロネシア諸島を日本から奪い取ったのは、ミクロネシアの人々を解放させるためではなく、米国の安全保障のためであった。
冷戦下では、このミクロネシア諸島が、ハワイからフィリピンをつなぐシーレーンとして、安全保障上重要であった。
よって、冷戦下に米国がミクロネシア3国に示した自由連合協定は、ニュージーランドが提案し、国連が決議した本来の自由連合とは歪んだ形となってしまった。

冷戦が終結し、米国の安全保障として意味を失ったかに見えるミクロネシア諸国は、中国という新たなファクターが進出してきた。
ここ最近、ミクロネシアの政治指導者、要人が次から次へと中国に招聘され接待を受けている、とこれは複数の方から聞いてる。しかも中国は官民一体となって攻勢しているのだそうだ。
日本は? 至急、米国とこの地域の安全保障ー特に海洋安全保障について、自由連合の事も含め協議すべきである。官民一体となって。。
『矢内原忠雄伝』矢内原伊作著 [2015年12月20日(Sun)]
『矢内原忠雄伝』矢内原伊作著、みすず書房、1998年

矢内原研究をするには欠かせない著書であるそうだ。
矢内原忠雄の長男、伊作氏が父親の死後12年を経て伝記を書く覚悟を決めた。
国際連盟に行く新渡戸稲造の後釜として東大での植民論を教える事となった矢内原。
2年近い海外留学から帰国直ぐに妻、愛子を失う。残された2人の息子を抱えた矢内原は再婚する事になるのだが、厳格すぎる父、実母の墓の存在を知らせない父に伊作氏はなにやら複雑な感情が存在するようだ。

矢内原の植民論を研究する上でも、彼の生涯を理解する事は大切な様に思う。
この伝記、図書館で借りて一度返却しなければならないので、簡単なメモだけ自分のために残しておく。

同書に「植民政策研究」という項目があり、矢内原の植民論を知る重要な資料だと思う。
記録しておきたい箇所が多々あるが、取りあえず下記だけ書き出しておく。



「矢内原忠雄の植民政策研究の特色は、統治者の側から統治政策を考えるのではなく、社会現象としての植民を科学的に分析し、実証的調査によってその理論を検証し、ヒリファーディング、ローザ•ルクセンブルグ、レーニンといった人々のマルクス主義的方法を駆使しながら、帝国主義論の一部として、あるいはその中心として植民地問題を扱った点にあると言えよう。」(同書381頁)


矢内原伊作氏は哲学者であり、弟の経済学者矢内原勝の下記の記述の方が正確なのではないか、と思う。この中に出て来る木村健康氏のマルクスと矢内原の限定的な関係(下記引用文に下線をひきました)は「矢内原先生をしのぶ」『教養学部報』1962年1月,『矢内原忠雄− 信仰.学問.生涯 』468、に書かれているようなので後日読みたい。
また、矢内原忠雄が植民論を受け継いだ新渡戸稲造はマルクスを知っていたが講義等で触れなかった事。矢内原忠雄が影響を受けたであろうもう一人の東大教師であった吉野作造が講義で取り上げていた事も書かれているのが興味深い。

「矢内原忠雄はマルクス主義の研究を行なった結果, マルクス主義がただに特定の経済学説もしく は政治学もしくは政治行動たるにとどまらず, これらを網羅しその根抵をなすところの一の世界観 であることを十分認識していた。そして社会科学の学徒とキリスト者であることは両立するかとい
う設問をし,両者いづれか一を棄つぺしとしたならぱ科学を棄てて信仰に生くる, としながらも, 両者に同時に従享できると考えている。 そして社会科学とくに経済学の理論として彼はマルクス経済学を採用した。それは当時の事情を把握し說明するためにこの理論が最も適当とみたからであろう。木村健康氏は,矢内原忠雄がマルクシズムの経済理論の部分を植民政策の研究の用具として使われていたにすぎないことがわかったとし, なぜこれを採用したかという理由として,他の経済理論にくらベてマルクシズムの経済理論が「神秘性」が少ないという答を得ている。」
『矢内原忠雄の植民政策の理論と実証』より
三田学会雑誌 (Keio journal of economics). Vol.80, No.4 (1987. 10) ,p.285(1)- 309(25)
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN00234610-19871001 -0001
ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き [2015年12月19日(Sat)]
先月「号外 ミクロネシア連邦議会米国との自由連合破棄を決議」 https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1335 をこのブログに書いたところ、フォローせよとの指示をいただいた。指示をいただいたのが誰とは書かない、が報告内容は公開してもよいと思うのでここに書きます。
公開できない内容は、勿論ここには書かず内部報告します。

さすがに当事者のミクロネシア連邦の人々にとっては上を下への大騒ぎ、のように見受けられる。
下記、4つの関連記事等をまずはご報告したい。

Introduced Congress resolution does not mean cancellation of Compact with the United States
Kpress November 30, 2015
http://www.kpress.info/index.php/site-map/1548-introduced-congress-resolution-does-not-mean-cancellation-of-compact-with-the-united-states

同決議案を提出したヤップ州Figir議員のインタビュー記事である。
同決議案は、新たに任命された米国政府国務省の担当官Stephen Schwartz (U.S. State Department Director of East Asia-Pacific − Australia, New Zealand, Pacific Islands (EAP/ANP))がFSMを訪ねた翌日に提出されていたのである。このタイミング!完璧に喧嘩を売っている形である。
このFigir議員のインタビューの中で興味深いのはこのStephen Schwartz氏のコメントを引用している部分である。米国の当該地域への関心は薄れている事を証明している。しかも余程の安全保障面の(米国への)危機でもない限り、予算が増加される事はない。言い換えればFSMのどこかに中国が人工島を造成しない限り、米国は動かないし、一銭たりとも出す気はない、ということだ。
下記に引用する。

”Schwartz said that many FSM government officials asked him whether the U.S. would consider renewing financial provisions after they expire in 2023. His answer was his very informed opinion and not an official answer of the U.S. Government.
"I can't predict the future but my personal view is that I don't expect that the U.S. Government and particularly the Congress would revisit either the Compact or something supplemental in the foreseeable future. I mean, we have our own funding constraints. Congress seems to be taking on less and less and to in a sense, volunteer to do something we're not forced to do that involves the spending of additional money; I don't see it unless it's critical for the defense of the republic," he said. "I've shared that view with FSM officials. I mean, it might happen but at some point, I think that the US, well what we need to do and what FSM need to do, I think, over the next few years is come to a much deeper understanding about all of the implications of 2023 and what will happen in 2024. Not just financially but in terms of everything relating to the Compact and all of the services."


もうひとつScwarzさんのコメントを長くなるが下記に引用する。米国がこの地域をどう考えているか?だ。40、50年代は米国にとって確かに重要であった。それはSchwarz氏は言わないが、冷戦の構造の中で戦略的地域として重要であったということである。そしてこの地域を米国は命を犠牲にして獲得し、解放した、と(よくもしゃあしゃあと)述べている。
ニミッツ司令官の伝記を読めよ。米国がミクロネシア地域を攻撃したのはフィリピンを奪回するためのステップストーンであり、現地の人々の解放なんて、少なくとも当時はなかった。よって、ケネディ政権になるまで、ほとんど放りっぱなしの状態であったのだ。
Stephに会う機会があったらニミッツ司令官の伝記位目を通しておけよ、言ってやりたい。

"In my opinion, the U.S. knew in the 1940's that Micronesia writ large, all of the FAS is very strategic, very important," Schwartz said when asked about the importance of strategic deniability in the region. "I think, one of the reasons that the U.S. is so committed to this relationship is that we knew in the 1940 and 50's what we sacrificed for it during World War II and the commitments and the losses to regain, to liberate, to take these very strategic areas. That's not something we want to have to do again. People here don't want to be in that position either, so we've established what we think is a very exceptionally strong commitment to them and that's going to last. And as this area of the Asia Pacific grows in importance, economically and strategically, I believe this area will remain and grow in importance to us as well.
"I've been very committed to trying to ensure that throughout the U.S. Government, people recognize the current and potential friction developing in this area," he said.
"What I'd like to say is that our relationship with the FSM is far more than the Compact, the Trust Fund. Those are very important and enduring, I think. But our relationship began decades before there was any Compact and we feel that we have a special relationship with FSM...and we're working together on climate change. We're working on IUU fishing. The Peace Corps is here, lots of things, defense, Coast Guard have relationships and activities. These things are enduring. They're important, pretty balancing in the Asia Pacific and our interest in the FSM and this area is only going to increase so I would just say that it's a wide ranging relationship. It's very important to us and we'll keep at it. We take JEMCO and the Trust Fund very seriously and our working partnership, both, but there's a lot more to a relationship."


簡潔にまとめブログに書こうと思ったが簡単にまとまらなくなってきたので、次の3つの記事は次回にまわさせていただきます。

Vote "NO!' to the COFA Termination bill proposed by FSM Congressmen!
https://www.change.org/p/my-fellow-fsm-citizens-vote-no-to-the-cofa-termination-bill-proposed-by-fsm-congressmen

Congressman Romolow responds to Compact termination Resolution Questions
http://www.vid.raatior.com/congressman-romolow-responds-to-compact-termination-resolution-questions/

Yap state: Plebiscite necessary before Compact can be abolished
10 Dec 2015 By Robert Q. Tupaz
http://www.mvariety.com/regional-news/82199-yap-state-plebiscite-necessary-before-compact-can-be-abolished
北岡伸一と三輪公忠の新渡戸稲造論 [2015年12月18日(Fri)]
もう一冊図書館に返却しなければならない本があるので、これも簡単なメモだけ残しておきたい。

岩波講座 近代日本と植民地4 統合と支配の論理
(大江 志乃夫,浅田 喬二,三谷 太一郎,後藤 乾一,小林 英夫,高崎 宗司,若林 正丈,川村 湊 編集委員)2005年

この著書に北岡伸一氏の『新渡戸稲造における帝国主義と国際主義」(179−203頁)がある。
とにかく愕然とする内容なのだ。新渡戸稲造が生きていたら、どう出るか。馬鹿に馬鹿と言ってしまう矢内原先生が生きていたらただでは済まないような内容である、と思う。

この後偶然、三輪公忠の新渡戸稲造論を『日本•1945年の視点』(東京大学出版会、1986年)の中に見つけた。(14−19頁)たった5頁の短い文章であるが、北岡氏の新渡戸論を読んだ後だったので救われた思いであった。

一カ所だけ両者を比較する箇所を引用したい。

「このようにして新渡戸は満州事変以降、国際主義らしからぬ変貌を遂げていった。松山事件以来、国際主義者らしい発言は聞かれなくなり、積極的は事変擁護の発言だけが際立つ様になる。(中略)
しかしながら、このような「転向」を可能にする内在的な条件が新渡戸の思想の中に存在したことを軽視してはならない。新渡戸の思想の特色は、道義が全面に出る事であった。。。」(上記北岡氏の新渡戸論 198-199)

この満州事変以降の新渡戸の言動について三輪氏は

「日本政府当局は、満州事変において、日本は国際法を破っていない、国際法を遵守していると弁明し続けた。(中略)このたてまえのもとで、現実には体制否定の軍事行動がとられていた。しかしたてまえのもとでは軍閥も国際法遵守を国是とする日本国家の一部であり、軍閥を否定することは、国家を否定することに通じていた。(松山事件で新渡戸は軍閥を否定する発言をし、暗殺の可能性もあった、とどこかで読んだ記憶がある)しかし、たてまえと現実の乖離に気付いていたものは(即ち新渡戸のこと)たてまえの方を尊重し、国際的には協調主義となり、国内的には軍閥批判に向わざるをえなかったわけである。新渡戸の立場は本質的にいってこれであった。」(上記の三輪氏の新渡戸論、18−19頁、()内のコメントは当方のもの)


北岡氏が言う様に新渡戸が転向の可能性をもっていたのではなく、三輪氏が分析するように社会がひね曲がっていたために、新渡戸は日本国内にも、米国にも敵を作ったのである、と私は思う。

この2つの短い論文も再読し後で書き直したい。
新渡戸稲造の世界の玄関先に立ったばかりの自分が書くべき内容ではないが、現時点での認識と理解の範囲でメモだけ残しておきたい。
 
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