CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2015年10月 | Main | 2015年12月»
プロフィール

早川理恵子博士さんの画像
早川理恵子博士
プロフィール
ブログ
<< 2015年11月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
Google

Web全体
このブログの中
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
Yanaihara - Susan Townsend [2015年11月30日(Mon)]
YanaiharaS.T.PDF
第4回フランスオセアニアサミット [2015年11月28日(Sat)]
久しぶりのフランスのニュースである。

太平洋で、海洋問題といえば、広大なEEZを領有するフランスは無視できない。
フランスの領海+EEZは11 035 000㎢。アメリカに次ぐ世界第2位の広さ。
ヨーロッパにあるフランスが領有する領海+EEZは334 604㎢のみ。
フランスが有する領海+EEZの97%が海外領に帰属する。

その海外領がある太平洋の仏領。領海+EEZは合計で718万㎢。
全体の65%に及ぶ。
  ・領ポリネシア(EEZ: 475万㎢)、
  ・ニューカレドニア(EEZ: 174万㎢)、
  ・ワリス・フツナ(EEZ: 26万㎢)
  ・クリッパートン島(43万㎢)

そのフランス政府が、11月26日に第4回フランスオセアニアサミットを開催した。
下記に議事録がある。
議案はCOP21と持続可能な開発である。
持続可能な開発には海洋問題も大きく取り上げられている。
漁業資源管理、海水の酸性化問題、海洋と気候変動、大陸棚の管理開発等々、だ。


Declaration of the Fourth France-Oceania Summit
http://www.forumsec.org/resources/uploads/attachments/documents/Final%20Declaration%20of%20the%20Fourth%20France-Oceania%20Summit%202015.pdf



関連して興味深いニュースがあった。
これら太平洋の仏領は常に独立問題がくすぶっている。
広大な海洋資源は誰のものか?という議論もあるようだ。
矢内原が英語になっていれば、今の世の中に大分役に立つのに残念だ。。


Rare earths deposits prompt debate in French Polynesia
Radio New Zealand International, 24 November 2015
http://www.radionz.co.nz/international/programmes/datelinepacific/audio/201779936/rare-earths-deposits-prompt-debate-in-french-polynesia
パラオの3つのニュース [2015年11月27日(Fri)]
パラオも色々と動いている。麻薬問題、謎のフェリー、そして中国人のニュースを紹介します。



12294780_562901567195280_6809660484907839570_n.jpg


まずは昨年末突如現れた謎のフェリーThe Xian Ni 。
フィリピンのサルベージ会社が先週やっと引き上げたようである。
なぜか大統領府のFBには写真だけで、記事がない。

(参考)
謎の中国船、パラオで廃棄か?
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1043


なぜ突如現れたのか?そこが全く追求されていない。

(参考)
あなたの島のために。FYI: FOR YOUR ISLAND, WHO?
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1328



次に、大統領がパラオに入国する下記の中国人を指名し、入国を拒否する通知を出した。
昨年から急増した中国人観光客の件で一番の問題は、観光客としてやって来る中国人が、さまざまな違法活動を行うことである。
しかし、当然彼等の違法活動にはパラオ現地有力者のカウンターパートがいるわけである。
ここはあやふやなままのようで、市民からは不満の声が出ている。
大統領府は顔写真まで公開している。

Hong Chen, Passport No. E31088336, date of birth May 20, 1965, a female citizen of China.

12310574_562939750524795_266988578019291183_n.jpg




最後に麻薬の話。
Santy Asanuma氏がコラムを書いた。(下記にコピー)
パラオは9歳の子供まで平気でマリファナに手を出すそうである。
誰もしからない。違法だけどしかるのは警察くらい。
学校に行けば簡単に手に入るのだそうだ。
Asanuma氏は、これではいけない、と国全体で対処すべし、と声をあげている。
マリファナの次はアイスである。もうこれも既にパラオに充満しているという。
この問題の背景にはマリファナで収益を得ているパラオの大人達がいる事であろう。
当方の想像であるが、政治リーダーである可能性もある。
タックスヘブン、マネロン、麻薬。。 小島嶼国が共通に抱える問題である。
南半球最大の麻薬工場はフィジーにあった。
日本人犠牲者を出したグアムでの殺人事件は若いチャド・デソト犯人が薬漬けであった事を覚えている人も多いのではなかろうか。


MARIJUANA LEADING TO ICE IN PALAU
By Santy Asanuma
Ngarker Olbechel, Tia Belau
23 Nov 2015

Marijuana is like driving a car really fast. We know that there are going to be bad consequence but most of the time we drive car at dangerously high speed and we get to our destinations without any accident. In fact, the rush (ungil a rengud) from the physical speed of the car and mental daring and escaping the odds of getting injured even getting killed is a short-lived high every time we do it. No logic to it at all. But this is how the brain of a young person sees it, especially teenagers. They see the world in terms of what is fun and exciting. And smoking Marijuana is down-right fun without any real harm in their mind because each time they do it they do not realize the harm done. But just like the speeding car the stakes, complexity, and daring continues to get higher in order to maintain the fun or high exciting.

Palau’s teenagers even pre-teenagers (as young as 9 years old and hopefully not younger than that) are told in what they see around them in our society that Marijuana is socially acceptable regardless of the laws against it. To them it is only the police, who do not want them to smoke it, but the rest of society is silent. By default (diak dokerang), Palauan society is not opposed to it. In fact, the presence of Marijuana is like it is natural by implying that it is harmless in the mind of most Palauans. This attitude towards Marijuana has been perceived and internalized (mla metechirr) by elementary and high school age students as such; therefore, not a problem to worry about. This is the social environment in Palau that basically tantamount to approval of Marijuana in our society. Every Palauan living in Palau is at fault.

The analysis. Being young the brain is not fully developed until the age of 25 years old. The prefrontal lobe of the brain that is in charge of determining the consequence of one’s action is the last to be developed. So during this time young people use Amygdala which is the center of emotions to make decision. Enough science. In short, their decisions do not include too much logic (cherungel e ungil beldukl a uchul el uldasu) that parents and other grown-up people use in making decisions. Little wonder the youth are drawn to living in a rush state because they cannot by themselves understand the danger that their actions put them in. Anything that is fun and exciting appeals to the young mind so they are more daring to try anything thinking it will not harm them each time. Marijuana is fun and exciting.

The social side of Marijuana. It is a plant and grows easily in abundance so it is widely available. Moreover, it has been suggested even by elected leaders that it be made acceptable for medicinal purposes making it less evil in terms of harm in the mind of especially the youth. Furthermore, being fairly cheap and within the student allowance or lunch money, the economic deterrence is not there for them to think hard about it. And the fact that they are widely available makes it very easy to get. It is commonly known to be available in most campuses in Palau. There is no obstacle whatsoever in our society to slow down or stop the youth from smoking weed. The grow-ups in this matter are no help either!

The solution. We must cut through the shit mentality (sorry for choice of word) and reverse it because this is a mind game. At this point, one person against it is not enough. Parents literally are sending their children to schools and community that basically condone smoking weed. Doctors, dentists, lawyers, teachers, nurses, engineers, pilots, judges, senators, delegates, priests, pastors, nuns, businessmen, athletes, parents and all men and women must individually and collectively stand up and clearly speak out against Marijuana. And to convince the young that they did not smoke Marijuana and succeeded in school or declare that they cannot succeed being stoned while performing their careers and professions. Remember Marijuana literally fries the human brain each time you smoke it, especially for undeveloped brains in pre-teen and teen children. So let us not kid our nation only to find our kids graduate from Marijuana and be promoted to Ice. How can all the combined smart people in Palau lose the war to the dope heads selling this shit to our kids? As of this writing, ice is becoming plenty in Palau.


バヌアツの政変劇とチャイナマネー [2015年11月26日(Thu)]
11222233_915138625230388_9161854425545411968_n.jpg


今年5月笹川平和財団主催「島と海のネット」会議に招聘した、バヌアツのラルフ•レゲンバヌ国土大臣。
帰国した彼を待っていたのは不信任案を突きつけた野党による政権剥奪であった。

バヌアツ政府の改革を進めるレゲンバヌ国土大臣。
彼の不在中にキルマン外相が野党に寝返り、野党から不信任案が提出された。
新しい政権でキルマンは首相になり、土地改革(豪州の金儲け主義の土地開発からバヌアツ人の利益を守ろうする動き)を進めていたレゲンバヌ大臣は野党に下った。

ニュースでは、3月にバヌアツを襲ったサイクロンの支援資金を前政権がしっかり管理しなかった事が原因、と流れたが、レゲンバヌ議員が明確に否定した。
政権を取ったグループは賄賂を受け取っていた嫌疑で裁判が待っていたのである。

裁判は行われた。政権与党の半分近い14名の議員が有罪との判決。
しかし、有罪判決を受けていた与党議長が、大統領不在中、大統領代理人の権限で全員に恩赦を与えたのである。

これが有効かどうか、の裁判がまた行われ、無効との判断が下り、14名の与党議員は有罪、牢屋行き、となったのである。

3月、日本で開催された国連防災会議で涙を流して同国のサイクロン被害支援を訴えたロンズデール大統領を覚えている日本人もいるかもしれない。
同大統領は先日議会解散を宣言した。
レゲンバヌ議員がいる野党は不信任案を提出し政権交代を狙っていたので解散という大統領の判断に不満の声も出ている。


当方はこれらの動きをバヌアツのFaceBookで追っていた。
5月にレゲンバヌ大臣を日本に招いた隙に、政変を招くきっかけを与えてしまったのではないか?と勝手に想像し責任を感じていたからだ。
この半年間、一瞬市民の暴動につながりそうな場面もあったがFaceBookや地元メディアが冷静な態度を呼びかけた。
バヌアツは80以上の島々と100以上の言語からなる国家である。太平洋島嶼国で唯一、独立運動中バヌアツ人同士が殺し合う状況があった国である。これはフランス政府と米国の土地成金が背後にいた。

今回の政変劇にも黒幕がいる。
シンガポールか香港の会社である。
彼等はタックスヘブンを目的にバヌアツ政府に航空建設や移民事業で攻勢をかけていた。その彼等が、大金を前首相のモアナ・カルカセス・カロシル議員に渡し、彼が今回有罪となった議員に配ったそうである。
バヌアツに逃げたいチャイナマネーが、人口25万人の後発開発途上国バヌアツ共和国の政治に混乱を招いている。
そしてその土台を作ったのは、旧宗主国英国、シティである。

矢内原を読む「米国の日本移民排斥について」ープリンストン大学のウィルソン排斥運動と絡めて [2015年11月25日(Wed)]
<プリンストン大学ウィルソン排斥運動>
米国のプリンストン大学が、学生の抗議運動を受けて、同大学の学長も務めた米国大統領ウッドロー•ウィルソンの名前を同学から消し去る、という。
理由は、ウィルソンが人種差別者であるからだ。

"Understand Windrow Wilson"
By Richard Cohen
November 24, 2015
http://www.realclearpolitics.com/articles/2015/11/24/understand_windrow_wilson_128836.html


共和党の知人に確認したところ、ウィルソンが人種差別者であることは多くの歴史家も検証しており動かし難い事実であるという。加えて、私は始めて知ったが人種差別組織KKKの誕生を題材にした「国家の誕生」という1915年の映画は米国で大ヒットし、ウィルソンはホワイトハウスで上映会まで開催したのだそうだ。


<矢内原の「米国の日本移民排斥について」>
これを知って、読み飛ばそうと思っていた矢内原の「米国の日本移民排斥について」(植民政策の新基調。矢内原忠雄全集第一巻: 595-609)を急に読む気になった。
1924年の日本移民禁止条項を含む米国の新移民法について、排斥の経済的理由、排斥の人種的理由、排斥の社会的理由、排斥の政治的理由、排斥の法律的理由、以上5点から科学的に分析しようとしている。

なぜ日本人だけなのか? 日本側は人種差別を訴えるが米国は経済的理由であると主張する。また日本人が同化しないから、生活レベルが低いこと等を理由にあげているが、その要因を作っているのは米国ではないか、と矢内原は反論する。
また移民法は国内法か?と疑問を呈し、

「米国は己の欲する如き移民法規制定の権利を有するといふが如き法律的理由を以て、その最後の場面を飾りたるは決して米国の名誉ではない。「権利」は屢々暴行の美名である。」(矢内原1963: 609)

と手厳しく糾弾している。


<効き過ぎた?日本大使の”おどし”>
この日本移民排斥法が遮二無二可決された背景を矢内原は分析している。
移民法案の米国議会審議中、埴原大使が公文にて

「本問題は日本に取り便宜の問題にあらず、主義の問題なり。国民感情の問題を惹起せざる限り単に数百名の、否数千名の日本人が他国の領域に入国を許されざるや否やの事実は、何等甚だ重要なる問題にあらず。重要なる問題は日本が一国として他国より正当の尊敬及考慮を受くる資格ありや否やの点にあり」といひ、而して此法律の通過は「重大なる結果」をもち来たらする虞れありとして抗議したのである。(矢内原1963: 605)

米国は埴原大使の「重大なる結果」という表現に反応した、と矢内原は書いている。即ち「覆面の威嚇」、「ただで済むと思うなよ。」と受け取られたようである。

矢内原は、当時日本は既に帝国となっており、米国とは満州の権益で衝突していたし、メキシコ領に日本が海軍根拠地を作るという「デマ」だけで米国上院はそのような行為を禁止する決議を可決している、ことを当時の米国の敏感な反応としてあげている。
以前、ブログに書いたアラスカのブリストル湾事件を思い出しても、2隻しか派遣しなかった日本漁船について100隻以上が来たとの報道をしているから、米国のこのパラノイア的反応は頷ける。


<League of Nation, Birth of Nation>
ウィルソンが唱えた国際平和、League of Nation。
ウィルソンが讃えた映画、 Birth of Nation
人種差別者ウィルソンが唱えたどちらのNationも白人の世界だったのである。
しかし新渡戸稲造が事務局次長として育てたLeague of Nationは白人以外の小国のパワーが増す結果となった。そして日本はその小国の数の力に、League of Nationを去るのである。
号外 ミクロネシア連邦議会米国との自由連合破棄を決議 [2015年11月24日(Tue)]
2015年11月19日の、ミクロネシア議会で、現在米国と締結されている自由連合協定を2018年までに破棄することが決議され、大統領の了承待ちとなった。

決議内容は下記の通り。

自由連合は米国のミクロネシア連邦に対するチャリティではない。米国は安全保障で多くの利益をミクロネシアから受けている。
にも拘らず米国の態度は一方的である。
例えば事前の協議なくミクロネシア短期大学の予算をカットした。
さらに、米国への入国が以前より厳しくなった。
よって自由連合協定の協定破棄条項に従ってミクロネシア政府は米国との自由連合を破棄する。


2023年に予定されていたのは協定支援金の中止であり、自由連合ではない。
自由連合の中止となればこの地域の安全保障の枠組みが一機に崩れる。
現在のクリスチャン大統領は、数年前、議員だった時に同様な提案をしているので本決議を承認する可能性が大きいのではないか?
また今決議されても2018年までの3年間で某かの妥協案が出て来る可能性がある。
当方は、ミクロネシア連邦だけでなく、パラオマーシャル諸島も含め、日本と米国が共同で自由連合を締結するのがよいと思う。経済では日本との関係の方が近い。


NINETEENTH CONGRESS OF THE FEDERATED STATES OF MICRONESIA
THIRD SPECIAL SESSION, 2015
C.R. NO. 19-155

A RESOLUTION
Requesting the President of the Federated States of Micronesia to
terminate the Amended Compact of Free Association with the United
States of America, pursuant to section 441 of the Amended Compact,
such termination to take effect no later than 2018.

WHEREAS, the Amended Compact of Free Association was
entered into by the Federated States of Micronesia and the
United States of America with the intent of maintaining a close
and mutually beneficial relationship between our two nations;
and
WHEREAS, the United States derives many benefits from the
Amended Compact, not least of which is its exclusive control
over the military use of the Federated States of Micronesia’s
extensive territorial waters and airspace; and
WHEREAS, the recent words and deeds of United States
policymakers suggest they view the Amended Compact as an act of
charity by the United States rather than a treaty between two
sovereign nations; and
WHEREAS, the United States has abused its majority on the
US-FSM Joint Economic Management Committee (JEMCO) to force
through resolutions contrary to the interests of the Federated
States of Micronesia; and
WHEREAS, most recently, the United States members of JEMCO
have unilaterally made drastic cuts to the funding of the
CRL 19-165
A RESOLUTION
Requesting the President of the Federated States of Micronesia to
terminate the Amended Compact of Free Association with the United
States of America, pursuant to section 441 of the Amended Compact,
such termination to take effect no later than 2018.
C.R. NO. 19-155
1 College of Micronesia-FSM without prior discussion or
2 consultation with leaders of the Federated States of
3 Micronesia; and
4 WHEREAS, the United States Senate Committee on
5 Appropriations has recently recommended that the United States
6 Department of Homeland Security consider establishing a pre-
7 screening process and requiring advanced permission for
8 prospective travelers from the Federated States of Micronesia
9 and other Freely Associated States to enter the United States;
10 now, therefore,
11 BE IT RESOLVED that the Nineteenth Congress of the
12 Federated States of Micronesia, Third Special Session, 2015,
13 requests that the President of the Federated States of
14 Micronesia terminate the Amended Compact of Free Association
15 with the United States of America, pursuant to section 441 of
16 the Amended Compact, such termination to take effect no later
17 than 2018; and


BE IT FURTHER RESOLVED that certified copies of this
resolution be transmitted to the President of the Federated
States of Micronesia.
Date: 11/19/15
Introduced by: /s/ Isaac V. Figir
Isaac V. Figir
/s/ Bonsiano F. Nethon
Bonsiano F. Nethon
/s/ Robson U. Romolow
Robson U. Romolow

矢内原を読む 「シオン運動(ユダヤ民族郷土建設運動)に就いて」 [2015年11月23日(Mon)]
「矢内原忠雄全集第一巻」にある植民政策の新基調の中に「シオン運動(ユダヤ民族郷土建設運動)に就いて」が納められている。

新渡戸稲造の国際連盟事務局次長が1919年に任命されて、急遽東大の新渡戸の後釜に指名されたのが矢内原で、2年の国外留学を命じられ、帰ってきた頃、1923年に書かれた論文である。
パレスチイスラエル問題は、太平洋島嶼国にも無縁ではないがあまり関心が湧かず、何もわかっていない。が矢内原の論文は面白かった。
矢内原がこの論文を書いた1923年はまだ民族衝突が起る前の希望に満ちた時であったようだ。

矢内原はシオン運動に興味をもった理由を2つあげている。

「シオン運動が私の興味を惹く一つの点はその非資本家的営利主義的非搾取的植民事業にあり、資本主義的植民の行きつまらんとする今日、特に注目に値する処である。もう一点はユダヤ民族の復興たる点にある。」(矢内原1963:531)

1800年代後半からロシア、ルーマニアに住んでいたユダヤ人の迫害が過酷になり、特にポーランドは酷かった事を矢内原がニューヨークに向かう船で同船したポーランド系ユダヤ人から確認している。

「併乍ら私が1922年末ヨーロッパより紐育に向かう船中同船せる多数のポーランド系ユダヤ人が異口同音に其憎悪的差別待遇を呪い、旧ロシア、ドイツ、オーストリア帝政のいづれも現ポーランド政府よりは寛大なりしと言ひ、一日も早くポーランド国の滅亡を希望せる事により、之を新興国に縷々見る処の排他的民族主義と思ひ合すれば、ポーランドに於けるユダヤ人が如何なる運命の下にあるやを想像するに難くない。」(矢内原1963: 548)

また矢内原はユダヤ人が多民族に同化していれば当時のユダヤ人問題はなかったし、それだけでなく

「然るに彼らの死亡率は低く、繁殖力は増大であり、その社会的経済的活動の能力についても定評がある。」(矢内原1963: 551)

と書いている。それゆえに少数異種民族が競争力を持って自分たちの土地に存在する事が問題となった、のであろう。


そして、シオン運動を可能にしたのがベルサイユ会議で合意された「委任統治」制度であったのである。

矢内原は希望に満ちたコメントを至る所の書いている。例えば。。

「将来中央アジア小アジア地方の発展に伴い、パレスチナが再び国際交通上の重要地点を占むるべきは、恐らくは私の空想に止まらないであろう。果たして然らばパレスチナのユダヤ人植民地にも繁栄の将来が横たわって居るものと言い得よう。」(矢内原1963: 577-578)

矢内原忠雄、留学を終え東大に就職した数年後、30才の時の感想である。
矢内原を読む「矢内原忠雄の植民政策の理論と実証」 [2015年11月22日(Sun)]
矢内原忠雄の文章を読みながら、膨大な矢内原研究も少しずつ読んでいる。
しかし、多くが東京裁判史観、そして植民研究に関連しては矢内原のキリスト教との関連に集約されているような「気」がしている。勘違いかもしれない。

そんな中で、矢内原忠雄のご子息矢内原勝氏が書いた下記の論文はとても参考になる。

「矢内原忠雄の植民政策の理論と実証」
(1987.10)、三田学会雑誌80巻4号
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00234610-19871001-0001.pdf?file_id=76598

矢内原忠雄の植民地研究が概観されている。
新渡戸稲造との関係、アダムスミスの植民論の影響、そしてフィールドスタディを重視しようという姿勢が南洋群島の研究と繋がっている、という話だと思う。
以前読んだ時とまた感想が違う。

この論文の中で、

「研究室の火災の際、矢内原忠雄が?集した各国植民地関係の資料もすベて消失したので, 彼はいよいよ植民政策研究放棄の決意を固めたのである。」(p24(308))

とある。しかし戦後矢内原は

「東大での国際関係学科の創設, 国際関係論, 国際政治経済論, 国際政治論の講義担当」(p21(305)

している。植民研究の成果はここに繋がっているのではないか?
矢内原忠雄の植民研究がキリスト教との関連で語られていることと同時にアダムスミスの植民論を知らずに矢内原、新渡戸の植民論の研究がされているような「気」がだんだん強まっている。

次回は下記の論文と「シオン運動に就て」を読みたい。
飯田鼎「矢内原忠雄と日本帝国主義研究」(1982.4)三田学会雑誌75巻2号
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00234610-19820401-0035.pdf?file_id=77260
太平洋の楽園の島とヤクザ [2015年11月22日(Sun)]
今話題の「ツイッター組長」
当方もフォローさせていただいている。
「ツイッター組長」は留学経験もあり、英語も得意。世界の金融、経済、政治への視点も興味深い。

無視されるであろうと思いつつ質問してみた。
「外国人にどのように日本のヤクザを説明したら良いのでしょうか?」

意外にも「ツイッター組長」さんから返事をいただき丁寧な説明をいただいた。
その内容をここに書いて良いかわからないのだが、以前読んだ下記の「6代目・司忍組長単独インタビュー」に共通している内容だ。


6代目・司忍組長単独インタビュー
http://www.sankei.com/west/news/150831/wst1508310022-n1.html
2011年10月1日
「【山口組組長 一問一答】(上)
全国で暴排条例施行『異様な時代が来た』」としてMSN産経ニュース


私たちは、映画の寅さん、テレビの清水の次郎長、神社のテキ屋、高倉健の映画等々で「ヤクザ」の存在をそれなりに知っているが、触れず、語らずの存在としているように思う。
これを歴史も文化も違う外国人に説明するのは難しいのだ。
今まで学者、政治家、官僚等々に聞かれた経験があるが、どうもすっきり説明できないでいた。


このブログを読んでいただいている方はもう認識いただいていると思うが「太平洋の楽園の島」は越境犯罪の楽園でもある。
ある日羽生会長に説明させていただいたことがある。
「太平洋の島にはロシアマフィア、世界のビリオネラー、アラブの王族、あらゆる犯罪組織が跋扈しています。しかし彼等を手玉に取っているのが島嶼国のリーダー達でもあります。」
ウィルソンが深慮なしに掲げたself-determination、民族自決は小国の主権につながり、世界の越境犯罪を招くオソロしいパワーの側面を持つ。

このような島嶼国での犯罪は以前は噂で聞く程度、地元紙に小さく掲載される程度であったが、ICTの発展のおかげで広く知られる様になった、と思う。これもあまり触れず、語らぬようにしたいが、海洋保護も博論で取り上げた情報通信も越境犯罪と深く結びついているのだ。

きっと「ツイッター組長」に聞いたら教えてくれるかもしれない。
しかし知るのが怖い。


これで思い出した。バヌアツのどんでん返しが連続の政変劇。
書くタイミングを見計らっていたが、もうそろそろ書きたい。背景にいるのがどうもheavenならぬhavenを探しているチャイナマネー、のようである。
矢内原忠雄を読む『朝鮮統治の方針』 [2015年11月21日(Sat)]
韓国の事は相変わらず関心湧かないが、関心がある矢内原忠雄が『朝鮮統治の方針』を著しており、「少なからず朝鮮の人々より感激と感謝とを以て報ひられた。」(矢内原1963: 538)と自ら書いている。
以前ザッと読んだが、再読した。
多分そこに日本の植民地運営の問題が、また現在韓国が執拗に繰り広げる反日の要因が書かれているのではないか、と思ったからだ。

朝鮮は1919年独立万歳事件が発生し流血の惨事となった。
これによって日本の朝鮮統治は武断主義から文治主義となった。
しかしこの文治主義は民衆の文化的欲望を向上させた。

 「旅行の誘惑、文明品の誘惑、朝鮮人は如何にしてこの欲望を満足する事が出来るのか。自己の財産を売ることによりて。」(矢内原1963: 728)

「朝鮮人の経済的欲望は向上した。しかし欲望満足の手段は之に伴わない。彼等の生活程度は或は進歩したであろう。しかし生活の不安はさらに増加した。而して交通の進歩、貿易の発展、法治制度の完備、教育衛生の施設、産業の開発、事業経営の資本主義化、すべて之らの文化的政治の実行が朝鮮人に与へたる経済的影響は決して無条件に良好なるものではない。否却って或意味に於いては朝鮮人今日の経済的不安は文化政治の結果であると言い得る。」(矢内原1963: 729)

この経済的要因が1926年の民衆の暴動の動きに繋がった。しかし背景にあったのは共産主義である、と矢内原は述べる。

「而して此度の事件は共産主義的色彩が中心となり、之が民族主義者と提携し、全鮮赤化の主義によって民族運動の目的を達せんことを期したるものの如くである。大正八年の独立万歳事件の際は米国大統領ウィルソンを精神的後援とせる民族自決主義の運動であったが、今回は労農ロシアを後援と頼む共産主義的民族運動であった。」(矢内原1963: 727)

多分こういう史実は朝鮮や植民研究をしている人には常識なのであろうが、矢内原、新渡戸をここ2、3年しか勉強していない、しかも片手間にしか勉強していない当方にとっては驚く内容である。


矢内原はこの朝鮮問題を分析するだけでなく、

「朝鮮統治の責任を負担せる我国人の一人として、その統治方針は何処に目標を置くべきかの問題に関し、私も亦所見を陳ぶるの義務を感ずる。植民政策研究の一学徒としての義務が之を強める。」(矢内原1963: 730)

として朝鮮は分離独立しないであろう、と述べつつ仮に分立独立しても日本国民の名誉ではないか、と下記のように述べている。

「仮に自主朝鮮が全然日本より分離独立を欲するとしても、そのことは日本にとりて甚だしく悲しむべきことであるか。道を以て領有関係が平和的に終了せられたる場合には、其後の友誼的関係の維持が期せられ得る。仮に朝鮮が我国より分離したとて、当然に我国の敵国たるものではない。
第三に、かの李朝以来疲労困憊せる朝鮮が、我国統治の下に於いて活力を得、独立国家として立つの実力を涵養することを得ば、之れわが植民政策の成功であり、日本国民の名誉ではないか。朝鮮統治の責任を完全に果たしたるものとして満足すべきではないか。」(矢内原1963: 742-743)


当時朝鮮の人々に感謝された同論文は日本ではどのように受け止められたのであろうか?
矢内原忠雄は1961年に亡くなっている。
もし生きていれば現在の日韓関係をどのように分析し、何を提案するのであろうか?


明日は以前読んだ下記の論文を再読したい。
「矢内原忠雄の植民政策の理論と実証」
矢内原勝
三田学会雑誌 (Keio journal of economics). Vol.80, No.4 (1987. 10) ,p.285(1)- 309(25)
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00234610-19871001-0001.pdf?file_id=76598

参考文献
矢内原忠雄1963 「朝鮮統治の方針」、植民政策の新基調、植民政策研究I, 矢内原忠雄全集第一巻、岩波書店
| 次へ