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早川理恵子博士
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パラオの観光に異変 [2015年01月30日(Fri)]
パラオのGDPの約半分に当たる70億円位の収入が観光に寄るものだ。
観光で生きているパラオ。そのパラオの観光に異変がおきている。

<中国大陸からの観光客激増>
2001年には44,454人だった観光客は順調に増えて2013年には約2倍の101,546人となっている。
世界でも有名なダイビングスポットに世界から人が集まる。他方、IMFのレポートではパラオの観光がダイビングに偏っており、その脆弱性も指摘している。もっと多様化せよ、と。
中国大陸からも観光客を誘致せよ、と。。。
IMF Country Report No. 14/111 REPUBLIC OF PALAU
http://www.imf.org/external/pubs/ft/scr/2014/cr14111.pdf

昨年10月のパラオ出張。いつも泊まるホテルが取れなかった。中国大陸からの観光客でどこもいっぱいなんだそうである。台湾と外交関係にあるパラオ。観光客の上位は毎年、日本、台湾だった。それが昨年、香港とマカオから直行チャーター便が就航。2013年は9.147人だった中国大陸からの観光客は2014年には39,236人と一機に4倍。しかも増えたの直行便就航の8月以降なので、実際にはその倍以上のインパクトがあったと考えてよいのではないだろうか?

参照 Immigration / Tourism Statistics
http://palaugov.org/immigration-tourism-statistics/


<現地の悲鳴>
これによってどんな影響が現地にあるのか?
まずは、台湾、日本、韓国等々長年の顧客を抱える現地旅行会社がホテルを予約できないという問題が発生。
加えて、中国人のマナーの悪さ。珊瑚を取る、道にゴミを捨てる、注意しても聞かない等等。
そして、安いパッケージで来る中国人観光客は現地にお金を落とさないのだそうである。
よって、我らがレメンゲサウ大統領は、地元の観光業協会や、商工会議所、一般の人々の苦情対策に当たっている様子です。

<国交のない中国>
そんな中で、昨年のニュースにあったのが、帰国チャーター便が故障で飛ばず、100人位の中国人がパラオで右往左往し、駆け込んだ台湾大使館職員は「人道上」支援にあたった、という話である。国交がない、とはこういう事なのである。今後何か政治的、人道的事故があった場合の対処ができない、ということだ。そこで下記のIsland Timesにあるように、レメンゲサウ大統領は現在存在しない入国ビザの設置を指示した。中国と名前は挙げていないものの、明らかに国交のない中国対策である事は想像できる。

<ヤップの観光開発とパラオの関係>
一昨年になるが、日本にメディアまで騒がしたヤップの巨大リゾート開発。噂によると開発会社ETG社長のケ鴻(Deng Hong)が昨年逮捕され、立ち消えになっているようだ。
このケ鴻氏、自家用飛行機に美女と料理人をワンサカ載せて、しょっちゅうヤップに来ていたらしい。これも噂ですが。
現在、香港、マカオからの中国人観光客が購入するパラオパッケージツアーはナント日本の半額の10万円くらいだそうである。パラオの地元ホテル代を負けるとは考えられないので、飛行機会社が相当安く、2万円位で出しているとしか考えられない。
そして、そこにケ鴻のような怪しい投資家が紛れているのではなかろうか?、
パッケージツアーに紛れれば、習近平主席の汚職撲滅運動や、地元の巨大リゾート開発反対運動の目を騙す事ができるかもしれない。これは単なる当方の憶測ですが。
パラオでは5階建てのホテルを11階にする計画も進んでいるという。
これってもしかしたら、リゾート開発の名目で行われるマネロンではないでしょうか?

- - - - - - - -


President Remengesau has written Senate President Camsek Chin asking him to introduce a draft legislation that authorizes the charging of a processing fee for the issuance of visas/entry permits to certain tourists coming to Palau.
In the letter dated January 7, 2015, the President noted that under the decision in ROP v. Carreon, the Palau Supreme Court made clear that the charging of fees in this context needs authorization from the Olbiil Era Kelulau (OEK), and thus I asked that this brief piece of legislation be introduced during this January session.
The draft legislation, which was attached to the letter, states that, “The Bureau of Immigration is authorized to set and charge fees for the entry of persons, ships, or airplanes and for their continued presence in the Republic.”
The President noted that currently Palau grants visas automatically and without charge to all visitors from every nation upon arrival here.
Remengesau said this practice denies the government the ability to proactively control who comes in to Palau, and is out of step with generally accepted international practices.
“For a few years now we have placed various restrictions on the entry of citizens from certain nations, but these intermittent efforts are no longer viable as our tourism sector has grown. Accordingly, we need a more comprehensive approach,” he said.
The President said that this new approach will require citizens of some nations to obtain a visa or entry permit prior to embarking on their journey to Palau.
Remengesau said that citizens of those countries with whom Palau have diplomatic relations, and those who are members of the Pacific Islands Forum (PIF), will be exempt from this requirement can come to Palau as they always have.
However, according to the President, if you are not a citizen of the aforementioned countries, you will need to apply and be granted a visa.
“As you understand, implementing this new requirement will cost money, and thus it makes sense to charge visa applicants a processing fee,” Remengesau stated.
The President said that a new fee will allow Palau to realize revenue from tourists that can be used to offset the cost of processing visa applications and for other purposes.
“As you will see, the draft legislation is general. It authorizes the Executive Branch to charge fees for visas and entry permits. This language is needed to ensure that all fees we charge for the entry of people or renewal of entry visas will be upheld by the Court,” Remengesau concluded.
Though seen by many people as an attempt to limit the influx of tourists from Mainland China, the President has said the move is not targeted at a particular nation but to deal with growth in the tourism sector in a sustainable way.
A record number of 140,784 tourists came to Palau last year, with majority of them coming from Mainland China. Some sectors have expressed alarm, saying that instead of high-end tourism Palau is getting mass tourism. But others argue that the influx of Chinese visitors and businesses to Palau is actually helping fuel the economic growth of this island nation.
ISLAND TIMES. January 23, 2015.
自由連合、おさらい [2015年01月27日(Tue)]
戦後70周年記念や、天皇皇后両陛下のパラオ訪問が近づいているからであろうか、「自由連合協定」のキーワードでこのブログをたどり着く人が多いようだ。
ばらばらに書いてあるので、ここでおさらいしておきたい。

現在ミクロネシア3国と米国、そしてクック諸島、ニウエがニュージーランドと締結する「自由連合」
これを植民地主義とか帝国主義と誤解している人が多いようだが、戦後国連で確認された脱植民地運動の3つの選択肢の一つ。過去に植民地だったところは下記の3つの選択を示された。
1.どこかの国に統合されるか、
2、独立するか、
3.もしくはどこかの国と自由連合を締結するか。

ちなみに「脱植民地化委員会」はまだ国連の中にあり、太平洋では、グアムやニューカレドニアが議論の対象となっている。

この自由連合を国連に提案したのがニュージーランド。人口数万人の小さな島を独立させるなんて非現実的。でも自決権は持ちたい。妥協案が「自由連合」

自由連合という制度を理解するには第一次世界大戦後の委任統治、第二次世界大戦後の信託統治の歴史的背景をたどる必要もあるが、ここは省きます。

この脱植民地化のはずの、ミクロネシア3国と米国が締結する「自由連合」を新植民地主義、帝国主義と誤解する人の気持ちもわかる。

米国は現在のミクロネシア3国を、冷戦下で独立させるつもりは毛頭なかったのだ。しかし、ソビエトからの圧力、そして何よりもミクロネシア地域からの要望があり、この自由連合を、米国(ミクロネシアではなく)の安全保障を優先させた、即ちニュージーランドが提案し、国連が承認した自由連合のアイデアとはかけ離れたものにしてしまったのである。

加えて「植民」に対する二重の誤解がある。
これはアダム•スミスの『国富論』を読むとわかる。そしてスミスに学んだ新渡戸稲造、矢内原忠雄を読むとわかるのだが、簡単に言うと。。
人類数万年の歴史イコール植民の歴史なのだ。
ところが過去4−5百年の西洋による地球規模の植民地化は、搾取、虐殺、奴隷化、等々あらゆる非道の連続であった。なので「西洋諸国による」という括弧付きの植民地化である事を認識しなければならない。

そして、日本はミクロネシアに、台湾に、朝鮮に、満州に、このスミスが議論した植民地政策を実施しようと試みたのである。

ミクロネシアの人々が日本時代を懐かしむのは、なまじっかお世辞ばかりではないであろう。
日本統治時代は、経済開発、教育、インフラ整備がされたのである。このことを書いた矢内原忠雄氏の『南洋群島の研究』は英文も出ているが、中古が全く見つからない。パラオの人が読みたいというので探したのだ。
これは想像だが、日本の統治があまりにすばらしいかった事を証明する資料であるため米国が燃やしてしまったのではなかろうか。

ジャスティン•ビーバーの靖国参拝問題 [2015年01月26日(Mon)]
娘につき合って、一昨年はジャスティン•ビーバー

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昨年はケーティ•ペリーのコンサートに行った。

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二人とも単なるポップスターではなくて、曲も歌詞も自分で作る。歌唱力もあってなかなかだが。

「お母さんの時代はね、Kiss, Queen, Princeよ」

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「え、キモワル。」
「た、確かに見た目はキモワルイが、音楽は断然こっちの方が。。」


ジャスティンもケティも日本びいきらしい。
お母さんの時代にはなかった、欧米ポップスターを巡る反日活動を見る事ができた。

ジャスティンは家族で日本旅行中に靖国神社を訪ね参拝。それをツイッターに掲載したところ、中国、韓国のファンから轟々と非難の嵐。そのツイッターは消して、「韓国も中国も愛してるよー」というメッセージを載せたようである。

ケティは、日本のキャリー•ぱみゅぱみゅのファンでもあり、和服でステージに立ったところ、これも中韓からの非難の嵐、だったようだ。

このような現象はお母さんの時代にはなかった。
お母さんの時代の日本のファン、と言えば小野洋子さんと結婚したジョン•レノンだろうか。ジョンも小学校の頃からのファンで、日比谷の追悼集会にも行きました。ジョンが日本びいきだからと、中国、韓国から叩かれた話は聞かない。


島サミットの流れを変えた第6回 [2015年01月26日(Mon)]
笹川会長に「早川に聞け」と言われて連絡をくださった、外務省大洋州課課長がもう一人いる。
飯田慎一氏である。お会いした事はない。白山のレストランで奢ってもらってはないが、ちゃんと事後報告してくださり、この方も官僚に珍しく礼儀のある方で、感謝している。
普通官僚は照会をしておきながら事後報告なんかしない。

当方が前回の第6回島サミットに提案したのは米国の参加と海洋問題である。
これが両方とも議事に取り上げられた。

米国の50%以上のEEZが太平洋にあるのである。
そして、島サミットのカウンターパートであるPIFは豪NZ即ち英連邦系で、米国とのつながりが強いミクロネシア3国はメンバーになっているものの、居心地が悪い状況だ。
平たく言うと、下記のような違いだがこの小さな、どうでもよいさそう違いは相当気に障るようである。

ラグビー vs 野球
ビスケット vs クッキー
トマトソース vs ケチャップ

後は学校や金融、その他の社会システムも米英の違いは明確だ。


結果、前回の島サミットに米国の参加があったが、具体的な動きまでには繋がらなかったようだ。今回の島サミットでは是非米国の具体的関与を提案したい。米国もクリントン長官が「太平洋の世紀」と唱えておきながらほぼ、何もしていない。パラオの米国大使は、議会が1年以上保留したあげく、日本の天皇皇后陛下訪問を控え、慌ててこの12月に着任が決まったくらい。日本からの良い意味での圧力を米国も期待している、と思う。


海洋の方は、日本財団が主張する「守られる海から守る海へ」これにつきる。
PEWのようなプロパガンダ組織にやられる前に(もう相当やられているが)日本の水産外交(漁師保護から海洋資源保護に重点を置いた)を進めるべきである。
PEWが、デカプリオが、そしてポールワトソンが「カワイイ」と言っている、鯨、イルカ、亀、ジュゴン、サメを食べる習慣は太平洋島嶼国の伝統でもある。


矢内原忠雄を読む 蝋山政道は帝国主義者 [2015年01月25日(Sun)]
とうとう矢内原忠雄全集の植民地政策を扱った1−5巻を購入してしまった。
やはり線を引きたいし、コメントを書き残しておきたい。
何よりも矢内原先生の文章は難しくて何度も読み返す必要があるのだ。新渡戸先生の文章は明解なのに、なんで矢内原先生はこんな文章になってしまったんでしょうか?

その中の「南洋委任統治論」をぱらぱらめくったら、戦後、笹川良一氏を誹謗中傷した蝋山政道東大教授を、矢内原先生が「馬鹿じゃない、全然意味不明」(下記の引用参照)とケチョンケチョンに叩いているのを見つけた。
しかも笹川良一氏を批判した蝋山政道は矢内原先生が仰け反る、帝国主義者なのだ。
加えて笹川良一氏が反対した翼賛選挙では近衛の推薦を受けて当選している。
南洋を足がかりに太平洋を制覇せよ、オーストラリア、ニュージーランド、アジアへの足がかりとせよ主張しており、まさに彼こそが占領思想、帝国主義思想の持ち主で戦後裁かれるべき人物ではなったのであろうか。


矢内原先生が蝋山政道を叩いている箇所を引用。

「...北に満州、南に南洋を戦略戦術的及び経済政策的に根幹として太平洋に覇を唱え云々の思想言論態度は自殺的矛盾ではないだらうか。」

「太平洋唱覇ー国際平和機構の利用ー未開土人に対する善政、この三者は必ずしも論理的に連関しない。太平洋唱覇必ずしも土人に対する善政者ならず、土人に対する善政者必ずしも国際連盟の一因たるを要しない。余は不幸にして教授の言の解釈に苦しむものである。」

矢内原先生の人柄は良く知りませんが、これだけ言わなければならない気が済まない蝋山政道って、しかも翼賛選挙で推薦もらって当選している蝋山政道って。(笹川良一氏は推薦なしで当選)
言葉がありません。
Global Ocean is Swarming with Money 海洋に群がる大金 [2015年01月24日(Sat)]
PEW=Bloom.png


PEWのプロパガンダネットワーク



<PEW - プロパガンダ組織>
世界の海洋環境NGO PEWがプロパガンダ組織である事は、以前から聞いていた。
2008年にミクロネシア海洋安全保障事業が開始してから実際ににPEWと付き合ってみると、だんだんと確信をもってそうである、しかもかなり悪質なプロパガンダを行っている事がわかってきた。

しかし、この事を専門家はささやき合っても、論文とかには書いていないようなのだ。
その事を先日会議でお会いしたフランス人の海洋専門家に聞いたら、フランス語ではたくさんあるんだけどねえ、探して送るよと言っていただき、送ってくれたのが下記のサイト。

Blue Lobby Transparency
http://bluelobby.eu/

オリジナルは仏語で、英訳してあるので、英語が少し変なのではないかと思うが、概要はわかる。


<PEWのFacebook>
PEWのような、ignorant でarrogantで無責任な組織に時間を使う意味はないとも思う(現場経験をした方の共通認識なので敢えて書きます)。しかし、その影響力は見過ごせない。以前ブログでも書いた通り、オバマ大統領も、ケリー長官も、デカプリオまで、さらに重要なのは海洋保護区を主張するパラオ政府が手玉に取られている。
で、勉強のためにPEWのFacebookをフォローしている。彼らのプロパガンダはだいたい下記の2点に集約される。

1.かわいそうなサメさん、クジラさん、イルカさん、
2.悪いのは「日本」

マグロのご祝儀相場を取り上げて日本叩きらしきプロパガンダがあったので、「あんたらプロフェッショナル組織でしょ。ご祝儀相場を知らないの?」とコメントしたところ、下記の回答が。

"You are correct. As champions for the conservation of this species, we think it’s important to use these high-profile occasions to spotlight the plight of Pacific bluefin tuna and the need for better management. Ultimately the price we would pay for not acting is far too high. Thanks for commenting!"

私たちプロパガンダしています、と意外と素直に白状した。

<PEWの餌食となるSIDS>
この悪質プロパガンダ組織を野放ししておく訳にはいかない理由がある。太平洋島嶼国の、即ち昨年SIDSに集まった首脳たちがみんな洗脳されているのだ。政治家だけでない、学者もだ。コロンビア大学のDaniel PaulyまでがPEWの影響下にあるのはショックだ。
このサイトを送って下さったフランス人の海洋専門家の下記コメントは、私がモヤモヤとここ数年心の中に留めていた事だ。

"It is shown how their protection/no take Policy leads to a de facto appropriation of the ocean... I think Palau's and other SIDS' decision-makers should be fully aware of it."


<海洋に群がる大金>
ではいったいPEWの目的は何か?
PEW自体は石油成金のPEW一族の基金である。(wiki情報だと2009年時点で基金6千億円、利子が360億円で事業費250億円)
その組織防衛であろう。組織防衛はどこも必要だがやっている事のたちが悪い。
一昨年、当方が豪州ビリオネラーと仕事をしている時PEWがまさに蠅のように群がってきた。魚の事なんか一切話に出ない。
「私たちが全てを知っています、全てを仕切っています。金は、ドローンは?」それだけなのだ。
私はこの現場経験で、PEWの全てを見た気がした。だから、ある程度の確信をもってこのブログが書ける。

海洋に群がる大金、次回はチャイナ・マネーを書きたいと思います。

元祖島サミットー小渕総理が笹川会長のアドバイスを求めた理由 [2015年01月23日(Fri)]
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戦後70周年や天皇皇后陛下パラオ訪問のせいか、このブログを多くの方達、特にマスメディア、学者、外務官僚が読んでいただいているようで、最近問い合わせが多い。
太平洋の小さな島々や、笹川平和財団に関心を持っていただく事は嬉しい事である。

前回書いた「小渕総理が笹川会長のアドバイスを求めると、大洋州課課長からフレンチをおごってもらえる話」では、なぜ小渕総理が笹川会長のアドバイスを求めに来たのかを書き忘れた。

それは、現在日本政府がPIFと実施している3年に一回の太平洋島サミットの元祖大本が笹川平和財団が1988年に実施した「太平洋島嶼国会議」だからである。
この会議の資料は英和共にデジタル化しウェッブに掲載した。

この会議で竹下内閣総理大臣祝辞を代読したのが小渕恵三内閣官房長官。
http://www.spf.org/spinf/spinf_j/profile/conference_opening.html#02

ちなみに同会議の議長が戦後初の太平洋島嶼国政策「倉成ドクトリン」を発表した倉成正衆議院議員(前外務大臣)。
http://www.spf.org/spinf/spinf_j/profile/conference_opening.html#03

だから小渕総理にとって太平洋島嶼国といえば笹川平和財団で、島サミット開催のアドバイスを笹川陽平会長に求められたのは当然の流れなのである。


「太平洋島嶼国会議」の成果として創設されたのが30億円の特別基金「笹川太平洋島嶼国基金」。私はこの基金創設2年後に入団し、うまく立ち上がっていなかった基金運営立て直しとガイドライン策定をやらせていただいた。今思い出すと、20代の小娘にして新入社員にすごい事をやらせていただいた、と思う。当時の基金の運営委員長をされていた笹川陽平会長に改めて感謝したい。
ミクロネシア協定署名について記事資料 [2015年01月22日(Thu)]
マスメディアからの取材が続いているが、やり取りの中でこちらが情報をもらえる事もある。
日本のミクロネシアへの戦後賠償、知らなかった。
ググったら下記の協定をみつけた。日米で夫々5MUSDをミクロネシアに拠出。

英文もあった。和文と比較して読むとなかなか興味深い。特に日本漁船の寄港に関しての箇所である。

和文では
「この地域とわが国との間の関係を調整し,将来に向かつて発展させることが双方にとり利益であるとの立場から,この地域で操業するわが国の漁船が,トラックおよびパラオの港に寄港することを認められるよう米側と折衝してきたが,この点についても最終的合意が成立するに至り,」

英文では
「I wish to confirm that Japanese fishing vessels and their crews will be welcome to call upon the ports of Truk and Palau for the purposes of purchase of supplies and rest and recreation of their crews. Available facilities may also be utilized for medical services for crew members and emergency repair of vessels. Access of Japanese fishing vessels to Truk and Palau shall be subject to requirements of the Administering Authority. Such requirements shall take into appropriate account needs of non-Japanese vessels as well as the capacity of the ports and their developmental possibilities.」

和文にあって英文にないのは、「この地域とわが国との間の関係を調整し,将来に向かつて発展させることが双方にとり利益である」の前置きである。
英文あって和文にないのが寄港中の詳細な活動が書かれている事と、他国の漁船がいる場合は日本漁船が優先されるワケではない、と明記してあるところだ。他国とは米国の漁船ではないか、と想像する。

それから、どちらも寄港地をパラオとトラックとしてある。「等」 and others がなく、特定している事が興味深い。

1950年、1960年代は牛肉を買うお金もなく、鯨肉でタンパク質を補っていたのだ。きっと太平洋の海を日本漁船が覆っていたに違いない。


現在は船の機能や冷凍技術が向上し、太平洋の小さな島々寄港する必要もなくなったようだが(素人考えで間違っているかもしれません)当時は、漁船にとってミクロネシアの島々はまさに生命線であったのではなかろうか。

= = = = = = = = = = = = = = = = =


データベース『世界と日本』
日本政治・国際関係データベース
東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室
より

[文書名] ミクロネシア協定署名について記事資料
[場所] 
[年月日] 1969年4月18日
[出典] 外交青書14号,411−412頁.
[備考] 
[全文]
 愛知外務大臣とオズボーン駐日臨時代理大使は,本日東京において「太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」に署名した。

 太平洋諸島信託統治地域は,わが国が第2次世界大戦まで国際連盟規約および委任統治条項により統治を行なつてきた旧南洋群島地域であるが,戦後は国際連合憲章および信託統治協定により米国の施政下におかれている。この地域の住民は,かねてから,第2次世界大戦中にこうむつた損害に対する補償を強く要望し,国際連合信託統治理事会もまた日米両国はこの問題を早急に解決すべきであるとの要請を行なつてきた。この地域が不幸にして第2次世界大戦中日米間の激戦の地となり,多くの現地住民が死傷し,あるいは物質的損害や精神的苦痛をこうむつたこともまた事実であり,この問題の実際的解決をはかることが望ましいと認められた。よつて両政府間で話し合いの結果,右のような現地住民の苦痛に対し日米両国が同情の念を表明しつつ,住民全体の福祉向上に寄与するとの見地に立つて,両国がそれぞれ18億円相当額の自発的拠出を行ない,さらにこの際平和条約第4条(a)により,両国間の特別取決めの主題とされ,かねてより両国間で交渉が行なわれてきたわが国と信託統治地域との間の財産・請求権の処理の問題についても,その最終的解決を確認することにつき合意に達したのである。

 なお,政府としては,この協定の締結に際し,この地域とわが国との間の関係を調整し,将来に向かつて発展させることが双方にとり利益であるとの立場から,この地域で操業するわが国の漁船が,トラックおよびパラオの港に寄港することを認められるよう米側と折衝してきたが,この点についても最終的合意が成立するに至り,またこの地域の領水内にある沈船で,沈没時に日本国籍を有していたものの日本側による引揚げも認められることとなつたので,これらについても交換公文の署名があわせて行なわれた。



PacLii より。(このサイトは笹川太平洋島嶼国基金の助成で立ち上げました)
http://www.paclii.org/


AGREEMENT BETWEEN THE UNITED STATES OF AMERICA AND JAPAN CONCERNING THE TRUST TERRITORY OF THE PACIFIC ISLANDS (with Exchange of Notes)

(Tokyo, 18 April 1969)

ENTRY INTO FORCE : 07 JULY 1969

THE UNITED STATES OF AMERICA AND JAPAN,

DESIROUS of expressing their common sympathy for the suffering caused by the hostilities of the Second World War to the inhabitants of the Pacific Islands formerly under League of Nations Mandate to Japan and now administered by the United States of America under the United Nations Trusteeship System as the Trust Territory of the Pacific Islands,

DESIROUS of making an ex gratia contribution to the welfare of the inhabitants of the Trust Territory,

DESIROUS of concluding a special arrangement, as envisaged in Article 4(a) of the Treaty of Peace with Japan, concerning the disposition of property of Japan and of its nationals in the Trust Territory and their claims, including debts, against the Administering Authority of the Trust Territory and the residents thereof, and the disposition in Japan of property of the Administering Authority and residents of the Trust Territory, and of their claims, including debts, against Japan and its nationals,

HAVE AGREED AS FOLLOWS:

Article I

1. Japan will make available in grants to the United States of America, in its capacity as Administering Authority of the Trust Territory, one billion and eight hundred million yen ([yen] 1,800,000,000), currently computed at five million United States dollars ($ 5,000,000), for the purchase in Japan by the Administering Authority of the products of Japan and the services of the Japanese people, to be used for the welfare of the inhabitants of the Trust Territory.

2. The provision of these products and services shall, unless otherwise agreed upon by the Government of the United States of America and the Government of Japan, be made over a period of three years from the date on which the Japanese budget for the fiscal year 1970 is approved by the Diet, or the date of the appropriation of funds by the Congress of the United States of America under Article II of this Agreement, whichever date is later. The provision of products and services by Japan shall, subject to detailed arrangements to be concluded pursuant to paragraph 3 of this Article, be made in a reasonably even manner during the period.

3. The Government of the United States of America, as [*3]  Administering Authority, and the Government of Japan shall conclude detailed arrangements for the implementation of this Article.

Article II

The Government of the United States of America shall, subject to the appropriation of funds by the Congress of the United States, establish a fund in the amount of five million United States dollars ($ 5,000,000), aside from its normal budgetary expenditures for the Trust Territory, to be used for the welfare of the inhabitants of the Trust Territory.

Article III

The United States of America, as Administering Authority, and Japan agree that all questions encompassed by Article 4(a) of the Treaty of Peace with Japan n1 concerning the disposition of property of Japan and its nationals in the Trust Territory, and their claims, including debts, against the Administering Authority and the residents of the Trust Territory, and the disposition in Japan of property of the Administering Authority and the residents of the Trust Territory, and their claims, including debts, against Japan and its nationals, are fully and finally settled.

Article IV

This Agreement shall enter into force on the date of receipt by the Government of the United States of America of a note from the Government of Japan stating that Japan has approved the Agreement in accordance with its legal procedures.

IN WITNESS WHEREOF, the undersigned, being duly authorized by their respective Governments, have signed this Agreement.

DONE at Tokyo, this eighteenth day of April, 1969, in duplicate in the English and Japanese languages, both being equally authentic.[FOREIGN LANGUAGE TEXT OMITTED]

________________________________________________

[Exchanges of Notes]

No. 200   TOKYO, April 18, 1969
EXCELLENCY:

In connection with the Agreement between the United States of America and Japan concerning the Trust Territory of the Pacific Islands, signed today, I have the honor to confirm, on behalf of the Government of the United States of America, its understanding that, in view of the fact that all claims of Japan and its nationals against the United States of America, as Administering Authority, and the residents of the Trust Territory are recognized to have been disposed of, Japan and its nationals are fully and finally discharged from all liability for Micronesian claims falling under Article III of the Agreement, including claims arising out of the involvement of the Trust Territory in the Second World War.

The Government of the United States of America, as Administering Authority, intends to make provision for payment, in whatever form, manner and extent it considers appropriate, and not exceeding the sum corresponding to the total amounts to be contributed by the United States of America and Japan by virtue of the Agreement, of claims of individual Micronesian inhabitants of the Trust Territory referred to in Article III of the Agreement.

I should be grateful if Your Excellency could confirm on behalf of your Government that the understanding contained above is also the understanding of your Government.

I avail myself of this opportunity to renew to Your Excellency the assurance of my highest consideration.[FOREIGN LANGUAGE TEXT OMITTED]

Translation

APRIL 18, 1969.

SIR,

I have the honor to refer to your note of today's date, which reads as follows:

I have further the honor to confirm, on behalf of my Government, that the understanding contained in your note is also the understanding of the Government of Japan.

I avail myself of this opportunity to renew to you the assurance of my high consideration.

No. 201   TOKYO, April 18, 1969

EXCELLENCY:

I have the honor to refer to the Agreement between the United States of America and Japan concerning the Trust Territory of the Pacific Islands, signed today.

Having regard to that Agreement, I wish to confirm that Japanese fishing vessels and their crews will be welcome to call upon the ports of Truk and Palau for the purposes of purchase of supplies and rest and recreation of their crews. Available facilities may also be utilized for medical services for crew members and emergency repair of vessels. Access of Japanese fishing vessels to Truk and Palau shall be subject to requirements of the Administering Authority. Such requirements shall take into appropriate account needs of non-Japanese vessels as well as the capacity of the ports and their developmental possibilities. Access for Japanese fishing vessels shall be accorded from the date on which the Administering Authority may commence purchasing Japanese products and services provided for by the Agreement.

I further wish to confirm that the Administering Authority of the Trust Territory of the Pacific Islands will accord the Government of Japan and its nationals (including juridical persons), for a period of three years from the date on which the Administering Authority may commence purchasing Japanese products and services provided for by the Agreement, the opportunity to salvage and freely dispose of ships sunk in territorial waters of the Trust Territory which were of Japanese nationality at the time of sinking. The Administering Authority is prepared to enter into detailed discussions to this end with your Government.

I avail myself of this opportunity to renew to Your Excellency the assurance of my highest consideration.[FOREIGN LANGUAGE TEXT OMITTED]

Translation

APRIL 18, 1969.

SIR,

I have the honor to acknowledge receipt of your note of today's date, which reads as follows:

I avail myself of this opportunity to renew to you the assurance of my high consideration.

SIGNATORIES:

FOR THE UNITED STATES OF AMERICA

DAVID L OSBORN
[SEAL]
FOR JAPAN


KIICHI AICHI
[SEAL]


DAVID L. OSBORN
Charge d'Affaires ad interim

His Excellency
KIICHI AICHI
Ministere for Foreign Affairs

DAVID L. OSBORN, Esq.,
Charge d'Affaires ad interim of the United States of America, Tokyo


KIICHI AICHI
Minister for Foreign Affairs of Japan
ミクロネシア連邦日本漁船拿捕は国内問題? [2015年01月21日(Wed)]
(当初の原稿から修正があります。青字の箇所です。)

先週の読売新聞の記事が出てから、このブログへのアクセスが相変わらず通常より、2倍3倍になっているし、メディアや、水産専門家、そして何よりも羽生会長からも照会があって、これは本腰を入れて勉強せねばと思っているところである。

ミクロネシア連邦日本漁船拿捕は実はミクロネシア連邦の国内問題という側面で簡単にメモしておきたい。(現在旅の途中)


1.統率が取れないミクロネシア連邦
あまりここには書きたくない話だが、ミクロネシア地域をよく知る専門家の間の暗黙の了解がある。
「ミクロネシア地域で事業をするのであればパラオ」
別にミクロネシア連邦、マーシャル諸島の人々がパラオに比べ劣る、という話ではない。
連邦制を取るミクロネシアはその統率がなかなか取れないのである。特に首都のあるポナペ州と人口が国の半分を占めるチュック州の軋轢が大きいとあらゆる方から聞く。

人口
チュック州 54,595 (48%)
ポナペ州 34,685 (30%)
コスラエ州 9,686 (8%)
ヤップ州 16,436 (14%)
合計 115,402 (数字はwikiから)

2.ポナペ州の被害
今回の日本漁船拿捕で実質的被害を被っているのは、肝腎の漁業資源ではなく、首都ポナペのインフラ運営である。漁船一隻辺りの経済効果(推定)が約500万円。州の空港・港湾当局の主要収入でもある。しかし今回の拿捕で日本ばかりではない他国の漁船も寄港しなくなった。漁船員が地元で落すお金もばかにならないのだそうである。ポナペ州の(ミクロネシア連邦ではなく)インフラ機能にも市民の生活にも今回の拿捕はマイナスとなっており、地元業界から正式なクレームが連邦政府に出た、と聞く。

3.チュック独立運動
この過激な拿捕を進める米国人法律家スキリング司法長官を後押しするのがチュック州出身モリ大統領。異例の2期を努め、今年春には引退する。大統領のポジションは暗黙の了解で各州持ち回りになっており、次はポナペ州の番だそうだ。
同国への支援は人口が2番目のポナペ州に集中するのである。ポナペさえよければ後はいい、というのがポナペのリーダー達、とこれも至るとこで耳にする。即ち深刻かつ独特な国内格差問題がある。
ここで現れたのがチュック独立運動。チュック州の政治家が同州の政治的地位検討委員会を2013年に立ち上げている。
参考 Chuuk Reform Movement
https://chuukreform.wordpress.com
ちなみにヤップ州も独立か、パラオにつきたい、という声が時々出て来る。(この状況が中国からの投資や支援につながっていいく)

4.チュック問題
ミクロネシア連邦最大の課題がチュック州問題。極大雑把に言えばそれは土地制度にある。土地所有を主張する人々が教育、インフラの開発整備を遅らせている、という話である。
ポナペの例になってしまうが、世界的に有名になったエコツーリズムのThe Villageというホテルが数年前に閉鎖した。ここのオーナーは西洋人で(多分米国人)知り合いだったので原因を聞いた。土地は借料である。当初数名だった土地所有者がいつの間にか30名位に増えていて、賃貸契約が成立しない事が原因だった。
戦後の日本でGHQが大鉈を振るった土地改革。米国政府は信託統治となったミクロネシア諸国には対策を取らなかったようである。
小渕総理が笹川会長のアドバイスを求めると、大洋州課課長からフレンチをおごってもらえる話 [2015年01月19日(Mon)]
風が吹けば桶屋がもうかるような話である。

今年5月に第7回目の開催が予定されている太平洋島サミット。
1997年の初回は橋本内閣の時で、やったかやらなかったのかわからないような扱いであった。

2回目はすごかった。なぜか?
小渕総理がこの2回目の島サミット開催について笹川会長のアドバイスを求めにいらしたのである。
これは25年の当方の太平洋人生でも忘れられない一コマ。

ある日、突如笹川会長から呼ばれ、

笹川会長
「小渕総理が来て島サミットの件でアドバイスを求められた。積極的に実施するよう、また是非沖縄で開催するようアドバイスしたところ、協力を求められた。何ができる?」(正確な発言内容は覚えていませんがだいたいこのような内容でした)


「(そんな突然言われても〜)えー、えー、ジャーナリスト招聘でしょうか。。」

1回目はほとんど国内国外共メディアカバレッジがなかったのだ。笹川太平洋島嶼国基金はメディア事業を10年近く実施してきたので、地域に影響力のあるメディアを知っていた。
当時の大洋州課宮島課長が小渕総理に言われて、笹川会長に挨拶に来られ、笹川会長から早川に聞くように、と言われたらしく、宮島課長から連絡があったのも覚えている。

小渕総理は、第2回島サミット直前に亡くなられ、森総理がサミットに参加された。

まだある。サミットの後、JICA, JETROそして笹川平和財団共催で、即ちオールジャパンで、フォローアップ会議をフィジーで開催。ここに森総理が参加。これも笹川会長が動いた。

日本の総理が、太平洋の小さな島国の事業にこんなにコミットするなんて、外務省として大事件だったようである。その時の宮島課長からお礼がしたいと、東京の白山にあるフレンチでディナーをおごっていただいた。
外務省には色々貢献してきたつもりだが、ごちそうになったのはこれだけである。
笹川会長の外務省への貢献は当方と比較できないが、それでも外務省は認識していないのだそうである。人間関係が構築できない官僚外交ここに極まる。
宮島さんは東京都の新設ポスト「外務長」に昨年就任。こういう義のある人は出世する。

ところで、やったかやらなかったか、誰も知らなかった第1回島サミットの目玉事業がUSPNetだった。これも笹川会長の指示で当方がODA案件になるよう、7年くらいかけて仕込んだ案件である。これは外務省から「余計な事をしやがって」と怒鳴られた案件だが、その後日本ODAのICT案件と言えばUSPNet、との地位を築いている。

2003年の第3回、2006年の第4回、2009年の第5回、2012年の第6回。笹川太平洋島嶼国基金はそれぞれ貢献してきた。
天皇皇后両陛下パラオ訪問直後の第7回島サミット。どのような貢献ができるであろうか?


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