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早川理恵子博士
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アメリカのために世界を敵に回したパラオ共和国 [2013年03月13日(Wed)]
アメリカのために世界を敵に回したパラオ共和国

昨年、12月。大型台風Bophaが近づくパラオの情報をウェッブで収集した時、パラオはこの台風ではなく、パレスチナ問題で世界から注目を浴びている事を知った。
国連決議でパレスチナが「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げされたのだが、反対した国家が9カ国あった。そこにパラオが入っていたのである。

<反対票を投じた国>
米国、イスラエル、カナダ、チェコ、パナマ、
マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウル、パラオ

パラオが、そしてまた太平洋の島国がイスラエルパレスチナ問題に関心があるとは聞いた事はない。明らかにアメリカの意向に従った投票である。ナウル以外のマーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオ共和国は米国と自由連合協定も締結している。



パラオを裏切ったアメリカ

ところが、忠誠を誓ったパラオを、アメリカ議会は早々に裏切ったのである。2月の事だ。2009年に15年間の第一次自由連合協定が終了した米とパラオ。2010年からさらなる15年の協定が約束されていたが、それが伸びに延びて、先月の米国議会で否決されてしまったのである。
詳細はウォールストリートジャーナルが報じている。

Sequestration in Paradise
- Palau worries it will be collateral damage in Washington's budget fight.



パラオのアメリカへの忠誠はこれだけではない。2009年にはアメリカのイラク戦争の尻拭いまでさせらている。世界中どこも受け入れを拒否したグアンタナモのウイグル人をパラオが受け入れたのだ。
イラク戦争、米中問題、中国の国内問題等々、過大な背景のあるウイグル人受け入れは、小さな島国には負担が大きすぎた。
パラオが受け入れたウイグル人のリーダーが、日本経由で失踪していたのである。周知の事実だったようだが、レメンゲサウ大統領が年明けにメディアに公表した。パスポートも書類もない人間がどのように出国したのか?パラオの国家としての法執行能力が問われる事となった。(日本も?)



日本との自由連合を提案

今回のパラオ出張では、まさに上記に関わる渦中の人と3日間いっしょにいた。名前は出さないが、大統領も、日本大使館も彼に会いたいがために、当方とのアポを入れたようであった。
米国との自由連合はどちらにしろ10年後には切れる。米国にその意思はない。
他方、米国もミクロネシア3国も本来の、即ち戦後ニュージーランドが国連に提案し、採択された「自由連合」について誰も理解していない、という事がここ数年のヒアリングでわかった。
本来の自由連合は、非植民地化のプロセスなのである。冷戦下、米国はこの制度を逆用し、植民地化を強化したのだ。
3日間、渦中の人と自由連合について多くを議論させていただいた。

渦中の人は、米国との自由連合協定交渉担当となるのであろう。当方をダシに行われたパラオ国内の駆け引きで、渦中の人は意を決したようであった。
「僕とリエコにはアイデアがある。日本とパラオの自由連合を締結する可能性だ。」
某元閣僚との談話で、渦中の人が突然話しだしたのは驚いたが、ドキドキした。

ミクロネシア諸国と日本の自由連合。羽生会長から、頭がおかしいと思われるから誰にも言うな、と言われている当方の提案である。

米国のパラオへの支出は15年で229ミリオンドル。年間15億円程度だ。
現在、沖縄の米軍に対し日本は年間2千億円拠出している。米軍がグアム等移動すれば負担へ減る(ハズ?)。
そして「戦略なき日本のODA」は、現在年間約100億円を太平洋の島々にバラまいている。
15億円の負担は日本に取ってそれほど重くないはずである。

パラオだけでなく、同じく米国と自由連合協定を締結するマーシャル諸島、ミクロネシア連邦とも自由連合協定を締結すればよい。さらに、米国であって米国ではない、グアム、マリアナ諸島もその可能性はある。
年間100億円程度で広大な海洋で繋がるミクロネシアと日本の新たな関係が生まれる。これが日米同盟の新たな方向だと考えている。

「胡蝶の夢」黒川清先生からのメール [2013年03月11日(Mon)]
有難き、信じ難き、事なれど、
あの黒川清先生から年明けにメールをいただいた。
これは「胡蝶の夢」かしら。

確かに一昨年クアラルンプールの太平洋学術会議でお会いし名刺は交換させていただいた。
でもまさか。
人違いではなかろうか。

先週、疑心暗鬼でお会いした。
これも有難き、信じ難き、事なれど、
この「やしの実通信」のブログを見てくださっているようだった。
今年、グアムとフィジーにご一緒する事になった。

グアムは米国元下院議員でもあるグアム大学のロバート・アンダーウッド学長が黒川先生を以前より招待されていた。
近々、黒川先生をキーノートスピーカーに迎え、米軍トップクラスも参加する500人規模の会議が予定されている。主催者が発表したら、このブログでもご案内したい。
先に知りたい方はコメントかメールください。


黒川先生が委員長を務められた国会事故調査委員会は国会で審議もされなかったそうである。
私もインターネットで会議の様子をできる限り見ていた。

日本の対太平洋島嶼政策は、原子力開発と直結している。
米国の太平洋政策が日米同盟である。
日米同盟も原子力問題も、東京とワシントンだけで語っていては前に進まない。
グアムで、ミクロネシアで、そして太平洋で語って行くことになるだろう。
太平洋通勤族 [2013年03月10日(Sun)]
10年ほど前からニュージーランドに拠点を移し、太平洋を南北に横断して日本通いが続いている。片道11時間のロングホールだ。
日本を拠点にミクロネシアにも足を延ばす。

こんな長距離通勤をしている人が他にもいた。福武總一郎氏。ベネッセの会長さん。
知り合いでも、お友達でも、お会いした事もない。

昨年末、地元の新聞にReiko Fukutakeなる人物が当方の通う大学に“ハーフミリオン”(だいたい4千万円)を寄付した、との記事が掲載された。
Reiko Fukutake?日本人の名前である。そんな奇特な人物は一体何者であろう?
こういう時グーグルは便利。
福武書房、ベネッセのFukutakeさんのようだった。しかも福武總一郎氏は2006年に家族でニュージーランドに移住したと自ら語っている。そしてニュージーランドから日本に通っているのだそうだ。
なんだ、同じ太平洋通勤族ではないか。

なんでまたニュージーランドに? 福武書房の経営者はかなりのお金持ちらしい。
で、ここからは下衆の勘ぐり。
ニュージーランドは相続税がない!貧乏人に悩みがあるように、お金持ちにはお金持ちの悩みがある。しかもニュージーランドの銀行の金利は4−5%。10億円もあれば年間4−5千万円の利子。羨ましい。

ベネッセの「しまじろう」は娘のために毎月4−5千円払って2年ほど購入していたので福武ファミリーの悩みに当方も貢献しているかもしれないと思うと、なんとなく、悔しい。
お金と幸せは比例するものではないし、と自分に言い聞かせても、何故か、空しい。

下衆の勘ぐりは時間の無駄だし none of my business

人生、収入やポジションではない。「何をしたか」である。
福武總一郎氏は、直島という瀬戸内海の島の開発でも有名なようだ。
公害で悩んでいた島が芸術の島に生まれ変わった。
同じ太平洋通勤族。太平洋上空でお会いする機会はあるだろうか。



一度ある事は。。。 [2013年03月05日(Tue)]
出張人生四半世紀。
幸い、今まで大きな事故には遭わなかった。

笹川会長の出張を見ると、当方の出張は些細なものだが、決定的に違うのはアポ取りからホテル、飛行機の手配、全て自分でやる、ということだ。
これも幸い、今まで順調に進んできた。

ところが今回の出張。始めてのトラブル続き。
日本行きの早朝出発便に乗るためオークランドで一泊する。
夜10時頃、ホテルにチェックイン。
「あなたの予約はありませんよ。これ日付が違います。残念ですが今日は満室です。」
「え!どこかホテルないでしょうか?」
と粘ったが、どこも満室だと言う。
こんなケアレスミスは四半世紀の出張人生始めてだ。

空港のインフォメーションセンターで聞け、と言われたのでスーツケースを押して空港へ。

すわ、空港で一夜を過ごす事になるのか、眠れないな、とこれからの予定が頭を過る。
翌日は11時間のロングホール。さらにアイランドホッピングでパラオに。体が持つだろうか。。。今回の出張も大統領や大統領補佐官との協議というヘビーな内容だし。

幸い空港のインフォメーションセンターの女性は親切だった。20カ所くらい、時間にして1時間以上、電話でホテルを探してくれた。
結局、夜中の2時近くになったが、ベッドに横になって3時間ほどの睡眠(ほとんど寝ていないが)を取り朝6時に空港に向かった。

さて、一度ある事は二度あるのだ。
搭乗予定の飛行機がエンジントラブルで遅延。最終的に機体を替える必要があるとのことで、2時間ほど遅れた。こんな事も四半世紀の出張人生始めて事だ。

二度ある事は三度ある。なにやらさい先の悪い出張となりそうだ。三度目はなんだろう、とどきどきしながら旅を続けた。

三度目は確かにあった。目的地パラオに到着してすぐのことであった。
夜10時近く。ホテルに大統領補佐官が待っていた。
島国の離島問題 [2013年03月04日(Mon)]
島国の離島問題

220px-Flag_of_Sonsorol.svg.png 200px-Flag_of_Hatohobei.png

ソンソロール州とトビ州の州旗 カワイイ!


有人離島を800余り有する経済大国日本。
そんな日本でさえ費用対効果の視点から、離島の支援はなおざりである。
しかも本土から、より遠方で、より人口や土地が少ない、即ち経済効果が低い離島ほど、支援の手は遠のく。
そんな離島に住んでいるのが悪い、と平気で言う政策研究者も数少なくない。

経済大国の日本でさえこんな状況である。
途上国の太平洋島嶼国の離島は推して知るべし。
首都のある島でさえその経済開発がおぼつかないのに、国家内のユニバーサルサービス、あまねく平等な支援などできる余裕はない。

パラオ出張で、元大統領補佐官のクアルテイ氏と3日間多くのディスカッションをした。その中にパラオの離島問題があった。
米国の自由連合協定の資金150ミリオンドル、約140億円で本島バベルダオブの各村々ととコロールが道路でつながった。90年代半ばの話だ。通称コンパクトロード。
この恩恵に与れなかったのが離島からなる5つの州。
ペリリュー、アンガウル、カヤンゲル、そしてソンソロール、とハトホベイ(通称トビ)。

この5州の中のペリリュー、アンガウル、カヤンゲル州は本島バベルダオブ、もしくはコロールから船で1、2時間程度。よって人口も順に700、300、200と多い。
パラオの総人口は約2万。その内約1万3千が中心地のコロール州に、約3千が空港近くのアイライ州に。即ち残りの約4千人が14の州に分散している。よってペリリューの700人という数字は第3位。

後者のソンソロール、ハトホベイ州はコロールから南西に300キロ、500キロの位置にありインドネシアの方が近い。
人口は100人、40人とウィキにあるが、みんなコロールに来ており実際は10人程度、と聞いた。
通信はSPCが置いて行ったRICSという衛星通信システムをPNCCが運営している。笹川太平洋島嶼国基金が支援したHFシステムもまだある。
このインドネシアに近いパラオの領海で365日、密漁が行われている。多分密漁だけではないはずだ。

こんな離島は放っておけ、という政治家もパラオにはいるそうだ。しかし、離島は護らねばならない。なぜか。離島が住みにくくなると、その人口はコロールにやってくる。コロールも土地が少ない。ソンソロール、トビの離島出身者はコロールで固まって住んでいる。
典型的な島国の問題である。
今回ナカムラ元大統領ともお話をする機会をいただいた。
教育と医療が整えば、島に帰っていくはず、とナカムラ大統領は言う。


パラオ、バヌアツ、キリバス。
具体的な数字をあげて説明できないが、この3カ国は太平洋島嶼国の中でも「自律性」が高い、と認識している。島担当25年の経験から、である。
共通点があった。 離島を大事にする島国。
バランサーの感覚が優れているリーダーがいる国だ。



パラオのの人口統計等、現地では手に入らなかった。
2005年SPCから出ている資料があったのでリンクしておく。
http://www.spc.int/prism/country/pw/stats/PalauStats/Publication/2005CENSUS.pdf