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沖縄海兵隊マリアナ移転を妨害しているのは中国だ! [2018年06月23日(Sat)]
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前回紹介した、米国の The U.S.-China Economic and Security Review Commission 米中経済・安全保障問題検討委員会 から6月14日に出た太平洋における中国の影響を調査した報告書。11ページにサイパンに関するコラムがある。

CHINA’S ENGAGEMENT IN THE PACIFIC ISLANDS: IMPLICATIONS FOR THE UNITED STATES
https://www.uscc.gov/Research/china’s-engagement-pacific-islands-implications-united-states

サイパンのカジノと中国のマネロンに関しては散々このブログで取り上げて来た。無責任な、というか手抜きか、意図的かわからない朝日の特集記事のことも指摘した。

サイパンの年金破綻が招くカジノ・チャイナマネー
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2166


カジノだけではなかった。沖縄海兵隊移転を阻止しているのも中国だ。

マリアナ諸島のテニアンには4,100人の沖縄海兵隊が移転する予定だ。そこに中国資本のリゾートを計画しているという。テニアン湾に40年リースで150億円のカジノリゾート建設計画。海兵隊の基地に重ならないとしても米国防省が懸念を示している。幸い、この事業は地元の規制で失速しているらしいが。。

安倍政権は、外務省大洋州課は、北米課は、旧日本統治領でもあった、そしてエノラ・ゲイが飛び立ったマリアナ諸島の現状を把握しているであろうか?
世界最大の違法操業国は中国だ! [2018年06月23日(Sat)]
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米国の The U.S.-China Economic and Security Review Commission 米中経済・安全保障問題検討委員会 から6月14日に出た太平洋における中国の影響を調査した報告書が話題になっている。

CHINA’S ENGAGEMENT IN THE PACIFIC ISLANDS: IMPLICATIONS FOR THE UNITED STATES
https://www.uscc.gov/Research/china’s-engagement-pacific-islands-implications-united-states

このブログで書いて来ていることばかりである。筆者は3人の若手研究者。スタッフレポートとあったので期待しないで読んだのだが読み出したら止まらなくなった。
これは外務省大洋州課必読です。重要なことは米国が太平洋島嶼国の問題を認識し始めた、ということです。

今回の島サミットでも議案になった違法操業。違法操業と言えば漁業大国日本と、日本のメディア、NGOが日本叩きをしている無責任さに微力ながら声をあげて来た。
この報告書には明確に世界最大の違法操業国は中国、と書いている。

9ページにあるコラムだ。
・2012年から2014年に中国は遠洋漁船を1830隻から2460隻に増加。
・西太平洋のマグロ漁船。中国は2010年の244隻から2016年には418隻に増加。
・2000−2011年、毎年違法操業で4.6millionメトリックトンを中国漁船がとっており、これは申請した数より12倍多い。

現場を見ているとわかるのが、中国漁船と太平洋島嶼国の政府がつるんでこのような違法操業を推進している事だ。
なぜ、日本漁船ばかりが目立つのか?しっかり規則を守ってVMSという装置をつけ、オブザーバーという監視員を乗せているからである。日本漁船を拿捕するれば大人しく法遵守するし、親会社が日本から飛んで来て言い値の保釈金まで払う。
中国漁船はそんな規則は守らないし、捕まえても誰も引き取りに来ないし、漁師が伝染病を持っている可能性もあるし、袖の下はすぐくれるし。。 
太平洋島嶼国の法執行能力を知っていれば、それは取り締まらないのは当然である。
トランプ大統領、オバマの海洋政策破棄(追記あり) [2018年06月20日(Wed)]
6月19日、トランプ大統領の大統領令がまた出ました。

今度はオバマ時代に役人が作った海洋政策を無効に。エネルギー開発、 漁業・経済発展に重点を置いた政策策定指示。

Executive Order Regarding the Ocean Policy to Advance the Economic, Security, and Environmental Interests of the United States
Issued on: June 19, 2018
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/executive-order-regarding-ocean-policy-advance-economic-security-environmental-interests-united-states/



もちろん環境団体等から非難轟轟。

下記のサイエンスの記事が比較的整理されています。オバマ案にあった「社会正義」 「生物多様性」 「保全」がなくなっているとのこと。
Trump’s new oceans policy washes away Obama’s emphasis on conservation and climateBy David MalakoffJun. 19, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/06/trump-s-new-oceans-policy-washes-away-obama-s-emphasis-conservation-and-climate


下記の記事を読むとオバマの海洋政策は漁業させない、パラオ型の手つかずの海洋保護のようである。2010年の同政策にパブコメを出したが最終案を確認していない。

TRUMP JUST ROLLED BACK OBAMA’S ‘UBER-BUREAUCRATIC’ OCEAN POLICIES
http://www.noia.org/noia-welcomes-new-executive-order-on-national-ocean-policy/


これからさらに各種メディアのコメントを見ていきたいと思います。
(追記)米国の海洋政策が太平洋に関連してくるのは、世界最大の米国のEEZの半分が太平洋にある米領の島からできていることなのです。オバマ政権の海洋政策は多くの漁業産業を潰してしまいました。それは無法な中国漁業を呼び込む結果になったかも、しれません。そもそも米国人が、政府の人間さえ、自国の広大なEEZが、島が太平洋にあることを認識していません。


<追記>
The Hill から
Trump rescinds Obama policy protecting oceans
BY TIMOTHY CAMA - 06/20/18
http://thehill.com/policy/energy-environment/393213-trump-rescinds-obamas-policy-on-protecting-oceans
下記要点
・オバマ大統領令の海洋政策は論争が多かった。 "controversial executive order"
・トランプの案は海洋を産業界、特に石油、天然ガス発掘に利用すると共に環境監視 ー environmental stewardship ーもコメント。
・海洋は数百万の雇用を創出し経済を強化する。
・オバマ案と対照的なのは気候変動、保全を述べていないところ。
・海洋掘削、海洋風力関連産業の協会、The National Ocean Industries Association会長はオバマ案は業界を狼狽させたがトランプ案生産的な協力が促進されることを望む、と。
・Center for American Progressの幹部は、沿岸地区の責任を取らないとトランプを批判し、今こそ沿岸地域の知事、部族リーダー、州議員、地元リーダーが海洋も守る時だ、と。


<ワシントンポストの今日6月20日の記事>
Trump just erased an Obama-era policy to protect the oceans
By Darryl Fears June 20
https://www.washingtonpost.com/news/energy-environment/wp/2018/06/20/trump-just-erased-an-obama-era-policy-to-protect-the-oceans/?utm_term=.7b9d96becabf
・オバマ大統領の海洋政策は2010年のメキシコ湾原油流出を受けて米国初めての政策であった。
・対照的にトランプ案はメキシコの事故に一切触れず、沿岸掘削を支援した内容。
・中国政府との関係を共和党議員から指摘されている環境団体Natural Resources Defense Councilはトランプ大統領令は無責任で、過去数年の地元、連邦政府関係者の努力が水の泡、と批判。
カート・キャンベルがトランプ政権を絶賛 [2018年06月20日(Wed)]
「あの」カート・キャンベルがトランプ政権を絶賛している。

2008年ミクロネシア海上保安事業が始まった時、「あの」クリストファー・ヒルから国務次官補で思いっきり嫌味のこもった手紙をもらった。
ヒルの後に来たキャンベルはヒラリー長官のアジア回帰の一貫でアイランドホッピングを開始。私はずっとフォローしていた。
何故ならばミクロネシア海上保安事業は日米同盟の一貫なのである。そうでなければならない。単なる海保と国交相の利権、天下り先支援事業ではない。

キャンベルが過去の米国の中国対策、政策は間違っており、トランプ政権は正しいとこの論文で述べている。但し、中国を孤立化させ、弱体化させてはいけない、と。米国は十分過去の経験から学べる、と。

キャンベルがトランプ政権を支えるポジションにいてくれるといいのに。太平洋島嶼国のためにもなるであろう。

「対中幻想に決別した新アプローチを ―― 中国の変化に期待するのは止めよ」
カート・キャンベル、イーライ・ラトナー
フォーリン・アフェアーズ・リポート
2018年4月号
https://www.foreignaffairsj.co.jp/journal/201804/
米国環境NGOは中国のプロパガンダ組織 [2018年06月14日(Thu)]
米国環境NGOが中国のプロパガンダ組織となっている事を指摘する手紙が、House Committee on Natural Resourcesの共和党議員から2018年6月5日付で発信された。


GOP Lawmakers Accuse Environmental Group of Aiding in Chinese Propaganda Efforts
By JACK CROWE
June 7, 2018 June 7, 2018
https://www.nationalreview.com/news/gop-lawmakers-accuse-environmental-group-of-aiding-in-chinese-propaganda-efforts/


レターの内容はここで確認できる。非常に興味深い、が一部だけ紹介。
https://naturalresources.house.gov/uploadedfiles/bishop-westerman_to_nrdc_06.05.18.pdf


Natural Resources Defense Council (NRDC) は、中国が世界最大の公害排出国である事を隠して来た。他方、トランプ政権になってから10日に1回の割合で政府を訴えている。
南シナ海を埋め立て環境破壊をし、軍事基地化している中国を無視し、米国海軍のソナー試験を訴えている。
レターは外国人によるプロパガンダ活動を禁止する法律Foreign Agents Registration Actを引用し、NRDCに期限付きの回答を求めている。1938年にできた法律だ。
(ちなみにこのForeign Agents Registration Act. Wiki情報では2007年までに1700人の外国を代表するロビーストが報告された、とのこと)
NRDCに突きつけられた締め切りは6月12日。ニュースに出てくるはずなのでフォローしたい。


これを読みながら、G7海洋プラスチック憲章に日米がサインしなかった事を、何の検証せずに批判している人たちが重なった。プラスチックゴミの海洋流出も中国が世界一である。G7とは関係ない。
私が「環境」と聞くとまずは疑ってかかってしまう理由はここにある。環境や文化というテーマを背景に政治的なプロパンガンダは行われている。パラオやキリバスの海洋保護区、もそうだ。


中国の軍事基地となるバヌアツ:その後 [2018年06月14日(Thu)]
この4月、バヌアツに中国軍の港湾が、というニュースがオーストラリア発で世界に流れた。既に4回に分けて事情を書いてきたが、その後もニュースをフォローしている。

バヌアツ − ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(1)
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2479
バヌアツ − ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(2)
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2480
バヌアツ − ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(3)
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2481
バヌアツ − ミュージカル南太平洋の舞台から中国軍事基地へ(4)
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2482


このニュースは中国がバヌアツ首相の新たな公式住居−公邸を建てたことを書いている。
そしてもしバヌアツが中国の軍港になるのであれば、ジプチに続く世界で2つ目の軍港になる、と。
Expanding influence: China approaches Vanuatu to create South Pacific military base
By Asian Correspondent Staff | 10th April 2018
https://asiancorrespondent.com/2018/04/expanding-influence-china-approaches-vanuatu-to-create-south-pacific-military-base/#5FbTYFjlgdQHjOUq.01


この記事もレゲンバヌ外相が中国の軍事基地化を否定していることに警戒を示している。まずバヌアツは、米軍の主要な軍事基地であるグアムと対峙するであろう。それにバヌアツはミサイル、ロケット、インテリジェンス基地としても最高の土地である。(思い出して欲しい。中国が港湾を作ったサント島はケネディ大統領もいた第二次世界大戦の時の連合軍の後方基地であった)バヌアツだけでなく、トンガ、クック諸島、パプアニューギニアその他みんな中国からの債務を抱えその返済がさらなる債務となって押しかかっていることをIMFが指摘。(今頃指摘?IMF中国の投資や観光客読んでこいってレポートに書いていた記憶がる。アジ銀だったか。)
What is China doing in Vanuatu?
By Alistair Denness | 18th April 2018
https://asiancorrespondent.com/2018/04/what-is-china-doing-in-vanuatu/#JpzVetK9MoFmQpEi.97


この記事は中国の軍事基地化とは関係ないのだが、バヌアツの刑務所を取材した記事。小さな島国の社会情勢が不安定で家庭内暴力は増え、法執行もままならない。公邸すら、官庁すら、インフラでさえも人たちで作れない。離島開発もできず、溢れ出る人口は都市に集中。だからサント島に港ができるのは第二の都市ができ、仕事もできる、という意味である。この刑務所には船長を殺したインドネシアの漁師も収監されている。
Inside the grim prisons of Vanuatu
May 22 2018
https://www.stuff.co.nz/world/south-pacific/104018732/inside-the-grim-prisons-of-vanuatu


この記事も中国の軍事基地化に関係ない。女性の議員をもっと増やせという請願だ。世界が軍事基地のニュースに注目している中、6歳の女の子がレイプされ殺された。バヌアツの人々にとってはこちらのニュースの方が重要だ。海洋安全保障、というと中国の脅威をすぐあげるが、その島に住む人々、特に女性や子供の安全保障を考えるべきだ。
Vanuatu women petition PM and start new political party
23 May 2018
https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/358018/vanuatu-women-petition-pm-and-start-new-political-party


最後は数日前にニューヨクタイムズからでた記事。著者は知り合いだ。
バヌアツの港、首都のポートビラの方は日本の支援。日本と中国どう違うか調べている。
日本はgrace period が10年。0.55%の金利で40年。
中国は grace period が5年。2.5%で15年。
それよりも契約条件に問題が。返済できない場合は「中国の法律、中国国際経済貿易仲裁委員会で処理」される。中国、合法的植民地化と法律の使い方わかってる。
"And the contract is entirely subject to the laws of China and any arbitration must be done via CIETAC − the China International Economic and Trade Arbitration Committee."
この記事書いたBen Bohane記者、見直した。
Vanuatu Denies Chinese Wharf Poses Threat to Australia
By Ben Bohane June 13, 2018
https://mobile.nytimes.com/2018/06/13/world/asia/vanuatu-china-wharf.html?rref=collection%2Fsectioncollection%2Faustralia&action=click&contentCollection=australia
無鄰菴にてー持続可能な日本庭園 [2018年06月11日(Mon)]
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山縣有朋が、京都東山に疎水を引き込んだ日本庭園を持つ別荘「無鄰菴」を作ったのは1894−1896年。
今、植彌加藤造園が管理している。
夕暮れの「無鄰菴」で蛍を見る会があり、植彌加藤造園の方(女性)と話す機会があった。

私が京都にいるのは同志社大学で海洋法を勉強しているからです、と話すと「海洋法?」と興味を持ちつつも想像できないようであった。そこで、蛍を見ながら、手付かずの自然ではない、手を入れた自然がここにもある、と考えたいたので、その事を話してみた。

私「海洋問題の一つに手付かずの海洋環境が、しかも広大な海洋を手付かずのままにするのが良いと考える海洋保護区があるのですが、人間が手を入れる事で逆に持続できる海洋、特に沿岸があるのです。里海、と言います。日本庭園もそうではないですか?」

加藤造園さん「日本庭園はまさに職人が手を入れて数百年と持続するのです。例えば枝を切らないと根も伸びて、地面の石を壊し、自然を壊してしまうこともある。奈良に千年以上続いている庭もあるのです。今その修復をしています。」

私」「千年!そういえばポニョの鞆の浦は神武、いやもっと前の縄文時代から数千年持続している沿岸でしょうね。しっかり人間の手が入っている。」

どこもかしこも日本庭園ばかりの京都。加藤造園の職人は芸能人並のスケジュール管理、なのだそうである。

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持続可能な開発。
国連で叫ぶ小島嶼国はいったいどれほどの経験、知識、伝統を持っているだろうか?彼らは島の資源を使い尽くして、また次の島を植民していった歴史もある。他方で、島と島のネットワークを持続し、資源を維持していった習慣もある。
今、小島嶼国が叫ぶ「持続可能な開発」は沿岸から隣接する海域をどんどん囲い込み、権利だけを主張する開発ではないか?


研究者?実務者? [2018年06月10日(Sun)]
Facebookの世界はまさに「不思議の国のアリス」
一昨日「笹川に関わったジャーナリストが仰向けになって海に浮いていた。誰にも言ってはいけませんよ。」
というメッセージを見ず知らずの人からいただいた。なぜ仰向けなのだろう?と不思議に思いながら、その方をブロックしました。


しかし、圧倒的にまともな人が多いのだ。最近は自衛隊の方が良くイイネをくださり、情報提供、アドバイもくださる。その中で

「早川さんのような研究者の意見は重要です。」

と言われ「研究者?」と疑問に思い返事を書こうと思ったが同じような「誤解」をされている方もいると思うのでここに書いておくこととした。

私は「研究者」ではない。「実務者」である。
研究は実務のためにしている。よってほとんど論文、特に学術論文は書いていない。
今まで、渡辺昭夫教授や笹川陽平会長名で政府に出して来た政策提言書や、基金ガイドラインを書き、この1年は各種ジャーナルに太平洋島嶼国の海洋安全保障とインド太平洋の話を積極的に書かせていただいた。

じゃあどんな「実務」をしているの?
具体的には、2008年のミクロネシア海上保安事業の立ち上げを一人で行った。
何をしたか? ほんの一部を書く。
この事業の最大の敵、国交省から財団に天下っていた羽生次郎氏を動かす事だった。だって指示がなければ動けない。
笹川会長の「太平洋の海洋問題を支援しよう」という提言を「海上保安」に絞ったのは羽生氏である。海保利権を考えて、だ。
そこに、日米同盟を「樋口レポート」を意識し「最初はミクロネシアで」と提案したのは当方である。
提案だけでなく、その基盤は過去十年以上に渡って現場で築いて来たし、3カ国の大統領を動かし、さらに当時の米国国務次官補クリストファー・ヒルに財団が米国のお膝元、ミクロネシア地域の安保に関与することを了解する手紙を書かせたのも当方である。

さらに書くと、現在関係が強化された日豪防衛、海洋協力を促進させたのも当方である。
当初、羽生氏は、秋山昌廣氏のアドバイスを受けて豪州には仁義を切らないで良いという方針であった。豪州をよく知る渡辺昭夫先生(当時笹川太平洋島嶼国基金運営委員長)と私が豪州を外したらアカンというアドバイスを無視したのだ。

ところがいざ事業が開始すると豪州が財団の関与に関し強いリザベーションを示した。
これを国交省と海保が「予約」と訳して報告書に書いている事に驚いき、まずい、と思った。英語が理解できないのが味方にいるという事だ。馬鹿な味方は強い敵より恐ろしい。
それを見た米国が「今まで太平洋の海洋安全保障(具体的にはPPBP)に貢献して来た豪州がウンと言わなければ米国も協力できない。」と言い出した。
ミクロネシア地域の海洋安全保障である!米豪の協力、理解を得ずに進められるはずがない。

「羽生さん、だから言ったじゃないの!」
と心で思ったが、羽生会長(当時)が先に「早川さんキャンベラに至急行ってほしい」と指示があった。さすが東大出の官僚!ここで事業潰せないよね。
しかし、このブログで何度も書いているが「行って来い」だけで、誰にあって何を話すか、全て任されるのだ。

こういう時、学術研究は役に立つ。その頃私は修士3つ(教育、国際政治、情報通信)、博士1つ目(開発学)を書いていた。これに現場の広い知識と経験。
豪州関係者は私の広い知識と見解と哲学に魅了されて(書いてて恥ずかしいけど、じゃあなんで皆んながコロっと支援に回ったの?私の美貌のせい?)一気に豪州を味方につける事ができた。そして海洋安全保障研究会を立ち上げたのだ。これも私の提案である。

ミクロネシアをめぐる日米豪の海洋安全保障協力体制。
2008年に始めたのは笹川平和財団、イヤ、私です。
島サミット特集:北朝鮮を支える太平洋島嶼国の便宜置籍船 [2018年06月07日(Thu)]
今回の島サミットが画期的だった理由の一つにこのブログでは散々取り上げている、太平洋島嶼国の主権ビジネス、その中でも北朝鮮を支援している便宜置籍船の件が首脳宣言に明確に書き込まれたことだ。下記の部分である。

「特に,首脳は,いわゆる「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁回避戦術に対して深刻な懸念を表明し,開発パートナーによる太平洋諸島フォーラム島嶼国に対するこの取組への支援を得ながら,現時点で船舶登録上,自国が旗国となっている貿易又は漁業に従事する北朝鮮船舶の船舶登録の解除を含め,関連の国連安全保障理事会決議に従った取組を加速させていくことの必要性を強調した。」

第8回太平洋・島サミット(PALM8)首脳宣言(福島県・いわき市)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/page4_004026.html


便宜置籍船に関して本を見つけた。非常に面白い。武城正長著『便宜置籍船と国家』(御茶の水書房、2013)である。


便宜置籍船の歴史からその詳しい発展、運営について書かれている。
特に小国が便宜置籍船ビジネスを行う理由に、その利益が少ないため行政費用を抑える、すなわち「面倒をみないこと」(16頁)「主権を行使しながら実行的管轄義務を十全に果たせない」(25頁)などを指摘している。
わかっていたが、このように書かれるといささかショックである。すなわち太平洋島嶼国政府は旗を貸した船が何をしようが、テロ活動をしようが、責任を持たないことを前提しているのだ。確信犯である。

それだけではない。便宜置籍船は日本や欧米諸国の海洋人材を失った。途上国の安い労働者がそれに変わったのだ。しかしこれら労働条件はひどいもので、中には船員ごと船をどこかの港に廃棄するケースもあるという。

欧州の海運国は自らの首を絞めるようなこのような制度は支援しなかったが、この便宜置籍船を進めた背景にあったのが米国の軍事戦略 Effective US Control Shippingであった、ということも一章を割いて詳細が書かれている。

この本、再度借りてじっくり読み込みたい。小島嶼国、海洋国家ではない沿岸国の独立とはこのような世界的な問題を引き起こす結果となっているのだ。

島サミット特集:安倍総理スピーチの分析評価ー歴史的海洋の権利 [2018年06月07日(Thu)]
「これから力を入れたいのは、第一に、海の秩序に法の支配を打ち立てることです。古来、私たちの海の恵みをもたらしてくれた太平洋。その太平洋で我々が昔から持っている権利を、国の大小に関わりなく守ってくれるのが法の支配です。」


英語では 
"Where Japan wishes to place emphasis from now is, first of all, in establishing the rule of law in the maritime order.
Since ancient times, it is the Pacific Ocean that has given us blessings of the sea. And it is the rule of law that gives protection to the nations, big and small, for their inherent rights."


太平洋・島サミット(PALM8)首脳会合における安倍総理の冒頭発言 より
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/0519speech.html


島サミットの安倍総理スピーチを勝手に分析評価している。
過去のスピーチを引っ張ってきて比較しなければ明確に言えないが、今までのスピーチと全く違うレベルだと思う。かなり草稿メンバーが充実し、勉強している。


「古来」「その太平洋で我々が昔から持っている権利」という箇所を読んで、えっ!そんな歴史を持ってきたら、伝説や亀や鮫のトーテム信仰まで持ち込んで自分たちの海の権利を主張する太平洋島嶼国をまた増長するのでは?と心配になった。
ちょうど大学の浅野教授の授業で南シナ海の件を勉強していたため、スピーチの発言の隠された意図がわかった!

中国の南シナ海、九段線の話である。仲裁裁判所は九段線について「資源について中国が主張する歴史的権利には法的根拠はない」としている。この安倍総理のスピーチはそのことへの当てつけ、ではなかろうか。

太平洋島嶼の人々、オーストロネシア語族は太平洋とインド洋を数千年前に自由に行き来していた歴史がある。それは考古学、言語学などで証明されているのだ。中国の九段線の主張とは違って!
しかし、太平洋島嶼国は海上を通航していただけなので、インド太平洋の「海洋の歴史的権利」を主張しだすとは思えない。

今回の島サミットにインド太平洋のコンセプトを後押ししたのは自分である。安倍政権も島嶼議連もその意識はあったが、きっかけが必要だったのだ。
実は一番私が言いたかったことは、天然資源や海洋を領土の隣接性を根拠に線を引いてどんどん囲い込もうとする動きは、決して太平洋島嶼国の伝統でも歴史でもない、ということだ。領海等、テリトリー主義の前に、魚、人間、海洋、気候等は人間が線を引いたテリトリーを超えてに行き来し、人間の方がその動きに合わせ応じて空間を認識し、動いていたはずなのだ。

数千年前、インド太平洋の海をネットワークしたのは太平洋島嶼国の人々だが、約150年前太平洋の海を面として、すなわち遠洋漁業を開拓したのは日本人、しかも安倍総理の地元、山口や瀬戸内海、紀伊の海人であったのだ。
それも安倍総理に言って欲しかった気もするが、ちょっと問題が複雑なので、これはしょうがない、か。