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その3第7回太平洋島サミットの見所 またもや笹川平和財団が主導した太平洋の海洋新秩序 [2015年05月24日(Sun)]
今朝の新聞各紙が、島サミットに関連し、海洋新秩序の事を取り上げたので、また書きたくなりました。

<笹川平和財団が主導した太平洋の海洋新秩序>
島サミットに「海洋問題」が独立アジェンダとして盛り込まれたのも前回の第6回島サミットからである。
これを、大洋州課課長の要望を受けて提案したのは当方である。
本当は財団として提案したかったが、羽生会長のその時の判断で個人の立場で提案させていただいた。
なぜ、海洋か?
繰り返すが、1997年に開始した島サミットは日本のプルトニウム輸送に対するPIFからの反対意見に対応するのが真の目的であった。よって海洋安全保障なんて、とてもとても、取り上げられない。もしプルトニウムの件がなくても、日本政府(具体的には外務省)は太平洋の海洋安全保障を何もしていないし、する気もなかったので取り上げないであろう。

しかし、太平洋といえば、その広い海なのである。
太平洋の海洋安全保障を開始したのは、笹川平和財団である。2008年の事だ。
このブログでも散々お伝えしているがメディアは産経以外ほぼ無視している、ミクロネシアの海上保安事業である。
笹川会長が太平洋島嶼国共同体案を提案し、海洋外交を強調してきたのである。当方の提案はそれに沿ったまでである。


<たかが魚、と侮るなかれ>
今朝の新聞には海洋新秩序に関連し、島サミット宣言の一項目だけを紹介している。
すなわち中国の太平洋進出を念頭においた下記の文章。

49 首脳は,太平洋における平和と安全の重要性を改めて述べ,国連海洋法条約及び関連実施協定を含む,普遍的に認められている国際法に従い,海洋秩序が維持されるべきことを再確認した。首脳は,自制的行動をとり,武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく国際紛争を平和的に解決することの重要性を強調し,海洋の安全及び海洋安全保障の分野において協力を促進する意図を再確認した。

しかしより重要なのは、海洋•漁業の6項目のうち下記4項目を占める「マグロ」の話なのである。

45 首脳は,太平洋地域の一部のまぐろ資源の持続可能性が危機にさらされているという最新の漁業資源評価に留意し,公海における協力を含め,中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の枠組みの下で,太平洋諸島フォーラム漁業機関(FFA)及び太平洋共同体事務局(SPC)を含む関係団体の協力を得て,効果的な保存管理措置の策定のために協力を増進することをコミットした。

46 首脳は,島嶼国の主要な収入源を損ない,太平洋地域の漁業資源の持続可能性を脅かす違法・無報告・無規制(IUU)漁業に強い懸念を表明した。太平洋の漁業資源の持続的利用から恩恵を受けている国として,首脳は,IUU漁業を根絶するために必要な措置をとるべく緊密に協力するコミットメントを確認した。

47 島嶼国の首脳は,日本による漁業関連の支援を評価し,長期的な経済発展を目指して太平洋漁業の活力ある持続可能な管理を向上させるためには,地域機関を通じたものを含む継続的な支援が必要であることを強調した。首脳は,漁業資源の持続可能性の向上やこの地域における日本漁船との間で相互利益となる関係の促進等,日本と島嶼国間の漁業分野における長期的な協力関係の重要性を強調した。

48 首脳は,近代的なマグロ漁船の太平洋船籍船への導入を含め,自国の海洋資源を適切に開発する島嶼国の権利を認識した。島嶼国の首脳は,日本と島嶼国間で漁業分野における協力関係をさぐる必要性を強調した。


マグロー高度回遊魚で太平洋を泳ぎ回り、日本だけでなく世界の人々のたんぱく源であるマグロは一機に太平洋の海を、島嶼国を、世界政治の舞台に押し上げた。
マグロのおかげで、FFA等の太平洋の地域枠組みが強化されたのであり、
マグロのおかげで、国際規制が発達し、IUUが発達し、さらに漁船による越境犯罪も発展した。
マグロのおかげで、島嶼国の外交カードは増えたし、
マグロのおかげで、環境プロパガンダ団体は日本叩きのカードを増やした。
マグロのおかげで、チャイナマネーは太平洋島嶼国に蔓延る機会を得、
マグロのおかげで、豪州王立海軍が太平洋での存在意義を認められ、
マグロのおかげで、PACOMは太平洋での活動理由を見いだし、
よって、マグロが第7回島サミットの主要議論となったのである。
たかが、マグロ、たかが魚、と侮るなかれ。

<日本は中国より断然優位>
新聞各紙は、中国の影響を過剰に取り上げているようだ。
確かに侮れないが、太平洋島嶼国の中で中国と国交のあるのは半分だけだ。半分は台湾。
日本は断然優位である。本来優位であるはずだ。。
加えてWCPFC, FFA等の漁業資源管理国際組織を牛耳っていた豪州の力は弱まっている。イヤ元々力も知恵もなかったのだが、それが10年経って露見し、日本の役割が求められるようになった。
あれだけ、白豪主義と太平洋戦争までした太平洋から追い出した日本に、豪、米がおいでおいでをしているのである。やぶさかではない。
太平洋の遠洋漁業を開始したのは日本。南洋庁時代にミクロネシアを拠点に沖縄の漁師さん達が開発した。海は繋がっている。太平洋の海は、日本の海なのだ。

<さらに一歩進める笹川平和財団>
さて、明日25日から、笹川平和財団は島と海のネット第1回総会を開催する。
キリバスのアノテ•トン大統領をお招きする。
太平洋と言えばキリバスだ。世界第3位のEEZ350万㎢を有している。(ただし島が小さく領海、接続水域を含めると世界15位)
さらに、笹川陽平日本財団会長も参加。
中根外務大臣政務官もかけつけてくださると言う。

太平洋島サミットを1988年に初めて主催したのも笹川平和財団
太平洋の海洋新秩序を2008年から本格的に手がけたのも笹川平和財団。
また、新たな一歩を踏み出す事になるのではないだろうか?イヤ、踏み出さなければならない。


その1 第7回太平洋島サミットの見所
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1201
その2 第7回太平洋島サミットの見所は”マグロ”だった!
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1202
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