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早川理恵子博士
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チュック州独立問題 [2015年02月16日(Mon)]
異例の長期政権となったミクロネシア連邦のモリ大統領。
この5月で終了予定。

以前御伝えしたカツオ漁船拿捕の件もそうだが、長期政権の終盤は混乱の様子を見せているようだ。
その一つがチュック州の独立の動き。

イエズス会のヒーゼル神父がとうとうコメントを出した。
ヒーゼル神父と言えば、ミクロネシアの人々の心の支え、モリ大統領始め、パラオのレメンゲサウ大統領等々リーダーの先生だった方。おまけに当方のreasonともなっている方である。
この方がコメントを出したという事の意味は重い。またそれほど重要な案件になっているということだ。

CHUUK INDEPENDENCE: WHY AND HOW?
by FRANCIS X. HEZEL, SJ on FEBRUARY 5, 2015
http://www.wheresfran.org/


ヒーゼル神父のコメントの中で、注目すべき箇所はチュックの人々が独立したいと思う理由もわかる、と共感を示している点だ。

『ミクロネシア連邦の問題児チュック、移民先のハワイ等でも、犯罪を起こすのはチュック州出身で、他のミクロネシア人々が迷惑を被っている。』

ヒーゼル神父はこんなコメントがオンラインにもあり、自分でも怒る、とチュック州の人々に寄り添っている。
でも独立してどうやっていくの?と行間を読めば思い止まらせようという内容だ。


現地の知人の話では、このような国内差別に加え、米国からの支援金使途のチェックがさらに厳しくなり、例え拠出されても、そのお金はみんな米国に戻ってしまう(紐付き援助の事だと想像する)という。
加えて、チュック州出身のモリ大統領の次はポナペ州出身の大統領になる可能性が高い。チュック州とポナペ州が犬猿の仲であるともしばしば聞いている。即ちチュック州にとって次期政権は好ましからぬ相手、という事であろうか。


太平洋島嶼国唯一の連邦制を取るミクロネシアは、チュック、ポナペ、コスラエ、ヤップの4つの州から成り、全く違う言語、即ち民族である。加えて各州の中の多様性もある。
中央政府より、州政府の声が大きく、なかなかまとまらない、という声を内外から聞く。
特に、ポナペ州とチュック州の軋轢は大きい、とも。


さて、このようなチュック独立が持ち上がる中で、世銀が47億円出して、ヤップ、チュック、コスラエを既存の海底通信ケーブルに繋ぐという話が順調に進んでいるのは喜ばしいニュースある。
通信といえば、伝統的&非伝統的安全保障と一致し、さらには人間の安全保障の分野でもある。
加えて、現在クワジェリンーマジュローポナペーグアムを結ぶ海底ケーブルは元々米軍の迎撃ミサイルのためであり、同盟国日本がその延長線を施設する事は安全保障上も重要だ。
是非日本企業、若しくは日米合併企業でこの延長線の案件を落札して欲しい、日本政府にも是非後押しをして欲しい、と在FSMの坂井大使に申し入れた。

参考
「北朝鮮がミサイルを打ち上げるとミクロネシアに海底通信ケーブルが施設される」
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/120

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