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早川理恵子博士
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『シュリーマン旅行記 清国・日本』 [2013年09月15日(Sun)]
『シュリーマン旅行記 清国・日本』ハインリッヒ・シュリーマン著 石井和子訳 講談社 (1998/4/10)

「トロイの木馬のシュリーマン」が幕末の日本を訪ねていた。
浅草のお寺で、花魁の絵姿と仏像が並んで飾られている様子を見てシュリーマンはしばらく立ち尽くしてしまう。

「それは私には前代未聞の途方もない逆説のように思われた----長い間、娼婦を神格化した絵の前に呆然と立ちすくんだ」

 この記述を『遊女と天皇』(大和岩雄著)に見つけて、この本を読んで見たくなった。


 死の商人として財産を築いたシュリーマンは一切の仕事を辞め、考古学を学ぶ前に世界旅行に旅立ち、1865年に清国と日本を訪ね、この本を後に出版した。
 主人や主人の友人達の考古学者もこの事は知らない。原本はフランス語である。英語はまだないのかもしれない。

 翻訳者の石井和子さんはこの本に興味を持ったご子息のために翻訳をされた、とどこかのウェッブで見た記憶がある。仏英和高等女学校(現白百合学園)、東京音楽学校(現東京芸術大学)卒業、という経歴にも興味が湧く。(私も音大卒!)

 さて、本書を読んで一番印象深かったのが、シュリーマンの日本文化の洞察よりも、当時の日本国内の政治を記述した部分である。少々長くなるが下記に引用する。

 略 ー 絶対的権力をふるっている大名達は、二つの権力の臣下として国法を尊守しながらも、実際には、大君と帝の権威に対抗している。好機到来と見るや、自己の利益と情熱に従って、両者の権威を縮小しようと図るのである。
 これは騎士制度を欠いた封建制度であり、ヴェネチア貴族の寡頭政治である。ここでは君主が全てであり、労働者階級は無である。にもかかわらず、この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にしましてよく耕された土地が見られる。

<引用終わり>

 当時の日本の「大君と帝を巡る大名達」の政治状況を外国人は巧みに利用しようとしたのであろう。
 何はともあれ、日本が植民地にならなくてよっかた。
 そこにはシュリーマンが指摘した「平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にしましてよく耕された土地」も理由の一つだったのかもしれない。
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