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早川理恵子博士
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「移動する太平洋の島の人々」(1) [2012年04月22日(Sun)]
(2012年1月琉球大学国際沖縄研究所のご招待で講演させていただいた内容を同研究所の許可を得て掲載させていただきます。)

「移動する太平洋の島の人々」(1)
琉球大学国際沖縄研究所:IIOS レクチャーシリーズ2011第6回
2012年1月10日(火) 18:00〜19:30 (於てんぶす那覇4Fテンブスホール)


 今日はお足元の悪い中、また新年のお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。こんなところに立ってお話をさせていただく資格はないのですが、今回は大城肇副学長、また藤田先生、国際沖縄研究センターの皆さまのご支援で、このような機会を設けていただきましたことを心からお礼申し上げます。今、藤田先生からご紹介いただきましたとおりに、ちょっと経歴が変わっておりまして、お話をする前に簡単に自己紹介と、沖縄との関係をお話させていただきたいと思います。
 音楽大学を出てどうして太平洋の仕事をしているのかといいますと、実は最初太平洋の島々の国歌の研究をするつもりでした。これだけ豊かな文化のある島々なのだからきっと豊かな国歌があるのだろうと思ったら、なんとみんな賛美歌調なんです。なおかつ歌詞もGod save the queenというような歌詞があって、一体これはどうなっているんだろうという疑問が太平洋に関心を持つきっかけでした。
 千葉大の大学院を出た後、太平洋の島の担当者を募集しているという笹川平和財団の新聞募集記事を見て面接に行きました。実際に仕事を始めたら、もう国歌どころではなくて、太平洋の島の人々の教育問題や福祉健康問題、また今やっている安全保障問題など問題が山積みされていました。20年間あっという間だったんですが、これからお話しします教育とか、安全保障という自分の専門分野とは違う事業に関わっていくことになりました。それで、やはり勉強しなければいけないと思いまして、青山学院で渡辺昭夫先生にご指導をいただいて、国際政治で修論を書きました。渡辺昭夫先生は太平洋だけでなく沖縄と大変関係が深い方で、牛島司令官の前の司令官である渡辺正夫司令官のご子息でもあられます。
 今は主人の仕事の関係でニュージーランドにいますが、私自身も今日のテーマと同じ移動する人で、日本からニュージーランドに移動し、移動することの利点と不利点の両方を経験として感じています。

 それから沖縄との関係ですが、かれこれ15年ぐらいのつきあいになります。笹川太平洋島嶼国基金は、日本と太平洋島嶼国の交流、国際理解を深めようという目的をもっています。最初は太平洋のジャーナリストを東京や大阪に呼んできたんですね。ただ規模が全く違うので、なかなか新聞記事にならない。日本には離島が1000近くあり、その中でも沖縄の八重山が固有の文化を強く残している。しかもあんな小さな島にも拘らず独立した新聞社が2社ある。宮古島もそうですね。それで八重山諸島に行きましたら、今は亡くなられた、友寄英正さんというジャーナリストの方と、それから今も活躍してらっしゃいます八重山毎日新聞社の上地義男編集長が協力したいと言ってくださいまして、10年ぐらい八重山諸島と太平洋のジャーナリスト交流を実施しました。さらに八重山諸島で太平洋の島のことを学ぶという「やしの実大学」というのも10年間ぐらい実施してきました。その中で大城肇先生にお会いし、前の副学長の嘉数啓先生にお会いし、そんなこんなで今、こうして個人的にもおつきあいをさせていただいております。沖縄のことは常に自分の心のどこかにあります。

 さて、今日のお話ですが、先に若干宣伝をさせていただきます。
 昨年、ミネルヴァ書房というところから大学生用の経済政治の教科書の一章を執筆してほしいという依頼がありました。その内容はというと、グローバライゼーションの周縁にある太平洋の島々について書いてほしいということでした。確かに過去200〜300年の歴史を見ると太平洋はグローバライゼーションの周縁にあるのですが、5万年、3000年前の太平洋の姿は全く違っていました。まさに太平洋の人々はグローバライゼーションのトップランナーだったわけです。その部分を知っていただかないと、太平洋の人々のダイナミズムが伝わらない。今の文化の豊かさとか、今の政治のあり方とか、そういったものが伝わらないと思いまして、監修者の反対を押し切って、先史を、5万年前と3000年前の話をいれさせていただきました。
 今日のお話はこの教科書に書いた一章をもとにしてお話をしたいと思います。4つに分けまして、まず5万年前、それから3000年前、そしてヨーロッパの人たちがやってきた500年前、そして現在というふうにお話をさせていただきたいと思います。
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