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早川理恵子博士
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太平洋島嶼国での英国の役割 [2018年05月14日(Mon)]
チャタムハウスからの太平洋島嶼国議論。

New Diplomatic Posts Could Give UK a Fresh Path to Influence
11 May 2018
https://www.chathamhouse.org/expert/comment/new-diplomatic-posts-could-give-uk-fresh-path-influence


サモア、トンガ、バヌアツに英国外交使節が開設される。
筆者は豪州、ニュージーランドの管理、支援能力に限界を指摘する。
それは太平洋島嶼国もわかっているだろう。
ニュージーランドがサモアにしたことを見れば一目瞭然だ。現在は友好協定を締結してはいるが。。

私は英国外交使節開設に大いに期待したい。
特に情報の面だ。もしまともに情報収集ができていればバヌアツは南シナ海で中国を支援したりしていなかったであろう。
国際法とか、国家として持っているべき専門性が太平洋島嶼国には皆無なのだ。
英国の外交使節はそのような情報、インテリジェンスの面で太平洋島嶼国を支援するであろう。特に英国がこの地に紹介したタックスヘイブンのシステムもしっかり監視指導して欲しい。
英国外交使節再開設の意義・意味(2) [2018年04月27日(Fri)]
Cleo Pakal女史の諸手を上げて歓迎する論調と比べ、こちらの二人の女性博士の論調は若干慎重である。
Dr Tess Newton-Cain と Dr Anna Powlesの、英国外交使節再開設に関する記事である。


A Pivotal Moment? The UK Signals Re-engagement with the Pacific
22/4/2018
http://www.incline.org.nz/home/a-pivotal-moment-the-uk-signals-re-engagement-with-the-pacific


英国が太平洋に戻る理由を、英国政府は3つ上げている。地域の繁栄と安全保障、そして環境保護。

ジョンソン外相は、英国が安全保障面を支援するのは、英国が "a champion of the rules-based international order." であるからだ、と。すなわち中国の進出を睨んでの政策である。

ここで筆者は、安全保障って誰がパートナーになるの?と自問自答している。
オーストラリアよね。でも英国は日本とのアジア太平洋の海洋安全保障協力関係があるわよ。仏領とは 2010 Lancaster House Treaties(英仏防衛協力) がある。

ここら辺は英vs豪NZの微妙な外交関係、感情を知らないと理解できないかもしれない。
豪NZは英国が太平洋に出てくる事に賛成のようだが、若干の警戒感もある。この記事で "megaphone diplomacy" はお断り、と書いているように英国のオーバープレゼンスを否定しているのだ。豪NZは英国の植民地であり、第一次世界大戦では英国にひどい目に会わされた記憶がある。これが ANZACにもつながる。しかも豪州は英国に恨みを持つアイルランド人が多い。
第一次世界大戦で、豪海軍が使い物にならないのを見てチャーチルが日英同盟を活用し日本に赤道以北の太平洋を譲り渡した記憶も豪州NZに蘇るかもしれない。

SPCを脱会した英国に、また戻るわよね、とこの記事は書いている。そして太平洋には”The somewhat misty-eyed view of the impacts of British colonialism” 「英国植民の影響を懐かしむ様子」がある、とも書いている。これって豪州NZへの批判ではないか。。

英国の太平洋再進出、一番注意してフォローすべきは中国よりも豪州、ニュージーランドかもしれない、とこの記事を読んでいて考えてしまった。
英国外交使節再開設の意義・意味 [2018年04月26日(Thu)]
先週、ロンドンで開催された英連邦会議で発表された9カ国の英国外交使節開設に関して、Cleo Paskal女史のコメントが出た。

一つは豪州ローウィ研究所から。
Britain’s new Pacific presence
24 April 2018
https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/are-uk-s-new-diplomatic-posts-game-changer


もうひつはサンデーガーディアンから。
India can learn from UK’s low cost, high impact geopolitics
April 21, 2018
https://www.sundayguardianlive.com/opinion/india-can-learn-uks-low-cost-high-impact-geopolitics


2つの記事の要点をまとめたい。

パスカル先生手厳しい。
まずは豪州ニュージーランドの対太平洋島嶼国支援は自国経済に利するだけで、島嶼国の利益にならない。それどころか国内の安全保障の問題を引き起こしている。そのためそこに中国が入り込む。

バヌアツの中国の軍港計画は否定されたがデュアルユーズ ー 軍民共用の可能性があるし、それはサモア、トンガも同様だ。ここでパスカル先生はトリプルユーズ ー 即ち中国の軍民+犯罪の可能性もあると手厳しい。中国は国内の犯罪まで輸出している。(その通りだよ。)

それでは太平洋の裏にある英国は何ができるのか? 一つは intelligence and strategic analysis ー インテリジェンスと戦略的分析。そしてバイの支援。しかも近視的でない、長期の安定した支援。
今までEUとして行っていたからね。バイで行うこことで英国にとっても十数国の票が得られるわけだ。そしてチャールズ皇太子は環境派だ。(これは止めてほしい)

即ち英国の関与は、みんなの利益になる。中国を抜かして。。。


次はガーディアンの記事。

今回の9つの英国外交使節開設の動きは、EU離脱後の初めての英国の世界的における地位を示したことになる。
9カ国はアフリカ、カリビアン、オセアニア、に位置する小国ばかりだが、地政学的に重要だ。それに英連邦メンバー国で共通の価値観がある。(言語とか)
この内3カ国(Lesotho, Swaziland and Tonga)は王室があり英王室との関係も深い。

カリブのAntigua and Barbudaには中国を含め4つしか外交使節がなかった。(Brazil, Cuba, Venezuela and China)

冷戦終結後、英国は小国への関与を薄めた。そこに中国が入ってきたわけである。小国の票は安く手に入るし皮肉なことに経済的利益は大きいことを中国は知っている。

そして現在カナダ、インドは太平洋島嶼国の外交情報をオーストラリア、ニュージーランドに頼っているが、今後は英国に頼るようになるであろう。


「環境派」チャールズ皇太子以外はパスカル先生に賛成だ。
オーストラリア、ニュージーランドは太平洋島嶼国のことよく知っているし、よくやっていると思うのだが、この2カ国自体が世界の中でそれほど力(情報、経済、軍事)を持っているわけではない。
英国の力を私はまだわからないが、あの歌が蘇る。


"Rule, Britannia! rule the waves: Britons never will be slaves."


速報!女王様の太平洋復活ー英国外交使節が再開 [2018年04月20日(Fri)]
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このブログに「女王様の太平洋」というカテゴリーを設けて正解だった。

英連邦会議がロンドンで4月16−20日開催されている。
https://www.chogm2018.org.uk


ここで英国が下記の9カ国に外交使節を再開することをボリス・ジョンソン外相がアナウンスした。

Lesotho
Swaziland
The Bahamas
Antigua and Barbuda,
Grenada
St Vincent and the Grenadines
Samoa
Tonga
Vanuatu

Foreign Secretary expands UK Commonwealth diplomatic network
Foreign Secretary Boris Johnson announced an expansion of the UK's overseas network with the opening of nine new diplomatic posts in Commonwealth countries.
https://www.gov.uk/government/news/foreign-secretary-expands-uk-commonwealth-diplomatic-network



太平洋島嶼国は、今まさに中国との関係が話題になっている、サモア、トンガ、バヌアツの3カ国である。3カ国とも英国の復活を歓迎しているようだ。
90年代、英国が去った後に中国が来たのだ。90年代は冷戦終結後で米国も去った時期と重なる。
豪州、ニュージーランドでは広大な太平洋島嶼国は面倒見きれないのだ。その努力は尊敬に値すべきであるが。。

英国連邦政府  Commonwealth Clean Oceans Alliance として約100億円を拠出。
日本政府主催の5月の島サミット、英国に声をかけていないと思うが、今からでも英国大使館からオブザーバー参加をしてもらったらどうであろうか?今回の外交使節再開で英国は明らかに「インド太平洋」での存在感を確実にしていくのであるから。
日本が太平洋に進出きっかけは第一次世界大戦の日英同盟であったことも反復すべき歴史である。
日英、日仏の安全保障・防衛協力 ― 日本のパートナーとしての英仏比較― [2018年01月26日(Fri)]
ウェブサーフィンしていて偶然見つけた論文である。

日英、日仏の安全保障・防衛協力 ― 日本のパートナーとしての英仏比較―
鶴岡 路人、防衛研究所紀要第 19 巻第 1 号(2016 年 12 月)
http://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j19_1_6.pdf

フランスの事も詳細に書かれているので、カテゴリーはどちらにしようか迷ったが、今日作ったばかりの「女王様の太平洋」にした。

英国、フランスの安全保障比較を詳細な事例を紹介しながら書かれて入れ、興味深い。
もし、インド太平洋戦略が現在のように世界的な大合唱になってから書かれたら、少し論調が変わっているかもしれない。

しかし、私にとっては身近な議論である。
実は太平洋島嶼国を扱う、ということはそこを裏庭と認識している、米、仏、英(英連邦諸国がある)を対象としていることなのだ。
英国は筆者が指摘するようにEU離脱でその外交・安全保障政策が相当変わってくるであろう。
私は、太平洋島嶼国に限って、英国のEU離脱に期待している。なぜか?
過去30年近く、英国はその存在をフェイドアウトし、EUとして太平洋島嶼国を扱ってきた。
しかしEUは太平洋島嶼国を理解していないし、外交や援助、何をしているのかわからないのである。
太平洋島嶼国の多くが英連邦である。英国のコミットメント、エンゲージメントがこの地域の安定を回復するかもしれない。その時日本はどのようなパートナーになれるか?だ。

この論文には出てこない、太平洋島嶼国のブラックマーケットの問題。
軍事安全保障ではないが、広義の安全保障である。そしてサイバーセキュリティもこの地域は脆弱だ。どちらも北朝鮮の問題にもつながる。
他方で、ブラックマーケットのの基盤であるタックスヘイブンなどを太平洋島嶼国に紹介したのは英国である事も忘れていけない。

インドと太平洋を繋げる女王様 [2018年01月26日(Fri)]
英国及び、英連邦の動きが見逃せないので、いよいよ新しいカテゴリーを設けました。
「女王様の太平洋」です。

さて、京大での研究会で質問を受けて答えきれなかった点がインドと太平洋の関係。
インド太平洋戦略の重要なアクターであるインドは、太平洋島嶼国と関連があるのか?

咄嗟に答えたのが、フィジーの人口の半分を占めるインド人の事。
フィジーが英領時代にサトウキビ労働者として連れてこられたインド人が人口の半分を占めています。この事がフィジーの民族問題でもあり、今でも課題として残っていますが、反面フィジーの強みでもあると言えます。

クーデターを起こした軍事政権に距離を置いた豪州、NZの穴を埋めるように、バイニマラマ政権のフィジー政府は中国始めインドなどBRICSとの関係を積極的に強化。2014年にはモディ首相がフィジーを訪ねています。

Modi-Fiji-AFP.jpg


インド国家としての関与はまだ少なくとも、インド人は100年以上、フィジーを中心に太平洋島嶼国で活躍してきました。特に過去20年のICT(情報通信)分野で太平洋島嶼国が発展した背景にはインド人技術者の存在は大きいと言えるでしょう。そして詳しく調べた事はありませんが印僑のネットワークによる国際ビジネスを仕切っている側面があるように見受けられます。

研究会で触れる事が出来なかったのが英連邦の存在。
太平洋島嶼国の多くの国が英連邦に留まり、ソロモン諸島、ツバル、パプアニューギニアなどエリザベス女王を君主に頂いている国家もあります。当然インドも豪州と並ぶ英連邦の先鋒。インド太平洋戦略の中でインドのシーパワーが果たす役割は大きいのではないでしょうか?
特に英国がEUから離脱することで英国独自の外交安全保障政策が今後展開される事が予想されます。その際、ダイヤモンドセキュリティ構想の4つのシーパワーの内、豪州とインドが英連邦国である意味を注視する必要があると考えます。
インドは入っていませんが、1971年に締結された5か国防衛取極があります。これはイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア間の軍事同盟です。