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海洋法とセレブリティ・ディプロマシー  [2017年09月16日(Sat)]
海洋法とセレブリティ・ディプロマシー 

1. 概要
海洋法に関わる議論、特にその国際的な議論に非国家アクターとして、ハリウッドの俳優やビリオネラーなどの「セレブリティ」が登場する。彼らの影響力は大きく、国内のもしくは国際的海洋法を制定する中で無視できる存在ではないように見える。「セレブリティ」は国連、国家、NGOと共に、時には単独で行動する。彼らは単に宣伝に利用されるだけでなく、時には太平洋島嶼国など小国の声を代弁したり、もしくは小国の政策決定に大きな影響を与えているように見える。


2. セレブリティと海洋問題の関連性に関心を持つに至った背景

筆者がセレブリティと海洋問題の関連に強い関心を持った事例を2つあげたい。
まずは、現在国連で議論されているbiodiversity beyond national jurisdiction (国家管轄権外区域の海洋生物多様性、以下BBNJ)の事例を紹介する。
2017年7月にBBNJ第四回準備会合が開催され、カナダのInternational Institute for Sustainable Development (IISD)というNGOが分析をその報告書の中で行なっている。興味深いのはその分析文章は俳優のレオ・デカプリオのコメントで始まり、バージン航空のリチャード・ブランソン会長のコメントで締めくくっている事だ。

“We can’t afford to leave 70% of our oceans to unlimited exploitation. We need a Paris Agreement for the ocean with ambitious and measurable goals.” This was Leonardo DiCaprio’s clarion call, delivered via video-message to the UN Ocean Conference in June 2017. DiCaprio was among the many celebrities, artists, scientists and social entrepreneurs that helped generate genuine hope and momentum for addressing the multiple threats to the oceans at this high-octane event. "(p. 19, IISD)

"Walking off into the warm New York night, many considered the end of PrepCom 4 too early to say if a firm course has been set towards developing―as Virgin Founder Richard Branson put it at the UN Oceans Conference―“a bold treaty with teeth and vision.” (p. 20, IISD)

デカプリオ氏もブランソン氏も今回の会議に直接参加した様子はないが、サイドイベントや会議周辺でのイベントに参加したようである。二人とも探検家として海洋をある程度知っているかもしれないが、BBNJや海洋法の議論に必要な科学、法学の専門的知識持っていないはずである。
ディカプリオ氏のコメントの「70%の海洋が無制限に開発される」というのは公海の事である。現在の法規定でも公海が無制限に開発される、というのは正確ではない。ブランソン氏は強制力(teeth)とビジョンを持った明確な条約が必要だ、と述べる。掛け声としては印象的だがなんの具体性もない。これらコメントを見てもわかるようにその内容は扇動的で感情的であり、非論理的で非科学的である。また彼らの有する財団のスタッフや委員を見たところ、 BBNJの議論に必要な専門家を抱えているようには見えない。それにもかかわらずIISD の分析文章は、NGOの報告書とはいえ、国際的海洋ガバナンスの重要な議論を分析する文章であり、その始まりと終わりに彼らのコメントが引用されるのである。


もう一つ例をあげたい。こちらは筆者がセレブリティの存在を小国の主権の観点から「脅威」にすら感じた事例である。

筆者は2008年から笹川平和財団のミクロネシア海洋安全保障事業を担当し、パラオの海洋保護区制定の動きを現場で観察してきた。パラオの海洋保護区法案とは、全EEZの80%商業漁業を禁止する条件である。パラオ人が経営する遠洋漁業も禁止されることになるため国内のビジネスリーダーを中心とする反対意見が当初非常に大きかった。また域内の水産資源管理組織であるWCPFC, FFA, PNAからも反対の意見があった。流れが変わった理由の一つが、モナコ公国のアルベール2世やデカプリオ、ブランソン氏など世界のセレブリティの支持、そして国連で開催された会議での同法案への支持である。国連の会議というは、国連で行われたというだけの会議で、国連自体の会議ではない。主催者はビリオネラーの資金を背景に設立された国際NGOで、その運営者は会計士である。即ち海洋問題の専門家ではない。
このような世界のセレブリティが同法案を支持したことがパラオ国内で周知、報道され、特にパラオの若者が強く支持するようになった。さらにこの海洋保護区は本来一番重要な保護区域の監視やモニタリング、科学的調査に関してはほとんど議論されず、中心的議論は新たに設置される信託基金であった。この基金はパラオ人の年金不足分への穴埋めなど海洋保護区とは関係のない項目も含まれている。さらに同法案が国連海洋法条約にどのように適応するか、パラオ国内に国際法、海洋法の専門家がいないため一切議論された形跡はない。このメガ海洋保護区は海洋法条約62条の観点から疑義がある。
パラオと自由連合協定を締結する米国政府は本来このような動きにアドバイスを与える立場にあるはずだが、法的、科学的アドバイスを与えた形跡はない。逆にメガ海洋保護区制定のキャンペーンを世界展開する環境NGO PEWトラストと共に、国務省主催で”Our Ocean”という会議を米国で開催。俳優のデカプリを招き、オバマ大統領、ケリー国務長官が参加するショーのような会議で、海洋問題の法的、科学的議論はほぼ扱われなかった。この会議にはパラオのレメンゲサウ大統領も招かれスピーチを行った。そこにはただ一人として海洋問題の科学的議論や法的議論をする専門家は、米国のNOAAの研究者さえも招かれなかったと理解している。

この他にセレブリティが関わった海洋問題としては、古いところで海洋探検家(科学者ではない)のクストー、ハワイの伝統的航海者ナイノア・トンプソン、そしてシーシェパードを支持、支援する多くのハリウッド俳優たちなど事例としては事欠かないように見える。

3.セレブリティ・ディプロマシーの先行研究
デカプリオなどハリウッド俳優や、ビル・ゲイツなどビリオネラーが国連や国際的な開発、環境保護に参加、関与しているケースの研究が数は限られているようだが過去10年近く、積み重ねられているようである。2つの論文を紹介したい。

“Celebrity Diplomacy”というタイトルの本を2007年にカナダのウォタールー大学、政治社会学専門のアンドリュー・F・クーパー教授が出版している。セレブリティを外交と結びつけた論文として画期的だったようだ。
同書はセレブリティと国連の関係をフォローしている。具体的には初期の国連の活動に関与したオードリー・ヘップバーンやダニー・ケイというセレブリティが単なる慈善家として宣伝的役割を担ったのに対し、徐々にセレブリティ自身が意見を持ち、自らの意思で行動して行く、即ち外交の担い手としての活動する姿がポジティブな面とネガティブな面、両方から議論されている。
彼らが共に活動する国連や、米国政治家、そして大衆への影響についても多様な角度から分析を試みている。例えばオックスファムというNGOはセレブリティの力を借りて普段であれば大衆が見向きもしない支援事業に多くの注目を得て、寄付金を得る事にも成功した。しかし、一旦セレブリティの「スターパワー」が失われれば、その活動も組織自体にもマイナスの影響が出て来る。(7−8頁、Cooper)
またセレブリティが「グローバル」な課題に取り組む際は、米英系のアングロ系西洋人のセレブリティ・ディプロマシーだけが注目を浴び、同じセレブリティでも非アングロ系のセレブリティ・ディプロマシーは無視される傾向があることも指摘している。(8−9頁、Cooper)さらに外交や国際政治を知らない一介の俳優や歌手が「外交」という極めて専門的な分野に関与する事に関しても批判的な議論を展開しいている。他方で、世界が関心を示さない国際紛争などにジョージ・クルーニーが声明を出すことで国際政治が変わってしまうことも事実として指摘し、セレブリティ・ディプロマシーの可能性を完全に否定はしていない。

もう一つの論文は、ロンドンメトロポリタン大学のマーク・ウィーラー教授2011年に書いた”Celebrity Diplomacy: United Nation’s Goodwill Ambassadors and Messengers of Peace”。この論文は2010年に創刊されたCelebrity Studiesという学術誌に掲載されている。
ウィーラー教授は前述のクーパー教授のセレブリティ・ディプロマシーの概念とジョン・ストリートのセレブリティ・パフォーマンスという概念を下敷きに、国連のGoodwill Ambassadors と Messengers of Peaceを中心にセレブリティ外交官の役割などを議論。
1997年から2007年のアナン事務総長の時代、400名以上の国連のGoodwill Ambassadors と Messengers of Peaceが指名されたという。背景には国連改革を目的に国家主体からパブリックを主体するためにセレブリティを利用したことが分析されている。国連に利用されるセレブリティも様々で、チベット支援をするリチャード・ギアなどは逆に中国の立場を守るUNHCRに対して非難声明を出し、国連とセレブリティが対立するケースがある事も指摘している。ウィーラーはこのようなセレブリティの活用には複雑な外交問題を単純化しすぎる傾向や感情的な反応を利用する事の危険性を指摘している。まさに、先に事例であげた法的にも科学的も複雑な海洋問題が扇動的かつ感情的、非論理的かつ非科学的に取り上げられていることへの筆者の懸念と一致する。他方でウィーラーは信頼性のあるセレブリティ・ディプロマシーが国際的コミュニティで展開された事も指摘している。

この他に、村田晃嗣教授が現在執筆されているレーガンに関する論文などは、米国特有のハリウッドと政治の関係を分析するのに有効であろう。米国で海洋問題が大きく動いたのが2009年でオバマ政権である。海洋政策策定とともに2016年には太平洋にメガ海洋保護区も制定した。これら民主党とハリウッドの関係も興味深い。環境保護を目的としたセレブリティの財団や環境NGOが環境保護という美名に隠れた租税回避を行なっていることを研究する論文も存在する。(浅妻、2011)

4. 今後の課題
国連での海洋問題の議論に非国家アクターがどのように関わっているかという視点で、セレブリティだけでなく、国際環境NGOの動きも加えながら議論を展開する可能性があるかもしれない。BBNJの協議過程自体が、4回の準備会合設定し「アドホック・オープンエンド非公式作業」という形式でNGOも招かれ行われて来た。ここに参加したNGOの動きを分析することは可能であろう。
太平洋島嶼国や小国でよく観察されるのが、海洋問題の知識や経験の限られた島嶼国政府の中に環境NGOが入り込み、政府の政策に大きな影響を与えるケースである。例えばパラオの海洋保護区は米国の環境NGOピュートラストが大きく関与している。この現象に関する批判的な声は至るところで聞くものの、研究対象として書かれたものはまだ読んでいない。NGOと海洋ガバナンス、もしくは環境ガバナンスの研究はかなりあるようなので今後これらの資料を当たってみる可能性もあると考えている。


参考資料
Cooper, A.F., 2007. Celebrity diplomacy and the G8: Bono and Bob as legitimate international actors. Working Paper no. 29. Waterloo, Ontario, Canada: Centre for International Governance Innovation.

Wheeler, Mark, 2011. 'Celebrity diplomacy: United Nations' Goodwill Ambassadors and Messengers of Peace', Celebrity Studies, 2: 1, 6 − 18

IISD (International Institute for Sustainable Development), Bulletin A Reporting Service for Environment and Development Negotiations, Vol. 25 No. 141 Monday, 24 July 2017

浅妻章如「ナショナル・トラストその他の環境保全団体等への寄付に係る優遇税制の設計」 立教法学81号234-213(23-44)頁(2011.3)
http://www.rikkyo.ac.jp/law/output/rituhou/81/03.pdf


これから読みたい資料

LM Campbell et al. Global Oceans Governance: New and Emerging Issues,Review in Advance first posted online on July 6, 2016.
http://sites.nicholas.duke.edu/xavierbasurto/files/2011/11/oceans-governance.pdf

Rémi Parmentier, Role and Impact of International NGOs in Global Ocean Governance, Ocean Yearbook Online, Volume 26, Issue 1, 2012.

Lee. A. Kimball, "Ocean Governance: The. Role of NGOs". in Davor Vidas, "Order for the Oceans at the Turn of the Century" 1999.

クック諸島の政治的地位再考の動き [2017年09月15日(Fri)]
今年になってクック諸島の政治的地位に関する議論が多少話題になったようだ。
クック諸島はニュージーランドと1964年から自由連合協定を締結している。

Sovereignty, Free Association With New Zealand - Or Independence?
Submitted by PIR Editor on Mon, 04/17/2017 - 13:23

RETHINKING THE COOK ISLANDS’ FREE ASSOCIATION AGREEMENT WITH NZ: PART 1
APRIL 4, 2017、Evelyn Marsters

上記2つの記事を読むと、発端は2015年にクック諸島首相がニュージーランドからの完全な独立を言い出したことにあるようだ。


Cook Islands push for independence from NZ
May 31 2015
http://www.stuff.co.nz/world/south-pacific/68986939/Cook-Islands-push-for-independence-from-NZ

人口の半分以上がニュージーランドに住むクック諸島の人々。ニュージーランド市民として数々の恩恵がある。上記の記事は、現在の自由連合の状態について何の調査分析もせず、また肝心のクック諸島の人々の意見も聞かず、このような話が出てきたことを批判している。と同時に1960年の国連決議1541で規定された、統合か、独立か、自由連合か、という選択の中の「自由連合」とは何かが議論されている。


プナ首相の気持ちを想像すると、同じ自由連合のミクロネシア3国は独立国として国連で演説。海洋問題が国連で活発に取り上げられる昨今、レメンゲサウ大統領などが世界的に注目されるなかでクック諸島の存在がほぼ見えないことへの不満があったのではないだろうか? 全くの想像です。
クック諸島は約200万㎢の広大なEEZを保有する。
加えて、中国や韓国と直接交渉する中で独立国としての誘惑が自分の内からも、外からもあったのではないだろうか? ここも想像です。

プナ首相の独立構想は引っ込めたようである。

50年経って、完全な独立より自由連合の継続を希望するクック諸島の人々の事を、松井教授や山形教授はどのように分析するであろう?

「21世紀の国際法における民族自決の意義」山形英郎 [2017年09月15日(Fri)]
山形英郎、「二一世紀国際法における民族自決権の意義」、名古屋大學法政論集. v.245, 2012, p.517-560


松井芳朗先生の自決権に関する文献を探している中で偶然見つけたペーパーである。2012年なので比較的最近の議論がされているのではないか、すなわちカッセーゼ博士の議論が取り上げられているのではないか、という期待を持って読んでみた。
カー、カッセーゼ、マクミランの自決権の議論を始めに知った当方にとっては「自決権」に疑問を持つ事自体を否定する松井教授やこの山形教授の議論は新鮮である。

この論文の冒頭から引用された佐分晴夫の「自決権は (中略) 経済的独立を獲得するための武器としても機能する」は驚いてしまった。
まさに今議論されている、BBNJや70年代の海洋法条約で太平洋島嶼国が行ってきた事ではないであろうか?

さらに「20世紀国際法」戦争違法化と自決権を中心に体系化されてきた、という記述も初めて知る事で勉強になった。

この論文では自決権の問題は一切触れられていない。それどころか、ウィルソンが唱えた自決権について誤解されたままなのではないだろうか?ウィルソンは世界の民族の数を知らずにヴェルサイユ会議で提唱してしまい、自ら深く反省しているのである。


「そんなに民族がいるって知らずに言ってしまったんだよ。毎日のよう彼らはやってくる。。自分が言った事が原因で何百万人もの人に叶わぬ望みを与えてしまった僕の苦悩がわかるまい。」
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1574 より


それでは島嶼国の人々は自決権をどう思っているのか?自由連合という道を選んだクック諸島の自決権に関して今年になって議論されている記事を見つけたので、それを次回メモしておきたい。

太平洋諸島フォーラム域外国対話の堀井巌総理特使声明と島嶼議連の提言 [2017年09月13日(Wed)]
<島嶼議連提言の成果!>
先週、サモアで開催されていた第48回太平洋諸島フォーラムの域外国対話に出席された堀井巌総理特使(外務大臣政務官)のステートメント が外務省のウェブに掲載されていた。

太平洋諸島フォーラム域外国対話における 堀井巌総理特使(外務大臣政務官)によるステートメント 9月7日,サモア独立国・アピア
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/page3_002220.html
和文 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000289034.pdf
英文 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000289035.pdf

なんと海洋安全保障がしっかり明言されているではないか!
実は島嶼議連(古屋圭司議員会長)が2月ほど前、麻生大臣、岸田大臣に提出した提言がどうなるのか心配していたのだが、外務省はやる気のようである。

速報!日本・太平洋島嶼国友好議員連盟要望申入れ
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2076

第2弾! 速報! 日本・太平洋島嶼国友好議員連盟要望申入れ
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2078


(堀井巌総理特使(外務大臣政務官)によるステートメントより)
特に,日本は,相互に密接に連関する以下の3つの側面における取組 に焦点をあてます。
(1) ルールに基づく海洋秩序の強化及び法執行を強化するための海洋安 全保障・海上安全面での能力構築
(2) 海洋資源の持続可能な活用
(3) 海洋環境の維持・保全
これらの取組を進める上で,我々は,太平洋島嶼国における持続可能な 発展を実現するというゴール並びにSDG14及び国連海洋会議の成果に 十分留意する考えです。

<外務省のやる気への懸念>
この4、5月に講演の機会をいただいた海洋議連、島嶼議連。資料を確認する中で前回の島サミットで海洋問題を、具体的には「マグロ」の件を扱っていたことを思い出した。下記に引用する。
水産庁にも確認したが、これらの合意を進めるよう、官邸からも外務省からも何の連絡もなかった、と言う。日本政府が太平洋島嶼国と合意した事が守られていないのだ。
特に「IUU漁業を根絶するために必要な措置をとるべく緊密 に協力するコミットメントを確認した。」と言う箇所だが、水産庁の取締船をパラオに派遣したのみである。しかも外務省も水産庁もこの功績を一切公表しない、と言う方針だと言う?なぜ?

今回のフォーラム総会コミュニケではこのIUUを肝心の島嶼国政府が便宜置籍船と言う形で、台湾、北朝鮮などに旗を提供し推進している事が明らかにされているのだ。ニュージーランド、豪州のインテリジェンス機能で改善とあるが、日本が支援する可能性はないのであろうか?北朝鮮の漁船が漁業だけやっているとは思えないし、日本の安全保障の問題にも繋がってくる話ではないか?
これは次回書きます。



第7回太平洋・島サミット(PALM7)「福島・いわき宣言−共に創る豊かな未来−」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000081725.pdf         
9 大洋・海洋問題・漁業
44 首脳は,太平洋が太平洋諸国の繁栄の基盤であることを認識し,海洋資源及び海洋環境の 持続可能な開発,管理及び保全に対する統合アプローチの重要性を再確認した。この関連で, 首脳は,「海洋:命と未来」に関するパラオ宣言(2014年),パシフィック・オーシャンスケープ枠 組み(2010年)及び太平洋島嶼地域海洋政策(2005年)に留意した。首脳は,海洋環境,海 洋安全保障,海洋の安全,海洋監視,海洋科学調査・観測及び海洋資源の保全並びに経済成 長を促進し,及び生活と食料安全保障を改善するための持続可能な漁業管理等の分野におい て,二国間及び多国間の協力を一層強化する決意を強調した。
45 首脳は,太平洋地域の一部のまぐろ資源の持続可能性が危機にさらされているという最新 の漁業資源評価に留意し,公海における協力を含め,中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC) の枠組みの下で,太平洋諸島フォーラム漁業機関(FFA)及び太平洋共同体事務局(SPC)を 含む関係団体の協力を得て,効果的な保存管理措置の策定のために協力を増進することをコ ミットした。
46 首脳は,PIF島嶼国の主要な収入源を損ない,太平洋地域の漁業資源の持続可能性を脅か す違法・無報告・無規制(IUU)漁業に強い懸念を表明した。太平洋の漁業資源の持続的利用 から恩恵を受けている国として,首脳は,IUU漁業を根絶するために必要な措置をとるべく緊密 に協力するコミットメントを確認した。
47 PIF島嶼国の首脳は,日本による漁業関連の支援を評価し,長期的な経済発展を目指して 太平洋漁業の活力ある持続可能な管理を向上させるためには,地域機関を通じたものを含む 継続的な支援が必要であることを強調した。首脳は,漁業資源の持続可能性の向上や,適当 な場合には,この地域における日本漁船との間で相互利益となる関係の促進等,日本とPIF島 嶼国間の漁業分野における長期的な協力関係の重要性を強調した。
48 首脳は,近代的なマグロ漁船の太平洋島嶼国の船籍船への正当な導入を含め,適当な場 合には,自国の海洋資源を適切に開発する太平洋島嶼国の権利を認識した。PIF島嶼国の首 脳は,日本と太平洋島嶼国間で漁業分野における協力関係を模索する必要性を強調した。
49 首脳は,太平洋における平和と安全の重要性に改めて言及し,国連海洋法条約及び関連実施協定を含む,普遍的に認められている国際法の原則に従い,海洋秩序が維持されるべ きことを再確認した。首脳は,自制的行動をとり,武力による威嚇又は武力の行使に訴え ることなく国際紛争を平和的に解決することの重要性を強調し,海洋の安全及び海洋安全 保障の分野において協力を促進する意図を再確認した。


BBNJ新協定を考えるー海洋秩序の発展か変容か? [2017年09月06日(Wed)]
アジア国際法学会日本協会第8回研究大会(2017年6月25日、早稲田大学)で坂元茂樹教授が「BBNJ(国家管轄権権外の海洋生物多様性)新協定を考えるー海洋秩序の発展か変容か?」というテーマで発表されたので拝聴させていただいた。

坂元教授の発表があった午前中は、会場の80%くらい埋まっていたが、午後は半分以下だったような印象がある。外務省など省庁の方等が多く参加されたらしい。それだけ重要なテーマなのである。

手元のペーパーを何度か読み返した。
自分の頭の整理のために簡単にメモしておきたい。

発表内容は下記の6項目からなる。

1.はじめに
2.生物多様性条約の採択と締約国会合による主導
3.国連での動き
4.準備会合における対立構造
5.科学委員会を巡る論点
6.おわりに

1.はじめに 
UNCLOSでは認識されていなかった海洋遺伝資源(MGR)と海洋保護区(MPA)がBBNJの議論の背景のある事が説明されている。ここでMGRの特殊性が具体例をあげて説明されているが、これが理解できないとBBNJの議論は本来できないのではないだろうか?少なくとも太平洋島嶼国が主張する伝統知識とはかけ離れた対象のはずなのだ。

2.生物多様性条約の採択と締約国会合による主導
UNCLOSとCBDの関係が議論されている。CBD科学技術助言補助機関の報告書が深海底遺伝資源の危機感を煽り、途上国がMGRを鉱物資源と同様に「人類共同財産」(CHM)に位置づけようといする動きがあったそうである。ここは興味深い。この誤解は今も続いているのではないだろうか?

3.国連での動き
BBNJの議論を時系列に、まとめている。


4.準備会合における対立構造
EUはMPAを支持する立場、途上国はCHMなので平等に分けろというグループが多数。中国、インドは中間。日米加露アイスランドが新規制は不要との立場。MGRに関わる法原則、利益配分、アクセスの対立構造。区域型管理ツールに関する目的と意義、MPA指定の手続きなど対立構造。そして環境影響評価(EIA)と、能力構築及び海洋技術移転の議論。


5.科学委員会を巡る論点
科学的情報の供給組織、科学的情報ガバナンスの課題が議論されている。ここで思い起こすのは今年70周年を迎えたSPC (太平洋共同体事務局、本部ニューカレドニア、米仏豪NZと太平洋諸島26カ国と地域から構成)が ocean science centre ー 海洋科学研究所の設立をこの7月の総会で合意した事である。もしかしたらBBNJの議論を意識して、ではないだろうか?

SPC to set up Pacific Oceans 26 July 2017
http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/335836/spc-to-set-up-pacific-oceans


6.おわりに
ここでテーマの「海洋秩序の発展か変容か?」が議論されている。難しい議論だが、一カ所だけ引用しておきたい。「BBNJに関する実施協定の作業は、一言でいえばUNCLOSとCBDの接合(covergence)がCBDの締約国会合が先導する形で始まったことが特徴である。」
CBDの議論がよくわかっていないので今後関係資料を読み込んで行きたい。


太平洋島嶼国の立場から見るとCHMの議論は、どうやら自分たちの利益が優先される事を意味し、即ち資源の囲い込みで、内陸国などを考慮していない、ように見える。まさに今サモアで開催されている「青い太平洋」というテーマのPIF総会がそうであろう。実際は島嶼国が本来管轄すべきEEZでさえ管理開発されず無法地帯となっている。権利ばかりで義務が語られていない。
さらにNo Take Zoneを推進して来た米国が、トランプ大統領令で太平洋の海洋保護区の縮小と漁業のアクセス拡大を検討し始めた。この事はパラオやキリバスで急速に拡大するメガ海洋保護区に何某かの影響を与えないだろうか?
米国の遺跡保護法とメガ海洋保護区(6)イノウエ議員海洋保護区に大反対! [2017年09月02日(Sat)]
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ハワイの水産業を見守ってきたダニエル・イノウエ議員


トランプ大統領令の海洋保護区見直し。
興味深い記事を見つけた。

Four Pacific Marine National Monuments Face Threat Under Trump Order
BY CHRISTOPHER PALA – AUGUST 14, 2017
http://www.earthisland.org/journal/index.php/elist/eListRead/four_marine_national_monuments_pacific_face_threat_trump/

ハワイのメガ海洋保護区Papahānaumokuākea Marine National Monumentが制定される背景が書いていある。反対していたのは、あのダニエル・イノウエ議員だったのだ。

クリントン政権の第二期目、1996年からハワイの海洋保護区の動きが開始。地元水産業の反対があってなかなか進まなかった。そこで大統領令のAntiquities Act.を持ち出そうとしたところ、イノウエ議員から “Don’t you dare,” ー ふざけるのも大概にしろ!と一喝されたのだ。上記記事の次の部分。

Near the end of his second term, Clinton, disappointed by the lack of progress largely due to Wespac’s delaying tactics, considered using the Antiquities Act to protect the islands, Babbitt said. But when the secretary brought up the idea to Simond’s close ally and former boss, Senator Daniel Inouye, the influential Democrat and longtime chairman or ranking member of a committee that oversees fishing, replied in essence, “Don’t you dare,” Babbitt said, and Clinton backed off, opting to start a much slower and weaker marine sanctuary process instead.

この記事は環境保護の立場で書かれており、ハワイの水産業を守るイノウエ議員を批判している。
イノウエ議員はハワイ州だけ水産業に外国人を雇える法律にした。しかしこの記事は外国人労働者への賃金は安く、人権を無視した奴隷労働である、と批判している。そして2012年にイノウエ議員が亡くなってからは、ハワイの州知事始め誰もが、メガ海洋保護区を支持していると結んでいる。
本当だろうか?

ハワイの水産業は日本人の、瀬戸内海の移民が開始したのである。1924年ハワイ生まれのイノウエ議員はその発展を見てきたはずだ。
今ハワイにはイノウエ議員に代わって水産業を支援する政治家はいないのであろうか?
松井芳郎教授の自決権の議論 [2017年08月31日(Thu)]
2つ目の博士論文のテーマは「国際的海洋ガバナンスにおける太平洋島嶼国の役割−BBNJの協議を巡る太平洋島嶼国の海洋政策」である。
笹川平和財団の寺島さんとBBNJに日本一詳しいであろうH君からBBNJなんか論文にならない、と言われてしまったが、この二人は博論書いた経験ないし、なにより指導教官の坂元教授のご提案なのである。二対一でも指導教官が正しいのである。
実は私も一瞬戸惑ったが、現在進行形で議論されている事項を追って行くのは面白い。臨場感がある。

博論の理論枠組みで、坂元教授から「3年間で扱える内容ではない。止めておけ」とアドバイスいただいている件がある。
「自決権」の理論的枠組みだ。
太平洋島嶼国を30年近く見て来ると、そして一つ目の博論で気になりながら全く議論できなかった点でもあるのだが、人口数万から数十万という小島嶼が主権国家として存在すること、その限界だ。


30年近く前の20代の私は、独立は、自立は良い事だ、素晴らしいことだ、と考えていた。
下記の笹川太平洋島嶼国基金の設立経緯の文章を書いたのは自分である。その後、「自立」は「自律」ではないか、と自問自答した事も覚えている。
「長年の植民地支配から独立を果たしながらも援助に依存している島嶼国は、今自立への道を模索しています。」
https://www.spf.org/spinf/spinf_j/profile/

この独立、自立を理論的に支えているのが「自決権」。
今までE・H・Carrの「平和の条件」(1942)にあるcrisis of self-deteminationの議論と、Antonio Cassese博士の"Self-Determination of People - A Legal Reappraisal" (1995)や数本のペーパーや報告書を見て来た。
日本語の論文を探したところまずは下記の「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」を見つけた。

「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」
立命館法学 2010 年 5・6 号(333・334号)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-56/matsui.pdf

松井先生は自決権研究の第一人者なのである。(p. 1871)
松井先生の大学院でのご研究は1962年に採択された「天然資源に関する永久的主権」。この決議も海洋法条約に繋がってくるのだ。そしてこの宣言が生まれた背景にあるのが1960年に採択された「独立付与宣言」。松井教授はこの「独立付与宣言」こそが自決権が国際法として確立した時であると、『現在の国際関係と自決権』(松井芳郎著、1981年、新日本出版社)で議論している。(同書32頁)
よって、自決権の議論と太平洋島嶼国の独立、そして海洋法条約はつながっているのではないだろうか?

すなわち,1960年の「独立付与宣言」で政治的独立が可能になったが、経済的独立を果たすために1962年の「天然資源に関する永久的主権」、1974年「新国際経済秩序樹立に関する宣言」「諸国家の経済的権利義務憲章」と、独立国家の主権的権利として経済的自決権が主張されて来たのである。この流れの中で、即ち政治的自決権と経済的自決権、それに伴う脱植民地化と主権国家の枠組みの中で、1967年のパルド大使の演説、そして海洋法条約の議論を捉える必要があるのではないか?


ソビエト崩壊を見て来た松井教授は、アジア・アフリカの新興国の問題も認識されていた。即ち国家主権と自決権の問題点を指摘されている。「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」には興味深い松井教授のコメントがある。長いが引用する。

「自決権を考える時には国家の枠を考えざるをえなかったのですが,古典的なスターリン主義的な発想というか,国家の考え方が理念的にすぎました。社会主義が真の民主主義を実現するとか,アジア,アフリカの民族解放を通じて,民族民主国家が実現するとか,自決権を通じて民主主義国家ができるんだと,現実にこれらの国がどうなっているかをあまり検討せずに考えていた。本当のマルクス主義というよりは,現実社会主義のプリズムを通じて見たマルクス主義で,国家像の理解が教条主義的でした。それが現実の動きを見ると,実はそうでなかったのではないか。そういうところをもう少し批判的に見る必要があるのではないか。」(1876ー1877頁)

即ち自決権=主権国家、という理論に問題があった、という事ではないであろうか?この事を松井教授が議論されたという論文「『ソビエト国際法』の終焉」も読んで見た。カッセーゼ博士の議論が出てくる。即ちレーニンの自決権論を手放しで評価する立場ではない。
ここら辺の議論はソ連の事、レーニンの議論がわかってないと理解できなそうなのだ。

えっ! レーニンの自決権も勉強せねばならいないのだろうか?やっぱり指導教官のアドバイスに従った方が。。。


<今回読んだ資料>
松井芳郎、「『ソビエト国際法』の終焉」名古屋大学法政論集 / 名古屋大学大学院法学研究科、157号 p21〜65
松井芳郎、『現在の国際関係と自決権』1981年、新日本出版社
松井芳郎, 薬師寺公夫, 徳川信治 他「松井芳郎教授 オーラルヒストリー」、立命館法学 2010 年 5・6 号(333・334号)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-56/matsui.pdf


<これから読みたい資料。レーニンもがく〜(落胆した顔)
松井芳郎「天然の富と資源に対する永久的主権(一)(二)」『法学論叢』79 巻 3 号(1966)35–71 頁及び同 4 号(1966)45–68 頁

長谷川正安、『民族の基本的権利』

1913 The Cadets and “The Right of Nations to Self-Determination”
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1913/dec/11.htm

1913 National-Liberalism and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1913/dec/20.htm

1913 Novoye Vremya and Rech on the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1913/dec/25.htm

1914 The Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1914/self-det/index.htm

1915 German Social-Democracy and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1915/jan/00.htm

1915 The Revolutionary Proletariat and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1915/oct/16.htm

1916 The Discussion On Self-Determination Summed Up
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1916/jul/x01.htm

1916 Note to the Theses “Socialist Revolution and the Right of Nations to Self-Determination”
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1916/feb/00.htm

1916 The Socialist Revolution and the Right of Nations to Self-Determination
https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1916/jan/x01.htm
ミクロネシアでの海底地形調査と海洋における国際協力の今後 [2017年08月28日(Mon)]
同志社大学坂元教授が編集されている笹川平和財団の【Ocean Newsletter】に、BBNJの議論にも、また来年の島サミットにも重要な記事が掲載されていた。

【Ocean Newsletter】第409号(2017.08.20 発行)
「ミクロネシアでの海底地形調査と海洋における国際協力の今後」
(国研)海洋研究開発機構経営企画部国際協力推進担当役◆川村善久
https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/latest/index.html


BBNJの議論を見ると、太平洋島嶼国側も何をどう支援して欲しいのかわからず、取りあえず利益を要求することしかしていないのである。(伝統知識、平等原理、隣接性にこじつけて)
この川村善久氏の記事には(国研)海洋研究開発機構の研究船「かいれい」によるミクロネシア連邦海域での具体的な支援が書かれている。

中でも興味深く、また重要と思われるのは下記のように豪州からの提案でこの支援が行われた、という事である。豪州は赤道以南だけでなく以北も自分の裏庭と思っているところがあるが、他方で支援が十分にされていない事は、戦後この地域を実質的に担当してきた豪州が一番知っている事である。

「豪州地球科学研究所の西太平洋・島嶼国海域担当の職員から「ミクロネシア連邦が緊急に海底地形調査を必要としており、ロードハウライズ周辺での構造探査航海へ向かう研究船「かいれい」を利用し調査を実施できないか」との問い合わせがあった。」


さらに興味深いのは、水産庁の取締船同様、シップライダーズ方式である事だ。
「(ミクロネシア連邦が)研究船を独自でチャーターして調査を実施するほどの財源も持ち合わせていないこと等の情報を得た。豪州地球科学研究所からの強い支援要請もあり協議の結果、ロードハイライズ調査航海の回航時に必要最小限の4日の調査日数を追加し、その調査日数のみミクロネシア連邦予算で実施することで、3カ月弱という短い調整期間で本調査航海を確定、実施することができた。」

小島嶼国は自ら海洋研究調査の物理的資材を持つことは難しい。日本の調査船に乗船してもらうシップライダーズ方式はベストソルーションである。さらに川村氏が提案しているように、この国際協力が日本の海洋におけるプレゼンスをより高める、まさにウィンウィンの事業になる事だ。

水産行政とは?その2 [2017年08月28日(Mon)]
海洋問題の大きな部分を水産、漁業が占める。
水産行政を知らずして海洋問題は語れないのだ。逆に海洋問題がわからないと水産行政は語れない。
この3、4年、「水産行政」を戦後の水産庁の設立の様子から見て来た。そして現在国際海洋法大家の同志社大学坂元茂樹教授の下で勉強する機会をいただいている。

私が海洋問題を扱うようになったのは2008年に立ち上げたミクロネシア海上保安事業である。
2008年3月11日、太平洋軍キーティング司令官の公聴会の証言に反応した笹川会長の正論での提言(2008年5月6日)を受け、笹川平和財団前会長の羽生さんがミクロネシア海上保安事業を提案。私は羽生さんの指示でミクロネシア3カ国の大統領の合意を得る業務を行ったが、半年という短い期間で達成した。

笹川平和財団自体がそれまで海洋問題を扱った事は無かった。私自身も事業立ち上げで役目は終りかと思っていた。ところが、豪州政府が(当時は親中ラッド政権)大きくリザベーションを示し私のキャンベラ通いが開始した。よって、海洋問題は現場でゼロから、自己流で学んで来た。

財団には海洋を知る人はいなかったので、元国交省審議官の財団前会長羽生さんは国交省や海保、そしてそのリタイヤ組を財団に呼んできたのである。当然海洋専門家と思いきや、島嶼問題や水産問題は知らないのである。知っていればパラオの海洋保護法を支持しないであろうし、ミクロネシア連邦司法長官が日本のカツオ漁船に対して行ったカツアゲのような取締を支援しないであろう。
この件で羽生さんに思いって具申した事が何回かあり、会長室で吊るし上げにされるという貴重な経験もする事となった。それだけでなく、水産庁と関係のある(パラオへの取締船派遣の事)当方は事業から外れてくれとまで言われた。

このままでは笹川平和財団だけでなく、水産問題を知らないパラオや他の太平洋島嶼まで悪い影響が出ると思い、2016年1月に羽生さんに当方の業務内容を確認したところ、これからもずっと仕事を継続して欲しいとの事。それで海洋問題を体系的に勉強しようと思い、同志社大学の坂元茂樹教授の門を叩いたのだ。


産經新聞記者のコメント「水産行政がこれでいいはずはない、そう思いませんか?」
水産行政を批判するには海洋問題を知らないとできないはずだ。そしてこの海洋問題はどこまでも広く、深い。
BBNJ PrepCom4 ー equity・公平(追記あり) [2017年08月23日(Wed)]
太平洋島嶼国始め途上国から提案されたが、最終報告にはない原則の一つが ”equity・公平” である。シュタイン博士の平等原理を読んだ後だったの妙に記憶に残った。

コスタリカとエリトリアが支持。米国、日本が反対。
CARICOM, PSIDS, LDCs and the High Seas Allianceが ”inter- and intra- generational equity”を強調。米国が反対。
”inter- and intra- generational” とはなんであろう?*

アフリカグループがCBDに沿った“fair and equitable benefit-sharing”を提案。
BBNJとCBDとの関連を坂元教授が議論されているので、これは近々紹介したい。

日本はequity が原則として含まれる事の重要性が理解されるべきであると注意(note)している。 "equity" って何?というのはまさにルソーやシュタイン、バークが議論しているのでここは気になる箇所であった。

Equity:
Costa Rica, supported by Eritrea but opposed by the US and Japan, called for including equity. CARICOM, PSIDS, LDCs and the High Seas Alliance underscored inter- and intra- generational
equity, opposed by the US. The African Group proposed adding “fair and equitable benefit-sharing” in line with the CBD. Japan noted that the consequences of including equity as a guiding principle need to be better understood.
http://enb.iisd.org/download/pdf/enb25141e.pdf より

他に equity が出て来る箇所を記録しておく。BBNJのbenefit-sharingに関連して出て来ている。

Indonesia emphasized: inter-generational equity, and fair and equitable benefit-sharing; common concern of humankind; and respect for national jurisdiction over the outer continental shelf.

CARICOM emphasized inter-generational equity and benefitsharing by closing the marine science gap.

LDCs suggested “promoting effective and meaningful partnerships for MSR and economic exploration in ABNJ, and underscoring equity.”

The FSM emphasized that: access and benefit-sharing are two essential elements that should be reflected in benefit-sharing modalities; benefit-sharing must be fair and equitable, not nominal; and
a future review mechanism under the ILBI could also assess fairness and equity in benefit-sharing. Japan and the US opposed reference

*豪州のウーロンゴン大学のサイトにIntragenerational Equity と Intergenerational Equityを簡単にまとめているウェッブがあった。下記にコピーしておく。


<Intergenerational Equity>

Intergenerational equity is a concept that says that humans 'hold the natural and cultural environment of the Earth in common both with other members of the present generation and with other generations, past and future' (Weiss, 1990, p. 8). It means that we inherit the Earth from previous generations and have an obligation to pass it on in reasonable condition to future generations.

The idea behind not reducing the ability of future generations to meet their needs is that, although future generations might gain from economic progress, those gains might be more than offset by environmental deterioration. Most people would acknowledge a moral obligation to future generations, particularly as people who are not yet born can have no say in decisions taken today that may affect them.

There are two different ways of looking at the need to ensure that future generations can supply their needs. One is to view the environment in terms of the natural resources or natural capital that is available for wealth creation, and to say that future generations should have the same ability to create wealth as we have. Therefore, future generations will be adequately compensated for any loss of environmental amenity by having alternative sources of wealth creation. This is referred to as 'weak sustainability'.

The government's ESD working groups have argued that, unless substantial change occurs, the present generation may not be able to pass on an equivalent stock of environmental goods to the next generation. This would be due to three factors:

Firstly, the rates of loss of animal and plant species, arable land, water quality, tropical forests and cultural heritage are especially serious. Secondly, and perhaps more widely recognised, is the fact that we will not pass on to future generations the ozone layer or global climate system that the current generation inherited. A third factor that contributes overwhelmingly to the anxieties about the first two is the prospective impact of continuing population growth and the environmental consequences if rising standards of material income around the world produce the same sorts of consumption patterns that are characteristic of the currently industrialised countries. (ESD Working Group Chairs 1992, p. 10)
The other way is to view the environment as offering more than just economic potential that cannot be replaced by man-made wealth and to argue that future generations should not inherit a degraded environment, no matter how many extra sources of wealth are available to them. This is referred to as 'strong sustainability'.

Source: Sharon Beder, The Nature of Sustainable Development, 2nd edition, Scribe, Newham, Vic.,1996.
https://www.uow.edu.au/~sharonb/STS300/equity/meaning/integen.html より


<Intragenerational Equity>

Intragenerational equity is concerned with equity between people of the same generation. This is separate from intergenerational equity, which is about equity between present and future generations. Intragenerational equity includes considerations of distribution of resources and justice between nations. It also includes considerations of what is fair for people within any one nation.
https://www.uow.edu.au/~sharonb/STS300/equity/meaning/intragen.html より


環境と平等に関してはブルントランド報告書にある、という。
"Equity as a concept is fundamental to sustainable development. The Brundtland Commission's definition of sustainable development is based on intergenerational equity: 'development that meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs'"
https://www.uow.edu.au/~sharonb/STS300/equity/meaning/index.html  より
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