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早川理恵子博士
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G7海洋プラスチック憲章を検証する [2018年07月01日(Sun)]
なぜか「環境保護」と言うと思考停止になって事実検証をしない。メディアがしない。自分でちょこっと調べただけでも日本のプラスチック処理の能力の高さはわかるし、海洋ゴミを出しているはG7ではなくて中国、インドネシアだ。

そんなことを喚いていたら検証をした記事が出てきた。さすが産経。宮下日出男記者の署名記事である。EU域内のリサイクル率が3割以下なのである。多くが中国に輸出されていたが中国はもう受け入れない。そしてEUで流通が禁じられる製品のほとんどはアジア・太平洋地域からの輸入品。つまりアジア市場を締め出し欧州が新製品を作る、と言うしたたかさを指摘している。「G7海洋プラスチック憲章」がきれいな話ではないのがわかる。

したたかEU…使い捨てプラ製品禁止は競争力強化の布石 海を守って世界もリード、新規制へ
https://www.sankei.com/world/news/180628/wor1806280001-n1.html


もう一つは堀田康彦公益財団法人「地球環境戦略研究機関(IGES)」上席研究員。国際関係の博士だ。このプラスチック問題日本は世界を主導してきたのだ。ドイツ、カナダは知らないがあのバッチイパリの街を数年前に見た私は、マクロン大統領だけには言われたくない、と思う。

「海洋ゴミ対策、資源・廃棄物、温暖化対策を含むプラスチック資源循環戦略を2019年に向けて策定することも予定されている。」
「日本がすべてに反対しているのではなく、特定の表現に疑問を投げかけている様子である」

マイクロプラスチック汚染と循環経済への大潮流:日本はなぜG7サミットで署名を拒否したのか
https://www.businessinsider.jp/post-170021


上記2つの記事に比べ「当然日本も例外ではないが、取り組みは大きく立ち遅れている。」と結ぶは毎日の八田浩輔記者。堀田氏の記事を読めば立ち遅れているどころか世界を主導しているのではないか?背景を調べていないのが一目瞭然。

使い捨ての包装は全廃へ 欧州のプラスチックごみ対策最新事情
https://mainichi.jp/articles/20180509/mog/00m/030/005000c


最後は日経。篠崎健太記者の署名記事だ。日本の実績に何も触れていないし、中国欧州の影の部分も触れていないどころか欧州にだけ危機感があるような書き方だ。

欧州、脱プラスチック 海洋汚染が深刻、使い捨て禁止へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31991540Q8A620C1MM0000/



以上、4本の記事を比べてみました。
読書メモ『海洋ガバナンスの国際法』瀬田真著 [2018年07月01日(Sun)]
2つ目の博論のテーマは「国際的海洋ガバナンスにおける太平洋島嶼国の役割 ̶BBNJの協議を巡る太平洋島嶼国の海洋政策 ‒」

「国際的海洋ガバナンス」についても議論が必要であると指導教官坂元教授のコメントがあり、急遽『海洋ガバナンスの国際法』(瀬田真著)を開いた。博士論文である。

自らは開発も管理もできない広大なEEZの管轄権をもつ島嶼国をどのように記述しようかと悩んでいた。瀬田論文は独立した旧植民地は多様で沿岸国の海洋管理能力の差が顕著であることを指摘。こうあっさりと書かれて、なんだ共通認識か、と同じ問題意識であることにホッとした。この国家による海洋管理能力の問題はW.T.Burkeなどによって当初から指摘されていたのだ。(同書p17−18)

W.T. Burke, The New International Law of Fisheries; UNCLOS 1982 and Beyond, Clarendon Pres, Oxford, 1994. XXV + 382 pp., ISBN 0-19-825251-X.

もちろん太平洋でも島嶼国政府では管理できないというのは十分わかっていて、1970年代には既に島嶼国のEEZ管理のために、豪州が今に続くPacific Patrol Boar Programmを立ち上げたのである。

同書では今回の島サミットでも宣言文に入った便宜置籍船の事も触れられており、海洋法91条の「真正の関係」が理想であり現実とのギャップが指摘されている。そのギャップの一つが島嶼国が北朝鮮やテロ活動を支援していることだが、そこまでは触れられていない。(同書p206−207)

ともあれ、瀬田論文でUNCLOSの沿岸国の、即ち当方が研究対象とする太平洋島嶼国の海洋管理能力の限界が当然のことのように指摘されていたことは、安心材料が増えた。そしてまさに島嶼国などの管理能力、管轄能力のない、沿岸国の存在こそが「海洋ガバナンスの国際法」につながっている、のでは?
瀬田博士が事例として取り上げている海賊行為(2章)、SUA条約(3章)、船舶起因汚染(4章)はまだ読んでいない。

 

 
無鄰菴にてー持続可能な日本庭園 [2018年06月11日(Mon)]
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山縣有朋が、京都東山に疎水を引き込んだ日本庭園を持つ別荘「無鄰菴」を作ったのは1894−1896年。
今、植彌加藤造園が管理している。
夕暮れの「無鄰菴」で蛍を見る会があり、植彌加藤造園の方(女性)と話す機会があった。

私が京都にいるのは同志社大学で海洋法を勉強しているからです、と話すと「海洋法?」と興味を持ちつつも想像できないようであった。そこで、蛍を見ながら、手付かずの自然ではない、手を入れた自然がここにもある、と考えたいたので、その事を話してみた。

私「海洋問題の一つに手付かずの海洋環境が、しかも広大な海洋を手付かずのままにするのが良いと考える海洋保護区があるのですが、人間が手を入れる事で逆に持続できる海洋、特に沿岸があるのです。里海、と言います。日本庭園もそうではないですか?」

加藤造園さん「日本庭園はまさに職人が手を入れて数百年と持続するのです。例えば枝を切らないと根も伸びて、地面の石を壊し、自然を壊してしまうこともある。奈良に千年以上続いている庭もあるのです。今その修復をしています。」

私」「千年!そういえばポニョの鞆の浦は神武、いやもっと前の縄文時代から数千年持続している沿岸でしょうね。しっかり人間の手が入っている。」

どこもかしこも日本庭園ばかりの京都。加藤造園の職人は芸能人並のスケジュール管理、なのだそうである。

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持続可能な開発。
国連で叫ぶ小島嶼国はいったいどれほどの経験、知識、伝統を持っているだろうか?彼らは島の資源を使い尽くして、また次の島を植民していった歴史もある。他方で、島と島のネットワークを持続し、資源を維持していった習慣もある。
今、小島嶼国が叫ぶ「持続可能な開発」は沿岸から隣接する海域をどんどん囲い込み、権利だけを主張する開発ではないか?


島サミット特集:北朝鮮を支える太平洋島嶼国の便宜置籍船 [2018年06月07日(Thu)]
今回の島サミットが画期的だった理由の一つにこのブログでは散々取り上げている、太平洋島嶼国の主権ビジネス、その中でも北朝鮮を支援している便宜置籍船の件が首脳宣言に明確に書き込まれたことだ。下記の部分である。

「特に,首脳は,いわゆる「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁回避戦術に対して深刻な懸念を表明し,開発パートナーによる太平洋諸島フォーラム島嶼国に対するこの取組への支援を得ながら,現時点で船舶登録上,自国が旗国となっている貿易又は漁業に従事する北朝鮮船舶の船舶登録の解除を含め,関連の国連安全保障理事会決議に従った取組を加速させていくことの必要性を強調した。」

第8回太平洋・島サミット(PALM8)首脳宣言(福島県・いわき市)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/page4_004026.html


便宜置籍船に関して本を見つけた。非常に面白い。武城正長著『便宜置籍船と国家』(御茶の水書房、2013)である。


便宜置籍船の歴史からその詳しい発展、運営について書かれている。
特に小国が便宜置籍船ビジネスを行う理由に、その利益が少ないため行政費用を抑える、すなわち「面倒をみないこと」(16頁)「主権を行使しながら実行的管轄義務を十全に果たせない」(25頁)などを指摘している。
わかっていたが、このように書かれるといささかショックである。すなわち太平洋島嶼国政府は旗を貸した船が何をしようが、テロ活動をしようが、責任を持たないことを前提しているのだ。確信犯である。

それだけではない。便宜置籍船は日本や欧米諸国の海洋人材を失った。途上国の安い労働者がそれに変わったのだ。しかしこれら労働条件はひどいもので、中には船員ごと船をどこかの港に廃棄するケースもあるという。

欧州の海運国は自らの首を絞めるようなこのような制度は支援しなかったが、この便宜置籍船を進めた背景にあったのが米国の軍事戦略 Effective US Control Shippingであった、ということも一章を割いて詳細が書かれている。

この本、再度借りてじっくり読み込みたい。小島嶼国、海洋国家ではない沿岸国の独立とはこのような世界的な問題を引き起こす結果となっているのだ。

島サミット特集:安倍総理スピーチの分析評価ー歴史的海洋の権利 [2018年06月07日(Thu)]
「これから力を入れたいのは、第一に、海の秩序に法の支配を打ち立てることです。古来、私たちの海の恵みをもたらしてくれた太平洋。その太平洋で我々が昔から持っている権利を、国の大小に関わりなく守ってくれるのが法の支配です。」


英語では 
"Where Japan wishes to place emphasis from now is, first of all, in establishing the rule of law in the maritime order.
Since ancient times, it is the Pacific Ocean that has given us blessings of the sea. And it is the rule of law that gives protection to the nations, big and small, for their inherent rights."


太平洋・島サミット(PALM8)首脳会合における安倍総理の冒頭発言 より
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/0519speech.html


島サミットの安倍総理スピーチを勝手に分析評価している。
過去のスピーチを引っ張ってきて比較しなければ明確に言えないが、今までのスピーチと全く違うレベルだと思う。かなり草稿メンバーが充実し、勉強している。


「古来」「その太平洋で我々が昔から持っている権利」という箇所を読んで、えっ!そんな歴史を持ってきたら、伝説や亀や鮫のトーテム信仰まで持ち込んで自分たちの海の権利を主張する太平洋島嶼国をまた増長するのでは?と心配になった。
ちょうど大学の浅野教授の授業で南シナ海の件を勉強していたため、スピーチの発言の隠された意図がわかった!

中国の南シナ海、九段線の話である。仲裁裁判所は九段線について「資源について中国が主張する歴史的権利には法的根拠はない」としている。この安倍総理のスピーチはそのことへの当てつけ、ではなかろうか。

太平洋島嶼の人々、オーストロネシア語族は太平洋とインド洋を数千年前に自由に行き来していた歴史がある。それは考古学、言語学などで証明されているのだ。中国の九段線の主張とは違って!
しかし、太平洋島嶼国は海上を通航していただけなので、インド太平洋の「海洋の歴史的権利」を主張しだすとは思えない。

今回の島サミットにインド太平洋のコンセプトを後押ししたのは自分である。安倍政権も島嶼議連もその意識はあったが、きっかけが必要だったのだ。
実は一番私が言いたかったことは、天然資源や海洋を領土の隣接性を根拠に線を引いてどんどん囲い込もうとする動きは、決して太平洋島嶼国の伝統でも歴史でもない、ということだ。領海等、テリトリー主義の前に、魚、人間、海洋、気候等は人間が線を引いたテリトリーを超えてに行き来し、人間の方がその動きに合わせ応じて空間を認識し、動いていたはずなのだ。

数千年前、インド太平洋の海をネットワークしたのは太平洋島嶼国の人々だが、約150年前太平洋の海を面として、すなわち遠洋漁業を開拓したのは日本人、しかも安倍総理の地元、山口や瀬戸内海、紀伊の海人であったのだ。
それも安倍総理に言って欲しかった気もするが、ちょっと問題が複雑なので、これはしょうがない、か。
SDGsのフェイクな海洋問題ー世銀に水産資源を教示せよ! [2018年06月06日(Wed)]
SDGs 持続可能な開発目標。

2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs) の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」
2016年から2030年までの国際目標。
(外務省のサイトからhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/doukou/page23_000779.html )

17の目標が掲げられているが一番関心が低い目標が14番目の海洋問題、との調査結果が出た。

The U.N. Goal That Doesn't Get A Lot Of Respect
https://www.npr.org/sections/goatsandsoda/2018/05/31/614493772/the-u-n-goal-that-doesnt-get-a-lot-of-respect?utm_campaign=storyshare&utm_source=facebook.com&utm_medium=social

3500人の途上国のリーダーを対象とした調査である。
調査を行なったのは AidData research center at the College of William and Mary。この組織は初めて知った。創立が2009年と言うことで10年の歴史がある。
3500人はどのように選んだのか、どの地域か、質問内容は?など調査の詳細を確認しないと判断できないが、調査では太平洋と東アジア以外では海洋問題は最低の感心事項だったと言う。

トップ5は
目標4 教育、
目標16 平和
目標8 経済成長と雇用
目標3 保健
目標9 インフラ、産業、イノベーション

WWFのコメントがこの記事で引用され2015年の調査では海洋は$2.5 trillion分の経済価値がある、と。WWF副会長は "Oceans are a critical foundation for developing economies," 海洋は発展途上国のとって重要な基礎である。と。(嘘ばっか)

さらに Center for Global Development,のCharles Kennyの言葉を引用し「世界の飢えを解決すには海洋問題を解決しなければいけない。」
"If you want to fix global hunger," he says, "we need to fix the oceans."

Charles Kennyの経歴を見たが、どうも海洋問題は専門ではないようである。
https://www.cgdev.org/sites/default/files/media/files/experts/cv/Kenny-CV-Feb-2018.pdf

"we need to fix your head before the oceans." と送っておいた。こんなのばかりが海洋問題やってるんですよ!だから何も考えずに海洋資源が途上国を救うなんて根拠なき話を世銀がばらまいているんです!まずは世銀に水産資源を教える事が先!
山中仁美『戦間期国際政治とE・H・カー』(2017年 岩波書店)読書メモ [2018年06月05日(Tue)]
山中仁美『戦間期国際政治とE・H・カー』(2017年 岩波書店)

1. 同書を選択した背景
私の博士論文のテーマは太平洋島嶼国と海洋の管轄権の問題である。数千から数万人の人口を持つ太平洋島嶼国の主権国家として存立基盤が「自決権」である事は明確だ。博士論文では「自決権」自体が主要テーマではないが、その議論について簡単に整理する予定である。
現在までの文献調査で多くの「自決権」に関する議論を読んできた。その中の一人E・H・カーが『平和の条件』の中で「自決権の危機」を議論しておりその事を引用したいと思っている。しかし、私は国際政治学者としてのカーしか知らない。それも朧げにしか知らない。彼が歴史研究家でもあり、マルクス・レーニン、そしてロシア研究の第一人者である事は知っていてもその中身については一切知らない。また彼が外交官、大学教授、ジャーナリストとして活躍していた事は知っていてもその職業的立場と研究内容がどのように関わっているのかも知らない。しかし、巨人、E・H・カーを知るだけで数年はかかるはずだ。そこで既存のカー研究を探していたところに出会ったのが、山中仁美著『戦間期国際政治とE・H・カー』である。まさに、カーとは何者か?という疑問を掲げた論文である。

2. 筆者山中仁美について
論文の内容に入る前に筆者の山中仁美博士について触れないわけにはいかない。
「あなたのような駆け出しが巨人、カーを論じるなんて」で始まる同書の序に収められている論文「知的巨人、カーの実像に迫る」は2009年の「外交フォーラム」に初出したものでその箇所だけ記憶に残っていた。年齢差別、そして想像だが女性差別の意地悪なコメントは、当時一つ目の博士論文を初めていた自分にも重なって記憶に強く残ったのである。よって、若手の日本人女性研究家がカー研究をしている事は以前から知っていた。今回文献調査の中で彼女の研究成果に出会えた事は幸運であった。というより運命であったのかもしれない。
筆者山中仁美は2014年、博士論文を書き終えた数年後に癌で亡くなっていたのだ。39歳の若い命である。癌は高校生の頃に発病し、20年以上病との戦いの中で研究生活を、カーを選んで進めてきた様子が、山中博士の友人や知人からの記述に読み取れる。
山中博士の文章には一切の無駄がないのだ。そして問題意識が明確である。自分が死んだ後に何が残るのか、自分が生きた証は何か、そんな筆者の静かな叫びが聞こえて来そうな論文である。それは別の理由で命の縁を見ながら2つ目の博士論文を書いている自分に重なる部分が多く、山中博士の研究姿勢に共感を覚えずにはいられない。それほど、女性が学術研究を、博士論文を書く事に対する世間の目は冷たい上に、研究生活というのは命を掛けて行う孤独な作業なのである。前置きが長くなったが、論文がどのような立場で書かれているか知る事は重要なので、あえて筆者の背景を記述した。

3. 同書の優れた点と理由
まず第1章では「E・H・カー研究」を概観することで筆者の問題提起を浮き彫りにする作業をしている。最初に国際関係論におけるカーを扱い、リアリストというラベルを貼られ「規範なき相対主義者」とまで批判されしばらくは忘れられたカー。しかし、1982年の死去の後、再度積極的評価が始まる。カーのリアリストとユートピアンの共存を積極的に認める論調も出て来る。
次にカーの歴史研究、ソヴィエト・ロシア研究が取り上げられる。代表作『歴史とは何か』は多くの批判を含む議論を呼んだ。その一つが実証主義的歴史学を支持する職業歴史家による「危険な相対主義」というものだ。しかし、カーの歴史観は現時点ではイギリスの歴史学的方法のメインストリームになっている、という。
戦後、カーは国際関係論そのものを否定し『ソヴィエト・ロシア史』14巻を書き上げる。ここでもどっちつかずのカーはイギリスの学会からは「親ソ的」とのレッテルを貼られ、左翼主義者からは「コミュニズムに対して非同情的」と映った。私は今までカーについて多様な、しかも対極的な批判を耳にする事が多く「カーとは一体何者か?」と悩んできた。この記述でその理由が初めて理解できた。
次に山中博士は国際関係論、歴史研究、ソヴィエト・ロシア史研究家の3人のカーを一人にしようと試みる。その挑戦の背景にはカーの手紙などの個人文書が出てきて整理されアクセスできるようになった事が挙げられている。これによってカーをより総合的に捉え、学問体系自体を見直す意義を山仲博士は明確にしているのである。それは3人のカーを寄せ集めた既存の研究を批判した上で、カーの研究手法と内容の内在的側面と、同時代の政治状況やカーを取り巻く社会的・知的環境といった外在的側面を同時見ることによって「一人のカー」を探す事である、とご自身の研究の理論的課題を明確にする作業を試みている。

巨人カーを研究するにあたって、その先行研究を十分吟味し、問題点を整理し、さらに自分の研究の意味を明確にする作業は、研究活動の土台である。その意味でこの論文が優れている。
同書は、後4章に分けてカーの研究について議論されている。この中でも自分の博士論文で取り上げるべきか検討中の英連邦の動きが取り挙げられているので若干書いておきたい。
第一次世界大戦で崩壊寸前となった大英帝国の枠組みをいかに維持するかを検討するために「チャタム・ハウス」という研究グループが立ち上げられた。ここでのナショナリズム論研究をカーが主導していた事を始めって知って驚愕した。この研究はあまりうまくいかなかった様子であるが、多分カーの著作『ナショナリズムの発展』(”NATIONALISM AND AFTER”, 1945)でまとめられているのではないか、と思う。戦後の世界は、カーが否定したナショナリズムや自決権を逆に促進する方向で進んでしまった事に、当然カーは悲観し悲嘆したはずである。自ら国際関係論を否定したり、研究生活に篭った事は理解できる。なお、このような理解も山中博士がカーの研究内容だけでなく当時の周辺の動向、カーの思考立場、という広範囲な研究がなければ理解できなかったであろう。

もし山中博士が研究生活だけでなく、外交やジャーナリズムと言った「現実の世界」で仕事する機会があったなら、カーの多様性をより簡単に理解できたかもしれない。それでもバラバラにされたカーをここまで一人のカーにまとめ上げようとした山中博士の業績は、私も含めカーを研究素材として応用したり、研究対象とする際の大きな指標である。
島サミット特集:フォローアップ提言 [2018年06月03日(Sun)]
前々回の第6回島サミットに「海洋問題」と「米国の参加」が入ったのは私が提案したからである。当時の大洋州課課長(確か飯田さん)がわざわざ連絡をくれたのだ。
(具体的に書くと笹川会長の名前で、財団として出したかったのだが、当時の国交省元審議官の羽生会長が「そんな事しても無駄ですよ」と相手にしなかったのだ。)

その時は「これで私がやることはない」放っておいたら何も始まらなかった。今回はそのことを反省し、しっかりフォローすることとしました。
下記を官邸に提出しました!

- - - - - -

この度は第8回太平洋島サミットのご成功、心からお祝い申し上げます。
1997年の初回島サミットから関与・観察させていただいていますが今回の島サミットは戦後日本の太平洋島嶼国政策を大きく変え、まさに「樋口レポート」に渡辺昭夫教授が盛り込んだ新たな日本主導の多様な安全保障体制が浮き彫りにされたと存じます。
当方は2008年に笹川平和財団のミクロネシア海上保安事業を立ち上げ現場で米豪始め関係諸国との協力関係を構築してきました。昨年は島嶼議連、海洋議連で講演する機会をいただいた事をきっかけに国内外のメディアにも積極的に太平洋島嶼国の海洋安全保障の重要性を主張してきました。
ここで我が国が取るべき次の一歩として、今回の島サミット首脳宣言で合意された海洋安全保障支援を、日本が世界に誇る海上保安庁だけでなく、海上自衛隊、水産庁の合同で進める事を提案させていただきます。
日本の海上保安庁の優秀さは否定しませんが、水産庁が担当する遠洋水産資源管理、防衛省が把握する国際的安全保障に関しては海上保安庁の知識・認識に限界がある事を現場で観察してきました。しかし海洋安全保障の実態は複雑で日本の省庁間縦割り行政がマイナスになっていることは否定できません。豪州など英国系の国では海軍が違法操業など法執行分野を主導し、沿岸警備隊を保有する米国も海軍と常に合同で活動しています。即ち軍事と法執行が同じ組織で、または表裏一体で行われているのが実態です。具体的には中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の公海監視制度では米海軍軍艦100隻以上が違法操業監視のための「法執行船」として登録していますが、日本は水産庁取締船3隻だけです。
今回の島サミットで北朝鮮と太平洋島嶼国の便宜置籍船の件が初めて指摘されました。太平洋では密輸を含むあらゆる越境犯罪が行われておりこれは米豪海軍が情報を把握する範疇です。日本の自衛隊を米豪海軍に派遣し情報収集及び協力関係を構築することは急務と考えます。
今後はインド太平洋の海洋安全保障に関連し、海上自衛隊、海上保安庁、水産庁、外務省、法務省が合同チームで情報収集、現場視察、合同訓練に参加するなど現場の多様な安全保障の現実を認識し、国内の省庁間の協力を促進することが必須と考えます。これは先般閣議決定された第3期海洋法基本計画が進める省庁間の協力と一致します。
安倍政権のインド太平洋戦略が具体性を持って推進される事を祈念しております。
第三期海洋基本計画と「霞ヶ関ルール」(追記あり) [2018年05月31日(Thu)]
昨日、同志社大学の坂元茂樹教授の国際法の授業で「霞ヶ関ルール」と言う日本政府の悪い体質を形容する言葉が出てきた。
国際会議などの日本政府を代表する場でさえも、省庁間の権益を乗り越えられず、日本に対する誤解と不審を世界にばらまく行為である。

これでピンときた。先週招待いただいた日仏海洋対話で、内閣府総合海洋政策推進事務局河津邦彦参与が第三期海洋基本計画を紹介されたのだが、引っかかっていたのだ。

第三期海洋基本計画、「海洋安全保障」が主要テーマである。島サミットと同じ。
誰かが防衛省と「海洋安全保障」との関連を質問したのだと思う。
河津邦彦参与、それは防衛省の担当で第三期海洋基本計画は関与しない、もしくは私は知らない、という風に回答した。さらに第三期海洋基本計画のセキュリティと防衛省のセキュリティは違う、とも。
ここは河津邦彦参与の回答を正確に覚えていないのだが、コーヒーブレイクで他の参加者とあの回答変だよね、と確認したので私の勘違いではないと思う。

第三期海洋基本計画、「海洋安全保障」がメインで防衛省が、自衛隊が入っていないはずない、と思いキーワード検索したのが下記のブログである。

海洋基本計画と安全保障キーワード数
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/2557
国土交通省で191回。海上保安庁は20回。
農林水産省で75回。水産庁は4回。
外務省の55回
防衛省34回、自衛隊8回となっている。

国土省が圧倒的に多いが、防衛省も34回、自衛隊8回と出てきている。これだけ出てきて第三期海洋基本計画の安全保障は防衛省のそれと違う、と言って良いのだろうか??


河津邦彦氏、1967年 (昭和42年) 篠山市生まれ。 篠山鳳鳴高校、 東京大経済学部卒。 ドイツ留学、 ベルリン総領事館などを経て、 本省アジア局などに勤務。 2004年から在ジュネーブ日本政府代表部でWTO担当。(丹波新聞、2009年12月24日より)

経済が専門なのか。安全保障に関する理解は大丈夫か?
それより何より、省庁間の協力に力を置いているはずの今回の第三期海洋基本計画。肝心の推進事務局が省庁間の権益を分ける「霞ヶ関ルール」を推進するのか?

役人を責めてもしょうがない。国会議員に積極的に意見を述べていきたい。



追記:「防衛省が何回出てきたとしても防衛省に海洋警備を行う法的根拠がないですから、なにもできないのでただのお飾りでしかない」とのコメントいただいたので、実際にどのように明記されているか、防衛省が出てくる項目を拾ってみた。下記にコピーする。

防衛省・自衛隊では、益々厳しくなる我が国周辺海空域の安全保障環境に対応して、 防衛体制の強化を図っている。また、海上保安庁では、直面する多岐にわたる課題に 適切に対応するための海上保安体制の強化を進めている。加えて、平和安全法制を整 備し、各種事態に際し切れ目なく対応する取組を行っている。

○防衛省・自衛隊については、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に基づき防衛力整備を着実に実施していく。特に、南西諸島を含む島嶼部への部隊配備等により、島嶼部における防衛態勢・体制の充実・強化を図る。(防衛省)

○不審船・工作船対応能力を維持・向上するため、情報収集分析体制の強化や不審船 対応訓練を継続的に実施するとともに、不測の事態へのシームレスな対応が可能と なるよう防衛省・自衛隊と海上保安庁の連携を一層強化する。(国土交通省、防衛省)

○同盟国である米国に対しては、平素における各種交流や情報共有、演習等を通じ、幅広い海洋の安全保障の分野における日米間の更なる連携強化に努め、長期的かつ 安定的な米軍のプレゼンスを確保するとともに、友好国との連携を強化していく。 (外務省、防衛省)

○海洋監視体制の充実を図るため、衛星による情報収集の取組や省人化・無人化を考 慮した装備品等の研究や導入を推進していく。(内閣官房、国土交通省、防衛省)

○主として防衛省・自衛隊、海上保安庁及び内閣官房(内閣情報調査室)等が保有す る艦艇、巡視船艇、測量船、航空機、情報収集衛星等や沿岸部設置のレーダー等の 効率的な運用と着実な増強に加え、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA26) の先進光学衛星(ALOS-327)、先進レーダー衛星(ALOS-4)、超低高度衛星技術試験 機(SLATS28)等の各種衛星及び民間等の小型衛星(光学衛星・SAR29衛星)等の活用 も視野に入れ、また、同盟国や友好国等と連携し、我が国領海等における海洋監視 情報収集体制を強化していく。(内閣官房、内閣府、外務省、財務省、文部科学省、 国土交通省、防衛省)

○海洋監視情報共有体制に関しては、防衛省・自衛隊と海上保安庁との間の情報共有 システムの整備を進め、両者間の情報共有体制を充実させていく。(国土交通省、防衛省)

○シーレーン沿岸国に対する能力構築支援や、国際機関への要員派遣等の取組のほか、 ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動等の国際協力活動への参加、その他の 平素の交流を通じてシーレーン沿岸国等との信頼関係や協力関係を構築するとと もに、海上法執行能力向上支援、様々な機会を捉えた海上自衛隊の艦艇による寄港 や巡視船の派遣、共同訓練等を全省庁横断的に連携して進めていく。(外務省、国土 交通省、防衛省)

○国際社会と連携し、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処行動を引き続き実施する。 また、現在、我が国の海賊対処行動部隊が拠点を置くジブチは、西インド洋及び紅 海を臨む要衝であることに鑑み、これまでの活用実績も踏まえつつ、同拠点を一層 活用するための方策を検討していく。連合海上部隊(CMF33)と連携した情報収集や、 ソマリア沖海賊対策コンタクト・グループ(CGPCS34)、第 151 連合任務部隊(CTF15135) 等の国際的な協力枠組を通じて、関係国との連携の強化を図る。さらに、ソマリア 及びソマリア周辺国の海上保安機関の能力向上及び海賊訴追・取締能力向上のため、 国際機関を通じた支援及び二国間での支援を引き続き実施する。(外務省、国土交 通省、防衛省)

○海賊対処法の適切な執行を実効的に行うとともに、「海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法」(平成 25 年法律第 75 号)に基づく民間武装警 備員による所要の乗船警備を推進する。また、諸外国の海上法執行機関等との連携・ 協力の強化やシーレーン沿岸国の海上法執行機関に対する能力構築支援等に取り 組む。(外務省、国土交通省、防衛省)

○我が国にとって、重要なシーレーンにおける脅威・リスクの存在を踏まえ、シーレーンを航行する我が国関係船舶の安全確保のあり方について、海上交通の要素も含 め、平素から関係省庁間で検討していく。(外務省、国土交通省、防衛省)

○我が国が単独でシーレーンの情報を網羅的に収集することは極めて困難であるこ とから、我が国自身の努力に加え、同盟国、友好国等との協力体制を構築し、各国 との連携やシーレーン沿岸国の海洋監視情報収集に係る能力向上に資する協力を 推進する。(内閣府、外務省、国土交通省、防衛省)

○優先度を付けつつ、二国間、多国間の取組への関与を積極的に進めるために、我が 国としても各国への海洋監視情報提供のあり方等の検討を進めるとともに、保全措 置を含めた海洋監視情報提供に係る適切な体制を構築していく。(内閣府、外務省、 国土交通省、防衛省)

○同盟国・友好国・国際機関とも連携して、シーレーン沿岸国に対する能力構築支援 等、装備・技術協力を含め、海洋における規律強化の取組を推進していく。(外務 省、国土交通省、防衛省)

○同盟国・友好国と連携しつつ、能力構築支援、共同訓練・演習、防衛装備・技術協 力を始めとしたビエンチャン・ビジョン(日 ASEAN 防衛協力の指針)に沿った ASEAN 全体の能力向上に資する協力を推進していく。(防衛省)

○シーレーン沿岸国の能力向上のための支援を行うに当たっては、その具体化に向け て、対象となる沿岸国の能力及び当該国のニーズを適切に調査・評価し、関係国・ 機関が強化すべき能力分野を明らかにした上で支援を行う等、政府全体として、よ り戦略的・効率的な支援を追求していく。そのため、関係省庁が行っている支援の 現状を適切に共有できる体制を構築する。(外務省、国土交通省、防衛省)

○上記関連支援の具体的な実施に際しては、同盟国である米国や、友好国、関係諸国 との実務レベルでの連携強化の上、支援の調整を行い、不必要な重複を避け、効果 的かつ効率的な支援を継続的に追求する。(外務省、国土交通省、防衛省)

○G7、東アジア首脳会議(EAS40)、ASEAN 地域フォーラム(ARF41)、拡大 ASEAN 国防 相会議(ADMM42プラス)といった国際的な枠組を活用した関係国・機関との連携に 引き続き積極的に取り組んでいく。(外務省、防衛省)

○法とルールが支配する海洋秩序に支えられた「自由で開かれた海洋」の維持・発展 に向け、防衛当局間においては、二国間・多国間の様々なレベルの安全保障対話・ 防衛交流を活用して各国との海洋の安全保障に関する協力を強化し、海上保安機関 間においては、地域の枠組を超えた「世界海上保安機関長官級会合」等の多国間の 枠組を活用し、基本的な価値観の共有を推進していく。また、拡散に対する安全保 障構想(PSI43)を始めとする大量破壊兵器等の拡散防止に係る国際協力に積極的に 参画する。(警察庁、外務省、財務省、国土交通省、防衛省)

○主として防衛省・自衛隊、海上保安庁及び内閣官房(内閣情報調査室)等が保有する艦艇、巡視船艇、測量船、航空機、情報収集衛星等や沿岸部設置のレーダー等の 効率的な運用と着実な増強に加え、JAXA の ALOS-3、ALOS-4、SLATS 等の各種衛星 及び民間等の小型衛星(光学衛星・SAR 衛星)等の活用も視野に入れ、また、同盟 国、友好国等と連携し、情報収集体制強化を通じて、MDA 能力を強化する。(内閣 官房、内閣府、外務省、財務省、文部科学省、国土交通省、防衛省)

○海洋監視情報の集約・共有に当たっては、海洋監視情報の機密性に応じ、関係府省 間で機動的かつ迅速な情報共有が可能となる有機的な情報共有体制を構築していくとともに、漁業者からの情報提供を始め、民間機関との連携も強化する。(内閣府、外務省、農林水産省、国土交通省、防衛省)

○防衛省・自衛隊と海上保安庁との間の情報共有システムの整備を進め、二者間の情報共有体制を充実させる。また、公表されている情報や学術情報を含めた各種ソー スからの海洋関連情報を集約可能な「海洋状況表示システム 78」の構築に努める。 「海洋状況表示システム」の整備・運用に当たっては、関係機関等が運用する各種 海洋情報サービスとの連携を強化する。(内閣府、国土交通省、防衛省)

○諸外国、国際機関等が保有する海洋情報について、各種ルートを通じて情報収集を図る。(内閣官房、内閣府、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

○我が国自身の努力に加え、MDA に関する同盟国、友好国等との協力体制を構築し、各国との連携やシーレーン沿岸国の海洋状況把握に係る能力向上に資する協力の 推進を通じ、MDA 体制を強化していく。(内閣府、外務省、国土交通省、防衛省)

○内閣府が中心となり関係省庁間で連携して、衛星画像等により国境離島の海岸線等の状況を継続的に把握することにより、国境離島の適切な保全・管理を図る。 (内閣府、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省、防衛省)

○有人国境離島法及び同法に基づく「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離 島地域に係る地域社会の維持に関する基本的な方針」(平成 29 年4月内閣総理大 臣決定)に則し、有人国境離島地域が有する領海保全等に関する活動拠点として の機能を維持するとともに、特定有人国境離島地域では 2027 年に向けて定常的 に転入者数が転出者数を上回る状態を実現すべく、保全及び地域社会維持の施策 を推進する。(内閣官房、内閣府、警察庁、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

○排他的経済水域等の有効な利用等に係る基盤情報を整備するため、海洋調査の推進 と海洋情報の一元化を進め、情報の戦略性等に配慮した上で海洋情報の公開に引き 続き取り組む。(内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通 省、環境省、防衛省)

○海洋に関する国際枠組に積極的に参加し、国際社会の連携・協力の下で行われる活 動等において主導的役割を担うよう努める。特に、経済的側面を含む我が国の安全 の確保の基盤である長大な海上航路における航行の自由及び安全を確保するため、 EAS・ARF等様々な場を積極的に活用し、関係各国と海洋の安全に関する協力関係を 強化するとともに、ASEAN地域訓練センターにおけるVTS100要員の育成支援等の協力 の具体化を進める。(外務省、国土交通省、防衛省)
島サミット特集:安倍総理スピーチの分析評価 -やっと漁業の話 [2018年05月29日(Tue)]
1997年に開始した島サミットは以前書いたように、プルトニウム輸送に対する執拗な太平洋諸島フォーラムへの対応として、主に外務省と電事連が仕切って来たのである。
2011年までは。。

それが本来の島サミットに方向を変えたのが2012年の第6回島サミット。ここで私は(笹川平和財団ではありませんよ!)海洋問題と米国の参加を提案して、大洋州課課長がわざわざ「入れましたよ」と連絡をくれたのを覚えている。確か飯田慎一さん。
それでも水産庁は「蚊帳の外」だったのだそうだ。なので飯田慎一さんが折角首脳宣言に入れてくれた海洋やマグロの話は誰もフォローしなかった。

今回の島サミットは違う。安倍総理の席に水産庁幹部がしっかり同席し、日本の漁業活動を守った、と噂で聞いている。そうであれば「天晴れ!」


スピーチではなんと言っているか?

「皆様には,日本の漁業活動に,格別の配慮をお願いしたいと思います。他方,皆様自身の警備力,資源保存の能力を高める力添えは,日本が,自信と誇りをもって担える役割であると思っています。」

第8回太平洋・島サミット(PALM8)首脳会合における安倍晋三日本国内閣総理大臣の冒頭発言
(平成30年5月19日,福島県いわき市)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/page4_004025.html


首脳宣言では?

15 首脳は,関連する環境面及び経済面の要素を考慮に入れつつ,漁業資源を科学的根拠に基づいて管理することの重要性を認識した。太平洋共同体事務局による最新の科学的な漁業資源評価に留意しつつ,首脳は,まぐろ,カジキ,サメ資源等の高度回遊性魚種の持続可能な利用を確保するために,重要事項に関する共同提案を作成し得る機会の特定を含め,中西部太平洋まぐろ類委員会における協力を継続する意図を再確認した。

16 漁業分野における長年の協力実績を踏まえ,首脳は,適当な場合には,太平洋の漁業資源の持続可能な利用を確保するための日本と太平洋諸島フォーラム加盟国間の互恵的な漁業取決めを通じたものを含め,漁業を発展させることを目的とした永続的な協力関係の重要性を再確認した。この文脈で,日本は,漁業の持続可能な管理を確保するために,国連海洋法条約を含む国際法に従い,自国の排他的経済水域において水域に基づく管理を実施することへの太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳によるコミットメントに留意した。

17 首脳は,太平洋諸島フォーラム島嶼国の主要な収入源を損なうとともに漁業資源の持続可能性を脅かす違法・無報告・無規制漁業を根絶するために,地域における既存の監視制御及び船舶監視の枠組みを考慮に入れつつ,監視制御及び船舶監視についての協力を深化させることへのコミットメントを表明した。

特に16項の次の部分である。「国連海洋法条約を含む国際法に従い,自国の排他的経済水域において水域に基づく管理を実施することへの太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳によるコミットメントに留意した。」

これ、笹川陽平パラオ名誉市民が支援してしまっている同国の海洋保護区への批判でしかない。
さて、違法操業監視だが、日本財団式の船の供与は止めた方が良い。財団が供与した船は繋留されたままで、パラオの閣僚が心配していた。正解は水産庁がやっているシップライダーズ方式だ。

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