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早川理恵子博士
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ポリネシアグループの拡大とポリネシアトライアングル [2018年07月01日(Sun)]
NZ, Hawaii and Rapa Nui admitted to Polynesian Leaders Group
https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/360715/nz-hawaii-and-rapa-nui-admitted-to-polynesian-leaders-group


ポリネシアグループにハワイ、ニュージーランド、イースタ島(ラパヌイ)が新たに加わるというニュース。

2011年に創立された同グループはサモア、トンガ、ツバル、クック諸島、ニウエ、米領サモア、仏領ポリネシア、トケラウ、ワリスフツナがメンバーであった。

現在このサブリジョナル組織はメラネシアとミクロネシアにある。

メラネシアのスピアヘッドグループは、ニューカレドニアやパプアの独立を扱った非常に政治色が強い集まりだ。

ミクロネシアは、米国の影響のあるグループの集まり。笹川平和財団というか私はこのミクロネシアの地域協力を2000年頃から支援してきた。

ポリネシアはこの2つのサブリジョナル組織を意識してできたと言って良いであろう。特にアジェンダはないはずであるが今回ハワイ、ニュージーランド、イースタ島が参加したことでポリネシア大三角形が形成された。すごい大きさのEEZが形成される。
島サミット特集:安倍総理スピーチの分析評価ーバナナ [2018年05月27日(Sun)]
今回の島サミットでの安倍総理に冒頭発言。国際海洋法、南シナ海、太平洋島嶼国の事を知っていると実に意味深長な内容なのである。
こんな中身の充実した総理スピーチは島サミット史上初めてのことではないか?草稿チームは内閣府、官邸、外務省、あたりだろうか?相当勉強している。今までの島サミットの総理発言を全部揃えて比較できれば面白いと思うが、それは宿題に。
今回の意味深長なスピーチを何度かに分けて分析したい。

最初は、「バナナ」

「皆さま,太平洋といい,インド洋と呼んで区別するならわしは,あくまで人為的,便宜的なものです。二つはもとより,一体です。
 はるかな昔,交易によって「二つの海の交わり」をもたらしたのは,パームの父祖たちでした。
 「huti」というタンザニアの言葉は,ポリネシア語の「punti」が語源だとする説があります。どちらもバナナのことです。
 太平洋からアフリカ東海岸へと,バナナは渡りました。運んだのはパームの父祖たち,人類史に現れた,最も偉大な航海者たちでした。
 私たちが生きる「青の太平洋」は,「青のインド洋」と一体です。機会と可能性は二つの海に共存し,解くべき問いと,つのる危機も,両洋をまたいで不可分なのです。
 この際,二つを巨視的に見る,拡大海洋アイデンティティを,私たち一人ひとり,身につけようではありませんか。
 それは私たちの視野を,地理的に広げます。超長期の時間軸で,広い海洋のシステムを見る視座を与えてくれます。」(英文は文末に)

第8回太平洋・島サミット(PALM8)首脳会合における
安倍晋三日本国内閣総理大臣の冒頭発言
(平成30年5月19日,福島県いわき市)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/page4_004025.html


<分析と評価>
新聞報道によると、中国よりの太平洋島嶼国は、この「インド太平洋戦略」を必ずしも賛成していなかったという。普段は自分たちの歴史だ、伝統だ、と主張する彼らが中国が差し出す目の前の利益に目が眩んで、本当の彼らの歴史「人類史に現れた,最も偉大な航海者」を知らないか、忘れているのだ。まさに安倍総理が太平洋島嶼国首脳に海の歴史を教えた瞬間である。
そして「歴史」を捏造し、南シナ海の権益を主張する中国への痛切な一打だ。

「解くべき問いと,つのる危機も,両洋をまたいで不可分」まさに中国の一帯一路のことだ。

「拡大海洋アイデンティティ」「超長期の時間軸で,広い海洋のシステムを見る視座」これこそ、戦後に作成された国連海洋法条約の精神であろう。即ち「人類の共同財産」「公海の自由」である。

100点満点の演説です。



”My friends, it is nothing more than an artificial, expedient custom to distinguish between one stretch of water we call the Pacific Ocean and another we deem the Indian Ocean. The two are one and the same, as a matter of course.

It was the ancestors of the PALM peoples that in the long-distant past brought about the “confluence of the two seas” through trade.

There is a theory that a word in Tanzania, “huti,” was originated from the Polynesian word “punti,” both of which mean “banana.”

Bananas found their way from the Pacific islands to the eastern coast of Africa. It was the ancestors of the PALM peoples, the greatest ocean navigators the world has ever known, that brought them there.

The “Blue Pacific” where we make our home is one and the same as the “Blue Indian Ocean.” Opportunities and possibilities coexist in these two seas, and the questions to be worked out and the growing crises stretch across both oceans, unable to be separated.

On this occasion, shall we not -- each and every one of us -- take on an expansive oceanic identity by which we view the two oceans holistically?

That will expand our field of vision geographically. It will impart to us a viewpoint by which we look at the system of the vast seas with a very long term perspective.”

Address by H.E. Mr. Shinzo Abe, Prime Minister of Japan, at the Eighth Pacific Islands Leaders Meeting (PALM 8) May 19, 2018, Iwaki, Fukushima, Japan
http://www.mofa.go.jp/a_o/ocn/page4e_000824.html
島サミット特集:仏領ポリネシアと日本を結ぶ篠遠喜彦博士<タプタプアテア> [2018年05月21日(Mon)]
第8回島サミットに仏領ポリネシアから出席していたのは
ヘレモアナ・マーマートゥアイアフタプ文化・環境・手工業大臣兼言語促進・コミュニケーション担当大臣
であった。

ニュースには出て来ないようだが文化大臣であれば世界遺産のマラエ・タプタプアテアである。
で、マラエ・タプタプアテアは日本人の篠遠喜彦博士が復興したのである。
しかし、現地の専門家が途中で主導して、考古学的検証と違うものになったと篠遠博士から伺ったことがある。良かれ、と思ってやっていることが現地人たちの意向で勝手に捻じ曲げられる事は多々あるのだ。

UNESCOの申請書はフランス語でわからないが篠遠喜彦博士の名前は確認できる。多分、素人専門家の勝手な復興ではなく、専門家の検証が世界遺産登録に必要だったのであろう。

LE MARAE INTERNATIONAL TAPUTAPUATEA DE RAIATEA
http://www.unesco.org/culture/fr/indigenous/Dvd/pj/MAOHI/MAOHIC4_2.pdf

New World Heritage site 'links all of Polynesia'
https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/334957/new-world-heritage-site-links-all-of-polynesia
ニュージーランド閣僚トンガを破綻国家と呼ぶ [2018年05月21日(Mon)]
安倍総理が、太平洋島嶼国の法執行強化を島サミットで主張したいた時、ニュージーランド閣僚がトンガ半分破綻国家になっていて麻薬の中継基地となっていると発言し、物議をかもしていた。

'Closely failed states' in the Pacific blamed for NZ's drug problems
18 May 2018
http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/357684/closely-failed-states-in-the-pacific-blamed-for-nz-s-drug-problems


Tonga becoming a 'transit point' for meth in NZ
18 May 2018
http://www.radionz.co.nz/news/national/357682/tonga-becoming-a-transit-point-for-meth-in-nz


Shane Jones氏。associate finance minister なので、副財務大臣 であろうか?
ニュージーランドの麻薬問題は太平洋の島を経由してくることを指摘。Jones氏が現地で大使の任にあった時に得た情報ではその中でもトンガが最悪。現地の税関は機能していない。大規模な支援が必要である。
もちろんトンガ関係者からは反発の声が出ている。

国連でも最近、太平洋島嶼国が麻薬(meth and its precursor chemicals)の中継基地になっていることに警告を発している。麻薬が送られて来るのはアジアと南アメリカ、北アメリカである。


パラオ始め、ミクロネシア諸国も麻薬問題が深刻であることを忘れてはならない。
そういう意味でも今回の島サミットで海洋安全保障が取り上げられたのは大きな意味がある。日本はニュージーランド、オーストラリア、米国、そしてフランスと協力してこの麻薬問題解決を目指すべきだ。勿論麻薬収入は北朝鮮にも回っているのであろうから。。

島サミット特集:中国外交使節、タヒチを占領! [2018年05月18日(Fri)]
thediplomat-img_0797-386x290.jpg


今回の島サミットからタヒチ、仏領ポリネシアが正式参加する。
でもタヒチ、というとゴーギャンしか思い浮かばないあなた。地元の人はゴーギャンを嫌っています。現地での行いは良くなかったようですよ。

ムルロア環礁の核実験場でもあり、すでに中国も進出しているタヒチ。下記はマジックウィーポンを書いて中国の進出に警鐘を鳴らしたニュージーランドのAnne-Marie Brady教授の記事です。

Trouble in Paradise: A Chinese Occupation in Tahiti
Questions surround the Chinese consulate’s illegal occupation in French Polynesia
By Anne-Marie Brady
April 20, 2018
https://thediplomat.com/2018/04/trouble-in-paradise-a-chinese-occupation-in-tahiti/

2007年に中国人外交官に貸した居住用のビルが、いつの間にか外交使節機関として使用され、あろうことかオーナーの許可も得ず衛星ディッシュが設置されてしまった。
不動産の持ち主は契約を中止する事を申し出たが中国外交官は「一度借りたら中国のもの」と主張し出ていく様子はない。それどころかオーナー親子を脅かす態度をとっている。

自治権を持つタヒチにフランス政府は介入できない。かと言って地元政府は中国が怖くて反論できない。仏領ポリネシアは失業で悩んでいるところに中国は観光や、養殖で大型の投資をしてくれているからだ。

中国は2018年に18の北斗衛星3を打ち上げる予定で、その地上追跡能力が必要とされている。タヒチの中国大使館用の他の場所が提供されているが、その場所は衛星追跡に適していない。タヒチの首都パペエテはすでに中国軍艦や調査船の定期的寄港地となっている。


この記事を読むと島サミットに参加することとなったタヒチの、フランスの思いが伝わってくるようだ。きっと日本の外務省は関心を持っていないのではないか?
島サミット特集:サモアの苦難 [2018年05月13日(Sun)]
第8回島サミットを控えて、安倍総理と共同議長を務めるサモアのトゥイラエパ首相が、今日から来日のはずだ。天皇皇后両陛下も御引見になる、とのこと。
ウェッブを見てもサモアのサの字も見つからないので、少し書いてみたいと思う。

トゥイラエパ・サモア独立国首相兼外務貿易大臣の訪日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_005941.html


太平洋島嶼の中で、1962年最初に独立したのがサモアである。なぜ最初だったのか?
ドイツ、ニュージーランド領となった歴史の中で、サモアの人々は強力な伝統的首長の存在を得て植民地支配に戦ってきた歴史があるのだ。

その運動を支援してきたのが『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』の作者、ロバート・ルイス・スティーヴンソンである。スティーヴンソンは1890年にサモアに渡り、1894年その地で亡くなる。彼と彼の家族が住んだ家はVailimaの家はまだ保存され観光客に公開されている。

villa_vailima_samoa_400.jpg



以下、ニュージーランド政府のサイトからサモアの歴史を。

Page 4. Samoa
https://teara.govt.nz/en/pacific-islands-and-new-zealand/page-4

1889年英国はドイツ、米国と共同でサモアを管理することに同意。10年後の1899年にはドイツが多くの土地を領有することとなった。米国は現在の米領サモアを領有した。英国はサモアを諦める代わりにトンガ、ソロモン諸島、ニウエ、そしてアフリカのザンジバルなどを領有することとなった。

1914年の第一次世界大戦で、ニュージーランドがサモアを領有。ベルサイユ条約でニュージーランドの委任統治領となったのである。ここからがサモアの悲劇の始まりだ。

まずはニュージーランド人が持ち込んだインフルエンザで、人口の5分の一が亡くなる。しかも当時のニュージーランド統治者はまともな治療を拒否。
さらに、ニュージーランド統治に反発したサモア人の平和的にデモに銃を向け9人が殺されたのである。ブラックサタデー、という。

2011年、49回の独立記念日を迎えたサモアの独立の道描いた、7分のビデオは見ごたえがある。



新渡戸や、矢内原がこのニュージーランドのサモアでの悲劇を論文にも書いている。ニュージーランドは日本のミクロネシア統治から多くを学んだ。日本の統治は、教育と医療を改善し、島の人口はヤップを抜かして増えているのだ。
島サミット:ニュージーランドの太平洋リセット [2018年05月10日(Thu)]
Melino Maka, Tino Pereira discuss Pacific funding boost
https://www.radionz.co.nz/national/programmes/morningreport/audio/2018644270/melino-maka-tino-pereira-discuss-pacific-funding-boost

ニュージーランドのピーターズ外相、次期4年に太平洋島嶼国への支援を約700億円増額する事を発表。これをPacific Resetと呼んでいるが「どこがどうリセットなのよ」という批判の声も多い。。

ニュージーランドの60%のODAは太平洋島嶼国に。
援助は相互尊敬、mutual respectが重要だと。ま、そうだよね。
トンガ政府が優先が高いと考える案件を無視し、ニュージーランド政府の判断で進めることがあった。

中国ー
中国は以前から太平洋にいた。問題は80年代90年代のニュージーランド政府の制度改革である。これが太平洋島嶼国にもマイナスに影響した。
中国の太平洋島嶼国会8カ国に対する支援へ2千億円近い。これにニュージーランドが競争する事は不可能。
ニュージーランドは歴史的な関係が太平洋島嶼国とある。
ニュージーランドの40万人の人口は太平洋島嶼国の子孫。

なんとなく、インタビュイーのトンガ人とサモア人から「ニュージーランド頑張れ!」って言われている感じ。
私も言おう。「ニュージーランド頑張れ!」
ニュージーランドの水産業を支えるニッスイ(4) [2018年03月24日(Sat)]
ニュージーランドのシーロードが、ニュージーランド中から嫉妬されるほど成功しているのは知っていた。断片的に情報は得ていたが、今回まとめてみて改めて学ぶ事が多かった。

オーストラリアとニュージーランドへの中国の大型投資が批判される中、日本企業も積極的に投資している。しかし日本企業の悪いニュースは聞かない。中国と日本の違いはなんであろう?それが一つの疑問だった。
もう一点は太平洋島嶼国が資源を、経営を囲い込むブルーエコノミーという実態のない政策が進められている中、同じ広大なEEZを持つ小国ニュージーランドの水産業の成功が、実は日本企業との連携であった、即ち囲い込まないことであるという事を太平洋島嶼国に伝えたい、という思いがあった。これは来週英文の記事が出る予定だ。


下記の投資家にいかにニュージーランドの水産業が魅力的か書かれた政府公報から興味深いグラフを紹介したい。

THE INVESTOR’S GUIDE TO THE NEW ZEALAND SEAFOOD INDUSTRY 2017
http://www.mbie.govt.nz/info-services/sectors-industries/food-beverage/documents-image-library/folder-2017-investors-guides/investors-guide-to-the-new-zealand-seafood-industry-2017.pdf


NZFisheries.png



ニュージーランドのトップ2のSealord と Sunford。どちらも日本の水産会社が投資しているのである。サンフォードはマルハニチロだ。

NZFisheriesNissui.png



この政府資料だと日本企業がどのように投資しているのかはわからない。今まで見て来たようにニッスイの投資はお金だけの投資ではないのだ。企業倫理から人材育成、グローバルマーケットへの展開と無形の投資が大きい。

小国が大きな水産資源を得た場合どのような経営をすれば成功するのか?
ニュージーランド政府がこれを理解できれば、同国がメンバーになっている太平洋諸島フォーラムに適切なアドバイスを与えられるのではないだろうか?
またBBNJの議論等、自分たちの利益ばかりをヒステリックに叫ぶ小島嶼国に対して、資源や経営の囲い込みが自分達のクビを絞めるだけである事を説明できないであろうか?今回触れなかったがニッスイは薬品など、生物多様性の観点からも資源の活用を行っているので、同社の動きはBBNJと全く無関係ではないような気がした。


下記は偶然見つけた2012年の記事。マオリの意見が出ている。シーロードの成功をマオリがどう捉えているかよくわかる。資源を得られる以上に仕事が得られるかどうかの方が重要なのだ。
Sealord deal gives opportunities for Maori
http://www.stuff.co.nz/the-press/news/8023266/Sealord-deal-gives-opportunities-for-Maori
ニュージーランドの水産業を支えるニッスイ(3) [2018年03月23日(Fri)]
いったい、ニッスイはニュージーランドのマオリとどのような水産経営をしているのか?
下記の記事は2012年のもの。ニッスイがシーロードに参入して10年少しが経過した頃だ。

日本水産にニュージーランドのマオリが神像を寄贈/ニュージーランド国外初
2012年8月23日
http://www.foodwatch.jp/secondary_inds/7862

ポリネシアの海の神、タンガロアが東京のオフィスに寄贈された。寄贈のし方もマオリの伝統儀式に則って。感謝されていなければこんな事はしない。

ニッスイが行ってきたこと
・ニュージーランド沖でトロール漁業
・食肉生産会社への投資、
・漁業の技術移転、
・ラグビーへの協賛
・マオリの若者に対する研修(漁獲、養殖、食品加工、販売、物流など水産関連の各分野と日本語、日本文化、消費者ニーズの理解)

これって、海洋法の中での書かれている新国際経済秩序そのままではないでしょうか?
最後の研修について2011年のニッスイのニュースレターが詳細を報告している。

“グローバル水産研修”
―ニュージーランド水産業の発展を願う
https://www.joea.or.jp/wp-content/uploads/pdf/2011_06_csr.pdf

毎年1−2名のマオリのシーロード職員が約1年の研修を日本で受ける。ニッスイはこれを社会貢献の枠で行っている。卒業生はニュージーランドの水産業に寄与している、とのこと。そして面白いのはみんな東京の中野を好んで住居に選ぶ、という事だ。
ニュージーランドの先住民問題、水産業問題の重要性を考えると中野の、ニッスイの果たしている役割は日本で考えるより大きいと思う。
評価作業が行われる事を望む。それが他の太平洋島嶼国の参考にもなるからだ。


下記のニッスイの英文サイトを読むとニュージーランドで展開している事業の様子が伝わってくる。
http://www.nissui.co.jp/english/business/groupnews/spotlight.html#ao

マオリだけでなくカンボジアからの難民を雇ったり、海岸清掃、子供の水泳指導の支援をしたりと広く活動している。
企業が会社の周囲を掃除する風景って海外では見かけない。非常にシンプルなことだけど、企業哲学の基本の「き」のように思う。これが「一緒に仕事をしていこうと。一緒に価値をつくっていこうと。」なのであろう。


先住民マオリが資源を得ても自分で活用できず売ってしまう例が多いなか、シーロードの成功はどれだけマオリ族を勇気づけているであろうか?しかもニッスイのサイトを見ると「シーロード」という企業名で世界展開しているのだ。ニュージーランド人は知らない。
私が「え、知らないの?ニュージーランドの会社が英国の水産会社を買収したんだよ。」と教えている。多分そんな事、英・ニュージーランド史上ない、想像もできないと思う。

それから昨年、米国のピューが仕掛けたケルマディック島のメガ海洋保護区が頓挫したのだが背景には水産業で成功しているマオリの強い反対があった。フェイクな海洋環境保護を回避できた事にニッスイの役割、即ちシーロードの成功もあったのではないか、と想像している。

最後に、ニュージーランドの水産業がいかに魅力的というニュージーランド政府の資料を紹介してこのシリーズを終えたい。

ニュージーランドの水産業を支えるニッスイ(2) [2018年03月23日(Fri)]
まだこの問題を扱った報告書などはないようで、主にニッスイとシーロードが発信している情報をたよりにまとめて行きたい。

決してニッスイ関係者でもお金をもらっているわけでもありませんが、ブルーエコノミーというフェイク政策を進めようとしている世銀などにまた太平洋島嶼国が騙されているのが見過ごせない。

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ニッスイが世界ネットワークを展開したのはそんなに昔の話ではない。
平成18年の水産政策審議会企画部会 第5回漁業経営・資源管理小委員会速記録があった。ニュージーランドのシーロード始めグローバルネットワークを開始した元日本水産株式会社代表取締役社長、垣添直也氏のコメントが出て来る。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/policy/kihon_keikaku/pdf/keiei_giji_5.pdf


興味深いのは、ニッスイが取得したシーロードの株50%は使用権であり所有権でない、という垣添直也氏の主張だ。これは管轄権の議論、統治委任の議論になんとなく近いような気がする。
ニッスイのおかげでニュージーランドの水産業はグローバルに展開し、雇用も、先住民マオリ問題にも寄与しているのである。
下記長くなるが引用する。

「私はこの問題はニュージーランドのシーロードに50%投資するときも同じ物の考え方でニュージーランドの政府を説得させていただいたのですが、25%しかだめと当時ニュージーランドは言いました。だけど、いわゆるクオータの所有権とかクオータの使用権を分けたらそのことは成り立つのではありませんかと。したがって、ニュージーランドの政府はクオータの所有はニュージーランドで、日本はいかないと。だけど、50%日本水産が使用権の中で発揮することについてはオーケーだということで決まりました。この問題もそういうことではないかと私は思っているんです。いろんな権利があります。その所有権と使用権を分けて、使用権は使用することによって最大の価値を出す人が受けたらいい。」


そしてニッスイがグローバル展開する経営哲学が下記に書かれている。資本支配ではなく価値観の共有。新渡戸が、矢内原が聞いたらどんなに喜ぶか。これこそ、日本が目指した本来の植民政策であり、膨脹であったと思う。

「そこで、私は日本水産としてちょうど2001年の1月にグローバルリンクスというコンセプトを出しました。これは下に書いてあるとおりでございますが、資本で支配するのではなくて、物の考え方を共有できる人、持ち株は25でもいいじゃないかと、あるいは50でもいいじゃないかと。要するニッスイの連結会社にはしないけれども、一緒に仕事をしていこうと。一緒に価値をつくっていこうと。こういうネットワークをつくりたいということで、結構たくさん手が挙がりまして、結果としてはここに書いてある漁業でいいますと、シーロード ニュージーランドの会社であります それから チリの会社のフリオスール 、 。、 、それからアメリカのアラスカ・オーシャン・シーフード、こういうような会社の株、これは一番多くても50%を持って我々と一緒に仕事をしています。その商品を売る仕事ではヨーロッパに3つ会社を持ちました。いずれもマジョリティーを持っていません。我々はマイノリティーですけれど、イベリア半島と北欧と、もっと東に売るようなそういう会社をつくった。そういうことであります。」


では実際にニッスイはどのように「一緒に仕事をしていこうと。一緒に価値をつくっていこうと。」としているのか?
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