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島と海のネット総会準備作業進む その2 [2015年04月28日(Tue)]
4月の国連防災会議に参加したキリバス共和国のトン大統領。
笹川会長に面談を申し込まれたのだそうだ。
それで、当方は羽生会長から緊急の指示をいただく羽目となった。

笹川会長とトン大統領の面談の内容は誰も教えてくれないので、キリバスの知り合いに聞いてみた。
「笹川会長の器の大きさにトン大統領始め一同感動しました。」
という返事をいただいた。笹川会長は何を話したのであろうか?
それにしても自分の親分が褒められるのを聞くのは、素直に嬉しい。


「島と海のネット総会」にはキリバス共和国大統領が参加される予定です。


それだけではない。バヌアツのレゲンバヌ大臣の参加も確実なった、と先日事務局から報告いただいた。

レゲンバヌ大臣、海底資源開発に関して太平洋島嶼国で始めての政策を策定している政治家である。しかも彼の父親は1988年の「太平洋島嶼会議」に教育大臣として参加したセシー・レゲンバヌ閣下。独立の志士の一人でもある。

笹川良一、笹川陽平両会長が作られてきた、太平洋島嶼国との絆を、繋ぎ、紡いでいく事が、当方の役割である事を、昨年笹川会長から言われ始めて気づいた。
なので、レゲンバヌ大臣とも連絡を継続し、昨年のサモアのSIDSでは寺島常務にご紹介させていただいたのだ。
改めて言うとパプアニューギニアの独立は笹川会長の支援なくては有り得なかったのである。(このことはソマレ閣下の自伝を読んで始めて知った。)

1988年、笹川平和財団主催の「太平洋島嶼会議」に参加した首脳の次世代が、今太平洋島嶼のリーダーとなりつつある。



IMG_0843-650x450.jpg


右がレゲンバヌ大臣、左がソマレ閣下のご令嬢でPacific Institute of Public Policyの副所長ドルシアナ・ソマレ女史。写真はPIPPから

島と海のネット総会準備作業進む [2015年04月27日(Mon)]
第7回太平洋島サミットのサイドイベントとして5月25-26日、東京大学伊藤国際謝恩ホールで「島と海のネット総会」が開催される。
昨年、サモアで開催されたSIDSで、姉妹組織だった海洋政策研究財団の事業をお手伝いした事がきっかけ。
この4月に当方が25年勤めさせていただいている笹川平和財団と海洋政策研究財団が統合した後の事業として、引き続き、お手伝いをさせていただく事になった。

詳細はコチラ
 https://blog.canpan.info/ionet-jpn/


日本政府主催の島サミットと笹川太平洋島嶼国基金の関係を改めて整理しておきたい。


<島サミットと笹川太平洋島嶼国基金>
そもそも1997年に日本政府が開催した島サミットの原型は1988年に笹川平和財団が開催した『太平洋島嶼会議』なのである。
戦後初の対太平洋島嶼政策「倉成ドクトリン」を受けて開催された会議で、倉成氏を議長にお迎えし、ソマレ閣下、カミセセ•マラ閣下、ツポウ皇太子(当時)等々、蒼々たる首脳が太平洋から集まった。しかも東京での会議の後これら首脳を北京にお連れしている。

1997年の島サミットの目玉支援事業USPNet。これも笹川太平洋島嶼国基金が仕込んだ案件である。1988年、マラ首相が笹川会長に衛星を打ち上げて欲しいと依頼したのがきっかけ。これが南太平洋大学のUSPNetになり、そして笹川会長の判断で日本のODA案件にした。

実はあまりパッとしなかった島サミットの流れを変えたのも笹川太平洋島嶼国基金なのである。
2000年の第2回島サミット控え、小渕総理から助言を求められた笹川会長が沖縄開催を提案。基金はメディアカバレッジの強化支援もした。

2003,2006,2009は島サミットの影の運営者である電事連が仕切ったというと怒られるであろうか?
この流れを変えたのが3.11の後の2012年の島サミットだ。
外務省大洋州課課長からの要請で、笹川会長、羽生会長、寺島常務、海野常務の了解を得て、海洋問題、米国の参加を提案した。
前回の島サミットではこれが全て入った。これでプルトニウム対策だった島サミットの流れが大きく変わったのである。

<第7回島サミットと海洋問題>
今回の島サミットでは、海洋問題がまた一歩踏み込んだ形で議案として取り上げられる。
この背景を作ってきたのも笹川太平洋島嶼国基金、そして日本財団なのである。
2008年から始まったミクロネシアの海上保安事業であり、もっと大きな視点からは、日本財団が過去40年に渡り行ってきた海上保安事業の国際的動きや、海洋基本法制定等々。
だから、今回笹川平和財団が海洋問題をテーマにしたサイドイベントを開催する事は、また一歩も二歩も日本政府の先を進める事になるのである。


以上、「島と海のネット」事業責任者の古川恵太博士に何度も説明しているのだが、どうも信用してもらえていなさそうなのでここに書かせていただきます。
で、どんな準備作業が進んでいるかは次回書きます。
旧日本軍艦船油流出恐れ(読売新聞2015.3.28) [2015年03月28日(Sat)]
読売新聞の高沢剛史記者からご連絡をいただいたのは1月中旬の事だ。
ミクロネシア連邦チュック州に沈んだ日本船の油流出問題。このブログ見て連絡をした、という。
南の楽園の島は、そのイメージとは対称に、毎日取り上げきれない程の記事、ネタがある。

”ああ、あの件か。”
記憶を辿りながら対応したが、電話を置いてから過去のブログを確認した。


ミクロネシアの海洋汚染 − 日米に届くか小国の声
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/539


PIF総会への日本の参加
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/436


そうだ、ミクロネシア閣僚から直接問い合わせをいただいたのであった。
そして民主党政権の山口壯外務副大臣が下記のようにPIF総会で述べ、外務省大洋州課も前向きな反応を”珍しく”示した件であった。しかも米国がキャンベル国務次官補始め50名も送ったPIF総会でのコメントだった。

「ミクロネシア連邦は,第二次世界大戦中に沈没した船からの油漏れによる環境汚染に対処すべく,国際社会に対し支援要請を行っている。国際社会がこの要請に前向きに対応することを期待。我が国としても,環境問題として,どのような支援が可能か検討していきたい。」

大きな案件である。動きがあれば記事になっている。その後この件は見当たらなく気になっていたが、高沢記者の連絡を受け、立ち消えになっている事が確認できた。


外務副大臣の国際会議での声明である。どのように消されてしまったのだろうか?


高沢記者から再度連絡をいただいた時はコメントが欲しい、という事だった。
今度の島サミットの議案には海洋管理が入るが、油流出だけでなく、広い海洋管理の視点からの支援が必要と述べたかった。
こういう時SNSは便利だ。削られる事を覚悟で書いたコメントが下記。
高沢記者に送ったコメントをコピーする。



- - - - - - -
高沢様

拝復、

パラオでのJMASの活躍、そして天皇皇后陛下のパラオ訪問は、これらの地域が日本とは未だに関係がある事を語っています。


ミクロネシア、サモア等の島嶼国はウィルソンがself-determinationをパリ講和会議で訴えたときも、独立は不可能と認識。c式統治、となったわけです。
WWII後は米国が、ソ連の圧力で渋々独立を認めたのですが、自分たちの安全保障上、完全に自立させようという気はなく、従属を強める政策を取ってきました。

「トラック島の油問題」の実態はブログに書いた範囲でしか知りませんが、これに限らず、バヌアツのサイクロン被害も、何にしても自分たちだけではやっていけない規模の国家である、という現実があります。
ここら辺はEHカーが『平和の条件』で議論しています。
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/857
カーの言うように「軍事経済力の裏付けがない小国は存在してはならない。民族自決を否定はしていない。しかしそれを国家と結びつけるのは現代では無理がある。」(これは私の理解)という事だと思います。

しかし、国家を辞めろ、とも言えないので、それは国連が定めた本来の「自由連合協定」の形で存続するのがベストだと思います。
現在米国とミクロネシア3国が締結しているのが、冷戦構造下の協定なので、当該地域に戦略的関心を失った米国の支援の手が離れつつあります。そこに入り込んでいるのが中国です。

ミクロネシア3国に関しては日米が(本来の)自由連合協定のような枠組みで、特別なケアが、特に海洋管理などの安全保障と経済面での支援が必要と考えています。


早川
- - - - - - -


大手新聞社の記者がこのブログを参考に取材、記事を書く。しかもかなり大きな扱いだ。こんな光栄なことはない。このブログを続けていてよかった。高沢剛史記者、ありがとう。
これからも戦後70周年という視点から取材を続けるという。このブログが引き続きお役に立てば幸いです。
海洋保護区は新型投資金融商品? [2015年03月19日(Thu)]
羽生会長から相変わらずのメガ級の業務指示が昨日あった。
「2時間後に、キリバスの大統領と面談するので資料をそろえて欲しい。」
「えっ、2時間!。どんな資料を集めたら。。」
「わからん。考えろ。」
(多少脚色してありますが、ほぼこんな感じです.)

キリバスのアノテ・トン大統領、何度かお会いしている。
最近はパラオのレメンゲサウ大統領とハグする関係になってしまったので忘れていたが、彼こそ、元祖「海洋保護区」提唱者、グル、指導者なのである。
よって、トン大統領の事はこのブログでも結構取り上げており、資料は10分できた。パンチ


トン大統領は2008年にフェニックス諸島約40万㎢を海洋保護区に制定。
しかし、禁漁区はたった3%で有名無実となっている。
そこでトン大統領は昨年末に全保護区を今年1月から商業漁業禁止にすると宣言していた。
(参考)「有名無実の海洋保護地区」
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/747


羽生会長に資料を送ってから、暫くウェッブサーフィン。
海洋保護区に関してはパラオで、豪州海軍、PEW, ビリオネラー、軍事企業等々、魑魅魍魎を相手に豊かな現場経験を持つ立場となってしまった。
海洋保護区の美名の下で蠢く「金」の存在は誰よりも詳しいのではないだろうか?

そう言えばフェニックス諸島は信託基金を設置したんだったよな、と思い出して再度サーフィンしたら面白い記事を見つけた。

Kiribati Bans Fishing in Crucial Marine Sanctuary
By Christopher Pala
WASHINGTON, May 9 2014 (IPS)
http://www.ipsnews.net/2014/05/kiribati-bans-fishing-crucial-marine-sanctuary/

トン大統領に「海洋保護区」の知恵を授けたのが英国の海洋学者Gregory Stone。
下記にTEDの講演ビデオがある。
Phoenix Islands Protected Area (PIPA)は信託基金を設置している。
つまり禁漁区、保護区にして損する分を埋め合わせるための基金。
これに世界のお金持ちが投資先として注目しているのだそうだ。

“as a commitment towards protecting and conserving its marine resources as well as a bid to attract donors to invest in the PIPA Trust Fund,
(上記の記事から。下線は当方)

さらに怪しいのは海洋学者Gregory StoneはPIPAの運営を支援する2つの組織ーConservation International と New England Aquariumの副会長の職を得ている事である。


ここからは当方の想像、妄想。(羽生会長にはまだ報告していない)
「海洋保護区」は新型投資商品、金融商品なのである。
だから実際に保護されているかどうか、漁業資源管理なんか関係ないのだ。

で、本当に漁業資源を保護したければ。。
ーWCPFC等の国際漁業資源管理機関での規制合意(昨年水産庁が成功)
ー途上国の監視体制の強化。これも日本財団と水産庁がパラオ、ミクロネシアで展開。
ートレーザビリティの強化(流通ルートの管理)
ー寄港国の取り組み強化
が必要で海洋保護区なんて要らない!
(上記リストは公海から世界を豊かに ~保全と利用のガバナンス~2014 年 6 月公海のガバナンス研究会から。)

ただ、資源回復がされていない、という事が公になれば「海洋保護区」信託基金がピケティが怒りそうな租税回避の金融投資商品である事も公になってしまう。

この「保護信託基金」Conservation Trust Fund(CTF)について研究したペーパーも見つけた。
しっかり読んでいないが70以上のCTFが存在するそうである。

A Review of Conservation Trust Funds for Sustainable Marine Resources Management Conditions for Success, June 2014, International Institute for Environment and Development
Annabelle Bladon, Essam Yassin Mohammed, and E. J. Milner-Gulland
http://pubs.iied.org/pdfs/16574IIED.pdf


百歩譲って、海洋保護区が実際に海洋保護にならなくても、基金ができて、小島嶼国がそこから利益を得て、しかも世界中のお金持ちが租税回避できるんだから(ピケティは怒るだろうが)いいじゃないか、と考える事もできる。
問題は?
海洋保護区、禁漁区、No Take Zoneを設置すると、マトモに入漁料を払ってマトモに行う漁業だけが閉め出され、本当に違法な操業だけが残される。
いや、逆に彼らのパラダイスになる、という事だ。
そして彼らこそが、漁船を使って人身売買、麻薬密輸、違法移民等等のあらゆる越境犯罪の犯人である事も忘れてはならない。

結論
「海洋保護区」は海洋ガバナンスを破壊する単なる金融商品。


ブリティッシュ・コロンビア大学のDaniel Paulyがプロパガンダ組織PEWから20億円もらっているという記事もある。
http://www.fishtruth.net/Pauly.htm



グレッグ・ストーン: 一つずつ島を救って 海を守る

このグレッグさん、世界市場とキリバスの国益が一致したと明言している。つまり投資商品として成功した、と。問題は漁業資源管理が全く抜け落ちている事だ。


2015年2月のIslands Businessの記事。
2011年時点のキリバスの入漁料は29M豪ドル。2014年は3倍の100M豪ドル。
2015年からの禁漁区が開始すればこの収入が減る。

Protected fisheries area to impact Kiribati’s national budget
By Taberannang Korauaba
February 2015

The Pacific island nation of Kiribati has seen a significant increase over the last few years in revenue earned from fishing licenses.
From a relatively low figure of A$29 million in 2011, revenue increased to A$58 million in 2012 and then experienced huge growth in 2013 to reach A$89 million and a reported A$100 million in 2014.
That growth, however, could begin to taper off in 2015, as a result of the declaration of the Phoenix Islands group as a protected area which, from January 2015, is closed to commercial fishing.
An initiative of the Anote Tong government, the Phoenix Islands Protected Area (PIPA) covers an area of 408,250 km2 (157,626 sq. miles), or 11.3% of Kiribati Exclusive Economic Zone. It is one of the largest marine protected areas in the world and the largest marine conservation effort of its kind by a Least Developed Country (LDC).
東郷平八郎とハワイ (2) 甥、東郷吉太郎の南洋統治 [2015年02月08日(Sun)]
日本軍が独領ミクロネシアを占領してからベルサイユ会議までの7、8年、同地を統治していたのが海軍で、しかもすぐに島の子供達の教育を始め、100%近い就学率であった、とどこかのペーパーで読んだ記憶あった。
矢内原が高く評価した南洋統治の原点が海軍にあるのでは?と思い資料を探していたら別の資料を見つけた。

飯高 伸五著「日本統治下マリアナ諸島における製糖業の展開 : 南洋興発株式会社の沖縄県人労働移民導入と現地社会の変容」史学 69(1), 107-140, 1999-08 慶應義塾大学

二代目の臨時南洋群島防備隊司令官は東郷平八郎の甥、東郷吉太郎なのである。
在任期間は大正4年(1915)8月6日から大正51年(1916)12月1日まで、とある。
彼の島への姿勢は現地の住民保護が強調されている。上記の論文から引用。

「・・・とりわけ現地住民政策を重視した。東郷は、従来の西洋の現地住民政策は「島民を動物視」してきたと批判した上で、天皇の恩恵の下に「島民」の「人格を認め島民の幸福を増進しその利益を啓発し、以て邦人の利益と融和するは即ち邦家の利益なり」として邦人と同等の利益を「島民」にも還元することが必要であると説いた。ただし邦人と「島民」とを単純に平等視し、対等に扱う訳ではなく、平等のうちに差別を設けるのは「天自然の道理」であるとして、「差別的一視同仁主義」を根本方針であるとした。」

このような東郷吉太郎の島民保護の姿勢は、日本企業保護を期待していた邦人起業家から批判を受けたようだ。

この東郷吉太郎の南洋統治理論は、アダム•スミスそのままである。
どこかでスミスの植民地論を継承する新渡戸稲造との接点があったのではないだろうか。そして勿論、前回書いたハワイのポリネシア王朝を保護しようとした東郷平八郎の影響があったのではないであろうか?
東郷平八郎とハワイ [2015年02月07日(Sat)]
昨年は平間洋一先生の本との出会いが、自分の太平洋歴史観を大きく変えた。
日露戦争と世界の歴史を変えたその影響力。特に東郷平八郎 ー 名前は知っていたがどんな人物かは全く知らず、一機にファンになった。
パイナップルの米国白人ドールハワイ王朝を乗っ取た時、東郷平八郎がハワイに戦艦を派遣し大砲を撃って威嚇した、とどこかで読んだ記憶もあった。

先日『東郷平八郎小伝 ー 至誠の栄光』(東郷神社•東郷会)を手にした。そこにハワイでの東郷の活躍が詳しく書かれている。
東郷は威嚇射撃ではなく、日本政府が承認していない米国ハワイに、礼砲を発射しなかったのである。

長くなるが下記に引用したい。

「明治14年(1881)に日本にも来たことのあるカラカウワ王が、前年(明治24年)に逝去した。彼はハワイを白人の手から護ることを熱心に希望し、日本に来て明治天皇にお会いした時、山階宮定麿王を養子にしてハワイ国の王位を継がせたい、と申し入れたほどであった。
 同王の死後、妹のリリオカラニ女王が王位を継いだが、白人に不利なように憲法を改正しようとしたので、在ハワイ米国人の反対に遭って、退位を余儀なくされた。...
 しかし政情はなお不安だったので、「浪速」は慰留民保護の命を受け、同年2月8日に横須賀を出港して同23日ホノルルに到着した。
 同地には、すでにわが軍艦「金剛」が先着し、また米艦三隻、英艦一隻も停泊して、大いに武威を誇示していた。
 仮政府は米国の保護に下に設立されたもので、大統領の政庁には米国旗が翻っていた。しかしわが国は未だ仮政府を承認していなかったので、仮政府の大統領に対して礼砲を発射することについては、「金剛」入港の時から問題になっていた。東郷「浪速」艦長もまた、「金剛」艦長の否定説に同意し、先方からの礼砲発射の申し入れを承知しなかった。
 従って大統領ドール氏が米艦訪問のために短艇に乗って通行する際、外国軍艦は21発の礼砲を発射して敬意を表したが、日本の軍艦だけは冷然として沈黙を守った。

 中略

 4月には同地の政情も幾分平穏になり、「浪速」は5月29日品川に到着した。しかし同年11月再び慰留民保護のためハワイに行き、翌年(明治27年、1894年)4月に帰国した。この行動中、1月17日ハワイ革命一周年祝賀会が行われ、仮政府から満艦飾と礼砲で祝意を表してくれと申し入れて来たが、東郷艦長は筋が通らぬこの要求を拒否し、英•米の各艦もこれにならった。」


東郷平八郎、47歳の時のことである。

この東郷平八郎のハワイ先住民への思いは甥の東郷吉太郎が南洋統治の司令官となった際に影響を受けているように思える。
長くなったので、東郷吉太郎の話は次回に。
Global Ocean is Swarming with Money 海洋に群がる大金 [2015年01月24日(Sat)]
PEW=Bloom.png


PEWのプロパガンダネットワーク



<PEW - プロパガンダ組織>
世界の海洋環境NGO PEWがプロパガンダ組織である事は、以前から聞いていた。
2008年にミクロネシア海洋安全保障事業が開始してから実際ににPEWと付き合ってみると、だんだんと確信をもってそうである、しかもかなり悪質なプロパガンダを行っている事がわかってきた。

しかし、この事を専門家はささやき合っても、論文とかには書いていないようなのだ。
その事を先日会議でお会いしたフランス人の海洋専門家に聞いたら、フランス語ではたくさんあるんだけどねえ、探して送るよと言っていただき、送ってくれたのが下記のサイト。

Blue Lobby Transparency
http://bluelobby.eu/

オリジナルは仏語で、英訳してあるので、英語が少し変なのではないかと思うが、概要はわかる。


<PEWのFacebook>
PEWのような、ignorant でarrogantで無責任な組織に時間を使う意味はないとも思う(現場経験をした方の共通認識なので敢えて書きます)。しかし、その影響力は見過ごせない。以前ブログでも書いた通り、オバマ大統領も、ケリー長官も、デカプリオまで、さらに重要なのは海洋保護区を主張するパラオ政府が手玉に取られている。
で、勉強のためにPEWのFacebookをフォローしている。彼らのプロパガンダはだいたい下記の2点に集約される。

1.かわいそうなサメさん、クジラさん、イルカさん、
2.悪いのは「日本」

マグロのご祝儀相場を取り上げて日本叩きらしきプロパガンダがあったので、「あんたらプロフェッショナル組織でしょ。ご祝儀相場を知らないの?」とコメントしたところ、下記の回答が。

"You are correct. As champions for the conservation of this species, we think it’s important to use these high-profile occasions to spotlight the plight of Pacific bluefin tuna and the need for better management. Ultimately the price we would pay for not acting is far too high. Thanks for commenting!"

私たちプロパガンダしています、と意外と素直に白状した。

<PEWの餌食となるSIDS>
この悪質プロパガンダ組織を野放ししておく訳にはいかない理由がある。太平洋島嶼国の、即ち昨年SIDSに集まった首脳たちがみんな洗脳されているのだ。政治家だけでない、学者もだ。コロンビア大学のDaniel PaulyまでがPEWの影響下にあるのはショックだ。
このサイトを送って下さったフランス人の海洋専門家の下記コメントは、私がモヤモヤとここ数年心の中に留めていた事だ。

"It is shown how their protection/no take Policy leads to a de facto appropriation of the ocean... I think Palau's and other SIDS' decision-makers should be fully aware of it."


<海洋に群がる大金>
ではいったいPEWの目的は何か?
PEW自体は石油成金のPEW一族の基金である。(wiki情報だと2009年時点で基金6千億円、利子が360億円で事業費250億円)
その組織防衛であろう。組織防衛はどこも必要だがやっている事のたちが悪い。
一昨年、当方が豪州ビリオネラーと仕事をしている時PEWがまさに蠅のように群がってきた。魚の事なんか一切話に出ない。
「私たちが全てを知っています、全てを仕切っています。金は、ドローンは?」それだけなのだ。
私はこの現場経験で、PEWの全てを見た気がした。だから、ある程度の確信をもってこのブログが書ける。

海洋に群がる大金、次回はチャイナ・マネーを書きたいと思います。

バヌアツDeep Sea Minerals policy draft [2014年10月16日(Thu)]
海底資源開発で太平洋島嶼国の中で最初のノーを出したバヌアツ。
以前ご紹介したレゲンバヌ国土大臣の主導の下、海底資源開発政策案が策定されました。

DEPARTMENT OF GEOLOGY MINES AND WATER RESOURCES
Deep Sea Minerals policy draft
National Consultation 10/1/2014
http://mol.gov.vu/Documents/DSM%20Policy%20Consultation%20Draft.pdf

太平洋島嶼国初の海底資源開発政策になるでしょう。

護衛艦「きりさめ」アルバニー船団記念式典に向かう [2014年10月08日(Wed)]


このブログで何度か取り上げてきているが、100年前日本帝国海軍はイギリスのチャーチル海軍大臣の要請を受けANZACをドイツから守ったのである。
この史実、肝心の日本人もANZACも知らない。
ANZACと言えば、日本軍に対するトラウマしかないし、大概の日本人は「ANZACって何?」という認識であろう。

この史実を知ったアボット首相は、ジョンストン国防相は、この10−11月に開催される「アルバニー船団記念式典」に海上自衛隊を招待する事にしたのである。この豪州政府に認識させたのが笹川平和財団の出張で行かせていただいた、当方のキャンベラ会合。

昨日の海上自衛隊のニュースリリースでいよいよ護衛艦「きりさめ」がシンガポール経由でアルバニーに入る事を知った。(海自の歌姫三宅由佳莉さんは行かないのであろうか?)

アルバニー船団記念式典及び多国間共同訓練ディスタント・ショアーズへの参加について
26.10. 7 海上幕僚監部
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/info/news/201410/14100702.pdf

同日のニュースリリースにWestern Pacific Naval Symposium Short Term Exchange Programがこの10月に開催されるとある。ANZACの他にパプアニューギニア軍の参加もある。全部で26カ国が参加。
太平洋島嶼国には軍隊を持つ国が後2つある。トンガ、フィジーだ。次回の参加を期待したい。

第4回 WPNS (Western Pacific Naval Symposium)次世代海軍士官短期 交流プログラム(WPNS STEP(WPNS Short Term Exchange Program))の 開催について
26.10.7 海上幕僚監部
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/info/news/201410/14100701.pdf


確実に太平洋のおける日本のコミットメントは、日豪防衛協力と共に強化されつつあるようだ。

【訓練・演習】豪州海軍主催多国間海上共同訓練カカドゥ14/日豪共同慰霊式/洋上慰霊祭(海上自衛隊)


豪州海軍主催多国間海上共同訓練(カカドゥ14)への参加について
26.8.8 海上幕僚監部
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/info/news/201408/14080801.pdf
オバマ大統領太平洋MPA拡大案縮小 [2014年10月06日(Mon)]
By7tlDKCIAEVTR5.jpg-large.jpeg

現在パラオEEZ監視中の水産庁取締船「みはま」写真はパラオではありません


この6月に、レオ・デカプリオまで担ぎだして発表した、オバマ大統領の拡大MPA案、すんなりとは行かなかったようである。

やはり国内の漁業者、それから下記の記事によると海軍が反対したとある。
肝心の豊富な漁場が対象外に。
なぜ海軍が反対したのか、気になる所。

世界の話題になったパラオの100%MPA案は今週議会で協議されると聞いている。

パラオには日本財団の2隻目小型監視艇が供与されたばかりだし、今まさに水産庁取締船「みはま」(500トン)が試験航海でパラオEEZを監視している最中である。

やっぱり、パラオの、太平洋の海は日本が守るしかない。


"Championing Ocean Conservation Or Paying Lip Service to the Seas?"
http://www.ipsnews.net/2014/09/championing-ocean-conservation-or-paying-lip-service-to-the-seas/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=championing-ocean-conservation-or-paying-lip-service-to-the-seas


<日本財団の2隻目小型監視艇に関する記事>
「パラオに小型パトロール艇贈呈 不法操業や不法投棄を監視」
産経2014.10.1
http://www.sankei.com/world/news/141001/wor1410010063-n1.html


"NIPPON FOUNDATION HANDS OVER NEW PATROL BOAT"
03/10/2014 | Peter Erick Magbanua, Island Times

With the aim of promoting maritime development and to help Palau in protecting its maritime resources from illegal poachers, the Nippon Foundation handed over a new patrol boat to the Republic of Palau.

The ceremony was held last October 1, in the celebration of Palau’s 20th Independence Day. The hand over was held at the Imekang Dock in Ngiwal State. The event was attended by The Nippon Foundation executive director Mitsuyuki Unno, President Tommy Remengesau Jr., Vice President Antonio Bells, members of the cabinet, ministers, members of the House of Delegates, members of the Senate led by Senate Vice President Phillip Reklai, traditional leaders of Ngiwal State, Japan Ambassador Kazuhiro Tajiri and members of the Bureau of Public Safety led by its director Ismael Aguon.

“In past Palau has suffered from increased incidents of foreign fishing vessels illegally operating in the area to poach precious marine. Domestically, the dumping of household garbage and illegal disposal of waste from vessels has also polluted the beautiful oceans. With the efforts of the government of Palau and the patrol boat, measures to deal with these issues have seen to progress. As the Nippon Foundation’s continuous cooperation with Palau, it is my pleasure to announce that we are providing a second small patrol craft called ‘Bul’ to protect the ocean. I think the name reflects President Remengesau’s warm consideration for the people of Palau and its ocean,” said The Nippon Foundation executive director Mitsuyuki Unno.

He added that small patrol boat “Bul” together with the first small craft patrol boat donated by The Nippon Foundation “Kabekel M’tal” will further strengthen Palau’s conservation efforts and response to emergencies and natural disaster such as like of Typhoon Haiyan.

“It will be a vital help for managing the impact of natural disasters; human rescue operations will be increasing with the rise of tourist divers and it can be useful for Palau’s proactive stance and action for ocean conservation. I also strongly expect that Palau will further promote its partnership with the two other Micronesian countries to establish wider and more comprehensive ocean security and safety,” Unno stressed.

On the other hand, President Tommy Remengesau Jr. thank The Nippon Foundation for their donation and assured them that the small patrol boats will be of big help especially as Palau is planning to close its Exclusive Economic Zone (EEZ) from commercial fishing .

He stressed that with the new patrol boat, Palau will be able to protect its resources, borders and people not only for Palauans today but also for the future generations to come.

The Nippon Foundation is a private, non-profit foundation established in 1962 for the purpose of carrying out philanthropic activities, using revenue from motorboat racing. The foundation’s overall objectives include assistance for humanitarian activities and global maritime development. Its philanthropic ideals embraces social development and self-sufficiency, and it pursues these principles by working to improve public health, education, alleviate poverty, eliminate hunger and help the disabled.


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