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子どもたちが手話で絵本の読み聞かせ バリアフリー絵本展 [2009年03月26日(Thu)]

 3月14日、池上会館にて開催された「世界のバリアフリー絵本展」で、玉田さとみさん(NPO法人バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター(略称、BBED)ディレクター)、京谷幸子さん(同センター総合学習プログラム講師)による講演、「“ろう”って何?〜日本手話にふれよう!」がありました。

(玉田さとみさん)

 玉田さんは、聴者に文化があるのと同じように、ろう者にはろう文化があること、ろう文化とは日本手話を母国語とする文化であることを紹介。日本手話は日本語とはまったく文法が異なる自然言語で、手の動きは表現の3分の1にすぎず、表情や上半身全体を使って表現するそうです。一方「手話ニュース」などで見られる手話は「手指日本語」といわれるもので、日本語に手の動きを付けた造語とのことでした。

(BBEDで開発した手話DVD)

 学校法人明晴学園では、日本手話を第一言語、日本語を第二言語とする教育を日本で初めて行っています。BBEDで開発した、絵本を見ながら手話の読み聞かせを見られるDVD「のっと君と絵本を楽しもう」や、ろうの子どもが手話を見ながら日本語を学ぶための「ハルミブック」が紹介されました。
 今まで、ろう学校では聴こえる子どもが使うのと同じ教科書を使っていましたが、例えば国語の教科書に「ザーッという音」という表現が出てきたとしても、ろうの子どもにはわからず、お話の表現になじめないところがありました。「ハルミブック」はろうの子どもの日常を描いているため、これを通じて、子ども達は日常起こるトラブルへの対処法や、聴者の文化を学ぶことができるそうです。

(京谷幸子さん)

 京谷さんは、ろう者は拍手をするとき手をひらひらさせること、朝起きるときはバイブレーター式の目覚まし時計を使うことなど、聴者とは違う日常を例を挙げて紹介しました。生まれつき耳が聞こえないながら特別不便を感じることはなく、「大変ですね」などと言われるのはかえって不思議に感じると話していました。
 講演に続いて、明晴学園小学部低学年の子ども達3人が、手話による絵本の読み聞かせを披露してくれました。

(五十嵐君による「11ぴきのねこ」)

特に「11ぴきのねこ」を披露した3年生の五十嵐君は、絵本のページめくりと上半身全体を使った表現で、たくさんの拍手を集めました。会場からは、ろう文化において拍手にあたる、手をひらひらさせる動作が自然と沸き起こっていました。

BBED・・・日本手話と日本語(バイリンガル)、ろう文化と聴文化(バイカルチュラル)による教育を行う学校法人明晴学園を、2008年4月に開校。ろう児が明るくありのままに成長できる社会を目指す。
「世界のバリアフリー絵本展」開催 [2009年03月26日(Thu)]

 3月13日、14日、池上会館にて、「世界のバリアフリー絵本展」(NPO法人大田教育支援の会主催)が開催されました。バリアフリー絵本には、手話の絵や点字が付いた本など、障害をもつ子どもが楽しめるよう工夫されたものだけでなく、障害を描いた本、子どもの発達段階に合わせた本などさまざまなものがあり、それらを多くの人に楽しんでもらおうと企画されたものです。


 会場には、JBBY(社団法人日本国際児童図書評議会)から、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界各国のバリアフリー絵本70冊近くが提供された他、ページ表面が立体加工された本、点字絵本、拡大写本、布絵本など、日本で出版、製作されているユニバーサルデザイン絵本も集められました。


(左:NPO法人ユニバーサルデザイン絵本センターから、ページ表面が立体加工された本
右:大田区で活動する手作り絵本の会チューリップから、布絵本)

 絵本展を企画した大田教育支援の会の小川直美さんは、「準備をする過程で、目からうろこが落ちるようなことをたくさん知ることができた」と言います。例えば、JBBYでは障害をもつ側にバリアがあるのではなく、本の側にバリアがあるという考え方をします。また、弱視の子ども達のために教科書の文字を拡大した写本は、一人ひとりに合わせて字の大きさや間隔、紙の色などを変えて手作りしているそうです。来場者からは、「バリアフリー絵本と一口に言っても、こんなにいろいろな種類があることを初めて知った」という感想も寄せられたとのこと。小川さんは、「そういう目からうろこが落ちる体験を、多くの人にもしてほしい」と話していました。


(左:下丸子図書館拡大写本研究会から、拡大写本
右:徳島県で活動する点字絵本の会から、点字絵本)

世界のバリアフリー絵本展とJBBYについてはこちらから。

大田教育支援の会・・・学校教育への支援を目的に2003年に設立。現在指定管理者として大田区立久が原図書館、大森西図書館、浜竹図書館を運営。