7月18日土曜日の午後2時、ダイシン百貨店3階山王倶楽部にて『大田北高齢者見守りネットワークをつくる会』主催の第16回イベント「地域つくりセミナー」が開催されました。
「住みなれた地域で暮らすために今から備えておけること」というテーマで、この会の発起人であり、さわやかサポート入新井センター長の澤登久雄さんのお話がありました。ケマネージャー5年の経験から数々の実際にあった深刻な内容の話に会場満席の高齢者の方々には不安の表情も散見されました。
『89歳認知症のおばあちゃんは毎日同じ時間に出かけ、財布には紙幣しか入れてない。タクシーに乗って一万円札を出し、お釣りを受け取らない。大森に出かけ食事をして買い物をして帰宅する。お釣りは受け取らない。認知症なので本人は全く分からないで繰り返す。見るに見かねた高校時代の友人から澤登さんに情報が寄せられ相談に乗ってみると。おばあちゃんは第三者に財産を乗っ取られる寸前までいっていました。』
『もうひとりのおばあちゃん86歳は同じく一人暮らしで認知症。他の地域でお店を経営していたので大森地区での人縁は薄かった上、被害妄想がひどくなり、財産が乗っ取られると思い込み地域からますます遠のき、ひきこもりになりました。ある日、澤登さんが訪ねると脱水症状で倒れていました。』
このように自力で問題が解決出来なくて福祉サービスを必要としている高齢者の方々は大田区内にも全国的にも増え続けています。
福祉サービスの情報が近くにあっても利用できない。家族・親戚の力が様々な事情で及ばない。そんな高齢者のための「見守りネットワーク」の皆さんの1年4ヶ月の活動が、このほど「SOSキーホルダー」という力強いグッズとして実を結びました。
キーホルダーの表には連絡先「さわやかサポートセンター」の電話番号、裏は登録された65歳以上の高齢者お一人お一人に付与された登録番号が記されています。住所や名前は一切記載されていないので悪用される心配はありません。もし道端で急に具合が悪くなり話すことも出来なくなったり、救急車で病院に搬送されたり、認知症で遠くまで行ってしまい帰れなくなったりした時、このキーホルダーを身に着けていれば(家の鍵・お財布・杖・シルバーカー等)担当の「さわやかサポートセンター」にすぐ連絡をしてもらえます。その方の住所、氏名を担当者が相手と状況を確認の上、お知らせします。


(SOSキーホルダー 担当のさわやかサポートの連絡先が記載された【表面】と、本人を確認するための登録番号が記載された【裏面】)
このキーホルダーは、8月1日より入新井・大森医師会・徳持・馬込・大森・平和島の各「さわやかサポートセンター」で提供しています。今後は、大森・池上警察署管内の病院にも順次協力体制を広げ、いずれは大田区20の全さわやかサポートセンターでの普及、お隣りの品川区へも呼びかけて広範囲の見守り体制を目指しているそうです。
「大田北高齢者見守りネットワーク」の活動がますます地域の中で実を結ぶことを期待します。次回は9月19日(第3土曜日)ダイシン百貨店3階にて「健康はお口から」というテーマで開催予定です。(久保田 充)