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「外国からの子どもの教育支援を考えるフォーラム2008」開催報告 [2008年09月21日(Sun)]

 9月7日(日)、午後1時30分から午後4時まで、大田区池上会館にて、「外国からの子どもの教育支援を考える会」主催により、「外国からの子どもの教育支援を考えるフォーラム2008」が開かれました。

 近年、外国から日本に新しく移住する人は増えており、それに伴い、日本語の習得に支援が必要な子どもの数も増えています。大田区もそんな人、子ども達が多く住む地域の1つです。
 子ども達が日本で生きていくには、日常会話程度の言語能力(生活言語能力)だけでなく、学校の授業を理解するための能力(学習言語能力)を身につけることが必要ですが、生活言語は早い子どもなら数ヶ月で身につくのに対し、学習言語は数年かかると言われるほど、身につけるのは難しいものです。
 大田区では20年以上前から、小中学校に指導員を派遣し、日本語の習得を支援する制度を実施していますが、指導時間として、学習言語を習得するためにはかなり不足しているのが実情です。授業についていけなくなった子ども達は、進学もできず、社会からドロップアウトしてしまうことも少なくありません。

 これは人権に関わる問題であるとの認識のもと、おおた市民活動推進機構の事務局長中野真弓さん、未来につなぐ大田まちづくりの会”まち丼”代表廣川和徳さん、大田区で長く子ども達の日本語習得支援に関わってきた「日本語ぐるりっと」代表飯島時子さんが呼びかけ人となり、「外国からの子どもの教育支援を考える会」を結成しました。
 活動の第一歩として国の方針や他の区の先進的な事例を学び、大田区におけるより良い支援のあり方を考えるため、今回のフォーラムを開催。大田区の区議会議員や行政関係者、外国人支援に携わってきた方々など67名が参加しました。
(山下恭徳さん)
 第1部では、文部科学省初等中等教育局国際教育課課長補佐の山下恭徳さんをお招きし、「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れ状況等に関する調査(平成19年度)」の結果について、及び、「初等中等教育における外国人児童生徒教育の充実のための検討会」の報告書について、説明していただきました。
 文部科学省では、日本語指導が必要な外国人児童生徒の状況を把握するため、平成3年度から毎年調査を行っています。
 日本語指導が必要な子どもの数は、平成18年度に比べ13.4%増えており、そのような子どもが在籍する学校数、特に30人以上在籍する学校数も増えています。一方、そのような子どものうち、実際に日本語指導を受けている割合は平成18年度に比べ2.1%減少しています。これは、外国から来る人の数が増えているためというだけでなく、指導が必要な子どもとして、日常会話に不自由な子どもだけでなく、学習言語が不足している子どもも対象として算定するようにしたため、とのことでした。

 そのような子どもをいかに支援するかは、地方自治体や教育現場にとって重大な課題です。また、「すべての子どもが同一の教育を受ける機会を保障すること」は、条約上の要請であるとともに憲法、教育基本法、学習指導要領に定められており、国の責任でもあります。
 文部科学省では、国としてどのような施策、支援をすべきか、また、自治体や教育現場、地域はどのような取り組みをすべきかについて具体的に提言するため、有識者による検討会を設置。平成20年6月に、「外国人児童生徒教育の充実方策」に関するものとしては初めてとなる、報告書をまとめました。

 報告書では、子どもの不就学の解消、学校における適応指導や日本語指導、地域における教育の3つを大きな論点としています。それぞれの中で、自治体や教育現場と、地域のボランティア団体や企業との連携が重要であることが強調され、そのために国としては、先進事例をモデル事業として支援、普及させることなどが提言されました。また、学校の教育力向上がとても重要であり、そのために行政として、研修などを通じて、「第2言語としての日本語習得のためのカリキュラム(JSLカリキュラム)」を普及すべきこと、人材育成をすべきことなども提言されています。

 会場からは、「ここで提言されていることのほんの一部でも社会に浸透し、実現すればすばらしいはずだが、現状はなかなかうまくいかない。私達にできることを考えていくとともに、これら提言された施策がどのように実行されるかを、今後確認していくことも重要だ。」との意見が出されていました。(小川明日香)

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 第1部の文部省山下さんの基調講演に続き、休憩後の第2部は「外国からの子どもの教育支援を考える会」代表の河合良治さんをファシリテーターとするパネルディスカッションが行われました。

 現在、様々な問題を抱えながらも同様の活動をされている「中野区国際交流協会」の中山真理子さんと「墨田区FSC外国人生徒の会」の藤田京子さんをお迎えして、日々の活動のご説明と問題点の指摘、様々な具体例など貴重な現場からのお話が聞けました。

 冒頭に河合さんから大田区における「外国籍家庭への支援」の現状についてお話がありました。
 平成19年5月現在、大田区立小中学校における外国籍児童・生徒数は小学校286人、中学校142人。そのうち日本語指導が必要な生徒数は小学校児童75名、中学校生徒35名。
 現在、日本語指導を必要とされる外国籍家庭への対応として、@保護者に対して案内文等の作成、A児童・生徒に対する日本語指導(指導時数の40時間から60時間への拡大や蒲田小学校に日本語教室を設置、集中的な初期指導と派遣指導の実施)、Bボランティア活動との協力、等の取組みのご紹介でした。
(左から、河合良治さん、野村まゆさん、中山真理子さん、藤田京子さん)

■ 「中野区国際交流協会」の活動
 続いて中野区の取組みについて、中山さんよりお話がありました。
 同区では2008年(平成20年)より教育委員会が行っている日本語適応教室派遣事業の一環として「日本語学習支援指導員」による日本語指導が可能になりました。
 指導員は国際交流協会(以下、「協会」)が基準条件を設置、ボランティアの中から基準を満たす有資格者を選抜し、教育委員会に推薦、認可してもらう制度です。現場の需要に応える為に作られた制度であり、通訳・日本語指導を利用者が必要に応じて柔軟に選択できる点が好評で教育委員会の依頼で区内の小中学校に通訳の95%以上、日本語指導の100%の推薦・派遣を実施、「協会」が殆どの機能を代行しています。
 ボランティアの人材確保として今年度から、子ども向け「第1回日本語支援が必要な子どものための実践講座」と一般向け「日本語ボランティア実践講座」を実施し、元教員、現塾講師の方々が多く受講されています。
 来る11月18日(火)で「協会」事務局の移転を予定、「協会」の恒常的会議室運用による「日本語学習支援のみならず教科学習支援までの総合学習システムの構築をめざし、支援活動の時間的、量的、質的の拡充」を実践していく計画です。また、日本語学習支援を必要とする子どもたちの保護者の横のネットワーク作りの強化にも積極的に取り組んでいくこと、など熱く語っていただきました。

■ 「墨田区FSC外国人生徒学習の会」の活動
 続いて墨田区の取り組みについて藤田さんよりお話がありました。
 同区では2007年(平成19年)9月に「すみだ国際学習センター(国際学習支援教室)」を墨田区立錦糸小学校内に設置、発足しました。
 墨田区では1984年(昭和59年)から1998年(平成10年)3月まで中国引揚者の子どもたちの為の日本語教室があり、その後も来日した一般外国人生徒も受け入れ、集中日本語指導や一般教員の協力による教科学習支援も行われてきました。
 しかし、1998年4月から引き揚げ生徒の定員割れで日本語教室が閉鎖され居住地の中学校で通訳介助による日本語指導が開始されました。しかし、適切な介助者不足、生徒の不安増加などの問題点が顕著になり、日本語学級要望の声が多くなり、活動拠点の確保が長年の念願でした。
 念願がかない発足できた「学習センター」の運営開始から半年が経過、拠点をしっかりと確保できたことによる成果は見張るものがある、と力説されていました。@来日直後の母語による聞き取りが受け入れをスムーズにした、A集中日本語指導の実現により習得効果が良好になった、B同国の生徒と交流の機会が増え、不安や孤独感の解消につながる、C新しい環境へのアドバイスや学習への相互理解の機会が増えた、D不適応状態の生徒の復帰へのチャンスの場となる、など成果は着々と上がってきているようでした。

■ 大田区での日本語学習者の経験談           
 パネラーとして最後にお話いただいた野村まゆさんは1984年(昭和59年)タイ・バンコク生まれで1998年(平成10年)に来日。中学2年生の2学期、大森第一中学に入学、大森東高校、大森高校定時制を経て、現在一児の母として日本で暮らしています。
 初めて日本に来たときは全く日本語がわからず、学校に入っても授業の内容を理解できなかったそうです。学校は成績優秀な生徒を隣の席にするなどの配慮はしたものの、辞書を常に二冊(日本語・タイ語)持ち歩く生活が続きました。
 時には英語も使い日本の生活に慣れようと努力をしましたが、状況は好転せずにいたところ、区内のボランティア日本語教室を知り、通ったことで道が開けてきた、と時に寂しそうに苦しかった時のことを思い出しながらも自分が強くなろう、と気を強く持つ努力を積み重ね異文化の社会で生きていく術を勝ち取りました、と力強く語っていました。

■ ファシリテーーターのまとめ
 立場の違う三人のパネラーのそれぞれの発言を受け、河合良治さんは「学習言語の習得が出来ないため、日本で生活することが不利になる。これは人権にかかわることである。」と結びました。(久保田 充)
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