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こらぼ夏まつりに人形劇がやってきた [2015年09月20日(Sun)]

 8月23日、こらぼ大森夏まつりにて、小さな人形劇の上演会が開かれました。人形を操るのは、福島県で農業を営む大河原多津子さん、伸さん夫婦。こらぼ夏まつりの協力団体である「くぅ〜の東北」に商品を出荷している縁で、この日のために福島からやってきました。
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 この日上演されたのは、田畑を耕し続ける農民夫婦を描いた「じっちさんのいうことにまちがいはない」と、森の環境を破壊してしまう「パツー」を描いた「さよならパツー」。夫婦が演じるじっちさんとばっぱさんのほのぼのしたやりとりや、多津子さんがいくつもの声音を使って演じ分けるパツーと森の生き物とのやりとりに、子どもも大人も引き込まれていました。
(大河原多津子さん、伸さん)
150823korabo1.jpg 大河原さん夫婦は田村市船引町で30年近く、有機無農薬で作物を育てる農家でした。郡山市を中心に食にこだわりをもつ消費者に配達してきましたが、2011年の東日本大震災後、購入者は3分の1にまで減少。先の見えない日々を経験しました。しかし震災後収穫した農作物の放射線量を測ってみると、それほど高くなってはいませんでした。船引町は阿武隈山系に阻まれたためか、放射性物質の影響をあまり受けなかったのです。このままこの土地を終わらせたくない、子どもや孫まで暮らしていける土地をもう一度イチから作るとの思いから、2011年、「壱から屋」を起業。2013年には、カフェやイベントスペースを併設する直売所「えすぺり」をオープンさせました。エスペリはエスペラント語で「希望」のこと。作っても売れないと苦しむ周りの農家にも売る場所を提供することで、農家の希望になりたいとの意味が込められています。

150823korabo3.jpg(「えすぺり」店内。ずらりと貼られた紙はすべて放射線測定結果を表示したもの)

 「さよならパツー」のラストシーンでは、花を食べつくして満足したパツーはふらりとどこかへ消え、ナレーションが「次はあなたの町に現れるかもしれませんよ」と結びます。これまでは全国の原発が止まっていたため、パツーはやっつけられる設定でしたが、川内原発の再稼働を受けてストーリーを変えました。「これだけ大変な事故を経験したのにどうしてわからないのかな」と伸さんは悔しそうです。全国の産直市に行くと、「福島はもう復興しているんでしょ」と言われることもしばしばと言います。「いまだに10万人以上が避難生活を送り、汚染された土地はもとには戻らないという現実が伝わっていない。避難経路がどうとかいう問題ではなく、原発はひとたび事故が起こったら取り返しがつかない。自分たちが経験した現実を、人形劇などいろんな機会を通して、戦争の語り部のように伝えていきたい」と決意を語りました。

 「壱から屋」の商品は、くぅ〜の東北が出店する池上本門寺の朝市で買うことができます。出荷する商品は、毎月全種類の放射線量を測定し、検出限界以下か、検出されても数Bq/kg程度と安全性を確認したものです(現在非常に厳しいとされる飲料水の基準値でも10Bq/kg)。月に1回宅配で届く「月壱くらぶ」もあります。詳しくは「えすぺり」のサイト(http://www.esperi311.com/)まで。

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