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NPO法人の会計基準が7月完成へ ボランティア活動を収益計上!? [2010年04月12日(Mon)]

NPO法人向けの会計基準をNPO自身で策定

 NPO法が施行されて12年。法人登録は約4万となり、活動に参加する人も増え、「新しい公共」を掲げる現政権はNPO活動のさらなる発展に期待を寄せている。
仲間内の気づきから始まった活動に支持が寄せられ、行政からの委託事業や多額の寄付金が集まったことで、成長を重ね、社会的にも注目を集める活動も増えてきた。
しかし、組織運営となると、経理などの管理業務に精通するスタッフを配置できずに四苦八苦しながら会計報告作業をしているNPOも多いのではないだろうか。
 
 実は、会計基準がないことで、寄付をしたい人や助成団体にとっては、会計書類の表記方法がばらばらで比較ができない、資金の使途が分かりにくいなどの状況があったという。
また、会計士や税理士などが支援しにくい、経営判断が正確にできないなど、社会的な評価に結びつけにくかったようだ。

これまでの経過

 そこで、NPO(非営利活動)の取り組みや成果を数値化して、社会的な評価を得やすくするための会計基準を作ろうと、昨年3月、NPO法人会計基準策定プロジェクトが発足した。
実施はNPO法人会計基準協議会。現在、国内約80のNPO支援団体ほか民間助成団体などが趣旨に賛同し、参加している。

 これまで全国17か所で実施したキャラバンには延べ800人が参加した。事務局に届いたパブリックコメントは約500件という。
これらを加味しながらまとまった最終案が4月8日(2010年)、東京・文京区民センターで報告された。会場には100人を超える同協議会の参加者らが集まり、ここでも最終案についての意見交換が行われた。


以下は、その模様のダイジェスト。
市民の期待にこたえる―活動の可視化とスキルの醸成

 同策定委員長の江田寛氏(公認会計士)は、
「NPO会計基準は、NPOの哲学に沿ったものを目指しており、法で義務化するのはおかしいから、みんなで作ってみんなで使うものにしたい」と述べた。
同会計基準の基本的な考え方は、
「市民の期待と、それに応えるべきNPO法人の責任の、双方にふさわしい会計基準とはいかなるものであるか」を出発点に、会計報告の作成者ではなく利用者の視点を重視し、市民にとって分かりやすく、社会の信頼にこたえる会計報告をめざしたという。

 同基準の特徴は、
「ボランティア活動を可視化する基準がほしい」との全国からあがった声に応え、本文に「財務諸表の注記」を設けて、施設利用やスタッフの労働について無償の提供を受けた場合も
財務諸表に計上する。
 また、財務諸表は「収支報告書と財産目録」という従来の形式を「活動計算書と貸借対照表」に移行し、小規模のNPOにも使いこなせる体系をめざした。財産目録は付属書類という位置づけだ。
 さらに、会計基準を使いこなすために、実務担当者向けの「ガイドライン」を作成し、複式簿記の理解を深めつつ、小さな団体も活用することを目指す。年度をまたいだ場合の処理も規定し、助成金や補助金などの決算期とのずれにも対応している。

 同協議会のウェブサイトでは、これまでの議事や配布資料などを公開し、現在もパブリックコメントを集めている。これまでの議論に参加していなくても、意見を出しやすい環境を整えている。

http://npokaikei.blog63.fc2.com/

NPOの社会的な価値を示す―会計基準を使いこなそう

 同協議会の加藤俊也事務局長(公認会計士)は、
「NPO活動が社会的な価値ある活動をしているということを社会に示すために、経営者(代表、理事、事務局長など)は会計基準の性格と基本的考え方(全13項目)を理解して、使いこなしてほしい」と呼びかけた。

 杜の伝言板ゆるるの大久保朝江氏は、「この団体はどんな団体なのか、どれだけの人がかかわっているのか、ということを世間の人たちは関心を持つが、現状はそれが見えない。それに応える会計報告ができた」と述べた。

 茨城NPOセンター・コモンズの横田能洋氏は、
「単式簿記で足りる団体はそれでよいとの考えだったが複式簿記対象だと理解した。それはすべてのNPOが発生主義の活動計算書に移行するということだが、その概念の普及は難しいのではないか」と発言。

 これに対し、加藤氏は、「謝金を支払ったら1割の源泉税を前引きし、1カ月後には納付しなければならない。会計で預り金を計上するかしないかではなく、計上と忘れずに納付するという管理ができなければ、会計ができているとはいえない。
まずは管理を、管理ができたら会計もできるようにステップアップしよう、という趣旨に賛同してほしい」と応えた。

会計基準案への疑問は解消したのか

 これら議論がある項目について会場の参加者に挙手を求めたところ、無償労働やボランティア活動を計上する方針にはほとんどが賛成。反対や疑問の意見として、
数字で表記することに意味があるのか、
仕事を増やすだけではないか、
収入と支出をどう合わせるのか、
海外との物価差が数値に影響することをどう判断するのかなどがあがった。


(ボランティア活動の計上にはほとんどが賛成の「水色」を掲げた)

 また、事業規模が大きくなることの弊害を懸念する声に対して江田氏は、
「基本的には、理念を具現化するための方法として入れてみたもの。ボランティア活動のコスト化は、ボランティア活動も可視化すること。それに付随して財産規模も大きくすることがメリットだという考えが根底にある」と説明した。

 加藤氏は「公益的なサービス実施がNPOの目的だとしたら、ボランティア活動に関する労賃も計上したほうがよいだろう(現金発生しない)。手間暇かかるが、それによって活動の規模が正しく表せると考えられる団体は、それを導入したらいいと思う」と述べた。
 関連して大久保氏が、「活動を数値化することは、安い労働力として委託事業が降ってくるような状況への対策にも有効なのではないか」と述べた。


(疑問や異論がある人は「さくら色」を掲げた)

 同協議会によると、この会計基準は公官庁の求める様式に沿った書類作成とは別の意味で、市民に活動の価値への理解を深めるための書類の一つであり、所轄庁や税務署などに提出する書類に変更が生じるものではないという。
 管理費は事業別に分けない基準案だが、事業別に分けることができる場合はそのようにしたらよい、とのこと。同会計基準に準拠した会計ソフトも検討中だ。

 同プロジェクトを支援している郵便事業株式会社の小野田勝洋氏は、
「年賀ハガキを買ったみなさんにかわって助成先を判断する必要があり、透明性や公平性を持って判断できる会計基準はとてもありがたい。これまで行われてきた議論を経て、今日は参加者のほとんどが理解を示した。完成を期待している」
と挨拶した。

NPO法人会計基準の完成に向けて

 同協議会では、会計基準の完成までにあと1200万円費用が必要だという。「NPO法人会計基準の生みの親の一人になってほしい」と寄付金による応援を呼び掛けている。協力寄付金の送付は下記の口座へ。

郵便振替 00170-7-578227
名義 シーズ 
通信欄 「会計基準協力寄付金」と明記

写真はすべてNPO法人会計基準協議会提供

【取材・文 池田佳代】
Posted by やるおた編集部 at 20:10 | NPO | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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