ウイズタイムホームでの研修の様子をご紹介するブログ3回目です。
今回は9月に行った第3回研修の様子。
・最近のウイズタイムホームの状況として、入居者の最近の体調のことや、新たにショートステイを利用された方がいらしたこと、入居者の個別支援計画についての説明をしました。
・福祉制度の知識としては、障害福祉制度にどんな支援があるのかについて学びました。
特にウイズタイムホームの入居者に関わりのある、就労継続支援B型事業所や生活介護事業所、移動支援といったしくみを共有しました。
障害者福祉は、主に介護給付と訓練等給付に分かれています。ヘルパーが支援をするものや生活介護、短期入所(ショートステイ)などは介護給付。一方で就労継続支援など就労支援系の支援や共同生活援助(グループホーム)は訓練等給付です。
ところで、グループホームは住む場所なのに、なぜ訓練等給付なんでしょうか。
そもそも「訓練」ってなんなんでしょう。障害のない人は、防災訓練だとか職業訓練といったときに「訓練」という言葉を使いますが、それ以外で日常生活の中で「訓練」ということってあまりないですよね。
一方で障害のある人は、大人になっても、日常生活の中に「訓練」という言葉がたくさんあります。お仕事をするのも訓練。さらには住まいまでが訓練。
障害のある人は人生においていつまでも、今の自分とは違う何かを目指して訓練し続けなければいけないのか? 私はこうした分類になっている制度そのものに疑問を感じています。
ただ、一方で、グループホームには、アパート暮らしとは違うサポートが、経済的な面も含めて色々とあります。例えば家賃補助。それから食事提供についても、厳密に実費精算です。(一人暮らしをしていて、誰かが作ってくれたものを食べる場合は、材料費だけにはなりませんよね。)
実家暮らしやアパート暮らしではない支援がある意味はなんなのか?ということも考えていく必要もあるなと思います。
じゃあ、私たちはグループホームのスタッフとして、どんな認識で日々の支援を行うべきなのか。
グループホームは「自立支援」といわれます。2024年度の障害者制度の改定では、ずっとグループホームに住むのではなく、本人が希望すれば一人暮らしを目指すことができるよう支援することもグループホームの役割であると位置づけられることになります。
私は、暮らしは訓練ではないし、どこで暮らしたいかは制度が決めるのではない、本人が決めるべきだと思います。本人がずっとグループホームで支援を受けつつ生活したいと希望しているのに無理やり追い出すことはあってはならないし、逆にグループホーム側が自分たちの利益を上げるために一度入居した人を囲い込んで他に移れないようにすることもあってはいけません。
障害のある人が、将来、どんな生活を目指したいのか。一人暮らし、結婚したい、グループホームで暮らしたい、やっぱり実家で、お父さんやお母さんを大切にして暮らしたい…いろんな選択肢があると思いますが、「自立支援」は経済的自立やADLの自立を目指すことではなく、その人が一番望む生活を、選択肢の中から自ら選べるよう支援することではないかと思います。
ですから、1日の生活を組み立てることや、出かけたい場所、誰と出かけたいのかなど希望を出してスケジュールを立てること、お風呂に入ったり掃除洗濯をする場合にどんなサポートがあればやりやすいのかを明確にすること、など、グループホームの支援者は、その人が自分らしく豊かな楽しい生活ができる支援をしていく役割があるのではないでしょうか。
・職員間のディスカッションとしては、2グループに分かれて、自閉症の人への対応について話し合いました。職員はそれぞれ、入居している障害のある人と毎日向き合う中で、「こういう声かけのしかたで良かったのかな?」「いきなり話しかけてびっくりさせてしまったところもあるのかな」「作業所から無事迷わず事故なくグループホームまで帰ってこられるだろうか」など、悩みながら支援をしてきたということ。それぞれがどんな場面で悩んだり、声掛けの工夫をしているかを話し合う中で、不安を持たずに関わっていって大丈夫だという思いを持った職員もいたようです。
・コミュニケーションで悩む部分には、その人の障害特性による関わり方の工夫が必要な面と、その人が今まで生まれ育って暮らしてきた生活習慣に対する働きかけという側面があると思います。障害特性であること―例えば毎日の習慣が決まっているほうが行動しやすいとか、絵や文字などで伝えたほうが分かりやすいとか―は、どうすれば一番その人にとって安心できる心地の良いコミュニケーションになるのかの工夫が必要なところだと思います。
一方で生活習慣であって困難を感じる部分―例えば他の障害のある人に対して強い口調で話してしまうとか、トイレの使い方とか―という点については、お互いが嫌な気持ちになることなくより良い人間関係を築いていくために、どんなふうに習慣の変容をすればいいか、ご本人としっかり話し合って考えていくことが大切なんだろうなと思います。支援者は、そうしたことについて念頭に置きながら、関わりの持ち方を工夫していかれたらいいなと思います。
・次回のテーマは「性」についてとしました。グループホームは生活の場。その中で、性に関するトラブルや、気になることが起きたときに、私たちはどのような対応をするべきなのか。考えたいと思っています。
