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自給自足とは、閉じた世界で生きることではない [2024年07月31日(Wed)]
(1166)
 自給自足とは、決して閉鎖性を意味するわけではありません。それは、完全な自己完結の状態とは違うのです。
 どんな状況を想定したとしても、我々は自らの生活に必要なものすべてを生産することはできないでしょう。
 ・・・
 
    
 
 自給自足についてのガンディーの発言です。
 「自給自足(self-sufficiency)」とは、「自らの生存・生活に必要なものを自ら生産できる能力を持つ」ということでしょう。("sufficiency"とは、「十分」「充足」という意味です)決して、他と関わりを持たないということではありません。
 また、重要なのは「自立・自治を損なうような依存の状態に陥らない」ということですから、他の地域で生産されたものを絶対に使わないということでもありません。様々な地域にはそれぞれの特性というものがあるのですから、栽培できる農産物、飼育できる動物、採集できる木の実、漁獲できる魚介類、採掘できる地下資源、入手できる原材料などは、当然地域によって違います。
 だから・・・
第245回楽しく学ぶ歴史ゼミの報告(4)マンダラ [2024年07月31日(Wed)]
 7月17日の楽しく学ぶ歴史ゼミの報告の続きです。

●平安時代の初め、有名な最澄・空海というお坊さんが現れた。
●2人とも、中国に渡って当時の最新の仏教を学んで帰って来た。
●仏の悟りの境地である宇宙の真理は、深遠過ぎて言葉では言い表せない。
●それを視覚的に表したのが、曼荼羅(まんだら)。
●たくさんの仏や菩薩が体系的に配列されている。
●面白いけど、難しい。
●これも、一般大衆とは縁遠いものだったのではないか。

 それから・・・

                 (つづく)
お金があっても、それを他人の労働の成果物と交換することができなければ・・・。 [2024年07月30日(Tue)]
(1165)
 労働は、金属製の硬貨と同様にお金です。
 お金というものを特別に大切だと考える人々もいるかもしれません。それならば、あなたは自分の労働を特別に大切なものだと考えれば良いのです。
 対価の得られない労働が無益であるように、世界中にあるお金もまた、それを人々の労働の成果物と交換できなければ何の役にも立たないのです。
 
                (「ハリジャン」1934年2月2日)  



 これも、(1161)と同じように、「労働を通貨にしよう」というガンディーの主張です。
 つまり、彼は労働価値説の立場に立っていると言えるでしょう。
 労働こそがすべての商品の価値の源であるとすれば、他人の労働の成果物を手に入れるためには同程度の自分の労働の成果物をその見返りに提供するということになるでしょう。だから、「労働がお金になる」のです。
 しかし、世の中の多くの人は、貨幣や紙幣、あるいは銀行口座や電子マネーの残高の数字の方を重視しているようです。
 けれどもガンディーは、「いくらたくさんのお金を持っていても、それ自体では何の役にも立たないではないか。他人の労働の成果物と交換した時に初めて、お金が役に立ったと言えるのではないか」と述べています。
 それでは、一体どうしてお金が価値あるもののように思われてしまうのでしょうか? それは、多くの人がお金を欲しがるからです。どうして多くの人がお金を欲しがるのかと言うと、それは彼らがあたかも神のようにお金を崇拝しているからではないでしょうか?(272)
 だから、「お金を大事だと思うよりも、自分自身の労働を大事だと思うようにしなさい」とガンディーは言っているのではないかと思います。
 
7月定例学問会の報告(3)どっちを向いて仕事をするのか。 [2024年07月30日(Tue)]
 7月定例学問会の報告の続きです。
 
●地方自治体は、本来、自治を行う共同体であり、組織であるはず。
●中央政府との関係においては、団体自治。
●住民との関係においては、住民自治体。
●だから、自治体の行政は第一に住民の方を向いて仕事をすべき。
●国からの指示や命令に従うことで精一杯になってしまったら。
●国からの補助金に依存してしまったら。

 そして・・・

                (つづく)
糸を通貨としてカディを買う。 [2024年07月29日(Mon)]
(1164)
 私は、自分の経験から次のようなことを学びました。
 都市においても村においてもカディを普及させるためには、糸との交換によってのみそれが入手できるようにすべきです。
 糸を通貨としてカディを買うことを、やがて人々が自ら要求する日が来ることを私は願っています。

               (「Swaraj through Charkha」1945年)
 
 

 これも、ガンディーが考える理想の経済についての発言です。
 (1161)では、「各自の労働の成果物を交換せよ」と言っていたガンディーですが、実際には「誰もが必要とするもの」「時間が経過しても価値が変わらないもの」という条件を満たす品物はあまりないでしょう。
 そこで彼は、「糸を通貨として用いる」ことを提唱するのです。糸は、糸車を回すことによって誰にでも作れます。その糸を織物職人や綿布生産の協同組合(562)に納入し、その代わりに製品である綿布(カディ)を受け取るというシステムです。
 こうすれば、現金を持たなくても布や衣服を手に入れられます。また、織物の生産者は原材料を現物で受け取れるので資本がほとんど必要なくなります。従って、資本家による搾取もなくなるわけです。
 同様の主張は、(1002)でもされていましたね。
 
しもかわ読書会7月例会の報告(1)内海聡さん。 [2024年07月29日(Mon)]
 昨日は、下川町公民館で「しもかわ読書会」7月例会を行いました。
 今月は、東京都知事選があったので、東京都知事選に立候補して得票数第6位だった内海聡(うつみさとる)さんの著書を取り上げました。
 この人は、政治家ではなくて、お医者さんです。お医者さんとしてはかなりユニークな主張をしている人ですが、今回の都知事選では12万票も獲得しているので、相当多くの支持を得ていると言えるのではないでしょうか。
 この人の著書が、下川町町民会館図書室にもあるのです。
 それは・・・

                             (つづく)
村が、自給自足の単位になる。 [2024年07月28日(Sun)]
(1163)
 インドの村は、それぞれがほとんど自給自足の単位になるでしょう。
 その地域で生産できない生活必需品のみ、他の村との交易によって手に入れることになるでしょう。

                      (Natesan)



 これも、ガンディーが考える理想の経済についての発言です。
 彼が目指しているのは、まず、「個人単位ではなく、国家単位でもなく、村単位の自給自足」です。そして、「地域外との交易を完全に否定しているわけではなく、合理的かつ自立を損なわない交易は行っても良い」というのが彼の見解なのです。
 同様の内容は、「スワデシ」に関する議論の中でも繰り返し主張されていましたね。(303)
物々交換は古くない。 [2024年07月27日(Sat)]
(1162)
 それは、お互いに自由で公正で対等な関係における労働の交換です。だから、そこには収奪も搾取もありません。
 「しかし、それは原始的な物々交換に逆戻りするということではないか」
 そう反輪する人もいるかもしれません。
 けれども、国際的な貿易はすべてバーターシステムに基づいて行われているではありませんか。

                  (「ハリジャン」1934年11月2日)  
    


 「労働こそが通貨である」というガンディーの話(1161)の続きです。
 要するに、お互いの労働の成果物を交換するということのようです。ですから、まさに物々交換です。「労働を通貨として」というのは、恐らく労働を価値の尺度として何と何を交換するかを決めるということだ思います。
 しかし、「それでは経済的な発展段階としてかなり昔の状態に逆行してしまうことになるのではないか」という批判が当然あるでしょう。
 これに対してガンディーは、「国際的な貿易はバーターシステムに基づいて行われているではないか」と反論しています。確かに、通貨というのは国家がその価値と国内での流通を保証するものなので、国際的な基軸通貨と言えるものが存在しなければ国内での取引と同じように国際的な取引で通貨を使うことは困難でしょう。
 バーター方式貿易というのは、貿易相手国との輸出入額をほぼ等しくするような状態を保つという協定を結び、貨幣を介さずに行われる貿易のことです。バーター(barter)とは、「物々交換」を意味する英語です。
 
第245回楽しく学ぶ歴史ゼミの報告(3)国家のための仏教。 [2024年07月27日(Sat)]
 7月17日の楽しく学ぶ歴史ゼミの報告の続きです。

●朝鮮の百済から伝えられた仏教を取り入れるかどうか。
●賛成派の蘇我氏と反対派の物部氏が激しく対立した。
●仏教を取り入れるかどうかは、国家の問題だった。
●仏教は国を守り、国を統治するためのものだった。
●仏教は皇族や貴族のためのもので、民衆のものではなかった。
●行基など、民衆のために活動したお坊さんもいたようですが。

 そして・・・

                 (つづく)
労働こそが通貨である。 [2024年07月26日(Fri)]
第22章 通貨、交換、税

(1161)
 私の構想する社会システムにおいて、通貨となるのは金属製のコインではなく労働です。
 労働する能力のある人は誰でも、労働という通貨を、すなわち富を持っているのです。
 その人は、自らの労働によって衣服を作り、穀物を育て収穫します。もしも、自分で作ることのできない灯油が欲しいのであれば、余剰の穀物と交換してそれを手に入れれば良いのです。
 ・・・
 
 

 ここから、新しい章に入ります。章のタイトルは、「通貨、交換、税」です。
 まず、通貨についてですが、ガンディーは金属製のコインを否定しています。もちろん、紙幣を使えと言っているのでもありません。彼によれば、「労働こそが通貨」なのです。
 要するに、自らの労働による生産物と他の人の労働による生産物を効果や紙幣を介さずに交換するということでしょう。その労働の価値をどう評価するのかは難しい問題ですが、恐らく、当事者間の合意によって決まるのではないかと思います。
 では、労働する能力がない人はどうするのでしょうか?
 (389)などを見ると、身体的な障がいや疾病などによって労働をすることができない人については政府がその生活を保障すべきであるというの彼の意見だったようです。
 そして・・・
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