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スワラージは、忠実で愛国的な人々が多数を占めるような所でだけ維持することができます。忠実で愛国的な人々というのは、ほかのどんなことよりも、何が国民にとって最善の結果をもたらすかを最優先に考える。自分自身の個人的な利益よりも、国民全体の利益の方を大切に考える。そのような人々のことです。
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自治(スワラージ)についてのガンディーの意見です。自治は、すべての人に向けて完全に開かれた普通選挙による国民主権の政治でなければならないと彼は言っていましたが
(7)、決して選挙をすればそれで良いということではありません。利己的な人々、偏見に満ちた人々、他人から操作されたり扇動されたりしやすい人々、そういった人々による多数決では決して真の自治は達成できないのです。
そこでガンディーは、国民主権を実現するために不可欠な要件として、「国民の意識」を問題にするのです。「個人の利益や感情よりも、国家(共同体)全体によっての利益や正義を優先的に考える」ということです。これは、ルソーの一般意思に似ていると思います。
確かに、「一般意思を誰が何を根拠に知りうるのか、本当に共同体の全構成員が共有できるような一般意思が存在するのか」というような難しい問題があるのは事実です。しかし、批判するのは簡単ですが、バラバラな特殊意思をどうやって調和させるのかという問題は決して多数決では解決できないのです。
さらに、続けてガンディーは・・・