自給自足の国は侵略的な野心の対象にならない。 [2025年06月05日(Thu)]
第29章 インドと世界
(1478) インドが自給自足を実現し、独立独行の国になることができれば、そして経済的な誘惑に負けて搾取を受けるようなこともなくなれば、その時は西洋や東洋のどんな強国も、その強欲を満たそうとする野心の対象としてこの国を見ることをやめるでしょう。 ・・・ いよいよ、「Village Swaraj(村の自治)」の最後の章に入りました。章のタイトルは、「インドと世界」です。 この文章が書かれたのは1931年です。当時のインドはイギリスによる植民地支配に苦しんでいたのですが、そのような帝国主義的侵略の対象にならないためには「自給自足の国になることだ」とガンディーは言っています。そして、経済的な搾取は、搾取する側の強欲だけでなく、搾取される側が経済的な豊かさを求める誘惑に負けたからでもあると彼は分析します。 このことは、初期の著作である「ヒンド=スワラージ」から一貫している彼の持論です。 それから、「西洋や東洋の強国」と書かれていますが、この時代において「東洋の強国」が日本を指しているのは疑いありません。1931年と言えば満州事変が起こった年ですが、日本も欧米と同じく強欲によって植民地拡大を目指す列強の一つに過ぎないことを彼は見通していたのです。決して、「日本は西洋諸国による侵略から殖民地民衆を解放するアジアの盟主だ」というような幻想を抱いてはいなかったのです。 そして、さらに続けて・・・ |