自然が各人に与えるものは、平等ではない。 [2022年06月12日(Sun)]
(393)
例えば、誰もが同じ身長、同じ肌の色、同じ知的能力・・・そんなことはもちろんありえません。それは、自然の摂理に反しています。 ですから、人々の間でお金を稼ぐ能力に差が生じるのも自然の成り行きなのです。 ・・・ 平等についてのガンディーの主張の続きです。 「人間は皆、平等な者として生まれるが、それは『機会の平等』という意味においてである(392)」と彼は言っていました。決して、それは各人に同じものが与えられているということではありません。 ここで彼は、「自然が与える特性において、人間は同じではない」という事実を示します。それはまあ、そうですね。それは、「平等であるべきか、否か」という問題ではなくて、事実の問題です。 そこから彼は、「人々の間でお金を稼ぐ能力に差が生じるのも自然の成り行きだ」と話を進めます。これについては、検討されるべき点がいくつかあるでしょう。「果たして、お金を稼ぐ能力の違いは、自然から与えられた才能だけで決まるのか?」「お金を稼いでいる人とそうでない人の違いは、能力以外の要因にも関係しているのではないか?」などです。「教育を受ける機会」に関しても議論されるべきでしょうが、これについては「機会の平等」という原則が支持されるのではないかと思われます。 それにしても、最も肝心なのは、お金を稼ぐ人とそうでない人の間に生じる経済的格差についてどう考えるかです。すなわち、「人間の平等というのはあくまでも『機会の平等』である。各人が平等な機会を与えられていれば、人々の間の競争の結果として生じた違いは当然是認されるべきである。それを不平等と呼ぶべきではない」と考えるか、それとも、「人間らしい暮らしを享受する機会も、平等に与えられなければならない。だから、人々の能力・努力・運などによって生じた経済的格差は社会的な方法で是正が図られなければならない」と考えるかです。 さて、ガンディーの見解は果たして・・・ |