機械が是か非か、ということよりも大切なことは・・・。 [2021年09月08日(Wed)]
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「そのように考えていくと、論理的に行き着く先は、つまり、『複雑な仕組みを持った動力機械はすべてなくさなければならない』ということになるのでしょうか?」 ーあるいは、そういうことになるかもしれません。しかし、結論を出す前にはっきりさせておきたいことがあります。それは、究極の関心事は常に、「人間にとってどうなのか」でなければならないということです。 機械を使ったお蔭で人間の手足が衰えてしまう。こんなことは、もちろんあって良いはずがありません。 しかし・・・ 「私が目指しているのは機械の廃止ではなく、その利用が適切に制限されることだ」というガンディーの主張(122)に対して、上のような問いが発せられています。これは恐らく、「こういう質問があるだろう」と思われる質問に対して、自らの見解を示しておこうという、いわば想定問答なのだと思います。 ガンディーが強欲の追求の手段としての機械の使用に反対し、また機械化は決して労働者の利益にはならないと述べていたので(119)、「それでは、工業生産に使われるような複雑な動力機械は使うべきではない。そう考えてもよいですね」というのは十分考えられる反応だと思います。 ところが、ガンディーは、「大事なのは、機械の利用が是か非かではない。人間にとってどうなのかが問題なのだ」とここで強調するのです。人間に利益をもたらすのか、それとも害をもたらすのか、そのことを問わなければならないということでしょう。 そのような観点から考えると、結果的に人間の手足を衰えさせることになるのであれば、機械の使用は人間にとって有害だと彼は言うのです。 しかし、決してすべての機械が人間に害をなすと考えているわけではありません。 ・・・ |