やがては人々から忘れられていく・・・。 [2021年03月03日(Wed)]
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そして、真実の愛に満たされたインド国民は次のことを確信していなければなりません。すなわち、インドの文明に優るものはない。現在人々の目に偉大なものとして映っているヨーロッパ文明も、やがては色褪せて忘れられていくだろうと。 このように、束の間の文明はこれまでに何度も興っては亡ぶということを繰り返してきたのです。そして、これからもきっとそのようなことは繰り返されるでしょう。 インド国民(特に、インドの自治を望む知識人)に対するガンディーのメッセージの続きです。 「インド文明に優るものはないということを確信せよ」と彼は言います。これは、彼がずっと強調してきたことです。「インドが築いてきた文明こそが真の文明なのだ(586)」、このことを確信しなければ、決して「インドの自治」は実現できないと彼は訴えます。なぜなら、インドがイギリスに支配されているのは軍事力において劣っているからではなくて彼らの文明を受け入れてしまっているからなのだと考えているからなのです。 この当時、ヨーロッパ文明(近代文明)の有効性や普遍性を疑う思想はほとんどなかったのではないかと思います。「ヨーロッパ=先進国」「アジア=発展途上国」であり、「ヨーロッパ化=近代化=進歩」という考えが常識だったのではないでしょうか。しかし、「ヨーロッパ文明はいずれ衰え、消え去って行くだろう」とガンディーは言うのです。この部分は、原文では"a nine days' wonder"と表現されています。「世間の注目を集めても、すぐに忘れられてしまう物事」という意味で、「A wonder lasts but nine days.(驚きは9日間しか続かない)」という諺があるそうです。日本語の諺では「人の噂も七十五日」なので、ヨーロッパ人の方が忘れやすいのでしょうかね。 そして・・・ |