悪を制裁し、善良な市民の利益を守るため。 [2020年01月29日(Wed)]
(718)
あなたはこう主張します。 「私は、あの悪党を懲らしめてやりたいのだ。それは自分のためではない。私の隣人たちの利益を守るためなのだ」 そうして、あなたは武装した男たちをたくさん集めます。彼の家を襲い、占領するためです。 「重武装の男があなたの財産を盗み、あなたの心は彼に対する怒りでいっぱいになった」という話(717)の続きです。 これは、あくまでも仮定の話です。しかし、ガンディーはこの仮定から考えられる展開によって、若者の主張の問題点を明らかにしようとしているようです。 さて、泥棒による被害を受けた人(ここでは「あなた」という2人称で語られていますが、イギリス人をインドから追い出すためには暴力的な手段も容認されると主張する過激な民族主義者の若者のことです)は、その泥棒に対して武力による報復を企てるだろうとガンディーは想像します。 確かに、「正当な目的のためには暴力を使ってもよい」という若者の理屈に基づけば、決してこれは無理な推論ではないかもしれません。「個人的な恨みを晴らそうとするのではない。これは悪に対する正義の制裁なのだ」とか、「自分の利益のために戦うのではない。人々の安寧と利益、社会の平和と秩序を守るために戦うのだ」とか、武力行使がそういう論法で正当化されることが多いのは今も変わりませんね。 そして、その後の成り行きは一体どうなるのでしょうか? ・・・ |