自分の心と情欲を制御できるようになること。 [2019年08月17日(Sat)]
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そして、道徳の実践とは、私たちが自分の心と情欲を制御できるようになることです。 そうすることによってこそ、我々は「己を知る」ということを会得するのだと言えます。 「真の文明とは何か」についてのガンディーの話の続きです。「文明とは、人が進むべき道を指し示すような行動様式のこと」だと彼は言い、さらに「義務の遂行とは、道徳の実践である」と述べていました。そしてここでは、「道徳の実践とは、私たちが自分の心と情欲を制御できるようになること」であると規定しています。つまり、「人間が各自の感情や欲望に従って生きることは悪である」と彼は考えているのです。 しかし、より正確に言うならば、これは彼の考えというよりも、普遍的な宗教の教えなのです。「我々の世俗的な欲望には制限が設けられるべきであり、我々の活動は世俗的な方向にではなく宗教的な方向に向けられるべきだ」というのが「すべての宗教に共通する教え」であると述べられていたのは、既に見た通り(290)です。 そして、そのようにして「自分の欲望や感情を制御することによってこそ、自分自身を知ることができるのだ」とガンディーは語っています。「自分の気持ちに正直に生きる」「自分のやりたいことをする」「自分の感情に素直に従う」ことが「自分を大切にする生き方」ではないと言うのです。それは多分、自分の感情に流されたり自分の欲望に従って行動しても決して自分と向き合うことにはならず、厳しく自己を見つめ、自己の矛盾と闘い克服することによってこそ、真の意味で自分自身を知ることができるのだということでしょう。 また・・・ |