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甘いお菓子は食べてはいけない [2023年12月05日(Tue)]
(926)
 甘いお菓子などは、完全に排除されるべきです。どうしても甘いものが食べたければ、ほんの少しのグルや砂糖をなめるか、あるいは牛乳やパンと共に加えるかに留めてください。
 新鮮な果物は食べても構いません。ただし、ほんの少しだけです。
 それはとても高価な食品です。だから、裕福な人々がたくさん果物を食べれば、貧しい人たちや病人が食べる果物が奪われることになってしまうでしょう。そういう人たちの方が、裕福な人々よりもずっと多くの果物を必要としているのにです。
 ・・・


 
 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 貧しい人々の食べ物を奪わないように、彼は特に裕福な人々に対して粗食を勧めています。(922)
 その話の流れから考えれば、当然甘いお菓子などは食べるべきではありません。しかし、甘い物はやはりおいしいですよね。そこで、少しの砂糖なら口にしても良いと彼は譲歩します。
 グル(gur)というのは、サトウキビやパームヤシから作る無精製の砂糖です。ジャグリーとも言うそうです。
 また、果物は食べても良いが、ほんの少しにしなさいと言っています。これも、貧しい人々への配慮のためです。
 そして・・・
 
パンと牛乳を一緒に食べるべきではない。 [2023年12月04日(Mon)]
(925)
 チャパティやパンは、牛乳と一緒に食べるべきではありません。
 例えば、まず一日の最初の食事は生野菜にチャパティまたはパンで済ませます。そして2度目の食事は、調理した野菜に牛乳または凝乳を加えても良いでしょう。
 ・・・
 


 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 これも、「あまり多くの種類の食品を食べるべきではない(922)」というのと同じ趣旨の発言です。
 チャパティとは、全粒粉を使った無発酵パンの一種だそうです。チャパティやパンと牛乳を一緒に食べてはいけないと彼は言っています。どちらも食べてはいけないというわけではなく、チャパティやパンも、牛乳も、それぞれ1日に1食だけにしなさいということですね。これを読むと、1日に3度食事をするのは論外のようです。
 凝乳(curd)とは、牛乳などの乳を酵素・菌・酸などで凝固させた物のことです。この凝乳からチーズが作られるそうです。
 それから、さらに・・・
 
サラダを食べよう。 [2023年12月03日(Sun)]
(924)
 食用にする穀物は、水分が少ない方がいいです。乾燥していれば、半分の量で十分です。
 また、肉汁その他のソースを付ける必要はありません。
 玉ねぎ、ニンジン、ラディッシュ、サラダ菜、トマトなどは、生のサラダで食べるのが良いです。1、2オンスのサラダを食べれば、調理された8オンスの野菜を食べるのと同じ栄養を摂ることができます。
 ・・・

 

 「肉を食べる人は、豆を食べなくても良い(923)」と述べた後、このようにガンディーは続けます。
 要するに、貧しい人々の食べ物を奪わないように、特に裕福な人々に粗食を勧めているのです。限られた食料を、みんなで合理的に分け合い、結果として飢える人がいないようにしようということでしょう。
 「穀物は乾燥していた方がいい」というのは、重量当たりの栄養価を高めるためと考えれば理解できますね。しかし、「生野菜の方が調理した野菜よりも良い」というのはよく分かりません。
 ちなみに、「オンス」というのは重さの単位で、16分の1ポンド、約28・35グラムに当たるそうです。
 それから、さらに・・・
肉を食べる人は、豆を食べなくても良い。 [2023年12月02日(Sat)]
(923)
 牛乳、チーズ、卵、肉といった食品で動物性のタンパク質を摂取している人は、豆類を食べる必要はありません。
 貧しい人々は、植物性のタンパク質しか手に入れることができないのです。だから、裕福な人たちは、動物性のタンパク質も脂肪も口にすることのできない貧しい人々のために豆と油を譲るべきなのです。
 彼らが豆と油を食べるのを控えるようにすれば、貧しい人々がこの2つの必須の食品を食べられるようになるからです。
 ・・・



 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 裕福な人々に対して、「あまり多くの種類の食品を食べるべきではない(922)」と彼は言っています。これは、現代の栄養学の主張と違っているようです。
 しかし、彼は貧しい人々のことを考えているのです。貧しい人々は、動物性のタンパク質や脂肪を口にすることができません。だから、彼らは植物性のタンパク質(豆類)と植物性の脂肪(胡麻油や大豆油などでしょうか?)を食べるしかないのです。だから、裕福な人々が動物性のタンパク質と脂肪だけでなく植物性のタンパク質や脂肪まで食べるようになると、その値段が上がって貧しい人々が必要な栄養を摂取できなくなってしまうということを彼は心配しているのです。
 それから、さらに・・・

健康に良くない食べ物の組み合わせ。 [2023年12月01日(Fri)]
欠乏の時に

(922)
 多くを節約する人は、それだけ多くを得るでしょう。それはすなわち、多くのものを生み出しているのと同じです。ですから、貧しい人々に同情する人、貧しい人々の立場に寄り添いたいと願う人は、彼らが欲しいと思うものを減らさなければなりません。
 そのための方法はたくさんありますが、そのいくつかについて述べてみたいと思います。
 裕福な人々は有り余るほどの物を食べ、あるいは食べずに無駄にしています。1回の食事に使う穀物は1種類だけにしなさい。一般的な家庭では、野菜や果物に加えて、チャパティ、米、豆類、牛乳、ギー、砂糖、そして油が食卓に並べられています。
 しかし、私の考えでは、この食べ物の組み合わせは健康に良くありません。
 ・・・
 


 これも、食料問題についてのガンディーの論説です。
 食料問題を解決するために、「裕福な人々が貧しい人々のために自分たちの食べ物を減らしなさい」と彼は提言しています。同じような趣旨のことは、(921)でも述べられていましたね。
 ここでは、さらに具体的に書かれています。
 チャパティというのは、インドのパンです。「ヒンド=スワラージ」でも出て来ました。
 ギ―(ghee)とは、バターから水分とタンパク質を取り除いた純粋な乳脂肪のことだそうです。
 しかし、このように多くの種類の食品を食卓に並べるのは好ましくないそうです。
 なぜかと言うと・・・
飢えた自国民のために・・・。 [2023年11月30日(Thu)]
(921)
 いずれにせよ、もしも飢えたヨーロッパのためにアメリカが自己の欲望を抑制するのであれば、我々インド人が自国民のためにこの小さな自己否定の行動をしないで良いはずがありません。多くの人々が飢えのために命を落としているのだとすれば、我々は自助の方法で最善を尽くしましょう。それによって、我々は国民の品位を高め、また信用を得ることができるでしょう。
 
                   (「ハリジャン」1947年10月19日)  
 


 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 アメリカのトルーマン大統領が、「自分たちの食料を少し減らして、ヨーロッパへの食料援助に回そう」と国民に呼び掛けたことを彼は高く評価しています。(920)そして、その自己否定の精神をインド人も見習おうと呼び掛けるのです。
 もちろん、この自己否定の勧めは飢えている人々に向けて述べられているのではありません。主に想定されているのは、宗教的な慣習あるいは戒律として自らの状況に応じて各自が自発的に行う断食のようです。(917)

人間は、その動機ではなく行動によって評価されるべき。 [2023年11月29日(Wed)]
(920)
 このトルーマン大統領の博愛精神に満ちた発言に私は心から賛辞を送りたいと思います。
 この博愛的な行動の裏には、そこからアメリカが金銭的な利益を得ようとする利己的な動機が隠されていると批判する人もいます。しかし、そのような意見には賛同できません。
 人間は、その動機ではなく実際の行動によって判断されなければなりません。人間の心の中を知ることは神以外にはできないからです。
 ・・・
   

 
 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 トルーマン大統領の博愛精神に満ちた発言とは、「自分たちの食料を少し減らして、ヨーロッパへの食料援助に回そう」と国民に呼び掛けたことを指していると思われます。(919)
 これは、第2次世界大戦後にアメリカが西ヨーロッパ諸国に行った経済援助(マーシャルプラン)のことだと思います。もちろん、それは純粋な人道援助ではなくて、東西冷戦の中で西ヨーロッパを自国の側に組み込もうとするアメリカの戦略に基づいたものだったと考えられます。多分、この当時もそのような批判があったのでしょうね。
 ことろが、ガンディーは、「動機がどうであれ、トルーマン大統領がヨーロッパへの食料援助を呼び掛けたのは良いことだ」と評価しています。
 ということは、「行為の道徳的評価の規準をもっぱらその動機におく」動機説ではなく「行為の内面的動機にかかわりなく、行為の結果および他におよぼす影響を道徳的判断の対象とする」結果説の立場に彼は立っていることになりますね。イギリスの大学を出ているので、あるいはイギリスの功利主義的な倫理思想を学んでいたのかもしれません。
 ただし、(500)ではこれとまったく反対のことが述べられていました。
 そして・・・
        
飢えに苦しんでいる人々のために、我々の食べるパンを少し減らそうではないか。 [2023年11月28日(Tue)]
(919)
 この食糧危機についての短い論評の最後に、私はアメリカのトルーマン大統領の発言を紹介したいと思います。報道によれば、彼はアメリカ国民に対して次のような助言をしたそうです。「今、ヨーロッパの人々は飢えに苦しんでいます。我々アメリカ国民は、彼らのために毎日食べるパンを少し減らそうではありませんか。自己の欲望を少し制限しようというこの勧めに従ったとしても、アメリカ人の健康は決して損なわれはしないでしょう」。
 ・・・ 
 


 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 この文章が書かれたのは、第2次世界大戦後です。当時、世界中が食料難に苦しんでいたようです。(909)それは、ヨーロッパも例外ではなかったようです。西ヨーロッパ諸国も、この時期アメリカからの経済援助を受けていたのです。この時のアメリカ大統領が、トルーマンです。
 さて、このトルーマン大統領が、アメリカ人に対して「自分たちの食料を少し減らして、ヨーロッパへの食料援助に回そう」と呼び掛けたそうです。
 これは、確かにガンディーが喜びそうな話ですね。
 しかし・・・ 
配給制度はあまり役に立たない。 [2023年11月27日(Mon)]
(918)
 さらに、配給制度というものに対する個人的な見解を述べさせていただきますと、それは限定的な役割しか果たせないのではないかと思います。
 生産物をどうするかは、各生産者に任せれば良いのです。そうすれば、彼らはそれを市場に持ち込むでしょう。そうすれば、今日容易に得られないような良質な食料となる穀物をみんなが手に入れられるようになるでしょう。
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 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 この文章が書かれたのは第2次世界大戦の直後、世界中が深刻な食料不足に苦しんでいた時期です。(909)
 しかし、そのような緊急事態であっても、配給制のような統制経済に関しては否定的な見解が示されています。
 これを読むと、ガンディーは市場メカニズムについてかなり強い信頼感を持っていたと言えるかもしれません。ただし、その一方で、彼は資本の集中や独占的支配には強く反対しています。つまり、市場経済が適切に機能するのは、小規模分散の経済システムを前提とした場合のみなのです。(914)
 そして・・・
 
エカダシ。 [2023年11月26日(Sun)]
(917)
 さて、次に、外国から得られる3パーセントの穀物をどうするかについて語らせてください。
 我々ヒンドゥー教徒は、半月のうちの11番目の日に食べ物を完全に、あるいは半分程度絶つという習慣を持っています。
 また、イスラム教徒なども、自己否定の行をするのは禁じられていません。とりわけ、飢えている大衆のためにこれを行うことは大いに推奨されています。
 もしも、この部分的な自己否定の美を我が国民のすべてが理解するならば、たとえ外国からの援助を自主的に返上したとしても、インドはそれを補って余りあるほどのものを得ることができるでしょう。
 ・・・



 食料問題についてのガンディーの話の続きです。
 「外国からの得られる3パーセント」とは、「外国から受けることのできる援助物資は、我が国が必要としている量の3パーセントに過ぎない(912)」と言っていたことを指しています。
 ここでガンディーは、なんと、自主的な断食によってその援助を返上せよと言っているようです。ヒンドゥー教徒が行う「エカダシ」と呼ばれる断食は、月に2回、新月と満月から数えて11日目に行われるそうです。
 また、イスラム教徒は、ラマダン月(イスラム歴9番目の月)の日の出前から日没まで飲食を絶つそうです。この断食には、「空腹を経験することで、貧しい人々の境遇を理解する」という意味もあるそうです。
 そして・・・
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