インドの今の不穏な状態も必然的なものだし、それゆえに正常な状態と考えられなければなりません。 [2018年04月25日(Wed)]
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私たちはまだ落ち着かず、あちらこちらと体をひねって寝返りを打っているのです。 このような眠りと目覚めの境目の状態は当然に存在するものです。それと同じように、インドの今の不穏な状態も必然的なものだし、それゆえに正常な状態と考えられなければなりません。 インドは落ち着かない不穏の状態である。このことを認めた上で、ガンディーはそれを人間が睡眠から目覚める過程で生じる「寝ぼけ」状態にたとえながら、「それは必然的なものだし、正常な状態である」と言うのです。 このように、ガンディーは政治問題を論ずる時も決して観念的な思考にとらわれたりはしません。常に自然な感覚と結び付けながら、多面的に、哲学的に、問題を考察するのです。 そして、彼の思考のもう一つの特徴は、「これは善、あれは悪」だとか、「これは正しい、あれは間違っている」だとか、「この人は味方、あの人は敵」だとか、「これは全面的に好ましい、そうでなければ絶対的に良くない」だとか、そういうふうに二元論的な思考には陥らないことです。 例えば上の例のように、「ある状態から別の状態に移り変わる時、その過程において2つの状態が入り混じった状態を通過する」というように彼は考えるのです。 ですから、「不穏の状態は良いか、良くないか?」ということではなく、「不穏の状態は状態そのものとしては良い状態ではない。しかし、それは良い状態に至る過程で必然的に現れる現象である。だから、それは否定すべきものではない」と説くのです。 そして・・・ |