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国民とは誰のことか? [2021年02月27日(Sat)]
(1103)
<編集長>
 国民とは一体誰のことですか?



 「国民に対しては、何とおっしゃいますか?」という若い読者の質問(1102)を受けて、一体ガンディーはどのような回答をするのだろうかと思ったら、なんと、自分の受けた質問の中の用語の意味を確認する質問でした。
 「国民とは誰か?」もちろん、文脈上これがインド国民であることは明らかです。だから、ガンディーが尋ねているのは「インド国民とは誰のことか?」ということになります。
 さて、国民・民族(nation)という概念は実は昔からあったものではありません。インドの場合、インド人に民族意識を芽生えさせたのは「国民会議」の歴史的な意義であるとガンディーは述べていました。(58)。また、「インド国民・インド民族の形成には長い時間を要する(71)」とも言っていました。
 だとすれば、この時点で「インド国民」と規定されるのが適当なのは、果たしてどんな人々なのかという趣旨の質問だと思われます。
 これに対して、若い読者は・・・
国民に対しては、何とおっしゃいますか? [2021年02月26日(Fri)]
(1102)
<読者>
 では、わが国民に対しては何とおっしゃいますか?


 
 過激派に対して(1050)、穏健派に対して(1060)、そしてイギリス人に対して(1101)のガンディーのメッセージを聞いた後、若い読者は「それでは、インド国民に対してはどのようなことを伝えたいか?」とガンディーに問います。
 この章は最終章で、これまでの主張の要約になっています。だから、恐らくインド人同胞に対するメッセージに託してガンディーの主義主張の核心部分が示されるのではないかと予想されますが・・・
お互いに利益をもたらしあい、世界に貢献するために。 [2021年02月25日(Thu)]
(1101)
 そうすれば、私たちはお互いに利益をもたらしあうことができるようになり、また世界に対しても大いに貢献することができるでしょう。しかし、これが実現するためには、我々の関係を宗教という土壌の中にしっかり浸透したものにしなければなりません。
 


 イギリス人に対するガンディーのメッセージの結論部分です。
 「我々の要求が完全に満たされる場合においてのみ、あなたがたはインドに留まることを許される(1099)」と言った後、「そうすれば、我々はきっとお互いに学び合うことができるだろう」という希望的なビジョンを彼は示しました。
 つまり、インドはイギリスからヨーロッパ文明の良い部分を学び、イギリスはインド文明の高い精神性を学ぶことができるというのです。しかも、それはお互いにとっての利益になるだけでなく、世界全体に対してもより大きな貢献をすることができるようになるだろうとガンディーは言っています。
 ただし、それが実現するためにはしっかりとした宗教的基盤の上に築かれた関係でなければならないと強調しています。いかにも彼らしい言葉ですね。
 さて、これを聞いた若い読者は・・・
お互いに学ぶべきことがある。 [2021年02月24日(Wed)]
(1100)
 そして、もしもあなたがたがそのような条件を満たしながらインドに居続けるのであれば、我々インド人があなたがたから学べることもいくつかはあるでしょう。また、あながたがたの方でも我々から学ぶことがたくさんあるでしょう。
 


 イギリス人に対するガンディーのメッセージも、いよいよ大詰めを迎えてきました。
 「我々の要求が完全に満たされる場合においてのみ、あなたがたはインドに留まることを許される(1099)」とガンディーは言いますが、逆に言えば、「あなたがたが我々の要求を受け入れるならば、ずっとインドにいても良い」という寛容な態度を示しているとも考えられます。過激な民族主義者である若い読者が「インドにいるイギリス人は病原菌のようなものだから、絶対に排除しなければならない(624)」と主張していたのと比べれば、それは大きな違いであると言っていいでしょう。
 そして、「インドが自治を実現するためには、ヨーロッパ文明を断固として拒否しなければならない」と力説するガンディーですが、イギリス人が態度を改めるならばインドがイギリスから学ぶこともいくらかはあるだろうと述べています。ただし、「イギリス人がインドから学ぶことはもっとあるだろう」とも言っています。インド文明に対する彼の自信は、それほど強固なのです。
 さて、彼はさらに続けて・・・

我々の要求が完全に満たされなければ・・・。 [2021年02月23日(Tue)]
(1099)
 我々の要求が完全に満たされる場合においてのみ、あなたがたはインドに留まることを許されます。



 当時インドを支配していたイギリス人に対するガンディーのメッセージの続きです。
 彼が示した要求とは、「イギリス人はインド人からの経済的搾取や富の収奪をやめよ」「イギリス人はインド人の宗教を尊重しなければならない」「イギリスの教育や裁判制度はインドにいらない」「インドの公用語は英語ではなくヒンディー語である」「鉄道にも軍隊にもお金をかけるべきではない」「インドをイギリスの工業製品の市場とすることを断念せよ」というような内容です。そして、「これが受け入れられないのであれば、我々はもうあなたがたには従いません(1087)」ときっぱり宣言するのです。
 もちろん、軍事力で戦えばインドがイギリスに勝てる見込みはまったくなかったのですが、「魂の力で戦うならば、我々は決してあなたがたに負けはしない」とガンディーは言うのです。この場合の「魂の力」とは、無論のこと昔の大日本帝国のような精神主義とは別次元のものです。(829)
 そして・・・
文明信奉を棄て、聖書を熟読せよ。 [2021年02月22日(Mon)]
(1098)
 もしも、あなたがたが文明と呼んでいるものを手放そうという気になり、そうしてあなたがたが信じているキリスト教の聖書を熟読してみようとするならば、きっと私たちの要求が正当であると分かるでしょう。



 当時インドを支配していたイギリス人に対するガンディーのメッセージの続きです。
 イギリス人に対して、彼ははっきりと「文明を棄てよ」と言っています。しかし、彼の考えによればヨーロッパ文明は決して真の文明ではないのです。(185)
 では、本当の意味において文明とは何なのかと言うと、「文明とは、人が進むべき道を指し示すような行動様式のことだ(558)」と彼は言っています。だとすれば、ヨーロッパ人にとってはキリスト教こそが真の文明だということになるでしょう。そして、キリスト教であろうがヒンドゥー教であろうがイスラム教であろうが、宗教の本質はすべて同じだとガンディーは確信しています。だから、ヨーロッパ人がキリスト教の信仰の原点に立ち返って考えるならば、きっとインド人と意見の一致を見ることができるだろうと彼は言うのです。
大衆は、権力者とはほとんど何の関わりもなく暮らしている。 [2021年02月21日(Sun)]
(1097)
 インドの大衆は、あなたがたとはほとんど何の関わりも持たずに暮らしています。


 
 当時インドを支配していたイギリス人に対するガンディーのメッセージの続きです。
 ここで「あなたがた」と呼ばれているのは、インドにいるイギリス人のことです。当時、イギリスはインドを植民地支配していたのですが、「インドの大衆は、イギリス人とはほとんど何の関わりも持たずに暮らしている」とガンディーは言っています。それは恐らく、「文明化されていない人たちを支配することはできない(582)」と述べていたのと同様の趣旨だと思います。
 ヨーロッパ文明の影響を受けている知識人ほど、近代産業社会の中にどっぷりと浸かった生活をしている人ほど、イギリスの支配下に置かれているのだと言うのです。
 もちろん、戦争や環境破壊を起こされてしまえば、決してそうは言えなくなってしまうのですが。
 それから、ガンディーは・・・
大衆は、権力者とはほとんど何の関わりもなく暮らしている。 [2021年02月20日(Sat)]
(1097)
 インドの大衆は、あなたがたとはほとんど何の関わりも持たずに暮らしています。


 
 当時インドを支配していたイギリス人に対するガンディーのメッセージの続きです。
 ここで「あなたがた」と呼ばれているのは、インドにいるイギリス人のことです。当時、イギリスはインドを植民地支配していたのですが、「インドの大衆は、イギリス人とはほとんど何の関わりも持たずに暮らしている」とガンディーは言っています。それは恐らく、(582)で「文明化されていない人たちを支配することはできない」と述べられていたのと同様の趣旨だと思います。
 ヨーロッパ文明の影響を受けている知識人ほど、近代産業社会の中にどっぷりと浸かった生活をしている人ほど、イギリスの支配下に置かれているのだ。しかし、昔ながらの村の暮らしをしている大多数のインド人はそうではないと言うのです。
 もちろん、戦争や環境破壊を起こされてしまえば、決してそうは言えなくなってしまうのですけれど・・・。
 それからさらに、ガンディーは・・・
あなたがたがここでしてきたことは、果たして本国の人々の支持を受けられるだろうか? [2021年02月19日(Fri)]
(1096)
 もしも、インドであなたがたがしてきたことのすべてをイギリス本国の人々が知るようになれば、あなたがたの行為の多くは到底支持を受けることができないでしょう。


 
 当時インドを支配していたイギリス人に対するガンディーのメッセージの続きです。
 「あなたがたは良きイギリス人の見本とは言えない(1095)」と述べたガンディーは、「インドを支配しているイギリス人はひどいことをしているが、それは決して本国にいる多くの善良なイギリス人たちの支持を受けることができないだろう」という見解を表明しています。
 つまり、彼はこれを「インド人とイギリス人の対立」とは考えないのです。イギリス人の中にもインド人の主張に理解あるいは共感を示してくれる人々はきっといるだろう。そういう人たちは決して自分たちの敵ではなく、むしろ味方なのだということです。(52)
 実際、イギリス人の中にも帝国主義に対して批判的な考えを持つ人がかなりいたようです。例えばホブソンというイギリス人の経済学者は帝国主義の批判者として知られていたそうですし、4度も首相を務めた政治家のグラッドストンも帝国主義的政策には反対の考えを持っていたようです。
 そして、さらに続けてガンディーは・・・
良きイギリス人、良きインド人。 [2021年02月18日(Thu)]
(1095)
 あなたがた、インドに来ているイギリス人は、決して良きイギリス人の見本とは言えません。
 もっとも、そう言う我々だって、まるで半ばイギリス人化してしまったようなインド人ですから、決して本当のインド国民の見本では決してないのですが。
   


 当時インドを支配していたイギリス人に対するガンディーのメッセージの続きです。
 ですから、ここで「あなたがた」と呼ばれているのはインドにいるイギリス人です。
 確かに、インドを統治していたイギリス人たちは、インド人を蔑視したり、差別したり、あるいはインド人から搾取したり、厳しい弾圧を加えたりしていたわけですから、決して道徳的に優れた人々とは言えなかったでしょう。
 しかしガンディーは、過激な民族主義者である若い読者とは違って、「すべてのイギリス人が悪いというわけではない(49)」という冷静な態度を取っているのです。「確かにインドにいるイギリス人には非難すべき点が多々あるが、決して彼らの振る舞いを見てイギリス人全般を判断してはいけない」と彼は考えます。
 ただ、こう言ってしまうとやっぱり相手は気を悪くするでしょう。そこで、公平を期すため、あるいは自らの謙虚さを示すためなのでしょうか、「我々も、本当のインド国民の見本ではない」ということを彼は認めます。ここで「我々」と言っているのは、ヨーロッパ文明の影響を受けているインドの知識人階級のことです。(583)
 そして、ガンディーは続けて・・・ 
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