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医者が余計なお節介をしなければ・・・。 [2019年07月21日(Sun)]
(534)
 医者が妨害しなければ、自然の働きによって与えられた苦しみから私は自分自身を統制することの大切さを知ったでしょう。そして、そのような力を私が獲得できれば、私はもはや悪徳に支配されることがなくなり、幸いを得ることができるのです。



 ガンディーの医者批判の続きです。
 医者による治療を、ガンディーは「自然の働きを妨害している」と言って非難しています(531)。確かに、ぼくたちが感じる肉体的な痛みや不快感は、「その状態を放置してはいけない」「何らかの改善をしなければならない」という自然からのサインであるとも考えられます。つまり、人間が病気になった時に生じる様々な症状は、自分の今の生活や環境が健康を害する状態であることを患者本人に自覚させ、その改善を促すために有効な働きをしているのであり、人間が健康を回復しようとする力(自然治癒力)の重要な要素であるということです。
 そう考えると、症状とは単にそれを可能な限り軽減し、できれば除去すべきものでは必ずしもなく、病気の状態から健康な状態に戻すためのある段階においては不可欠の貢献をしていると積極的に評価することもできるでしょう。
 この考えは、あの有名なナイチンゲールの看護論にも通じます。彼女は、「看護とは、患者の自然治癒力が最もその力を発揮できるように生活のすべてを最良の条件に整えること」だと言っているそうです。
 もちろんガンディーとナイチンゲールの思想はまったく同じというわけはありませんが、「病気を見て人を見ない」医療とは根本的に異なった視点で人間の健康なあり方を見ていると言えるのではないかと思います。
 さらに・・・
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