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池に水が湧き出る場所では恐らく他の部分よりも夏は冷たく冬は温かいはずだ。 [2016年04月06日(Wed)]
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 ウォールデンの湖水は一体どこから来て、そしてどこへ行くのか? ぼくはそこに降る雨や雪、そこから蒸発する水蒸気のほかはまだ何も発見できない。しかし、温度計と釣り糸さえあれば、水の出入り口となっている場所は見つけられるかもしれない。池に水が湧き出る場所では恐らく他の部分よりも夏は冷たく冬は温かいはずだからだ。
 1846年から翌年にかけて、氷の切り出し人夫たちがここで働いていた。その時、岸へ送られた氷の塊の一部が戻されて来たことがあったそうだ。それらは厚みが足りないので他の氷と並べて積むことができなかったのだ。
 そういうわけで、池のある水域に張った氷は他の場所よりも2、3インチ薄いということを切り出し人夫たちは知ったのである。この事実は、そこに水の湧き出る場所があると彼らが考える根拠になっていた。
 


 ウォールデン池に流れ込む川もそこから流れ出る川も存在しないことは、(776)などで再三言及されていますね。
 湧き水や地下水の温度変化が少なく、夏は冷たく冬は温かいというのはよく言われることですが、ソローはそのことがウォールデンの水の出入り口を突き止める手がかりになるのではないかと予想しています。(そこに流れ込む川もそこから流れ出る川もないので、出入り口があるとすれば湖底にあるはずなのです。)
 しかしソローも、ここでは「流入する水としては雨や雪、流出する水としては蒸発する水蒸気しか発見できなかった」と言っています。
 水温と湧き水に関しては氷の切り出し人夫も気付いていたそうです。1846・7年とは、ソローーがウォールデンの湖畔で暮らした(1845年の7月から2年あまり)のとほぼ同時期です。当時、ウォールデン池の氷は世界各地に輸出されていたそうです。ちなみに、世界有数の天然氷の販売業者で「アイスキング」と呼ばれたフレデリック=テューダーは、あのターシャ=テューダーの祖父に当たるそうです。
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