（４１９）
　もしも国家が暴力的な手段で資本主義を抑圧しようとすれば、結果は果たしてどうなるでしょう？
　その場合は、きっと国家自体が暴力の渦の中に巻き込まれてしまうでしょう。それを発展させて最終的には非暴力の社会を築こうという企ては、何度試みても必ず失敗に終わるでしょう。
　私は固くそう信じています。
　・・・
　


　「信託という理想を求めて努力していけば、この地上において平等な状態を実現するという目標に向かって、我々はほかのどんな方法によるよりもずっと先の方まで進んで行くことができるだろう。（４１８）と言った後、ガンディーは上のように続けます。
　ということは、「ほかの方法」として彼が想定しているのは、武力革命による社会主義政権の樹立、そしてその政府が国家権力を行使することによって強制的に富者から財産を取り上げ、経済的な平等を実現するというビジョンであると思われます。
　「正しい目的のためであれば暴力も正当化できる」という考えを否定する意見を、「ヒンド＝スワラージ」の中ではインドの独立運動について述べていましたが、ここでは社会主義運動についても同様の理由で彼は否定しているのです。
　そして、さらに続けてガンディーは・・・