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信託の原則。 [2022年02月24日(Thu)]
4 信託           

(287)
 信託の原則は、まさにこの平等な分配という原則の土台となるものです。
 それは、次のようなものです。
 どんな人でも、隣人より多くの富を持つことは、たとえ1ルピーであっても許されません。そこで、富を持つ人たちは、彼らが所有する富のうち自分の生活に必要なもの以外の余剰分を社会のために用いるべきものとして自分に信託されたものだと考えるのです。
 ・・・
   


 ここから、「4 信託」に入ります。信託(trusteeship)とは、 受託人・管財人・理事の職、あるいは信託統治のことです。つまり、信頼に基づいてある人に財産などを託すことが信託なのですが、ここでガンディーが言っているのは「信頼に基づいて財産を託され、その管理や活用についての責任を負うこと」だと解釈されます。
 要するに、多くの資産を持っている人がその余剰分を誰かに預けるのではなくて、その余剰分は自分が預かっているものであると認識するということです。これによって、富裕な人々の財産権を強制的に奪うことなく、しかも富の集中の是正を図ることができるというわけです。だから、「経済的平等という問題は、信託という基本的な考えに基づいて解決される(281)」と彼は言っていたのです。
 ちなみに、ルピーというのはインドのお金の単位です。
 自分の持っている財産を「自分のためでなく、貧しい人々のために使うべきもの」と考える人など果たして本当にいるのだろうか? と思うかもしれませんが、ヴィクトル=ユゴーの名作「レ=ミゼラブル」に出て来るミリエル司教などはまさにそうでしょう。ジャン=ヴァルジャンに銀食器を盗まれた時、司教は「あの食器は私のものにしておくべきではなかったのだ。それは、貧しい人のものであったのだ」と言って彼を許したのでした。
 そして・・・
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