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2019年05月30日(Thu)

特定収入の特例(資産受贈益)
NPO法人等の消費税を見ています。

対価性のない収入だが、特定収入から除かれる、つまり制限計算の対象にしなくてもいい収入にはどのようなものがあるのかを見ています。

今まで、消費税法施行令75条1項六号イ〜ハに規定されている、特定収入に該当しないものとして掲げられているものをみてきました。

今回、この消費税法施行令75条1項に掲げられていないが、特定収入から除いて計算すべきではないか、と考えているものについて触れたいと思います。




1.特定収入から除かれるもの


特定収入=対価性のない収入−消費税法施行令75条1項で定める収入 です。

しかし、消費税法施行令75条1項に掲げられていないが、特定収入から除いて計算すべきではないか、と考えているものがあります。

それが、「資産受贈益」(現物寄付)です。


2.資産受贈益とは

資産受贈益とは、現物の資産を受けた場合に計上するものです。

例えば、時価1億円の土地・建物を取得したとします(土地5千万円、建物5千万円)とします。

仕訳は

借方 土地 5千万円
   建物 5千万円

貸方 資産受贈益 1億円

とします。

活動計算書には、収益の部に「資産受贈益」として1億円が計上されています。


この場合に、この「資産受贈益」1億円を特定収入から除くことができるのか、という問題です。

消費税施行令75条1項には、この「資産受贈益」は掲げられていません。

そうすると、資産受贈益は、特定収入の計算に入れる必要があるのでしょうか?


3.資産受贈益は特定収入から除くことができる

この問題は、私が理事長をしている認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワークのメーリングリスト上で、かなり議論をしました。

NPO会計税務専門家ネットワークのメーリングリストは、NPOの会計税務の様々な疑問点に専門家がメーリングリスト上で議論する場です。

特定収入について課税仕入れの制限計算をする理由は、対価性のない収入を原資にして仕入税額控除をすることを認めないためです。

資産受贈益については、下記のような理由から、特定収入に含む必要はないと考えるべきと思います。

@ 資産受贈益は、資産の寄付を受けたときに計上されるもので、資産を購入したものではないため、課税仕入れに使われることがあり得ないこと。

A 「特定収入」は、その名前の通り、「収入」を想定しており、お金の出入りがない現物寄付のような「収益」は想定されておらず、初めから特定収入に含まれないため、消費税施行令75条で特定収入から除かれる収入にも掲げられていないと考えられること。



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