2019年04月13日(Sat)
みなし譲渡非課税(承認特例A)
租税特別措置法40条について見ています。
前回から承認特例についてみています。 前回は、承認特例の内容について紹介しましたが、今回は、承認特例を受けるための要件を見ていきたいと思います。 下記は、国税庁「公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例」の 税制改正のあらまし」を参考にしています。 http://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/h30kouekihoujin_01.pdf |
1. 承認特例の要件 <要件1> 寄附をした人が寄附を受けた法人の役員等及び社員並びにこれらの人の親族等に該当しないこと (国立大 学法人等(法人税法別表第1に掲げるものに限ります。)については、承認要件ではありません。) <要件2> 寄附財産について、寄附を受けた法人の区分に応じ、基金若しくは基本金に組み入れる方法 により管理されていること又は必要な事項が定款で定められていること <要件3> 寄附を受けた法人の理事会等において、寄附の申出を受けること及び寄附財産について基金若しくは基本 金に組み入れること又は不可欠特定財産とすることが決定されていること この3つの要件について、もう少し詳しくいていくことにします。 2. 寄附をした人が寄附を受けた法人の役員等及び社員並びにこれらの人の親族等に該当しないこと(要件1) この要件は、持分のない法人へ贈与又は遺贈をした際に租税回避行為に当たるかどうかを判定する相続税法施行令33条3項に同じ条件がでてきます。 相続税法施行令33条3項では、この要件を満たせば租税回避行為にあたらないとする4つの要件がありましたが、そのうち一番難しい1つ目の「法人の運営組織が適正である」という要件について、贈与を受けた法人の理事、監事、評議員、職員のうちに、贈与者及び贈与者の親族等がいなければ、その要件は問わない、というものでした。 https://blog.canpan.info/waki/archive/740 寄付者が、寄付を受けた法人の役員、職員等及びその親族等でもない場合には、租税回避の可能性が低いと考えられるからです。 承認特例も、同じように、寄付を受ける法人とは関係が薄い第三者からの寄付については、租税回避のための寄付の可能性は非常に低いですので、長い期間をかけて認定をしなくてもいいという考え方と思われます。 逆に言うと、この承認特例は、寄付を受ける法人の役員等及びその親族からの寄付については適用がなく、仮にこの後の要件を満たしていたとしても、国税庁の認定には時間がかかります。 3. 寄附財産について、寄附を受けた法人の区分に応じ、基金若しくは基本金に組み入れる方法 により管理されていること又は必要な事項が定款で定められていること (要件2) 具体的には、以下の区分に応じて、以下の方法になります。 (1) 国立大学法人等の場合 寄附財産が、一定の公益目的事業に充てるための基金に組み入れる方法(基金が公益目的事業に充てら れることが確実であることなどの一定の要件を満たすことについて、寄附を受けた法人が所轄庁の証明を 受けたものに限ります。 なお、寄附を受けた法人は、基金の証明を受けた事業年度以後、基金明細書を毎 事業年度終了後3か月以内に、所轄庁に提出する必要があります。)により管理されていること (2) 公益社団法人・公益財団法人の場合 次の@又はAのいずれかの方法によります。 @ 寄附財産が寄附を受けた法人の不可欠特定財産であるものとして、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項が定款で定められていること A 寄附財産が、一定の公益目的事業に充てるための基金に組み入れる方法(注)により管理されていること (注)上記の国立大学法人等の場合と同様です。 (3) 学校法人(学校法人会計基準に従い会計処理を行う一定のものに限ります。 )の場合 寄附財産が、寄附を受けた法人の財政基盤の強化を図るために、学校法人会計基準第30条第1項第1 号から第3号までに掲げる金額に相当する金額を同項に規定する基本金に組み入れる方法により管理さ れていること (4) 社会福祉法人の場合 寄附財産が、寄附を受けた法人の経営基盤の強化を図るために、社会福祉法人会計基準第6条第1項に規定する金額を同項に規定する基本金に組み入れる方法により管理されていること 4. 寄附を受けた法人の理事会等において、寄附の申出を受けること及び寄附財産について基金若しくは基本金に組み入れること又は不可欠特定財産とすることが決定されていること(要件3) 承認特例を受けるためには、理事会等の合議制の機関をで基金や基本金に組み入れることを決定していることが要件です。 このような要件を求めているのは、基金に組み入れた資産を 恣意的に寄附者やその関係者の利益に資するように使われることがないようにするためです。 合議制の機関においては、資産を基金へ組み入れる決定等を行った際に議事録の作成 が必要になります。 (公益社団法人・公益財団法人に対する 個人からの現物資産寄附の みなし譲渡所得税非課税承認 〜証明申請等の手引き〜P6) |