2019年04月11日(Thu)
みなし譲渡非課税(特定買換資産特例B)
租税特別措置法40条について見ています。
平成30年度の税制改正で導入された、「特定買換資産の特例」について、みています。 今回は、具体的にどのような場合に、この「特定買換資産の特例」が適用されるのか、適用されないのか、内閣府が出している、「公益社団法人・公益財団法人に対する 個人からの現物資産寄附の みなし譲渡所得税非課税承認 〜証明申請等の手引き〜」から見ていくことにします。 https://www.koeki-info.go.jp/administration/pdf/20180419_minashi_hikazei_sinseitebiki.pdf 青字が手引き6ページからの引用です。 なお、ここで掲げる例は、公益社団法人・公益財団法人へ資産を寄付した場合ですので、ご了解ください。 |
基金に組み入れた財産は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第2条第4号に規定する公益目的事業に充てることが必要であり、例えば、寄附を受けた土地を収益目的で貸し付け、その賃貸収入を将来的にこれらの業務に充てるようなことは認められません(貸付けた時点で、寄附を受けた土地をこれらの業務以外に充てることとなるため)。 寄付を受けた不動産を基金に組み入れたとしても、それを収益目的に貸し付ける場合は、ダメ、つまり、非課税が取り消される、と言っています。 あくまでも「特定買換資産の特例」ですので、買換えずに公益目的事業以外に使用しているだけでは、この特例は受けられません。 一方、例えば、寄附 を受けた土地を有価証券等に買換え、その運用益を将来的にこれらの業務に充てるため基金に組み入れることは可能です(有価証券等については、土地の貸付けと異なり、これらの業務以外 に充てていないため)。 今回の特定買換資産の特例の特色は、以下の2点です。 @ 寄付を受けた財産について、「公益目的事業の用に2年以上直接供する」という要件がないこと A 「同種の資産等の買換える」という要件がないこと そのため、この特例を使って、寄付を受けた不動産を、公益目的事業の用に供さずに売却して、その売却代金で有価証券を取得し、その運用益を公益目的事業に充てれば、非課税は継続されます。 今までは、不動産は、公益目的事業の用に直接供することができるものでなければ措置法40条の適用は受けられませんでしたが、この特例を使うと、不動産が公益目的事業の用に直接供することが難しいものでも、その不動産を売却して有価証券を取得し、その運用益を公益目的事業に充てることで非課税を継続することができます。 なお、特例寄附資産(国税庁長官の承認を得、非課税措置を受けた資産)を譲渡した場合は、 その譲渡による収入金額の全部に相当する金額をもって資産を取得する必要があるため、新たな資産を取得するまでの間は、その収入金(現預金)を基金内に留保しておくことが必要です。 この特例は、寄付資産を売却して、その売却代金で他の資産を購入することが前提で、その売却代金を公益目的事業に充てることは認められていません。 その売却代金で新たな資産を取得するまでにタイムラグがある場合もあるかと思いますが、その場合には、基金内に現預金を留保しておく必要があります。 |