2019年03月14日(Thu)
「その他の事業」のNPO法人会計基準での取り扱い
内閣府のホームページあるNPO法のQ&Aをもとにして、NPO法の「その他の事業」について、書いています。
NPO法第5条では、その他の事業について、以下のように記載されています。 「特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。 この場合において、利益を生じたときは、これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。」 東京都の運用方針には、この第5条を解釈して、「その他の事業の利益は、当然に特定非営利活動に係る事業の実施のために使用する必要があることから、特定非営利活動に係る事業に全額繰り入れることが必要です。」としています。 今回は、NPO法人会計基準の2017年12月の改正内容から、「その他の事業」について考えていきたいと思います。 |
NPO法人会計基準では、2017年12月に改正が行われ、「その他の事業がある場合の活動計算書」について、従来は、「前期繰越正味財産額及び次期繰越正味財産額は、特定非営利活動に係る事業及びその他事業の区分には記載しない」としていましたが、「前期繰越正味財産額及び次期繰越正味財産額を、特定非営利活動に係る事業及びその他事業並びに合計欄のすべての区分について記載するように変更」されました。 具体的にどのような様式になるのかは、下記の一番下をご覧ください。 http://www.npokaikeikijun.jp/wp-content/uploads/kijunkaitei_file_06.pdf この改正理由について、以下のように説明されています。 改正前の基準では、「その他の事業」がある場合に、事業ごとに、活動計算書の前期繰越正味財産額及び次期繰越正味財産額を表示する形式となっていません。 そのため、事業ごとの前期繰越正味財産額及び次期繰越正味財産額が不明確となっていました。 これでは、特定非営利活動事業に対する未組入れ額を判断することができません。 その結果、「その他事業」 で生じた正味財産増減額を単年度ごとに「特定非営利活動に係る事業」へ 100%繰り入れなければならないという誤解も生じています。 以上から、その他の事業がある場合には、「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」のそれぞれの次期繰越正味財産額が明示されるように様式 4 を改正し、併せて様式例も改正しました。 なお、この改正によって、「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」の貸借対照 表を区分して作成することが義務付けられるわけではありません。 <2017年12月12日「NPO法人会計基準」の一部改正について より> http://www.npokaikeikijun.jp/wp-content/uploads/18e9266686a76421b403183aa10d6263.pdf この改正理由の中の、「「その他事業」 で生じた正味財産増減額を単年度ごとに「特定非営利活動に係る事業」へ 100%繰り入れなければならないという誤解も生じています。」という部分について、所轄庁の方からいくつか疑問を投げかけられました。 そのために作られたのが、下記の、「その他の事業から、特定非営利活動に係る事業に繰入れるべき金額について」です。 http://www.npokaikeikijun.jp/topics/sonota/ その他の事業で生じた利益を単年度ごとに100%繰り入れてしまっては、その他の事業の正味財産は常に0円になり、それではその他の事業で運転資金も持てず、在庫も、固定資産も持てません。 運転資金も、在庫も、固定資産も持てない事業が、必ず黒字になる、などということは考えられません。 NPO法が規定する、「利益が生じたときはこれを特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない」ということは、「その他の事業で生じた利益を単年度ごとに特定非営利活動に係る事業へ100%繰り入れなければならない」ということではない、ということを明確にした改正内容です。 |